読むドラマ(議事録)

相手を知ることは、自分を知ること。
年齢も業種も異なる経営者たちが、月に一度つどう目的はただ一つ。
決して一人ではたどり着けない月面「本当の自分」に降り立つため。
これはそんな経営者たちのリアルなやり取りから生まれたドラマ(議事録)です。

 第131回 百年企業研究会内容

卓球台とかぼちゃは同じ

代表幹事の蒼天が、会議室のテーブル向かい側に目線をすえた。
「卓球台はどうなってます?」
テーブルの向かいで、黄倉が答える。
「いま、倉庫に入っています」
一瞬の間のあと、蒼天が続けて訊く。
「いつ出すの?」
「場所がないのでまだ……。11月からにしようと」
「だいぶ先やね」
蒼天が、相手を逃さない意志と質問を放つ。
「白石さんのコラムは読んだ? かぼちゃのコラム。感想は? なにか感じたはず」
黄倉が答える。
「それは……。日常の忙しいなかでも、そういう時間をつくって、いいなぁ、と」
「ぼくはね、黄倉さんにも白石さんと同じことをやってもらいたかった。そのために買ってもらった卓球台なはず。そのへんを理解できなかった?」
黄倉の声が、すこし小さくなる。
「よく似た部分もあると思うけど、僕の中では違う…」
「どこが違う?」
「どこが……? 卓球をやることで、すばらしいと思う…」
「どうすばらしい?」
蒼天が続ける。
「それを通してね、コミュニケーションとか、人の『違う部分』が引き出されると思わない? 想像もつかないことをやることで、もっと化学反応があるのでは、と思うんだが。
それがどんな化学反応か、もっと深堀りしてほしい。せっかく、30万もするのに」
蒼天が、まるで自分の懐が痛むようにぽつりと言う。

それから息をひとつ吐いて、周囲を見渡しさらに続けた。
「10年10倍ムーンショット計画について、みなさんに概要をお配りしました。『かぼちゃも卓球台も一緒』なんです。コラムを読んでほしい。
会社に来る人(ここでは顧客)が、「何あの畑、何作っているの?」と訊き、そこに、社員が「社長の畑です」と答え、顧客が「頭でも打ったの?」と返す。
ここで、『社員と顧客とのコミュニケーション』がうまれている。

それまで仕事に関するだけの、ごく限られたコミュニケーションが『かぼちゃ』によって変化した。仕事上のコミュニケーションを飛び越えたきっかけを、かぼちゃがもたらしてくれた。コミュニケーションができることは、「信頼関係ができること」。
そういうことなんです。

それと、もう一つ。
社長のかぼちゃのプレートを作って【 社長 ― 社員 】間で新しいコミュニケーションが生まれた。信頼関係が強化された。
また、社員間でも、新しいコミュニケーションが生まれた。
会社にかぼちゃ旋風が起こり、社員を一丸にしてくれた。

顧客の発言で「どこかで頭でも打ったの?」なんて、社長との関係性に親しみがなければ出てこないやりとりですよ。
社員からみても、【 社長 ― 顧客 】のつながりが「見えた」ことで安心感につながったはずです。
かぼちゃのプレートを作って、社長もうれしい。
話題も増えた。
旋風が巻き起こった。
たった6個のかぼちゃによって、新しい関係を構築できた。
そこにかぼちゃのもつ、大きな機能がある。

彼は大きく成長した。日記がそれにつながったと思います。
日記を書いて、翌朝「修正日記」まで書くようになって、彼は変わった。
【 社長 ― 社員 ― 顧客 】との「心のネットワーキングがうまれた」
こういう土壌がうまれていれば、クレームも発生しづらいだろう。
モノをつくればいい、サービスを提供すればいい、という話ではないんです」

場がしぃん、と静まり返る。

沈黙を静かに呼吸した蒼天は、さらに続ける。
「かぼちゃを、卓球台に置き換えてみてはどうや? 黄倉さんに欠けているものは何やと思う? あなたは弁がたちすぎる。
社長がなにか言い、社員がそうですね、と答える。完全にワンウェイになっている。しかし本人はそれに気づいていないだろう。
もし、卓球をとおしてコミュニケーションしていたら? 「お前、下手やな〜」と軽口たたいたり、なると思いませんか?

