相手を知ることは、自分を知ること。
年齢も業種も異なる経営者たちが、月に一度つどう目的はただ一つ。
決して一人ではたどり着けない月面「本当の自分」に降り立つため。
これはそんな経営者たちのリアルなやり取りから生まれたドラマ(議事録)です。
(禁:無断転載)
14:00~14:05 開会・挨拶
14:05~14:30 3分以内トピックス(近況や1ヶ月の中で印象的な出来事など)
14;30~15:00 川口さん発表
15:00~15:35 藤田さん発表
15:35~15:45 休憩
15;45~16:15 遠藤さん発表
16;15~16:55 田中眞理さん発表
16:55~17:00 事務局からの連絡・閉会
●蒼天先生
こんにちは。
今日の欠席は白石さんです。会社の方によると、あまり回復されていないようです。朝は会社に出て来られて、仕事の指示だけされて、すぐ病院に行かれるそうです。心配ですね。
さて、今年は、珍しく3ヶ月で、皆さんの所信表明がすべて終わりました。
今までは、言いっぱなしで終わっていたのですが、今回は、それぞれが5年後10年後、どういう方向で行くべきか、皆さんのお話を聞きながら、議論してみたい。
3時間で終われるかどうかはわかりませんが、よろしくお願いします。
●水島
今日は蒼天先生が司会されるという、なんか新鮮です(笑)。
年度末、今年度はあんまりバタバタしない予定だったのですが、3月末に急ぎの仕事がバタバタと来ました。
今から今期中にやるのは、ちょっとしんどいなあと思いつつ、でも断るわけにもいかないし…と思いながら、結局やっていたという年度末でした。
大きな動きとしましては、私が行っていた同志社中高の同窓会の会報誌を、今年、うちの会社で作らせていただくことになりました。
幹事学年が毎年変わっていくのですが、今年はうちの学年がそれにあたっていて、同窓会を主催し、同窓会誌を発行することになっています。
広報委員になれということで、水島くんところ、デザインやってるんだったら、作ってよと言われて、80ページくらいの同窓会誌作成を引き受けました。
歴代の卒業生全員に配るので、23000部ぐらい刷るらしいです。
えらいもの受けてしもたなぁ、ちょっと震えるなぁと思いながら、でもやるからにはちゃんといいものを作りたいなぁと思っております。
特集記事では、自分の学年の同級生にインタビューをしようかという話をしているんですが、みんないろんな分野で活躍していて、すごいなあ、と刺激を受けています。
9月ぐらいに完成予定で、それまでは相当ヒーヒー言いながら、原稿集めなど大変だろうなぁと思いつつ、でもいい機会なので、しっかりやらせてもらおう思っております。
●緑山
トピックスっていうことではないんですけど、先日あおり運転の被害者になりまして。
京都から大津の家に帰る道中、車線変更をしようとしたら、前にピュッと入ってきて、で反対に動くとまたピュッと入ってきて、進路妨害をされまして。
次の信号で止まったときに、その車から上下黒のスウェットの耳ピアスの二十歳ぐらいの若いヤンキーの兄ちゃんが降りてきて、「お前何煽ってんねん」と言って来られたんで、「煽ってへんぞ」と言って、ややこしくなったら困るので、すぐスマホで110番しまして。
信号が青だったら行きよったから僕も行って、そしてまた次の信号で待って降りて来て、また次の信号でも降りて来て、結局お巡りさんと110番で喋っている間に3回降りてきたんで。
そうこうしている間に「止まって待ってください」と言われたから、止まって待ちました。
「今警察呼んだから、お前ちょっと待っとけよ」と言ってる間に逃げられてしまいまして。
もういいかな、と思ったら、お巡りさんに「そのまま行くまで必ず動かないで待ってて下さい」と言われたので、そこまで20分ぐらいまたトータル事情聴取とか受けました。
お巡りさん4,5人に囲まれて烏丸五条の交差点で車止まってたので、周りの人からジロジロ見られて、「被害者なのになぁ」と思いながら、ちょっと恥ずかしい思いをしました。
私は何も煽ってません。単なる言いがかりです。
●桜庭
昨日、夫が海外に赴任になって、アメリカに出発しました。羽田からなので、伊丹から出発して羽田経由です。
世間ではこれを、栄転っていうのかな、と思うんですけど。
急に決まって、しかも子どもの合格発表があって入学金を納めようかっていうタイミングで、「アメリカ行くねん」みたいな。「えーっ!」みたいな感じで。ちょっとびっくりしたんですけども。
私ももしかしたら行くことになるのかもしれないなと思ってまして。
これから本当にどうやって生きていこうか、ということを、ここまで真剣に考えたことがない1ヶ月でした。
すいません、重くなりました。
自分はすごくしっかりしている、と自分の中では思ってたんですね。
ひとりでも生きていけるじゃないですけども、そういうタイプだと思ってたんですけど、急に夫がいなくなると、こんなにも悲しい気持ちになるのが、えーってすごく自分でも驚いています。
もうひとつ、父が末期癌で入院しています。
コロナで、面会謝絶、基本は会えないところを、遠方の家族は、もう最後だから、1回に限り、10分間の面会を許可されました。静岡に帰って10分面会してきました。
この2週間の間に、全部ワサワサワサってやってきたので、初めてちょっと精神的に参ってしまったというか、あまりの変化に、自分の中で、どう折り合いをつけたらいいのかわからなかったので、すごく困っています。
本当はこれ、先生に最初にご報告しなければと思っていたのですが、そうする間もなく、わーっと荷物をまとめて、わーっと入学金振り込んで、わーっと子供を送り出して、自分も急いで静岡に帰って。
なんだかよくわからないまま、とりあえず今日を迎えました。
●蒼天先生
ご主人は、アメリカに長く滞在されるんですか?
●桜庭
5年間ぐらいって言われています。
帰ってきて次の管理職になるか、状況によっては、別の国に行くかもしれません。
まぁコロナもありますしね。
アメリカって今は戦争していないけれども、いつも戦争しているし、ウクライナのこともあるので、無事に帰って来れるのだろうか? と勝手に思っています。そんな状況です。
●菖蒲
先月、顧問先の水間鉄道で、「広場研究会」を立ち上げるんだ、という話をしていました。
無事、提案して、社長にも「それはええんやないか」と受け入れていただいて、一緒にやる研究会がスタートいたしました。具体化は、来週の会議でやっていきます。
「スタートできた」というご報告です。
そして推進していくために、社長、貝塚市長、吉村知事、そして私と四人で会食をするということが設定されました(笑)。
それと、茶間さんからお茶(水出しのティーバッグ)を送ってきましたよね。
私は水出し茶はもう数年愛用してるんですが、水出しはやっぱりガラスの耐熱性の急須がよいと思います。(現物を見せつつ)Amazonで2800円くらいでありますので、これ、おススメですよ。
今度、茶間さんにも連休明けてからお会いする約束をしています。
●藤崎
こんにちは。ここのところ忙しくて、ご無沙汰しているような感じがしています。
ここしばらく、会社内のミーティングに、1日の7、8割取られています。ほぼほぼ喋り続けています。そんな日常がずっと続いているような感じなんですね。
今回、例会までに、議事録を熟読しておくよう、蒼天先生から言われていましたが、残念ながら全く読めずに今日を迎えまして、また怒られネタを作ったかな、というところです。
とはいえ、私自身は、非常によい方向に進んでいると認識していますので、この忙しさを懸念しているわけではなくて。そういう感じです。
●墨田
先ほどの桜庭さんの心中、お察ししますというところで。
本当に大変やなと思います。
なんかいろんなことが重なる時ってあるなあという。
私も、重たくはないのですが、めちゃめちゃライトな内容の、「いろんなことが重なるよなあ」っていうことが3つありました。
まずひとつめは、息子が晴れて大学入試で、なんとか志望校合格しまして、水島さんの後輩になりました(笑)。努力しているのを見ていましたので、非常によかったなと思っています。
僕は全くタッチしてないですけど、入学金の支払いとか、妻があれやこれや言ってました。
そんなところにうちの社員さんがコロナになりました。ふたつめです。
ちょっとしんどいんで帰らせてくださいっていうことで、病院へ行ったらコロナだったということが発覚しました。
関係者は特に体調に変化はなかったんですけど、一応検査して大丈夫でした。ただ対外的には、あまり外出してはいけないことにもなっているので、会社に閉じこもって、社員の代わりにやるべきことをやったりして、ずっとバタバタしていました。
彼がようやく復活してきたと思ったら、私最近また痛風になりまして。
もうあまり人に言えないんですね。通風って贅沢病って言われるから。
もう恥ずかしいし、でも足痛いのをいかに見せないように歩くかという、そんなしょうもないことをしてきた1ヶ月でした。重なるものだなということを感じた1ヶ月です。
●銀河
私も新学期を迎えました。
墨田さんところと同じく、うちの次男も4月から大学生で、神戸の方に行きました。
長男が大阪、長女が淡路島、次男が神戸で、3人とも西の方へ行って、みんなひとり暮らしで。
