会員コラム

遠山 達次
氏名
遠山 達次
会社名
株式会社 TIF
部署・役職名
代表取締役
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第13回社長のかぼちゃ

百年企業研究会の会員コラムが全員一周りして、2回目のコラム。
『ん~?』
何を書いたら良いのか悩む。

今回は、研究会のことより自分のことを書いてみようと思う。
私の仕事は、平たく言えば鉄工所だ。
これは超~平たく言い過ぎた。
もう少し詳細に言うと、特殊な機械を使い金属を削ったり、穴を空けたりして、機械の部品やその機械の元となる物を作る仕事をしている。
なぜこの仕事に就いたのかはいずれ書くことがあると思うので、ネタの為に置いておくことにする。
たぶん物作りが性格的にあっているのだと思う。

少し話は変わるのだが、この会には様々な業種の方がおり、色々なお話や考え方を聞くことができる。
それは今の自分にとっていつも新鮮だし、目から鱗のようなことばかりだ。
これから先、自身が進んで行く方向の灯りや教訓になっている。
毎日忙しなく過ごしているが、これからは沢山のことを五感で受け止めようと心がけるようにした。

たまに同業種の大先輩社長さんや同年代社長さんと食事をすることがあるのだが、初めの内は、『最近どう?』・『忙しい?』・『遊んでいる?』などのお決まりの話ばかりである。しかし、だんだんと仕事の熱い話になり、自身の仕事観を語り論議をする、三流青春ドラマのような食事会がある。
それを大先輩社長が『若いな~いいな~』と静観しているその中で、最近お決まりのように出てくるのが『物事』・『事柄』を大事にしよう、という話だ。
この例会でもそれに近い話がある。
なんとなく理解は出来ているのだが、実際頭の中は『???』だ。
字で書くと、『物売り』→『物事売り』・『物作り』→『物事作り』。
さっぱり?だ。
確かに時代の流れか何かは解らないが、仕事に関しては『情』という物がなくなってきている。
これはどの業界でもスマートなビジネス手法になって、何もかもが単体で動いている証なのだろう。

ここで本題になってくるのだが、生まれて初めて物事を作ってみようと思った。
『ん?何を大袈裟なことを!』と言われかねないが、あえてお題をつけるとしたら、
『社長!そうめんかぼちゃを作るのだ!』

今年5月前に会社近くの農家のおじさんの田植え機を直してあげた。
その時、『にいちゃん。お金いくらや?』と言われ、『おっちゃん。かまへんでこれくらいやったら!』と答えた。
すると次の日、おっちゃんが作った野菜を、お礼にと会社に沢山持って来てくれた。
その中にそうめんかぼちゃの種があり、それを作り育てることに決めた。

作るといっても何からすればいいかまったく解らず、また頭の中は『???』
今の時代は便利だ。
インターネットで『初めての農作物・そうめんかぼちゃ』と入力し、検索結果から万能な説明書を手に入れた。
もうこれで完璧だ。
お盆には美味いそうめんかぼちゃが食べられると勝手に決め、会社の空いたところに小さな畑を作りかぼちゃの種を植える。
久々の変わった出来事に自分自身も興奮し、日常の中に『かぼちゃの世話』が入り、毎日を楽しむことが出来た。

普段から仕事は楽しんでやっているのだが、違う事柄が増えるだけで違った楽しみ方が出来ると気づいたのも新鮮だ。
会社に来る人は皆、『何あの畑?』『何か作っているの?』『お姉さんか番頭さんの畑?』
と聞かれた。
社員が答える。『あれ社長の畑。社長がかぼちゃ作っているんです』
『えっ!嘘ぉ~!社長、何処かで頭でも打ったの?』のくだりが暫く続いた。
会社に来る人は、私をどのように思っていたのだろうか?
私が相手にどのようなイメージを与えていたのかを気づくよい機会だった(少し反省)

それから毎日のように水遣りや雑草抜きをして、育てていたかぼちゃが成長するようになり、肥料を与えたり蔓が巻き付く為の棒をさしたり毎日を楽しく過ごした。
会社での会話も『社長のかぼちゃ』が毎日の話題になり、若い従業員が畑に『社長のかぼちゃ!』とプレートまで作り、訪れるお客さんも『社長のかぼちゃ大きくなった』と言う。
工場に姿が見えないと『社長、かぼちゃのところに居るの?』となり、挙句の果てにはかぼちゃの品種までもが『社長かぼちゃ!』となって、2019年、会社の中でかぼちゃ旋風が巻き起こった。
その甲斐あって、見事なかぼちゃが6個も成長してお盆前に皆で食べることが出来た、というのが今年の暑い夏のお話。

ちなみに、そうめんかぼちゃは総称であって、正式名称は、『金糸瓜』であった。
今、私の会社でも言い方が良いのか悪いのかは解らないが、毎日が無機質な感じ(これは
会社の雰囲気が悪いとかそういうものではなく仕事に関することの意思伝達は出来ているのだが、私的なことはそれ以上でもそれ以下でもない状態)だ。
これはよくよく考えると、日常が淡々と過ぎ無駄に年月が積み重なっていくだけの状態で、小さいとは言え組織にとって絶対にプラスではないことは解る。
ただ自身の価値観を従業員に植え付けることは、もっとマイナスであることも間違いない。

会社を運営することは、私自身が会社で終わらない物語を創ることを考えないと駄目だ。
それは、私が作者であることは間違いないが、主人公ではない。どちらかと言えば脇役以下だ。
主人公は、従業員、そこに来てくれるお客さんであり、この物語を終わらせないために2人の主人公を輝かせる物語を描くことが私の最大の仕事だ。
これをやる上で欠かせないことが、お互いの価値観を共有し、解り合い、皆で見つけ作り出した価値観に全員で進むことであり、『物事』・『事柄』『物事作り』なのだろう。

(株)TIF
遠山 達次

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