読むドラマ(議事録)

相手を知ることは、自分を知ること。
年齢も業種も異なる経営者たちが、月に一度つどう目的はただ一つ。
決して一人ではたどり着けない月面「本当の自分」に降り立つため。
これはそんな経営者たちのリアルなやり取りから生まれたドラマ(議事録)です。
(禁:無断転載)

 第140回 百年企業研究会内容(2020/10/08)

第140回例会は、リアルの開催でした。

墨田
「百年企業第140回例会を開会させていただきます。
先生の方からご報告お願いいたします」

蒼天先生
「今日のテーマです。
メインテーマは『仕事と人生どちらが大事か』
サブテーマ、もう一つの大きな柱として『日々の精度をいかに上げるか』
ということについて、自由に言いたい放題語り合いましょう。
なぜ今、このテーマを取り上げたかと言いますと、コロナの問題が色々あったこと。これからも続くでしょうけども、コロナ後の我々の基本的な考え方をきちっと抑えておきたい、ということがありました。だからこの際、極めて初歩的なテーマで恐縮ですが、忌憚のない議論をしたい。
よろしくお願いいたします。

それから、1分のトピックス。
これから毎月やろうと思います。
近況報告、1分の近況報告です。色々と話したら長くなりますので、1分に凝縮するか、あるいは、伝えたいトピックスだけ話す。1分間を守る。ということで、ひとりずつ、前回の例会から今日の例会まで、何があったか、ということですな。せっかく議事録もありますから、続けたいと思います。

それと、議事録。僕もじっくり読ませていただきましたが、だんだん内容が面白くなってきたね。前回からのつながりもあるのかもしれないしね。だんだん内容も深堀りされてきたみたいだし、皆さんも、読まれている方が徐々に増えてきたんだろうと思う。最初は全然読んでおられてない方もあった感じなので。そんな気もします。だから、これからもよろしく」

「時間がかかる」というのが超難点ですが、皆さんの討論、発言を掘り起こすのは本当に勉強になっております。もれ落ちなく文字に起こすことは、皆さんの気持ちや考え方を、細部にわたって大切にしているような気持ちになります。
今回、墨田さんが助っ人を申し出てくださいました。一番時間のかかる文字起こしを半分やっていただいております。大感謝。

 

1分トピックス(近況報告)

墨田
「それでは、1分のトピックスということで、緑山さん、お願いします」

緑山
「先月から1ヶ月間、何の変化もありませんでした。(会場笑)
今日のテーマを見て、ですね、『仕事と人生どちらが大切か』。もう僕にとっては一番、たぶん難しいテーマなんじゃないかなと思って今日来たんですけど。
で、1分間スピーチあるっていうんで、1ヶ月なんかあったかな?と思ったんですけど、ないし、これといったトピックスも、ありませんでした。
というのがすべてです。以上です」

墨田
「ありがとうございます。では次は、山吹さん」

山吹
「一寸練習はしましたが、ちゃんと1分で入るかどうか…。

激動の1ヶ月でした。商工会と、中小企業診断士の先生に振り回されて、100万プラス50万の補助金をもらえと。もらえるから6回来いと言われて、3回行ったけど、やめました。
するもんは期日までにする。しないものはしないと言ったんが、9月の15日でした。この日がgo to travel の締め切りの最後の日で、中小企業診断士の先生が、とりあえず申し込んでくれはって、ぎりぎりtravelは間にあって。私一人でしようと思ったら絶対に1日か2日かかると思います。
随分パソコンに振り回されました。今までは、誰かがついてくれてたからできたけど、今はひとりで何もかもこなさなあきませんし、また長々なりますんで、次。
はい、1分です」

白石
「9月としてはそんなに何もなかった。仕事は相変わらずあんまり景気よくなくて、みんなネガティブな発言してる。少しでもそれをなくそう。前向きな話ばかりしよう、ということで進めているんですけど。
私的なことで言えば、去年の『社長のかぼちゃ』のように、畑をしてたんですけど、今年は、ねぎとちょっと香りの出る草をやっとったのが、暑すぎてだめやった。ずっとほったらかしにしとったんですけど、お弁当についてくる、スイカの種、うちの若い子が畑に向かってぷっぷぷっぷ吐いとったんです。それがなんかしらん、ぶわっと芽が出て。
僕の中では、スイカが実になって、ある程度大きくなってから、スイカ柄になるんやと思ってたんです。スイカって、実になった瞬間からスイカ柄なんですよ。そこに感動した1ヶ月やったです。
実になった瞬間から、緑と黒の縦じまで、ミニチュアスイカみたいになってるっていう。そこにえらい感動しました。