LINEで話したりしていますが、みんな一生懸命自炊をしているのが嬉しいです。やれと言ったことはないのですが、みんな長男の姿をみて学んでいっている感じです。家のことも考えながら生活してくれてるなっていうのも嬉しいです。
だから私も、サボることなく、子どもも頑張ってるしと思って、自分も頑張っている感じです。やっと引越しのゴタゴタが終わって、私の新学期が始まっています。
●黄金
いろんなことあったんですけど、その中から一つだけ。
うち4月1日から、新卒の新入社員をひとり迎えました。
久しぶりにリアルの研修があったので、大阪の方に研修に行ってもらいました。私もその中の1日だけ、1時間ぐらいですけど、学んでいる姿を見学に行ってきました。
研修の仕方がね、昔とはめちゃめちゃ変わってたんです。
仕事で稼ぐとかという前に、「生きがい」とか「やりがい」とか、「何のために仕事をするのか?」とか、1人ひとりに対してそういうことをやってるんですよね。
もちろん、基本マナーの研修もあるんだけど、今の若い人に、人として大切なことは何か? ということを教えている。
昔だったら、学校で先生に教えてもらったこと、家庭で教えてもらったことが、今の子どもにはやっぱり教えられてないんだろうなと。
だからそういうところで再度生きるって何? 何のために仕事するの? とか、大事なことは何なのか? とか、そういうことを本当に時間をかけて研修をされていたので、全然昔と違うよな、と世の中の変化をすごく感じました。
ちょっとこれ余談なんですけど、このコロナでね、あまりお酒飲まなくなったって前に話ししたじゃないですか。
最近、実は送別会とかあってお酒飲む機会があるんですけどね。めちゃくちゃお酒弱くなったんですわ。残る残る! もうしんどいんです、酒飲むのが。だからお酒も少しは飲んでおくほうがいいのかなと。
なんとなく、お酒を飲む場所に行くのがプレッシャーになってきてて、ちょっとどうしようかなと思っている今日この頃でございます。
●蒼天先生
今お酒の話が出てきました。ひとことだけ申し上げますと。
今年に入りましてね、朝起きたら胃が痛むんですよ。めちゃくちゃ痛いわけじゃないんですが、ずっと続いていたから、気になっていたんです。ちょうど胃カメラを飲む機会があって、結果は異常なしでした。そこで、先生に聞いたんですよ。
「胃が痛いのは、なんでしょうか?」
「それは胃が悪いんじゃない、年齢のせい」と言われまして(笑)。
それはね、80年間も胃が動き回っていて、若いときからお酒を飲みまくってきて、胃が疲れているから、ちょっと休ませてくれ、というその信号だから、胃が悪いわけじゃない、胃が疲れているだけ、と言われまして、あぁそうなんや、と思って。
最近は黄金さんとは逆にね、私はちょっと控えめです。しかし飲まないわけにはいかないからね。ちょっと控えめにしています。
それともうひとつ。
議事録1月から3月まで、じっくり読みました。
感じたことが2つあります。
1つは何かというとね、議事録の内容、形式も含めて、ものすごく内容のあるいい議事録になったということ。
これはもう銀河さんはじめ、皆さんのご助力のおかげだと思い、非常に嬉しいです。
どこに出しても恥ずかしくないような、しかも内容がすごい。
2つめは、5年6年と、ずっと所信表明の短冊を継続してきて、今年レベルが格段に上がったということ。これもすごく肌で感じました。
あぁ、この研究会はこれからだ。新しい年度が始まった。
そういう印象を強く受けました。
だから今月、こういうテーマにしてよかったな、としみじみ喜んでいます。
●蒼天先生
それでは、本題に入ります。短冊の発表順に、すすめていきます。
まずは桜庭さん。
「働く喜びを楽しみに」ということで、皆さんから非常にお褒めの言葉がありましたが。
その後なにかこのことについて取り組まれたこととか、深められたことはありますか?
●桜庭
「働く喜びを楽しみに」
1月に発表して、2月は、補助事業の報告書作りに没頭しました。
報告書はきちんと提出し、精算も無事に終了して、3月を迎えました。
3月、仕事に向き合ういとまもなく、先ほど申し上げましたプライベートの変化がやってきました。それまで仕事に没頭していた分、プライベートのことが一気に押し寄せてきて、昨日まではそこに集中せざるを得なかったというのが正直なところです。
働く喜びを実感する間もなく、家族にずっと向き合っていたという感じですね。
ただ、心持ちが変わると、考え方も変わってくるんだな、という実感はすごくありました。
例えば、補助事業に関して。昨年さんざん大変な思いをしましたので、さすがに今年は、もういいや、と思っていたら、補助金に関すること、そうでないこと、色んな新しい話が勝手に舞い込んでくるようになりました。
これまで、色んな下準備をしてきたことが、去年から少しずつ形になり、芽を出し始めているという状態で、とても嬉しく、ありがたく思っています。
そんな矢先の、夫のアメリカ行きの話だったので、本当にこれちょっとどうしようかな、とずっとこの1ヶ月弱の間、考えてきました。
ツアーの仕事は、春と秋がメインで、夏と冬は、ぴたっと止まってしまう、という季節性があります。よく考えたら、閑散期は別に私も日本にいる必要はないので、その期間はアメリカで過ごそうかなと思っています。
アメリカに滞在中に、今お客さんを送ってくださっているエージェントさんを訪問することもできます。
語学の面だけでいえば、子どもを連れて行くのは非常に良いことだと思っているので、この機会をありがたく活用させてもらおうかなと思っていて。
ここでお話するのは初めてなのですが、実は子どもの頃から、語学がとても好きで、ずっと勉強してきました。いつか外国に住みたい、というあこがれも持っていました。
でも、いい年齢になってきて、そんな夢を持っていたこと自体も忘れていたのですが、今回急にそれが叶った、夫に叶えてもらった、そんなことになりました。
自分の中で、本当は最初、急な変化に気持ちがついていかなかったのですが、よく考えたら、ずっと子どもの頃から憧れていたことを、人に叶えてもらった、ということになり、これは素直に喜んでいいのかな、と思うようにしています。
親のことが気になったりはするのですが、多分うまくはたらくだろう、と少し思っていて。今年は日本に残ると決めたので、そこでうまく段取りがつけられたらいいのかなと。
自分のこれからの人生と、家族が思い描いている人生や仕事、そのバランスと折り合いをつけていく、ということに、非常に頭を使う時間を過ごしました。
●蒼天先生
仕事は続けるつもりですか?
●桜庭
もちろんです。
最初は単身赴任してよね、という感じでしたが、それは子どもにとって、決してよいことではないし、というよりも、せっかくのチャンスを、自分のためにも、子どものためにも活用させてもらおうと考えています。
アメリカに滞在しつつ、仕事を継続するにはどうすればよいか。
うちの通訳さんたちは、皆さん国際結婚されていて、こういうことはよくあることですし、私の留守中に、どうやって回していくのか、ということも、相談できました。閑散期にできること自体は限られているので、うまく折り合いがつきそうです。そうやって、最善の道を模索しているところです。
●墨田
お父さんのことで心配はあるにしても、めちゃくちゃ楽しそうだな~と。小さい頃からの夢も叶って、これから楽しいことばかりやん、と思います。
桜庭さんは、色々複雑に考えられる方だから、なかなか表には出されないかもしれないけれど、なんせ楽しいことじゃないですか。充実した時間を過ごされていたのかなと感じています。
●桜庭
ありがとうございます。
そうなんですね。
表面だけ見ると、自分の思い描いていたあり方ではなかったんですが、よくよく考えると、全て、結果元々こうあったらいいな、ということになっている、と実感しています。
私がいなくても、うまく回るよう、事業を始めて7年間やってきたつもりなので、たぶん大丈夫だろうと思っています。
今年も、田んぼなど、地域の活動もしますし、農家さんたちと一緒に、活動準備を始めているところです。よい関係を築いてきたことが、少しずつ生きてくるのかなと思っています。
●藤崎
めちゃめちゃ羨ましいです。楽しいことがいっぱいですよね。
個人的にも、ビジネスの面でも、いろんな人とのつながりができるでしょうし、ものすごく界が広がるな、と思って聞いていました。
日本とアメリカを往復する生活。それだけでも充実した人生になるだろうなと。
さっき、何か悲しそうなスタートだったんですけれど、実はめちゃくちゃ嬉しい顔になるんだろうな、と思いますよ。
●黄金
桜庭さん何か申し訳なさそうにされていましたが…自分の本当にやりたかった小さい時の夢が叶うんだったら、もっと喜んでいい。
そのことで、誰かに迷惑かけたりとか、誰かに申し訳ないな、という思いがあるのなら、それはもう違ってて。
自分がまず幸せになる。人生を楽しむ。そっちを追いかけないと、他人を幸せになんかできるわけはないと思う。ここは貪欲に、自分の心の赴くままにやったらいいんじゃないかな。
そしたら課題は解決する。お父様のことは、もうしょうがない話なので何とも言えないけれども。
桜庭さんは、誰かを犠牲にして、自分だけが幸せになるのはいけない、そういう考え方をしているんじゃないかな。人のことを中心に考える人なのでは?