『卓球台の意味』をあなたは理解していなかった。だから、卓球台がまだ倉庫に眠っているのです。

あなたに欠けているのは、【社長 ― 社員】との関係。
最優先すべきは、【社長 ― 社員】とのコミュニケーション。
あえて優先順位をつけるなら、これが一番。
二番は社員と顧客。クレームがあると社長がでていけば、社員と顧客との関係もつくれない。だから、卓球台を置こう、と話したのだ。

立ち上がった蒼天は、ホワイトボードの前に進みペンを取った。

【原材料・製品・商品】と文字を書きつけてから、全員に向き直る。

「【製品】と【商品】の違いってわかります?
【製品】は基本機能を備えたもの。時計なら時を刻む。左脳でつくられたもの。
それにさまざまな付随機能をつける。
製品としての特徴を出す。これが【商品】である。
たとえばね、
「保険なんてどれも同じ」ではない。緑山さんのキャラクターや人柄で、【商品】となる。
桃井さんならただ薬を売るだけではない。患者さんのためになるような処方を考える。

これが10年10倍ムーンショット計画の「要」でもある。
10年10倍ムーンショット計画で大切なこと。
それは「枠からはみだし、自分のBig Magicを手に入れる」ことです。
物事の原型を作るのは「左脳」です。しかし、【商品】にするには「右脳」を使う。
これからのビジネスを決するのは、右脳です。

ちなみにね、大企業は別です。
いままでどおりで「よりよいものをより安く売る」でいけるのが大企業だ。
しかし、私たちは大企業と同じでは生き残れない。
独自の信頼関係をつくる。
商品のオリジナリティというよりは、人と人とのオリジナリティ。
左脳ではBig Magicは生まれない。右脳を鍛える必要があるんです。

はしごを登るように、コツコツ努力が反映されるのが左脳。
それに対して、右脳はコツコツしなくても伸びる。
大切なことは、右脳は、「左脳があるレベルに達しないと」働きません。
だから左脳も大切です。

たとえば、紫垣さんの書いているメルマガは「右脳」で書いているメルマガです。
あれは左脳では書けない文章。
「左脳で書いた文章」は読まれない。
しかし、右脳で書くとあっという間に書ける。読まれる。
ぼくの場合は、BGMをうるさく感じるときは左脳が働いている。心地よく感じるときは右脳が働いているときです。
そして、右脳が働いていると新しい発想、想像力がうまれてくる。
文章がスルスルうまれていくときも、右脳が優位になっています。
さっきの概要をもう一度、みてください。
「1/73」
これ、なんの数字と思います? 世界の人口です。
自分という人間は、73億人のなかで、たったひとりしかない。
この認識をもつべきだと思う。

自分にしかできない話、自分にしかできない生き方がある、という認識で、自分を磨いてほしい。
では、磨くとは? 
「自分の特性を発見すること」です。
右脳が反応する分野や、物事を見つけよう。
右脳を鍛える取り組みが「10年10倍ムーンショット計画」であり「Big Magic」を手に入れることです。
Big Magicは、ひとりひとり違います。

そして、たった一人では10倍の成長はできない。
だからOne for All、All for One なんです。

 

 枠からはみだせ! 

「忙しい・忙しい」って言ってたらあきまへん。

蒼天の隣の席で、紺野が「すんまへん」と笑う。
まわりの空気がふっとやわらぐ。

蒼天の視線が桃井にむけられる。
「忙しい忙しい言うてたらだめ。役職やめてて言うてるのに。日記書いてる?」
「…いえ」
「だからあきまへんのや」

桃井が手を挙げる。
「あの、質問いいですか。【商品】の先にあるものはなんでしょう?」
「それは一人ひとり違う」
蒼天が、ホワイトボードを背に説明する。
「顧客をより深く知ること。顧客の思いを汲み取ること。それができるような「環境」をつくること。それがかぼちゃであり、卓球台である。