紺野
「9月、相変わらず仕事がないので、ちょうどいい機会なので、みんなで先週金曜日、仕事を半日やめて、3S(整理・整頓・清掃)をやりました。
東大阪の山田製作所で勉強した資料でやるつもりが、男性社員が全然わからないので、また、3Sの認識がバラバラなので、まず3Sの定義づけをしてから始めました。
それから講義して、手本を示し、それから社員にやってもらいました。
3Sは会社だけではなく、自宅でも使えるので、今後も続けられそうです。
で、ついでなんですけども、コロナが最近飯田市(長野県)で出たんですけれども、そのときに思い切って趣味の剣道をやめて、近くのピアノを弾いてくださる飲み屋さんに行きました。とっても素敵なお店で、いいところを発見できました。

墨田
「私は前回発表したところから日記を書き始めました。毎日書きながら、妻にもいろいろ話しています。自分のことを深く掘ってるねん、ということを話していると、妻にもすごく影響があって、彼女も、子どもも手が離れるような時期になってきたし、私も新しい自分の人生をちゃんと考えたいと思って、動き出したということがありました。
自分だけじゃなくて、人にも影響を与えるのかなという、短い1ヶ月ですけれども、少しそういうことを実感できた、僕にとっては大きな1ヶ月でした」

銀河
「『なう』8年目です。今年の1月くらいから、内容が、すごく頑張って書いてる気がします。何でかなと考えましたら、メンバーのひとりが今年1月からライティングゼミに行って、私ももう一回『書く』ということを考えるようになって、すごいことを書いているわけではないのですが、一生懸命書くようになりました。
今月は、8人の方が自ら書きたいと言って原稿を出してくれました。そのことが嬉しいので、配らせてください」

蒼天先生
「僕は実を言いますと、2年間ホームページをほったらかしにしておりました。ヤバイなと思って、1ヶ月前から(原稿を)書き始めたら、どんどんどんどん長くなって、これは誰も読んでもらえないなと思って、削りまくって、それで、2,3日前にアップしました。また、機会がありましたら、読んでください。あまり評判のよくないホームページやと思いますが。ということです。以上です。
(40秒のスピーチでしたので、後から20秒追加)
健康診断
僕の一番大嫌いな大腸の検査をしました。今回は、ポリープ3つでした。5年前は、2日間にわたって取らないといけないほど、たくさんありました。今回も異常はありませんでした」

桜庭
「8月がひどくて。生まれて初めて何にもしたくないという気持ちになって。いつでも自分はモチベーションの塊やと思ってたんですが、何もできなかったんですね。
前々から聞いてて、自分でもそう思ってたんですけれども、更年期かなと。もういい年齢なので、多分そうだと思うんですけど、久しぶりに健康診断に行って、いろいろ検診も受けて、何もなかった、元気だったということなので、まあ、生かされているということにありがたいなと思いまして。
もう一度、この健康をいただいているのだから、頑張ってみようという気になれたらな、と思っていたら、涼しくなって体調が整い始めて、そうこうしているうちに、まだお客さんは全然来られないので、お客さんはないんですけれど、いろんなお問合せをいただいたり、これからこういうことをしたいっていう相談をいただいたりするようになったので、ちょっと、これから、前向きになれそうかな、と感じた1ヶ月でした」

墨田
「これで全員終わりました。第1回目の1分間スピーチですが、先生どうですか?」

蒼天先生
「皆さん、それぞれ、何かある。なかったのは緑山さんでしたけれど、緑山さんにも、
きっと何かあったと思う
1ヶ月というのは面白い。1つの単位というか、スパンというか。一人ずつの前月と今月の違いなんかがわかって、たまってきたら、それぞれの生き方とか生き様が見えてくるかもしれないし、人の生き方を見て、参考になるところがでてくるかもしれない。これから、ずっと継続していったら、きっと面白いことになるのではないかと、このように思いますので、これからもぜひ続けていきたいと思います。僕は内容としては満足です」