僕もどこかにあるのよね、自分だけが幸せになっても、具合悪いんじゃないかな、と思ってしまっていることがある。
でもそうじゃなくて、まず、自分の思いを達成させてあげて、それができたら、人にもっと優しくできるのでは? 問題は解決すると思いますよ。
楽しい方に向かっていくと、課題って解決するから。
あれもしないと、これもしないと、とか、こっちを立てたらあっちが立たない、とか、そういうことも、自分が前に進んで、どんどん楽しいことをやって行ったら、自然と問題って解決するんじゃないかな。
桜庭さんの今までの生き方、周りの人といい関係を作ってきたということ、今こそ自分の方に、自分のために使う方が、みんなも喜ぶはず。
今は自分の心に従ったらいいんちゃうかな、と僕は思うけどね。
●銀河
羨ましすぎてすごいなと思いました。
さっき黄金さんがおっしゃってことが、まさにその通りだと思います。
そういう順番が回ってきたっていうか、今桜庭さんのターンが来たみたいな感じ。
思いっきり羽ばたいて欲しいというか、飛び出して欲しいなと思いました。
(まさに、「ただしい人からたのしい人へ」だと思います!)
●菖蒲
もう何も恐れず、とにかく飛び込んだらいいじゃんって思いました。
私からすれば本当にうらやましい限り。
最近の朝ドラで、ご覧になっていた方もいらっしゃると思うのですが、親子三代、100年に渡っての物語「カムカムエブリバディ」がありましたよね。
桜庭さん見てました?
●桜庭
見てました。
●菖蒲
藤本有紀さんの脚本かな。天才ですね。素晴らしい。
一代目のヒロイン、安子が、戦死したご主人と、NHK のラジオで英会話を学んでいくところからスタートして。最後には孫がハリウッドでキャスティングディレクターになるという展開にまでなりました。
岡山から大阪に出て、京都の太秦に行って、それからアメリカっていう流れでしたけれども。
桜庭さんの遺伝子、DNAに、幼い頃から憧れてたという「英語が好きで」っていうのは、多分今起きていることと結びついてるんじゃないかなっていう気がしています。
これはもしかして、あらかじめ用意されていたできごとなんじゃないかな、という気がするんです。
それをちゃんと受け止めてらっしゃると思うんですけれども、もう好きなことに、好きな世界にどんどん羽ばたいて、この研究会も続けていただいて、アメリカとこうやってリモートでつながって、すごいじゃないですか。かっこいいじゃないですか。
羽ばたいてください、どんどん。
と、思いました。
●蒼天先生
では最後にひとことだけ申し上げたいんですが。
桜庭さんね、今の仕事を続けるか辞めるか、どっちか決断しましょう。
●桜庭
仕事は続けます。
●蒼天先生
続けるんだったらね、ただ単に続けるだけじゃなくて、一流になろうよ。
超一流になることを考えないと意味がない。
好きなんでしょ? ガイドの仕事。
だからとにかく超一流になろう。そうなるためには今何をすべきか。
たまたま、季節は春と秋だけ忙しくて他は閑散期になる。考える機会はいくらでもある。
また、異文化で新しい発想も生まれてくるかもしれない。
忙しいと思うけど、「超一流になる」ことを、今年の目標にしてほしい。
超一流になる一つのヒント。
阿闍梨さんの話ね。これは他のガイドにはない話だと思う。
阿闍梨さんの千日回峰っていうのは、酒井雄哉さんの本を読んだだけでそれ以上のことは知らないけれども、すごいことなんですね。
阿闍梨さんということは、大きなキーポイントになると思う。
前に、阿闍梨さんに頼んだら、高くなるという発言があったね。それは当たり前で、通常のガイドの価格設定とは別の発想になる。
例えば阿闍梨さんが千日回峰という修行を完了した後、どんな人になっているのか、また、その千日回峰ってどういうことなのか、そういう話を最初から最後まで、阿闍梨さん本人から聴く。普段我々でも、阿闍梨さんから直接話を聴くことはできないのだから、僕は、ひとり50万円という価格設定でもよいと思う。別の発想、価値観から、価格を決める。
そういうことを考えてほしい。それが超一流になるということだと思う。
50万円でも、行きたい人は必ずいる。
そして、年中やるのではなくて、特定の期間にやる。阿闍梨さんにも、しかるべき報酬を支払って、そして、めいっぱい働いていただく。
このやり方でやったら、日本で誇れる、超一流になれると思う。その辺り、ひとつ考えたらどうかな、と僕は感じていました。
●桜庭
ありがとうございます。
ずっと実は同じことを考えていて。
去年、助成金を使わせてもらう時に、特に阿闍梨さんのツアーについて、1番注力してやっていたんですね。
ガイドさんたちと、何度も何度も話してきました。
これからまたインバウンドが戻ってきたら、若い子たちがポコポコなんとなくいろんなツアーを立ち上げることになったときに、自分たちは、全くスタンスも考え方も違うんだっていうところを見せるために、何をどう鍛えなければいけないのか。
で、特に阿闍梨さんのツアーをやるにあたっては、あの方たちと精神面とか肉体面は無理だけれども、釣り合うような何かを持っていないと、ご案内なんか絶対できないし、許されないし、というところですね。私自身にも聞かせるつもりで、話し合いを続けてきました。
何回も比叡山に行き、何度も何度も歩きましたし。阿闍梨さんのところにも何度も何度も行って、いろんな話もして、でもやっぱりまだまだとてもそのレベルには至らないんですね。
人によってはこれでいいんじゃないかっていう人もいましたけれども、私の中ではまだまだそれでは全然、というところで。
阿闍梨さん自身が、千日回峰は、一生かけて磨き上げていくものだとおっしゃっています。私たちも同じで、決して完成することはない、英語力、アテンドの仕方、それからコースの設計含め、いろんなことを考えながら、お客様の興味とか、フィットネスレベルにも応じて、設定していくものだと思っているので。
それができるようになるような私たちになりましょうよっていうところは、高い目標として持っています。
50万はちょっと思ってはいませんでしたけども、それでも日本の中では有数の高額のツアーになるかなっていうところは考えていて。
今はまだまだそれにふさわしいものができてないので、何とか自分たちの中でも自信を持って、推していけるようなものを作りたいっていうのはずっと目標にありました。
世界の中では、そういうことしている人って、たぶんたくさんいらっしゃると思いますし、今アプローチしているのはハリウッド系のエージェントの方たちなんですけど、やっぱり世の中である程度の満足ができたら、今度自分のスピリット、魂をどうやって向上していくのかっていうところに、もう皆さん興味がある。そういう方たちに何か提供できるようなものを作りたいなっていうのがあったので。
アメリカに行ったら、そういうことを考えながら、アメリカ人の思考も見ながら、ツアーを作り上げていくことができたらいいなと思っています。
夫は会社で、奥さんや子どもも一緒にアメリカへ行く場合は、ビザの関係で、絶対に働いてはいけないと言われたみたいなのですが、その点夫は進歩的で、ダイバーシティとか言われている時代に、女性が仕事を辞めてついていけ、という考え方自体があり得ない、そんなことでは若い人は誰も入ってこないぞ、と人事に掛け合ってくれました。
今のところは、私は自分でビザを取る、お金もいらないので勝手に行きます、ということになっています。どうなるのかわかりませんが。
仕事に関しては、そういう目標がありますし、そこは先生がおっしゃったとおり、同じことを考えていて、頑張りたいと思っています。
あとは、皆さんがおっしゃったように、「自分だけが幸せになってはいけない」というのは、そのとおりで、父のこと、母のことを考えると、何となく後ろめたさがあったり、申し訳ない気持ちがしていたのですが。
でも、許された、ということは、「そうやって生きなさい」ということだと受け止めて、これをまた喜びのサイクルに乗せていけるかということを、素直に考えていきます。
少し悲しかったのは、寂しくて、昨日、不覚にも大泣きしてしまったので……。
私にとっては初めての、子どもとのふたり暮らし。大丈夫かな、と。
●水島
最初にお聞きしたときは、ズーンという感じだったので、大丈夫かなと思いましたが、後半はとても前向きで、昔から抱いていた夢の実現、というお話もあって、よかったなと思いました。
「いつか外国に住んでみたい」「語学が好き」という思いと、「英語の勉強をやり続けていた」という、今までの準備があったからこそ、チャンスが来たときに、しっかりつかめたこと、素晴らしいです。そうなるべくしてなった、導かれたんだと思います。
ビジネス的にも、桜庭さんがあちらで集客して、日本にお客さんを送り込む、みたいなことができれば、そんなに強いことはないですよね。そこまでできる旅行会社さんは、なかなかないと思います。
実際に桜庭さんが体験され、勉強されたことを、アメリカで「阿闍梨さんってこんな人なんですよ!」と説明できるので、説得力もあると思います。
●緑山
アメリカと日本って、わずか十数時間で行ける距離だし、僕がもし、旦那さんの立場だったら、「おー、アメリカへ行って出世コースに乗るぞ!」と意気揚々として行きます。
さっき先生がおっしゃったように、例えばエベレストの登山のツアーって500万とか700万とかするらしいので、それぐらいの料金設定をされて、アメリカから全員ファーストクラスで、桜庭さんが一緒に添乗員で来て、1人500万ずつの費用をいただく、というようなことも考えられるだろうし。
もう皆さんが言うようにワクワクワクワクすることばっかりかなと。
ご両親のことは気がかりかもしれませんが、飛行機で十数時間のことなのでね。
今、画面に桜庭さんが写っていますけど、背景がニューヨークのマンハッタンであっても、何ら違和感はないんじゃないかなと思います。
●桜庭
ありがとうございます。本当に泣きそうだったんですけれども。心強い思いになりました。
●蒼天先生
じゃあとにかく、更に努力しましょう。
●桜庭
はい、頑張ります。
●蒼天先生
どうもありがとうございました。
●桜庭
ありがとうございました。
●蒼天先生
墨田さん、何か一言、冒頭に何か言うことはありますか?