商品の先にあるものは、「心と心のネットワーキング」これが、コミュニケーションから一歩ぬけでたもの、です。

「経営者」の枠組みを取り除いて「人」になる。
それが「10倍成長する」ってことです。

他の人が読めないことが読める。そこまでくれば安泰だと思う。
「顧客」と「企業」という関係を超えて「人と人」との関係がつながっているので、どこまでいっても安泰や」
蒼天が、ふぅ、と息をつく。それから顎をほんの少し上げ、すぅっと息を吸った。
「そのために必要な3つのルールがあります」

・2時間ルール
・日記の1時間
・学習の1時間

急がないけど大事なことです。
蒼天が、ふいと左を向いた。
「水島さん。日記、書いてる?」
「書いてますよ! 書きはじめました」
何も言わず見つめる蒼天に、
「っほんとですよ!」と水島。

そのやりとりに、どこか和やかな風が吹く。
蒼天は、一つ頷くと、水島の方から全員へ向き直って、言う。
「心のスペースが大切なんです。
【重要じゃないけど大事なこと】のための時間をつくること。
旧来の経営常識を、捨てましょう。
左脳ばかり使っていると、もちません」

 

桜庭さんからご報告 

ご無沙汰しています。
おかげさまで忙しくしていて、多忙すぎるようになって…
「来ないといけない」という脅迫観念が苦しくなって、お休みさせてもらいました。

『忙しい』にとらえられている今ではありますが、子どもが手を離れてきたので、ちょっと余裕がうまれてきました。
忙しいなかでも、きちんと子どもと向き合えた期間でもありました。
9月・10月からまた忙しくなるのですが、こうやって誰かと意見を交わすことがぜんぜんなかったので、あらためてこの例会の存在が、大事だなと気づけました。
こういうところで話したい!と、うずうずしていました。

「なんで忙しかったんですか?」
桜庭の向かいに座っていた藤崎の質問に、桜庭が返す。
「会計事務所と、子どもと、ツアーの仕事が盛況で多忙にしてました。
ツアーの仕事は特に、どこまでも手をかけられるので、いつまでも忙しくなり、やればやるほど忙しくなっていました。
さっき蒼天さんが言われた、「パーソナルな関係」を作ることは常に意識しています。
だから、口コミがふえている側面もあるのだと思います。
ガイドさんや、農家さんなど、提携先との関係も非常に良好です。
それぞれパーソナルな財産になっていると思います。

蒼天が尋ねる。
「忙しくなるって、コントロール出来ないの? 注文は断れないの? たとえば、一定の余裕をもって操業するというのは?」
桜庭が返す。
「やったことないことに挑戦するので、まずは全力でやりたいです。見極めや取捨選択はこれからです」
「いつするの?」
「だから今日来たんです」
「5年経って、やっとある程度コントロールできる状況になってきた?」
「そうですねぇ…うんとは言い難いんですけど、まだまだですが、ようやくすこしずつ」
蒼天が尋ねる。
「5年先にはこうなってる、とか、今後が見えるようになってきてる?」

そこで桜庭、遠くを眺めるような表情でしばし止まる。
「どうでしょう……」

ホワイトボードの前に立つ桜庭の、すぐ前の席で、黄倉が話し出した。
「あの。僕みたいになってほしくない。仕事がはいっていることに安心してほしくない、と思います。『予定がないことが辛い』という状態に、なってほしくない。突っ走ることが大事、休むのがあかん! となってくると、大変です。引き返すのも大変です。
…それは、ぼくも同じ経験をしたから。
土日も仕事してるのがあたりまえで、休みでも、心が休まらない。仕事依存症になってほしくない。いまやったら、修正できると思う」