 

仕事と人生どちらが大切か サブテーマ 日々の精度をいかに高めるか

墨田
「ありがとうございます。では、今日のテーマですね。議論『仕事と人生どちらが大切か』、サブテーマとして、『日々の精度をいかに高めるか』、というところですが、何か先生から、導入のお話とかあれば」

蒼天先生
「『仕事と人生どちらが大切か』なんて、人から見れば、ばかばかしいというか、大したテーマでないかもしれませんけれども、ものすごく有効にコロナを活かされた人と、全然活かされずに、悲鳴ばかりあげてる、被害者意識でいっぱいやった人の、両者の分断が起こりました。分断社会に拍車がかかりました。
昔は格差やったんやね。
その前は、1億総中流といいました。これは1970年から80年くらいですね。
それから、バブルが崩壊して、格差が起こった。最初は財の格差だった。それから、だんだんと知の格差へとなっていった。日本ではなんとなく知の格差くらいで、大きな動きはなかったみたいなんですが、アメリカはもう完全に分断社会になった。これはトランプが大統領になるかならへんか、という頃だと思う。分断というのは何かというと、弱者は上に行けないということです。格差の場合やったら、頑張れば下から上に這い上がることができる。分断は、完全に分かれてしまう。
(アメリカでは、もう1つの分断があります。政治的な分断です)
日本もこれから、どんどん格差から分断に移り変わってくるだろうなということで。
分断というのは、お金を持っているか持っていないということではなくて、ひとりひとりの生き方生き様、あるいは考え方、そういものが大きな影響を受けるんじゃなかと思っています。
お金がすべてではない。僕の考え方では、これからどれだけ価値を生み出せる頭を作りあげているか、そこが大きいポイントです。
僕の場合、桜庭さんと一緒で、コロナ禍の影響をまともに受けました。リモートの受注があったんですが、僕はそんな器用なことはできませんと、断りました。ほかに受注があった仕事も、コロナで延期になり、そのあと取り消しになった。だから、今年はほとんど仕事をしていない。

しかし、僕は別に何とも思ってないし、その時僕は何をしたか?というと、これ幸いと、仕事予定だった時間を、勉強の時間、自分のための時間に割かせてもらいました。
それが非常に楽しかったし、僕の場合はもう、おかげさんで、年金があるから最低限度の生活は賄える。お金の心配もいらないし、会社を解散したときに、多少の内部留保があったから、それらを取り崩していったらいいから。
とにかくその間、相当いろいろと勉強するなかで、これからの自分が、今学習してることをどんな形で仕事に転換できるやろかとか、社会に還元できるだろうか、ということを含めて、いろいろと考えながらやっていってます。

僕はサラリーマンのころから、絶対に残業はしない人やったんです。5時になったらサッと帰って、超変人やと思われていました。後は自分のために時間を使う。
それはそれとして。
今まで仕事に充てていた時間を自分のために充てる。それは今後どうなるのか? 将来。
そのことを考えるとものすごく楽しくなってきた。その楽しさって何かな?

日本の働き方改革というのは、いろいろ言われますけれども、
原点はキャッチアップの時代だと思うんですよ。1970年から80年代。いわゆるヨーロッパの5年遅れ、アメリカの10年遅れ。それで追いつけ追い越せ。特にアメリカに追いつけです。
とにかくキャッチアップが得意になって、ソニーがニューヨークのマンハッタンに日本の旗を立てたのも、多分1970年代だったと思う。そこで、日本の力というのをアメリカに知らしめた。僕らからしたらいい気分やったんですが。
で、そこそこ来て、その後日本の車が良すぎて、アメリカで日本の車を壊す、というようなことが行われて。
その時にどんな働き方をしたかというと、我々本当に残業当たり前ですわ。それこそ、極端な言い方をすれば、会社のために、お国のために頑張る。繁栄を目指す。
その時、女性の働き方はどうかというとね、週6時間以上残業はできませんでした。1日2時間、週3回まで。労基法で決まってました。女性は補助的な仕事。朝9時から始まりますが、8時40分くらいから女性がお茶を入れて、配ってくれはった。そんな時代やったんですよ。それが1970年代。今から考えて50年前ですよ。
50年もたってるんですが、人間の頭の構造は簡単に変わらないんですよ。特に、それがひとつの日本文化として定着してたから。その女性の最近ね、女性の国会議員が少ないとか、管理職が少ないとか、いろいろと話題になりますけれども、それはね、そういう経緯があって、女性もそういう文化に甘えてきたという一面がある。
だから日本人にとって働き方を変えるのは大変だと僕は思ってますけれど。特に、中小企業は、圧倒的多数の中小企業経営者には、70年代の働き方、その文化を引きずっておられる人がまだあるわけです。
それがコロナ禍で、非常に大きな問題として被害を受けている人もいる。
この際、ここで、我々だけでも、これから、どういう働き方をしたらいいのか、その働き方の中で、自分の人生との関わりをどうしたらよいのか、この辺の議論をしてみるのも面白いかなということですね。タイミング的にもね。