短冊発表以降、何か変わったことはありますか?
●墨田
社屋の改装も完成して、新しく作ったカフェカウンターで、お越しいただいたお客様と一緒にコーヒーを飲みながら、話す時間を持つことができるようになりました。念願の「お客様と、深い話もしたい」という希望が叶いつつあります。
雑談から深い話まで、気が付けば30分ぐらい話していて、今度一緒に飲みに行こうと誘っていただくこともあり、嬉しいです。
●蒼天先生
5年先10年先の墨田工務店については、どうでしょうか?
●墨田
考えてはみましたけれども。
●蒼天先生
皆さん、どうでしょう? 墨田さんにひとこと、5年先、10年先、どうしたらいいだろうかという提案はありませんか?
●黄金
この前、墨田くんの新しい事務所に行ってきたんです。前の事務所と比べて、楽しい空間にっていました。
カフェカウンターも楽しいけどね、屋根裏部屋みたいなところもあってね、こもれるんです。超大きいテレビ画面もあったりして、非常に楽しい空間を作ってまして。
「こういう家っていいよな」というか、仕事場なんだけれども、ちょっとこもれる屋根裏部屋があったり、本当に楽しい事務所だったので、これからお客さんに提案するときの絶好のショールームかな、と思いました。
蒼天先生のところから持ってこられたという DIATONE のスピーカーもね、ぴったり合っていましたよ。社長さんのこだわりというか、性格が現れるんだなと感じました。
墨田さんは元からお地蔵さんみたいな、「ありがたいな」という顔をしておられるけれども、「楽しい」「笑顔」みたいなものをひとつのキーワードにしてもいいんじゃないかなと。
新しい事務所から、それを体感できるよなぁ、と。楽しさを押し出すようなコンセプトの家づくりでもいいんじゃないかなと。
「こだわりの家」ってよく聞きますが、あれって作り手側の工務店がこだわってもしょうがなくって、お客さんのこだわりが実現できないとだめだと思う。
とにかくあの屋根裏部屋は、最高。あそこにこもったら、悲しいこととかしんどいこととか忘れそうです。皆さん是非行ってみてください。
●蒼天先生
彼、墨田工務店を超一流にするための何かヒントみたいなものは感じられましたか?
●黄金
お客さんはみんな、家を建てたい理由があるじゃないですか。理由がある中で、本当に心の奥底にある思いを引っ張り出せるんじゃないかな、新しいあの事務所は。
誰だって家を建てるときには高揚感とか、夢があると思うから、そのスタートにあたる楽しい感じを受けたので、墨田工務店が一流になるには、出していくカラーとして、「楽しい」とか「幸せはここから始まる」みたいなイメージもありじゃないかと。先生の答えになってないかもしれませんが。
●蒼天先生
なってません!(笑)
「かかりつけ」もうやめようよ、次のステップに行こう。
人と向き合うこと、これはすごく大事なこと。ビジネスは、売り手も買い手も人。人と人との関係性で成り立っているわけだから、人と向き合うということは、これは外せない。
そこから、次の飛躍の手がかりが欲しい。それが全然見えてこない。
●墨田
ランチェスター戦略とかあるじゃないですか。私は大きい会社にしたいとか、全く思ってなくって、どちらかと言うと「かかりつけ」という、誰に頼んでいいかわからない小さなところからちゃんと役に立って、家まで建てられる、そういう役立ち方で地域でのシェアを大きくしたいと思っています。それが特殊な技術でとかではなく、役に立てる、ということを一定の範囲の中で大きく持ちたいなと。
●銀河
私の暮らす地域では、空き家がめちゃくちゃ多くて、朽ちて来てるというか、自然災害でやばいことになってきていたりする。
私は工務店さんとかに、いろんな不動産的な問題があるとは思うんですけど、地域全体を建て直すというか、良い空間作りみたいな感じで、そんなところに手を出していただけたら嬉しいなと思います。京北と草津では全く事情が違うかと思いますけど。
●蒼天先生
それは全く違うわけではないと思う。非常に良いヒントです。その切り口は非常に大事だと思います。
●菖蒲
黄金さんのお話を伺いながら、ぜひ新しいオフィスにお邪魔させていただきたいと思いました。
ペットを飼っているお客さんに対するサービスや提案みたいなものが、これから必要になるという気がしています。
コワーキングスペースとかシェアオフィスなんかを作られるケースがあちこちにあるんですが、最近のコワーキングスペースも、「ペット同伴」という要素を入れるところが増えてきています。
もちろん、一般的な住居にも当てはまるとは思いますが、「人が共同で使う新しい不動産」という需要のなかに、人だけではなくて、ペットも一緒に含んで、というところですね。
まだまだ一部ですし、こちらには広まっていませんが、確か東急不動産がシェアオフィスに、ペットと一緒に仕事ができる空間を提案しています。だんだん増えていくのではないかと思いますよ。
そうすると、インドア空間での「ペットとの暮らし」という備えがいると思うので、そういう情報がプラスされたらいいかなと思いましたし、外に、ドッグランにあたるようなスペースをうまく作っているケースもあります。
そういう建物と外構を合わせた新しい提案というものも、墨田工務店ができる、となったらいいなと勝手に思いました。
●緑山
墨田工務店のある地区、草津市って人口流入の多い地域じゃないですか。そこで「かかりつけ工務店」と言われると、新しい草津市民が、入り込みにくそうな雰囲気、抵抗感があるような気がします。20年30年住んでおられる家を相手にしておられるのかな、というイメージを持っちゃって。
イメージの悪い住宅会社とかあるじゃないですか。クレームがめちゃくちゃ多いので、新市民がそういう住宅を買われてしまったら、墨田工務店が直してあげるよ、という、そういうかかりつけの人じゃなくても使えるよ、というところを出していくほうが、新しいマーケティングができるんじゃないかなと思いました。
●藤崎
墨田さんは、「かかりつけ」をずっとやりたいのかなあ、と、以前からお話を聞きながら、気になっていました。
人と向き合うスペース、人と関係性を保てるスペースに墨田さんの「こだわり」を感じますし、その「こだわり」が、これからの伸びしろだと思います。もしかしたら、その部分が「かかりつけ」からは外れていくんじゃないかと。
墨田さんは、「かかりつけ」にこだわっておられますか?
●墨田
かかりつけは好きなんです。患者さんという表現は変ですが、ずっとお客さんの方へ出向く往診ばかりしているので、やっと患者さんから来ていただける、気軽に立ち寄ってもらえる雰囲気にもできたので、これから、というところです。
●水島
菖蒲さんがおっしゃったペットの話で、同じことを思っていまして。
猫を飼っているのですが、迷ったあげく、キャットウォークを自分でつけようと、素材だけ買って、いざやってみたら、どうしようもなくなって、知り合いの工務店さんに頼んだら、サッとつけてもらえました。あれって意外と難しいんですよね。
●蒼天先生
5年先10年先の発想で何かありましたら。
●水島
ペットを飼っている方向けのサービスとかを、墨田さんなりにされてはどうかなと思っています。
●蒼天先生
僕は言いたいこと山ほどあるんですけれど。
まずね、さっき銀河さんが言ったこと。空き家が非常に増えてること。
うちの近所、私の散歩コースでも10軒ほどあります。古い家だけじゃなく新しい家も含めて。 中には両隣が空き家、そんな家も増えてきました。空き家の増加率がすごいんです。
工務店としての基本機能を考えた時に、先ほど緑山さんからも、新住民が近寄りがたいのではないか? という話があったけれども、はっきり言って墨田さんには規模を大きくしてほしい。 なぜなら「街」単位で考えてほしいから。マンション生活の新住民は別として、一戸建て住宅でシェア100%になってほしい、と感じました。
シェア100%とはどういうことか。
古い家に住んでいる人は結構います。空き家はこれから等比級数的に増えてくると思います。そういう人たちも含めて面倒を見てあげるというか、そういう大きな視点が必要じゃないかなという気がしました。
それでね、5年先10年先ですが、議事録から、面白いキーワードが出てきました。「お地蔵さん」です。ものすごく気に入っています。墨田さんにぴったりです。
そこで、僕は5年後くらいに、社名変更されてはどうかな、と提案したい。「株式会社地蔵尊」はどうですか?