「ちょっといいですか」
奥のテーブル席から、藤崎さんが手を挙げた。
「さっきの黄倉さんの話に関連して、なんですけど。
営業さんや社員さんなど実働部隊がいて、わりとルーチンなどで稼ぎにつながってるかと思うんですけど、ウチの場合は、全部プロジェクト単位で動いていて、それぞれ一個一個ぜんぜん違うかたちで集中していかないといけないんですね。
ビジネスを大きくしようと思ったら、ある程度人を増やしていかないと大きくならない、って変なことになっていっちゃう。
桜庭さんの仕事はルーチンというよりもどちらかというと、プロジェクト運営みたいな、一個一個ちがったかたちで、それぞれに力を入れていかないといけないのかなぁ、と想像してたんですけど。そのへんってどうですか?
ルーチン的に、ある程度機械的にやろうと思えばできるんですか?」

桜庭は自らの仕事を振り返るように天を仰ぎ、ていねいに答える。
「ツアーなので、行くこととやることは同じです。でもお客さんが毎回違うし、興味関心の内容も毎回違う。そこから個別にカスタマイズする、アジャストするっていうか。
ただ、必ず伝えたいことは同じなので、基本的には、ある程度はルーチンですね」

「じゃあ、そのへんは素人っていうか、それほどプロフェッショナルじゃなくても…」
「それはできないです」
藤崎の言葉の途中で、桜庭がきっぱりと返す。

「英語力も大事ですけど、やはり1人1人の人間力なんですね。
富裕層が多いし、すごい職業についていらっしゃる方も多いし。どうしてそういう人たちは富裕層になれるのか?って思って話を訊くんですが、びっくりするくらい『いい人』なんです。先進国からの方がほとんどですし。
農村地帯へお連れしたときに、どこの国でも同じ現象がおきているとか、限界集落の問題などの意識も高くて、ツアーの意義も評価されているんですね。
そういった会話に耐えられる思いや内容に合う人間性が必要なんです。
お客さんは、人を見ています。
だから、そういった要素がなければとてもじゃないけど、アテンドできない。
やることはルーチンだが、社会情勢や日本への理解などが深くないと務まらないんです」

桃井が、手を挙げる。
「いま桜庭さんが、少しひいて、別のスタッフでできるようになれますか?」
桜庭が答える。
「基本の現場は、私なんかいなくてもまわります。そんな中でも、これが、という想いを持ったお客さんは、長いメールをもらうので、アテンドしますね。
ただ営業事務は、私一人でやっているので、時間もかかって大変だけど、だれかに頼めないか考えています。もうすこしスマートにできるかな、って」

桃井「じゃあ、5年後のビジョンは…」
桜庭「まったくわからないです。生きてるかな?」
場に、小さな笑いが起きる。

朱田が桜庭へ声をかける。
「なんか…顔の感じが変わった? 前より穏やかになった感じがします。
前はすることのなかった、お子さんの話をされてるので、前よりは開いているのかなと感じます」
桜庭が微笑む。
「そうなんですね。たしかに、子どもとの時間も大切にしたいなと思ってます。
学童もあるけどあまり遅くまでだと良くないかなと思うので…
旅行で来るお客さんもファミリーで、ゆとりを感じるんですよね。そのゆとりが日本人には感じられないんです。
なぜあの人達は、余裕があるんだろう? お金だけの問題ではない?
時間の流れ方が違うんです。
それで、自分に余裕がないのはあかんな、と思って、今日ここにくることになったんです。
今できる範囲内でぼちぼちやろうと思ってるのが正直なところで。
やっぱり、子どもは子どものやりたいこと、夫は夫のやりたいことがあるので、家を基本にして仕事をしてると、限界はあります。だから許される範囲でやろうと思って。
私の中では今のところこれでいいのかな? 私はこれでいいのかな?って思います」

「あのう」水島が質問した。
「子どもが『かぼちゃ』にならないですかね?」

??? 桜庭が体を傾け、きょとんとする。
「あ、わかんないですか」
水島が笑って、言葉を継ぎ足した。
「いや、あのう。かぼちゃに手をかけて新たななにかが生まれるように、おもいきり子どもにかまってみる、ってのは?と」
桜庭が答える。
「そうそう、それはほんとにそうで。ツアーでファミリーの仕事をしていると、感じます。子どもと関わることで新しい視点というのは培われますね。
でもバランスが難しいです。
基本的にせまいところで、ひとりで仕事をしていると視野がひろがらなくて、危機感を感じます。だから今日きました」