僕は長いこと、今年に入ってからずっとパソコンの前で自分のためにいろいろやってましたが、そこで感じたのは、1日の過ごし方をどうするかという、『日々の精度を高めるために』、とサブタイトルにもあったと思うけれど、日々の精度を上げることがすごく大事。
その辺のところも含めて、議論してみたらどうかなと思って提案させていただいた。
だいたいそういうことです。
僕の提案した趣旨通りに議論してもらおうとは思っていません。皆さん思ったことをばんばん言って、皆さん1人1人の働き方は違って当たり前だし、自分としての結論を出してもらったらいい。
こういうことで、今回提案させていただきたい、ということです」


墨田
「桜庭さんいかがでしょう?」

桜庭
「以前どっかで、私Tさんにこのことを聞かれたことがあったんですね。ずっと前に。
Tさんは、以前メンバーだった方で、長浜で、学校給食のパンを中心にやってられるパン屋さんです。かなりアグレッシブな感じの人で、覇気のある人だったんですね。
その人がいた時に、私自身が指摘されていたのが、『バランスをどうやってとるのか?』みたいな感じで言われて。たぶん私の中では、仕事9:人生1くらい、仕事の方に行ってたんですね。
どういう意図でおっしゃっていたのかはわかりませんが、『それでいいのか? バランスが大事なんじゃないのか?』と言われていて、それ以来ずっとその言葉が残ってたんですね。そのときに、そうだよな、バランスだよな、ということをずっと思っていて、思いながらずっと仕事がしたい人間だったので、やっぱりそっちに比重がいってたんです。
それで今回またこのテーマがあがってきたときに、あの時考えてた内容がまたテーマに上がってるなと思って、Tさんが言ってたように、みんなバランスを取りながらそれぞれやっているんじゃないのかなと思ったし、その時々に人生のいろいろなフェーズがあると思うんですけどね、お子さんのこともあれば、親のこともあれば、それによってボリュームも変わってくると思うので、どうしてこういうことを聞くのかな、なぜこれを話し合わなければいけないのかな、というふうに思ったんですよね。答えはもうそこじゃないの?というふうに思っていたので。
でもコロナになった時に、それこそ0:10じゃないですけど、仕事がゼロになっってしまって、最初のうちは色々してたんですけど、通訳さんの持続化給付金申請の手伝いとか、いろいろしてたんですけど、まったく仕事らしい仕事ができなくなって、そうなったときに家庭だけになると、やっぱり私の中では、これではちょっとな、と悶々とした日々が続きました。
あるとき中小企業診断士のメンバーのひとりから、『どうせもうインバウンドはしばらく戻って来ないから、診断士の仕事を手伝って』みたいな感じで言われたときに、ふっと、わあ
いやだな、と。そんなことをしたくて今までがんばってきたわけじゃないし、やっぱり、簡単に言えば国際交流みたいなことですけれども、それが好きで、ずっと英語も勉強して、ここまで来たので、これを簡単にやめたいと思わなかった。業態替えはできないなと思った。そんな、なまっちょろい覚悟でやっとらんぞ、というのがあったので、これはもちろん、これから先もコロナは続くし、どうなるかもわからないけれど、許されるんであればずっとやって行きたい仕事だと思って、そのタイミングまでは待つ。
それまでは、家のこともしつつ、下準備。
昨日も、ちょうど通訳さんたちと研修をしてたんですけれども、今できるのは、勉強であったり、これから新しいツアーを作っていくことであったり、また再開したときの準備はできるわけなので、そういうことをしながら、好きな仕事ができるまで、まあ頑張って待って行こうみたいな感じで、そういう思いで今日々を過ごしています。近況報告みたいな話になっちゃいましたけど」