それから、草津市内における一戸建住宅のシェア100%について。
草津市内に「墨田コンチェルン」を作ってほしいんです。市内の工務店では、これからどんどん淘汰が始まるでしょう。そこで働いている優秀な方を、どんどん藤田さんのところで雇う。人が良くて技術のいい人。そういう意識を持って情報を集めていたら、出会いはあると思います。そういう人が失業してくる可能性もあるでしょうし。そういう人も吸収してあげる、それを墨田さんの任務のひとつに加えて欲しいなと思う。
10年後ぐらいには、「株式会社地蔵尊」にして「墨田コンチェルン」を作る。それぐらいの気概でやってほしいですね。新築を建てるだけじゃなくって、空き家の面倒もみる。不動産屋さんは、家の再販はやってくれるけれども、空き家は面倒見てくれません。
空き家のままでも近隣に迷惑ですし、解体するのも大変だし、迷惑をかける。そういうところの視点も含めて、これからの工務店というのは、街全体を考えながら、仕事を作っていくことが必要ではないでしょうか。
そういう野心と言うか野望を持ってほしい。議事録を読んでいて、「かかりつけ」の次に何が来るのかなと考えたとき、それだなと思いました。
だから今は「かかりつけ」として、いっぱい顔を売って、熱い人間関係のパイプをいっぱい作る。それから優秀な大工さんとか職人さん、優秀で真面目で事熱心な人、そんな人の受け皿になる。
10年ぐらいのスパンで考えたら、できるんじゃないかな。そんなことを考えている工務店なんてないと思うから。
墨田さんそれをやろうよ。ひとつの提案ですが、1度考えてみてください。
●菖蒲
先生、いいと思います。「地蔵尊」、最後「ん」がついているから、運がついていいと思う(笑)。
昔、ある百貨店の社長とお話したときに、「店づくりは、まちづくり」とおっしゃったんです。その言葉に感動して、百貨店をそういう位置づけで考えておられるのならば、何か力になりたいと思ったことを思い出しました。
まちづくりに関しては、逆からの発想で、「まちづくりは人づくり」みたいなことを言うんですよ。
今墨田さんが考えていらっしゃることが、小さなことの積み上げなんだとすると、それを広い視野で考えたらどうか、ということを先生がおっしゃったのかなと。
今、身近な周囲にどういう問題が起きているのかを知り、考え、それを解決するために、自分の持っている力が役に立つことが喜びに繋がる、そういうふうになっていくと、循環していくと思いました。
10年くらい前から、リノベーションは流行しています。リノベーションは、まちづくりに直結していくんですよ。それは空き家問題の解決とか、あるいは古いビルの改修とか、要するに現代に蘇らせる手法としてリノベーションの手法が使われるんですけれど、リノベーション無くして再生はないので、 たぶんそういうところに関わっていくには質の良い不動産屋さんと組むことが大事だと思います。本も出ていますがブルースタジオとか R 不動産。清水さんという人ですね。その辺のところも目についたらお読みになったらいいと思うし、 ヒントになるんじゃないかなと。具体的な手法とか考え方とか参考になるんじゃないかなと思うので是非是非注意して見ていただけたらと思います。是非質の良い不動産屋さんと。
●墨田
今、先生と菖蒲さんのお話を聞いていて、最初は「えっ⁉」と思いましたが、少し面白そうだなと思いました。
●蒼天先生
不動産屋は後からでいい。
まずは人材を集める。そして、墨田さんのところが、解体その他全部をやっていけるような体制を、どうやって会社が作り上げていくか、それが優先だと思う。
そうやって、墨田工務店が、街全体をよくしていくための機能を果たせたら、10年後、墨田工務店が草津のシェア100%もあり得る。
構造を変えていくには、最低でも5年はかかる。目先の人と親しくなること、人と向き合うことは基本だけれど、ひとつの目標として、そういう方向に向かうことも考えてみてはどうでしょうか。突飛な提案をして、驚かせてしまいましたが。
基本はあなたの人柄。あなただからこそ、こういう提案をしてみたんです。
●墨田
みなさんいろいろアドバイスありがとうございました。
●緑山
5年後10年後、というよりも。
今年短冊で「守破離 離の実践」という所信表明を皆さんにお話させていただいて、今までのスタイルをお褒めいただいて、やっとまともなことが言えたかなと思っているんです。
実際、そんなすぐに変わるもんじゃなくて。
長く仕事を続けていきたいので、5年後、10年後にできていればいいな、と考えています。
ここ1年、ここ数ヶ月、先週、今日、その単位でやっていたことを考えると、3割4割、下手すれば5割くらい、保険のビジネス以外のことをやっているなあ、そういうことが増えてきたなあ、という実感があります。
例えば、お客さんの家の解体業者を探してきて、一緒に現場を見に行ったりとか、事業復活支援金などの申請手続きをサポートしてあげたりとか、贈与税の申告を税理士さんなしでやりたいという方のお手伝いをしたり。
また、以前セブンコンサルティングのお話をした時に、一部上場企業の社長さんが社員になってくれるかもしれない、という話をしたことがあるんですが、実際に今年から、顧問という立場になってくださいました。その方の名刺を100枚刷ったら、すぐに半分ぐらい捌いてくださって、実際にいくつかのクライアントさんを既にセッティングしてくださったりしています。
「守破離の離」はいつからやっていたのかわかりませんが、3年後か5年後かわかりませんが、「保険屋じゃない保険屋」という形で長く続けていけそうな気配は感じてまいりました。
●藤崎
私もゆくゆくはコンサルティングの方向へ行くだろうな、と思いながら、緑山さんが、保険からコンサルティングという新しい道を進まれるお話をお聞きしました。
緑山さんが目指すのは、会社がどうなるか? ということか、緑山さん自身がどうなるか? ということか、どちらをイメージするのでしょうか?
●緑山
個人ですね。
あくまで税務申告は個人になるんですね。会社を作ったけれども、実際にそっちに売り上げが流れるシステムにはなっていないので。会社という形を作っているだけかもしれないですね。
40代の若い人を会社に入れているのでその人がうまくやっていってくれるという期待を込めていますけれども。
●藤崎
組織でコンサルティングという形には行かないんですか。
●緑山
会社案内も株式会社セブンコンサルティングという形で作ってはあるんです。その中の一つのコンテンツとして、生命保険事業がある、という形ですが、ただ、実際に収入になってるのはその生命保険事業の部分だけなので、コンサルフィーというのを取っている部分もあるんですけれども、月額数万円とか、それは実際に月次をちゃんとやっていった人がもらっているという感じです。私は保険のフィーしかもらっていないというところです。
なので会社としては資産も売り上げも増えていかない。
●墨田
緑山さん流だな、と思うので、5年先10年先、想像のできない発展がありそうだなとしか思えないし、楽しみだなという期待だけを感じさせていただきました。それと、若いなと思いました。
●桜庭
一緒に働いておられる方ってどういう方なのか教えて頂いていいですか。
●緑山
年齢でいえば私が63歳、1番上の人で66歳、1番若い人で43歳、ほとんどが元ソニー生命の社員ばっかり。ソニー生命の商品だけを売っていてはお客さんに満足していただけないと自らも感じているし、私からも話して集まってきた人間ばかりです。
●桜庭
この数年間でその人数になったんですか。
●緑山
4年で9人になりました。
みんなベストプランコムという会社に所属しているんです。その9人の内の4人プラス社外の方1人でセブンコンサルティングを作りました。 この4人は7年ぐらい前から一緒に財務の勉強会にずっと出ていたメンバーなんですね。なので財務コンサルはその4人でやり、保険は9人でやる、そんな形です。
●桜庭
いつも緑山さんのお話を聞いてると、サイドストーリーが面白すぎて(笑)、本業は何をされているのか今ひとつよく分かってなかったので。
●緑山
実態は、120人の株式会社の京都支社の支社長と、セブンコンサルティングの経営者というふたつのことをやっている、ということです。
●銀河
私の年代とか、もっと下の年代の人とか、自分も含め、周りには保険弱者が多いです。部分的に保険屋さんから聞いて「なんか入っておかないと」とか「みんな入ってはるから入っておかないと」とか、そういう感じで入って、興味がなさすぎて、使うときに、初めてありがたみを知る、という程度で。
そういう私たち保険弱者に救いの手が欲しいなと思いました。
●緑山
学資保険の満期で300万円もらえたけれど、実際払っていたのは330万円。そんな人いっぱいいるんですよ。そういう嘘をつく保険会社があるから、我々のビジネスがあるんです。
お客さんのところに行って、現在ご加入中の保険を全部見せてもらうんです。
今現在こうなってますよ、ということをお伝えして、これよりも安くて良い内容ができるとか、もっと望みにかなったものができますよっていうときは提案を持っていく。
これめちゃくちゃお宝保険じゃないですか、止めたら駄目ですよ、というときは、それだけで帰ってくる。
提案が作れるというときは、絶対に今より良いものができるというときで、封筒に入れたまま決めてもらっても大丈夫というようなものを作ります。
●銀河
ありがとうございます。
●黄金
保険ってあんまり差がないんじゃないか、って自分に言い聞かせて入っているんですけど。ベーシックな話で申し訳ないですけれど、やっぱり違うんですね?