ここで、蒼天が口を開いた。
「日記を書いたらどうや? 30分でいいから。
一日をじっくり振り返るんや。交通整理して、こうすべきが見えてくる。基本は自分の生活をすべて記録に残す。
そこには自分の考え方が現れる。その考え方が次の考え方につながる。その日のことはその日の内に書かないと忘れてしまう。常にメモできるものを携帯して、はっと気づいたらメモし、日記に書く。
今あなたに必要なのは、日記やと思う。
それをしないから先送りしつづける生活になるんや。
一時間がむずかしいなら、30分でもいい。
最近の白石さんが、めざましく変わったんです。柔軟になって、成長した。朝早く起きて「修正日記」も書いている。
これを1年、2年とつづけていくと、さらに変わる。
ぼくはね、人を見たら「日記書け書け」と言い続けてるけど、たかが日記と思わないほうがいい」

桜庭「勉強はしてます」
蒼天「勉強より、日記のほうが大事や」
「うーん…誰ともしゃべらない日もあるんですけど……」
「かまへんやないか。それはぼくもや」
「うーん。インプットしないと、話せないと思うんです。話さないとどんどん話せなくなる。だから今日もここに来たんです」
「だーかーら、来たらええがな、ここに」
一同、どっと笑う。

「そうなんですけどね。誰かと話すときには、何かをインプットしておかないとって気になるんです。だからインプットからまったく遮断されてしまうと、言葉の発し方すらわからなくなる」

一拍の間をおいて、蒼天が桜庭に尋ねた。
「あのね。なんで日記が大事やと思う?」
桜庭は黙り、蒼天が続ける。
「本読んでインプットしても、使わないと忘れるよ」
「そしたら読み返します」
「あのね。使わないと忘れるの。なんでもね。しかし日記は、自分の今日の行動があらわれる。その行動を書けば「自分の考え」があらわれるの。もっとこういう考えもあったな、と展開できる。
そこでいっぱい頭をつかったら、一日だれとも口をきかなくてもぜんぜん平気や。そしたら誰とも話さなくても平気や」

朱田が、にこにこ笑いながら言う。
「あの、日記って。一日誰ともしゃべらなくても、自分との会話ができるんです。そこで、自分の思ってもないことを書いてたりするんです。
それを書きながら、ふと『自分はなぜこんなことを考えてるんや』と気づけるんです。
だから、日記を書きながら、自分との会話ができてるんですよ。
最近の私は『日記を書きたくない理由』から書いてます」

まさかの書き出しのアイデアに「ははははは!」皆が声をあげて笑った。

蒼天「それだけ発言できたら立派なもんや。成果がでてきたんちゃう?」
朱田が口をとんがらせて「そうですね」と言って笑い、場の笑いが大きくなり、空気がやわらかく和む。

墨田が話し始める。
「久しぶりなので、感想だけ。
さっきの話をきいていて、理念があるのは素敵だなと思ったし、うらやましいな、と思いました。
さっき桜庭さんが言ってた、理念に共感してくれる人がまわりにいたら、お願いできるようになれたらいいなと思いました」
桜庭「はい。そうですね。そこまでくるのが大変でした」

藤崎も、墨田のあとに感想を続ける。
「前に参加されて話されていたときは、周囲のスタッフの『だめな点』が主だった。
そこばかり強調されていた。でも今日はそれが一個もなくて。それがクリアになっているようだな、と」
桜庭「そうですね。なので、これからは経営者になるための経営者のトレーニングが大切かな、と思います」
蒼天「あのね。経営者にならない方が良い。かえって変な偏見をつくってしまうだけ。
経営者は『経営者の看板』をおろすこと。そこからや。じゃないと、人間的な発想がうかばない。まず大切なのは、人間的な魅力をつけることや。
あのね、概要にも書いてあるけど「即興力をつけること」や。
これは、ライティングゼミで培ったこと。毎週毎週2000字書くのは、しんどかった。しかし、暫くして2000字が楽しくなった。日記はずーーーっと書いていたから。そこで即興力が養われてたんや。
書き始めと書き終わりで、展開が随分違っていたりする。
課題でも、毎回、ストーリー通りにならない。でも、当初に描いていたストーリーよりずっとよくなっている。これが、即興力や」