●緑山
おそらく、ひとりの人が、月2万円払って最後にもらう金額はいくらか、と考えたとき、受け取る額は1000万円、2000万円単位で違ってきます。
A社の保険が月3万円するものが B 社では1万5千円で入れますよ、というのは、今、当たり前にあるので。
知らない人が損する世界なんです。知ってる人が得する世界なんです。例えば工務店に頼んで、お客さんは原木の値段なんてわからないじゃないですか。A社はこの柱1本10万円、B社は1本3万円、同じところでとれた木なのに。それぐらいの違いはあると思います。
●黄金
退職金制度とかを全部作り直していて、よく保険を活用するとか言うけれども、誰に相談していいか分からなくて。緑山さんに相談したらいいの?
●緑山
喜んで(笑)。
例えば中退共ってあるじゃないですか。中退共の利回りなんて今0.5パーセントとかそんなもんなんですよ。実際に同じように退職金の積立で、10%以上まわるよ、というのもあるんです。どっちが会社や従業員さんにとってメリットがあるかということになってくると思います。
●黄金
ありがとうございます。
●蒼天先生
緑山さん、もうちょっと上手な商売しましょうか(笑)。
緑山さんは、人間関係がすごく多くて、それぞれの人に合った貢献をされている。
例えば、緑山さんが持っておられる人間関係が1,000人いるとしたら、その1,000人は、緑山さんから得られたさまざまなメリットを共有できる。そのピラミッドの頂点に緑山さんがいる。
さっき、顧問になられた方のお話を聞いて、ピンときたのですが、「緑山ポンド」つまり「緑山の池」を作るんです。
1,000人の顧客を、その池の中で、泳がせましょうよ。いっぱい話をしながら、一緒に泳ぐんですよ。顧客同士にも、話をさせる。顧客同士が話をすると、その情報が緑山さんの耳に入ってくる。良いことも悪いことも。全部緑山さんに、情報として入ってくるんですよ。
新しい顧問の方が名刺をたくさん配って紹介してくれるのも良いのですが、顧客同士がお互いに、さっき言われた、知らない者は損、知ってる者だけが得をする世界だという話から、
よりよい保険に切り替えるという形で、情報とコミュニケーションをどんどん広げていく。
それをコントロールするのが緑山さんだという、そんなビジネスをイメージしたのですが。
●緑山
SNS の活用も考えないといけないなと思ってはいたんですけど。
●蒼天先生
3年以内ぐらいに考えられると思いますよ。
●緑山
実際にちょっともったいないなと。このお客さんとこのお客さんが繋がった時には良いビジネスになっているな、ということが過去にはあったので。ビジネスマッチングみたいな。
●蒼天先生
マッチングと言っても、緑山さんがマッチングさせてはいけない。当事者同士がマッチングできるような形がいい。
●緑山
私が間に入ると怪しくなる(笑)、
●蒼天先生
だから池の中に全部放り込んで、みんなで話し合って、「これは緑山さんに内緒にしておこう」そんなこともありにしてね。
●緑山
それ、いいですね。
●蒼天先生
緑山さんの池が、1,000人、1,500人、2,000人、と増えていったら。
「我々は、こういうカタチでお金の心配をしなくていいけど、それを支えてくれているのは緑山さんだ」「緑山さんのおかげだ」そういうことになってくる。
例えば、個人に対しては、年齢ごとのお金のライフプランのようなものを、情報として、時々池に放り込んであげる。
得体の知れない緑山さんだから、そういうことができるんじゃないかな? 社員さんにも、その池に入ってもらってね。水島くんだったら、SNSも教えてくれるだろうし、そのうち緑山の池に入ってくるかもしれないし。
それから、保険というのは、保険料だけの問題じゃなくて、安心料という側面がある。僕にとっては、保険料が高いとか安いとかいうことではなくて、緑山さんという人を信頼しているから、緑山さんにご提案いただいたものは100%信じているだけの話ですよ。あなたはそれができる人だから、面白いんじゃないですか。
●菖蒲
先生のおっしゃった「緑山の池」、イメージができました。
会社の運営とかっていう組織の話は、私の場合も形のあるような無いようなものなので、本質的に自分の技術以外のことの方が多いというのは私と似ているような気がします。池の方がイメージが膨らみますね。楽しそうですね。さすが先生だなと思いました。
●蒼天先生
緑山さんは、人間関係をいっぱい持っておられると思います。数においては、断トツで1番多いんじゃないでしょうか。
●緑山
深さがね、それぞれ違いますけどね。
●蒼天先生
それでいいんですよ。人間関係って深さがばらついている方が面白いですよ。みんな同じ深さで、同じような人だったら、面白くないですから。 中には、池に入ったけれど恨んでる人があってもいいんですよ。それをおおらかな心でコントロールしていったらいいんじゃないですか。
●水島
池、めっちゃいいなと思います。僕も飛び込ませていただきます(笑)。
生き生きされている表情が、ずっと楽しそうにされているのがいいのかなと。やらされているとかいう感じではなくて、自ら楽しんでやっておられることが伝わってくるのでめっちゃいいと思います。
●蒼天先生
では、「緑山の池」に期待しております。よろしくお願いします。
●蒼天先生
まず一言何か。
●銀河
伴虚無蔵(ばん きょむぞう)さんですよね。NHK朝ドラ「カムカムエブリバディ」映画村の斬られ役の方のセリフです。「日々鍛錬せよ。日々鍛錬し、いつ来るともしれない機会に備えよ」
今、自分はそういう時期なので、5年後、10年後、そこには全く具体的な自分の姿を描けていません。ただただ日々鍛錬しようとしている感じです。
現状をお話させていただいて、皆さんがどう思われるのか、という感想をお聞きしたいし、相談したい、という心境です。
自分が本当にバラバラで、まとまりがない、今の状況を、ちょっと聞いてもらってよいでしょうか。
仕事のこと。
ここ最近、予約販売が多くなってきました。このまま、予約制のパン屋にしてしまおうかな、という甘えた気持ちになることもあります。でも、今までずっと地域に根ざしてやってきたので、それは違うかな、という気持ちもある。どちらも充実させようと思うと、やっぱり昔のように、人を雇う、ということになる。それはどうだろうか。
自分は誰かを雇って経営者になるよりも、ひとりでパンを究めていきたい、という気持ちと、それはやっぱり自己満足に過ぎず、誰かの役に立ちたいと思うなら、スタッフを増やしてたくさん焼けるようにしないといけないかな、という気持ち。
結局昔から悩んでいることにまた戻っている、そこから抜け出せていないということです。
「書く」ことについて
日々鍛錬なので、書いています。
頭に出てくるものを全部書く。日記に毛が生えた感じ。「オチのついた日記」という感じ。
生け花でいうと、自然に生えている花の姿を、花器の上で、人工的に組み立て直して、もう一度、自然の姿を再現するイメージ。
「自然を切り取って、文章にして、もう一度自然を表現する」といえばいいでしょうか。
今のところ、そういうことが楽しいというか、しっくりくるので、これがこの先どうなるのかとか、考えずにやっている。カタチになるのかならないのか、飽きてくるのか、それもわかりません。
私生活では、子どもが全員出て行って、下宿生だけになりました。
日常に余裕ができて、自分のことをしっかり考えてやっていこうとしています。するとこんなバラバラな感じ、ふわふわとした感じになって、そういう日々を送っています。
●水島
自由にされるのが1番いいんじゃないでしょうか?
やりたいことをやる。別に我慢して、地域のために貢献しないといけない、思わなくてもいいと思います。やりたいことをやっていたら、それが結果的に地域貢献になるんじゃないでしょうか? お題目というか「地域貢献!」みたいなことを考え過ぎると、すごいしんどくなりそうですし、自分のやりたいことと、どんどん乖離していきそうな気がする。
自分はパンが作りたい、それで喜んでもらう、というのが第一のポイントとしてあって、それを求める人の輪が、だんだん広がっていけばいいなーぐらいでもいいんじゃないかなと思いました。
なのでさっきの桜庭さんじゃないですけれども、やりたいと思った事やればいいんじゃないかなと思いました。
●銀河
ありがとうございます。
●墨田
「予約制にしたらどうなんかな」ということですが、僕は大賛成というか、いいんじゃないかと思います。地域の人であっても、欲しい人は、先に言ってね、というのは、アリだと思います。あまりにも予約が多すぎて、人を雇わないと回らない、ということになったら、それはそのときに考えないといけないのかな、と思うんですけど。数を限定するのもいいかもしれないと思いました。
●銀河
ありがとうございます。
●黄金
銀河さんも桜庭さんに似ているところがあって、自分のことは置いておいて、周りのことをまず考える、そんな姿勢があると思う。それは悪いことじゃないんだけどね。
地域のためにとか、地域の役に立ちたい、それは分かるし、世の中の役に立ちたいというのは、全てのビジネスの原点ではあるんだけど、一生懸命頑張る人は、それが主になっちゃって、自分の楽しみとか、自分のことを後回しにしちゃう。
そうすると、だんだん、自分を見失って、こんなはずじゃなかったのになあ、となる。
楽しく仕事をする、楽しめるうちがひとつの基準だと思ってて、それが誰かのために、ってなっちゃった瞬間に、楽しみが消えていってしまう。誰かのためになっていることは、楽しい、ということかもわかんないけど、そこで自分を見失ってしまう。何のためにこれをやっているんだろう、そういうことがあると思う。
こっちの人の期待にも、あっちの人の期待にも応えたい、結局そうなってくると、殺すのは自分だけ。
自分さえ頑張ったらいい、となると、それは不幸だ、と思う。
その辺がね、銀河さん見てるとすごく思うよね。だから葛藤もあると思う。これからもずっと悩み続けるんやろうなって思う。ずっとどうしようかな、どうしようかな、って最終的には、悩んでることすら楽しいと思えるようになってほしいなと、逆に思うかな。
ところで質問なんやけど、一人前のパン屋さんになるにはどれだけの時間がかかるんですか?
●銀河
わかんないです。人それぞれですし、自分で自分を一人前だと思うことは多分ない感じなんで。でも自分は一人前だ、と思ってはる方もいらっしゃるから、それぞれかなと思います。
●黄金
なんか俺ん中にちょっと憧れるところがあるんだよね(笑)。
●銀河
ひとりで何も考えずに、黙々と作ることは、めっちゃ楽しいですね。
自分ひとりでできることは知れていて、でもそれで喜んでくれる人がいてくれたらそれでいい、と思っていたときもありました。
「楽しい」と思える限界を超えると、「苦しい」に変わる。
その境界線を超えないように、ここ数年は頑張って来ました。で、それでほんとにいいの?という疑問がまた湧いてきて、うーん、第二波というのでしょうか。「私はこれでいいのか?」という葛藤がありますね。境界線を越えずして、もうちょっといきたいな、いけへんかな、という。
●黄金
奥深いね 。
●藤崎
さっきあった「予約制にしようかな」っていう話、そして今のお話を聞いていて感じたんですが、もっと誰かの役に立ちたいって思ってるのかな?
●銀河
そうかもしれないです。
●藤崎
もっともっと多くの人に役に立っている自分でありたい?
●銀河
そうかもしれないです。
●藤崎
自分ひとりで自己満足してるんじゃなくて、それも楽しいんだけれど、でも、もっともっと人の役に立つことが自分のやりがいになるって思い始めてる?
●銀河
かもしれないです ・・・・・・。
●藤崎
「予約制」でやるということに、僕もなるほどって思ったんですけれども、でも多分それはそれで、予約に振り回されると思うんですけどね。みんなの希望を叶えてあげたいと思うと、よりいっそう。
●銀河
予約を受けて、順番に焼いていく、というイメージですけどね
●藤崎
どんどんどんどん順番に焼いていっても、いつかは自分の限界っていうところが出てくるんで、そうすると僕なんか短絡的に自分がもうちょっと楽になるためには、いろんな人たちがいて、一緒に作っていってくれないとダメかなと思うんですけれど。
そういう方向に進んでいく感覚はあるんですか?
●銀河
そこはなんかね、昔の私よりは、ちょっとは成長しているから、 今だったら、誰かを雇って一緒に仕事をする、ということができるかな、という気持ちも若干あったりします。
その辺が、なんともモヤッとしているというか、ふわふわとしているというか、自分の心の中にも、答えがない、そんな感じなんです。
●蒼天先生
一言よろしいか?
僕、銀河さんは、自分の時間を他人に拘束されたらいけないタイプだと思うんですよ。人を雇うということは、人に拘束されるということです。勤務時間をしっかり決めていったとしても、拘束される。
自由に、自分の時間を100%自分の思うとおりに、自由奔放に振る舞える環境にいたほうが、あなたは実力を発揮できるんじゃないかと思うね。もちろん、「いつまでに何をやる」という目標は必要だけれども。
だから僕は、人を雇うのは反対です。予約制も反対です。
なぜならついつい受けてしまうから。特に近くの人、顔見知りの人だったら、断りにくいし、ついつい受けてしまう。そしてオーバーワークになってしまう。
今、週3日制でしょ。それは絶対堅持する。守り続ける。他の曜日は、自分の好きなように使う。そういう自分のルールを自分で作るんです。人に制約されずにね。僕はそれが基本の基だと思う。
営業する3日間は、その日の気分で自分が焼きたい、と思ったパンを焼きたいだけ焼く。自分がやりたいとおりにやればいいと僕は思います。
パンを焼くのがいくら好きだとしてもそれは、時間に縛られる、時間に縛られるということは、ストレスも伴っている。
それで、今のところ、作ったパンは全部完売でしょ。
予約制はダメ。都会のど真ん中にいるんだったらその方がいいけれども、京北ではやっぱり辞めた方がいいと思う。
大好きなパンを自由に作って、大好きな書くことも、自由に書く。
あとは、何年後にどのレベルに持っていくか、ということね。その目標をきちっと立てるべきやと思うな。
細かく考えなくてもいい。難しく。
5年後、わかりやすく言えば、ラフな、今考えられる範囲での目標でいいと思う。僕は5年以内には、作家デビューしてほしいと思うね。
ある程度目標を持ってないと、ずるずる行ってしまうんです。で、5年くらい以内に作家デビューしながら、好きなパンを焼いてると。そして10年後はまた、後から言います。僕はもう、イメージできてるから。
●桜庭
黄金さんがドストライクで言ってくださって、ものすごく刺さってるんですけれども。銀河さんと全然違ってたらすみません。私も銀河さんも、もしかしたら、自分の生活のためにとか、家族を養うために働く必要がないですよね。なんとなくこういう恵まれた環境の中で仕事をさせてもらっている。だからちょっと辛いことでも、自分が引き受けないといけない、と勝手に思い込んでいるんでしょうね。きっとそれが、他の人から見たらありありと分かる。きっと私はそうなんですよね。
例えば、去年1年間行った事業では、私には一銭も入ってこないんですね。じゃあ、なんでそれを受けたかというと、通訳さん、地域の方、職人さんにお金を送らないといけないじゃないですか。
みんなコロナで苦しんでいて、みんな大学生の子供がいて、私学に行かせて、とか聞いてたら胸も痛いし、私が注文キャンセルせざるを得なかったせいで、私のせいじゃないんですけれども、それで私は全然生活できるし、皆さんに比べたらそういう悩みがないので、負ってしまうんですよね。苦しいこともやらなきゃいけない、と思った。
ズバッと言われるとその通りで、銀河さんの状況は分からないですけれども、今の働き方されてるの見てたら別にこれで家族を養ってるわけじゃない、というのはあると思うんですよね。そうすると、この状況の中で、いかに周りの人に幸せなことを提供できるのかな、と考えてしまう。そうなると、自分がちょっと頑張ればっていうところがあるのもすごくよく分かる気がするのです。
私からすると、銀河さんって、地域のお母さんみたいなイメージなんですよね。
墨田さんが草津のお地蔵さんなら、銀河さんってほんとに京北のお母さんみたいな感じがするんですよね。
地域の皆さんが、田中店のパンを食べたら元気になる、エネルギーをもらう、っていうイメージを持っているから、毎日食べたいわ、という気持ちで求めてくださっていると思う。
昔、遠矢さんが、「宗教の教祖様みたい」と言われていたことがあったかと思うのですが、銀河さんにも、そんなイメージがあるんですよね。ちょっと何か困ったときに、救いを求めに来たり。
パンを通じて、語らずともパンに語らせる要素があったり、または相談しに来たりとかそういうことができる人かなと思うので、私としては、京北のお母さんを目指して、もうすでにそういう存在になってると思うんですけれども、だから無理のないように、長く続けられるスタイルを見つけていかれたら、すごくいいのかなと思います 。
●銀河
ありがとうございます。
無意識のうちに、桜庭さんが言ってくださったような、「自分が頑張ればいい」という発想で動いてしまっているのかも知れないと思います。
次男が高校卒業間際に、「自立とは、心から他者に頼ることができること。そして頼られること」と学校で教わってきました。本当にそのとおりだなあと思いますし、今の自分にこの言葉が刺さるということは、きっと、そうできていないからなのだろうなと思います。それ以来、そのことを意識のどこかにおきながら、暮らすようにしています。その姿勢でいることが、「自分さえ頑張れば」という、自分にこびりついた観念を和らげていけるヒントになるかな、と思っています。
●水島
気まぐれパン屋みたいな感じで、作るものも値段も、その日の気分次第。今日これ作ったし300円でこれ売ります、とか、ここに来たら、なんかおもしろいパンがあるぞ、みたいな、そういう面白い店でもいいかなと思いました。
あとは、パンにエッセイを一緒につけて売る。「最近私が考えていること」みたいな感じで、おまけみたいにつけてあげるとか。
パンを焼かない4日間でエッセイを書いておいて、3日間でそれを売ると。
そのエッセイがたまっていって、自動的に本になる。そしたら無駄がないかな、という気がしますけど、どうでしょうか ?