「でもですね」
間髪入れず口を開いた桜庭に、水島がこらえきれず吹き出す。
「メ…メンタル強いな」
一同、どっと笑いが起きる。

桜庭が続ける。
「でもですね。前にスキルと人間性を高めるって話をされたときに、スキルを高めたら人間性が高まるって言ってたんですよ。それを私は、勉強する、ってことだと思ってたんですけど。それは違うってことですか?」

蒼天「それはそのとおりや。ただね。もっと自分を高める手段があったってことや。
書くってことが一番の成長だと知った。
これも、書き始めてわかった。書いてみて初めて知れたこと。
世の中の小説家や作家がなぜあれだけの作品を書けるのか。『いつも書いてるから、書けるようになる』んや」

桜庭が返す。

「だからそれも、さっき言ったように、書くために、どれだけのものを集めるかってことじゃないですか。私はその段階だと思ったから本を読んでるんです」 

一歩も引かない桜庭の姿勢に、朱田と水島が思わずテーブルに突っ伏す。
蒼天「まあ、ぼくも強制はしないけど」
桜庭「まあ、私も許された時間のなかなので」
桜庭の強い口調に、一同が体を揺らして笑う。
「すばらしい」と誰かのあっぱれの声が聞こえる。

朱田が、笑いながら言った。
「桜庭さんはなぜ書きたがらないのか。私の今日の日記の課題ができました」

 

墨田さんを深く知る

墨田の人生グラフが配られ、墨田本人が、自分の表を見ながら説明を始めた。

…今はやっぱり、人間関係ですかね。
どれだけ自己開示できるかが大事やと思います。
自分も社員も、人材育成に力をいれています。哲学、生き方を高めていきたいなと。

悩みは「時間不足」です。
夢は、自分はちっさいかな、と。
仕事は楽しいけど、責任感が大きい。縛りや期限にとらわれるし、返済などもあるので。

未来。
「小さく住みたい」というのがあります。でも、大いに人の役に立ちたい。
それと、会社はぜったいに永続させたいです。
めちゃくちゃ仕事と人生を楽しんでいる自分に、早くなりたいですね。

「負債って?」との質問に、次のように答えた。
代表になって、運転資金がそのとき決算でセーフだから貸してくれたのだけど、社長が変わって数字が悪くなったときに、こうなりました。
当時、月に○○万の返済があって…(額の大きさに一同どよめく)、苦しくなって。銀行に相談したらリスケとなり、しんどかったです。
あかん、となって考えて考えて、ようやく返済のめどがたち、リスケの状態を解消して負債の谷をのりこえて、幸福度があがる…、となってますね。

田舎に住んでいると家が大きいんですよね。家が2階建てで、使わない部屋もあって、維持が大変。
そういうのを見ていると、家は小さくしたいという要望があります。そもそも物が多すぎる。もっとシンプルにいたいです。
終活せんでもいいくらい、コンパクトに箱をちいさくするのが希望です。

墨田の隣に座っていた朱田が、手を挙げる。
「墨田さんには、もともと堅実で堅いイメージがあったんですが、最近の短冊の言葉とか野望にみちてて、なんか、方向変換しているのかな?と感じました」
墨田「そうですか?」
朱田「はい。なんか、短冊が藤田さんらしくないなと」
蒼天「進んでほしい道からはずれかけている…違和感みたいな?」
朱田「そうです。なんか最近忙しそうだし、なにかあっても頼みづらいな、と。
それと、ここのグラフの「永続」って?」
墨田
「世の中の役に立つ、墨田建築に。そんなふうに言ってもらえるような理念が、ぼくでなくなっても永続してほしい」
蒼天「後継者なんていらない。死んだら終わり」

一同笑う。蒼天が続ける。
「理想的な会社をつくりあげる、それでいい。
取り囲んでいるお客さんやファンが悲しむだろうし、亡くなったあとは、その代わりを探すだろう。それでいいと思ってるし、ぼくもぼくで終わったらええと思う。
ぼくの代わりのニーズをもとめて探し回ってくれたらいいと思う」