パン屋は語る、みたいなことでいかがかな、と思いました 。
●緑山
僕はいつになったら、田中店のパンが食べられるのでしょうか?
高級生食パンは、日本中に同じ味のお店があるのに、田中店のパンは、ウッディ京北か、サンダイコーに行かないと買えないという。
いつも Facebook とかInstagramを見てて、うわーうまそうやなと思う。調理パン送ってくれと言ったら無理かもしれないけど、何か食べる方法を5年後にはできていて欲しいですね。全国チェーンじゃなくていいんで、作ってる人の顔が見えるパンというのが嬉しいじゃないですか。買う側にしても。だから食べれるようにしてください。お願いします。
●銀河
ありがとうございます 。
●菖蒲
銀河さんの所は、週何回営業とかっていうのはありますか?
●銀河
週3日、土日月が営業日です。
●菖蒲
そうですよね。そこは毎日焼いてるパン屋さんよりは楽というか、ある程度自分のペースに合わせて今営業されているんですよね。
私たちが食べたいっていうことを考えると、宅配して欲しい。宅配するためには急速冷凍機が必要、そんな現実的なこと思ってしまうんですけれども。私のお客さん2箇所が急速冷凍機を導入されたのですが、お弁当の宅配もできるようになって、そういう方法もあるな、と今ふと思いました。
まあそれはさておき、さっきの「カムカムエブリバディ」の虚無蔵さんの名言。
私もね、あの人はすごいな、あの人がすごいんじゃなくて、脚本がすごいんだけど、
「日々鍛錬し、いつ来るともわからぬ機会に備えよ」「日々鍛錬し」っていうところもなんかすごく印象深いんですけれども、私ね、忘れられなくて、メモしてるのが、「日々鍛錬し、身につけたものは、そなたのもの。一生の宝となるもの。されどその宝は、分かち与えるほどに、輝きが増すものと心得よ」と言い放って去っていく、あの虚無蔵の姿が、かっこええなあと思って。
今やっていること、パンの味も、パンも、それは銀河さんにしかできないこと。それを大事にすればいいと思うんだけれども、たぶん揺れると思うんですよ。
色んなこと、現実に起こる日々の中で、で、元々はやっぱりお役所に勤めてたっていう、パブリックの「公」のところでみんなのために、が前提の場所で働いてて、そして、今の仕事がやってるというところでは、やっぱり、大きいところから、自分っていうものに立ち戻って、でも、やりながらも、広くものを見ようとするところから、その、迷いとか、いろんな感情が生まれると思うんですけれども、でもそれはそれでいいんだと思います。揺れると思います。
でも、銀河さんが、銀河さんをそのままやり続ければいいと思うな、と今お聞きしながら思ってました。だから、書くことも、是非、やってほしいし、大変かもしれへんけど、やり続けてほしいな、って思った次第です。輝きが増しますように。
●銀河
ありがとうございます。
勇気をいただきました。揺れてもいい、私はそのままでいい、そういうお言葉に、勇気をいただきます。
●蒼天先生
ひとつ質問があるんですが。仏教はどうなったんでしょうか?
●銀河
仏教は、いい感じで、勉強してます。
「COTEN RADIO」っていうラジオ番組があって、ラジオで、歴史の講義を聴く、トークセッション形式の番組があって、仏教についても、何度かにわたって放送がありました。耳で聞いて、お釈迦様のことを勉強するって、ものすごくよくて、前よりも、もっともっとお釈迦様のことば、(初期仏教のころの)を聴くっていうのは、やっぱり、しみるというのか、改めて、ラジオで勉強している感じです。
●蒼天先生
白隠禅師(はくいんぜんじ)って知ってる?
●銀河
わかりません!
●蒼天先生
白隠禅師の「坐禅和讃」。月参りにきた和尚さんがね、お経のなかで必ず最後の方にそれをあげてくれるのよ。うろ覚えで後ろできいてて、すごくいいんやわ。すごく心にのこる、突き刺さるものがあって、突き刺さるだけじゃなくて、なんかそれを聞いてると、心の余裕みたいなものができて、なんともいえん、いい気分になるんで、
最近ね、その短い坐禅和讃、毎日仕事始める前に、音読っていうか、朗読することにしたんよ。やりかけて、20日くらいになるんやけどね、すごくね、体にしみるんやわ。知らんからしみるんかもしれん。仏教そのもののことは知らんけれども、心に訴えかけるものがあるんやわ、ものすごく。
で、仏教そのもののこと、原点が、和讃に読まれているんやと思うけどね。一回それをみたらどうかなと思う。
●銀河
わかりました。
ありがとうございます。読んでみます。
●蒼天先生
僕、今日は仏教の話が聞かせてもらいたかったんです。
僕はあなたの未来はすぐに分かるんや。ものすごくはっきりしてるんや。迷いがないから。
●銀河
教えていただいていいでしょうか?
●蒼天先生
5年後は、さっき言ったように、作家デビューと、パン屋。田中店週3日。これは絶対堅持で。
10年後や。あなたは2足のわらじがいいと思う。10年後は何かというと、作家と、一流の作家と、○○寺のね、庵主さんになってほしい。
●銀河
新しい案ですね!
頭丸める、ってことですね?
●蒼天先生
尼さんに僕はお茶をずっと習ってたから、だから、ずっとお付き合いがあって、今も年に1回はご挨拶に行くけれどもね、すごくいいんやわ。
是非なって欲しいと思うし、なれるかなれへんかは別として、ひとつの目標としてね、柱に立てておいてほしいし、そうなったらもう、パン屋やめとき。
体力もいるし、10年後はパン屋をやめて、庵主さんと、それから、寂聴さんみたいになるけど・・・
●銀河
それはあまりにも大きすぎ・・・
初めて高野山に行ったとき、あいているお寺もまあまああって、ここでパン焼きながらくらしたいな、とかは思いましたけど(笑)。
●蒼天先生
パンは焼かなくていい。その時間は、仏教の時間に充てたほうがいいと思う。
僕がお茶を習っていたところは、秀吉が北野の大茶会したときにすでにあったお寺。すごい古いお寺なんやけれども、ついに今、跡取りがないんやわ。今ものすごく悩んでおられるんだけれどもね。
今日言って明日から、というわけにもいかないしね。そういう、高野山のお寺が空いてるのと一緒でね、空き家と一緒かもしれないけれども、ものすごく歓迎されると思うし、その道を究めるということはね、すごいことだと思う。
僕が初めて習った先代、もう亡くなった人だけれども、1時間でも2時間でも、3時間でも、ふたりでおしゃべりしながら教えて頂いていました。ものすごく楽しい。奥が深いし、全くの門外漢に対しても、わかるようにちゃんと説明してくださる。その先生から、すごくいろんな知識を得たけれども。
そういう道も忘れないで欲しいな、と思ってね。パン屋はもう、あと10年でやめる。でいかがでしょうか。
●銀河
はい。わかりました。
●蒼天先生
ぜひそれも併せて考えてください。お寺はいっぱいあります。
今からね、佛教大学とか、花園大学で勉強したらいいんだし。
夢は大きく持とうよ。家庭のこととか色々あるからね。自分だけでは決められないけれども、夢は大きく持ったほうがいいと思う。
人の志というのは、他人は止められないと思うわ。やりたい、ほんとにやりたいと思っていたら、やめとけ、とは言えないよ。家族であっても。そういうものだと思いますが。
●銀河
ありがとうございます。
●蒼天先生
それもぜひぜひ考えてください。
●水島
来月ぐらい、リアルでできたらな、と思っていますが、また、コロナの状況で、またご連絡させていただきます。
●蒼天先生
リアルでやりたいですなあ。
●水島
なかなか難しいところで。次は5月12日、よろしくお願いします。