藤崎が、墨田に尋ねた。「今の意見、同意できます?」
墨田「100%でないけど、わかるところもあります」
蒼天「自分がイメージする企業をつくりあげられるかどうか。
そこにあなたの生きざまがでる。それをつくれたらいいんです」
紫垣が訊く。
「この表にある「哲学」って、今はどんなものをお持ちですか?」
墨田
「3つあります。
1. お天道さまはみている
2. あきらめなければ成就する
3. 感謝

ですね。2014年からの会社で大変だったころ、いろいろ学ぶことがあって、こうなりました。

「あの」銀河が、手を挙げた。
「人と喧嘩ができるような墨田さん、で、あってもらったらいいなと思います。
人の気持ちにはいろいろあるから、心のひだにはいりこむような関わり方ができるような。
きれいなところをなぞっているだけでは人と深く関われないから。『人のやらしいところ』をクリアしてもらったらいいなと」
蒼天「本質的に、喧嘩できんのやないか?」
銀河「喧嘩じゃなくてもいいんです。ぐっとどこかしら入っていける関係です」

銀河の向かい側で、藤崎が手を挙げる。
「さっきの哲学の『あきらめなければ、成就する』ですが、みなさんの感じられている違和感…というのが、もしかすると『ほんとは自分はこうやって生きたいんじゃないの?』
って感じるところがあります。
生きる葛藤があるのかな?と感じました」
朱田も、それに続ける。
「墨田さんは、いま無理してはるような気がします。今『経営者になろうと』している?『男として!』みたいな…」
水島「ビジネスモデルをつくろうとしている、とか?」
蒼天「街の大工さんでええねん」
藤崎「でも、その生き方を墨田さんが望んでいるのかな?という気もする」

紫垣「『夢が小さい』のが悩み、とありますが、夢ってなんですか?」
墨田が答える。
「いまの現状延長線上に今のお客さんがいて、コアなファンとのお付き合いの関係性が夢、って答えたら「(蒼天に)そんな小さくまとまるな」、と言われて……」
蒼天が言う。
「ああ。それは小さすぎるな。10年10倍ムーンショットは今の枠組みから外れないといけない。枠にこだわりすぎていないか? 枠からはみだして、夢を見るんや。そうしたら、生き方や視点が変わるのではないか?」と。
墨田
「……なので、夢の大きさが悩みになっています。それで、日記を書いていけば非常識な発想がでるかなと思っています」
蒼天「今、何ヶ月?」
「一ヶ月です」
「これからやな」
「いま、日記に、自分の常識、非常識を書いています。
人は家に住む。これが常識。非常識は、家に住まない。など。
なんの役にたつかはわからないけど、やってみてます」

水島「……アイドルになるってのはどうですか」

墨田、目を丸くしてびっくりした表情に。

「ファンクラブ作って、いろいろやって、しかけて、そこに仕事もついてくるとは思うけど、まずはそれにはこだわらないで」
「そう! それですよ〜!!」
銀河が声を上げた。

緑山が、人生グラフを見ながら静かに言う。
「この表を見ていて感じたのは、「スキル:49」には頼めないなと。スキル上がったら、夢も変わっていくんじゃないかなと思います。今のスキルが49だったら、まだ余地があるわけですよね。
藤崎がそれに対して別の視点を話す。
「数字が低いのは、ポテンシャルだと思う。謙虚さではなくて。満足していない証じゃないかなと」

最後に、発言を促された茶間が、感想を伝えた。
「今までの墨田さんと違うところがでてきたのは、すごくいいな、と思いました。
改めて、いい会だなぁと思いました。
みんな、ほんとうに墨田さんのことを、見てるんだなと。

茶間の感想に皆、うんうんと同意し、頷いている。

水島「やっぱり、アイドルですね。笑」

一同、笑う。

蒼天「墨田さん、続きは次回やな。まだ『10年10倍』と今の自分とがつながってないやろ。その方向性だけでもつながったら、次の人にいけるな」

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