墨田
「でもそれで、桜庭さん自身は、そんでいいやん、幸せやと思ってはったんですか?」

桜庭
「いや全然。幸せではないですね。
仕事は、所得が伴って初めて嬉しい、と思うところってあると思うんですよね。そうじゃないと、何か別の仕事みたいな、ボランティアではないですけれど。
やっぱり、まだ私も現役世代なので、きちんと得られるもの、対価があって、…」

蒼天先生
「僕はそうは思わへんのやけどな。
あのね、笑い話なんですが、僕いつも忙しそうに仕事してるやんか。売り上げがあるなしに関わらず。近所の人がね、『田中さんいつも忙しそうですな。さぞかし儲かってますやろな、よう稼いではりますにゃろな』って言わはるから、『いやいや全然稼いでませんで。私いつも3年先の仕事してますにゃ』いつもそう言っていました。事実そうでしたし。
やはりね、大事なのは、要は今、売り上げにつながらなくていい。だって、いっぱいインプットしてね、すぐにアウトプットする仕事あるかもしれないし、いっぱいインプットして、まとめてでっかくアウトプットする仕事もあるかもしれない。
僕はどちらかというと、後者の仕事を選びたいと思う。でっかい仕事しようとおもったら、インプットいっぱいして、ためなあかん。その間売り上げはゼロ。そういう仕事もありかなと思っているから。
僕自身はそっちに向いてると思う。目先の売り上げがあるとかないとか、そういうことに振り回されたくない。そこは以前から、かたくなに守ってるんやけどね。
僕は正直言って、会社作って10年間、稼ぎまくったんや。その反省がものすごく残っている。お金稼ぐことにはどういう意味があるんかなと。10年くらい稼いで贅沢してね、やってたんだけど、どういう意味があるのかなと。長い目で見て、人生にとって、
果たしていいことなんかな、プラスになることなんかな、と。何にもプラスにならない」

反省するほどお金を稼いだことのない私には、わかりづらい境地かもしれません(笑)。実感として持つことは難しいです。小さな物欲は常にありますし、行きたいところは山ほどありますし、美味しいものにいっぱい出会いたいとか、欲望は尽きません。つまりちょっとお金があったら手に入る程度のものを、欲している自分がいます。
本当は実感を持ってこのことを学びたいものですが、でも、私はなんだかズルくて、『蒼天先生がそうおっしゃってるのだから、お金をいっぱい稼ぐことはあまり重要ではないに違いない』というふうに自分を納得させてしまうのです。これって自分どうなのかな、大丈夫かな、と思いつつ、生きております。『経験を伴わない後付けの学習で得た理論だ』ということは忘れないでおこうと思います。

 

蒼天先生
「あれはいつだったかな、バブルが崩壊してその直後に僕は起業して、2008年リーマンのときに中小企業、特にメーカーがたくさん倒産した。その直前に講演活動で、全国行脚するのはやめた。
自分の一番やりたいことをやろうと思って、売り上げが減るかと思ったら減らなかった。
創業塾などの仕事がきたから。1999年かな。それからいよいよ創業塾も減ってきた。そこで、本当に自分のやりたいこと、当時僕のやりたかったこと、『戦略』で、中小企業を助けようという発想があったから、これで自分のやりたいことができる、やろうと思った時に売り上げががたんと減った。そこで自分がショックを受けたかというと、そうではない。やりたいことに専念できるという喜びがあったから。
お金の大きさで評価するんじゃなくて、自分が本当にやりたいことをやってるかどうかで仕事というものを評価するべきだと思う。僕は色んな経験を経て、その考え方は変わっていないし、自分のやりたいことをやるということが、人生にとってもプラスになると思うし、そこはもう、絶対にかたくなに守ろうと思う、とぃうことでずっとやってきました。
だから全然お金みたいなもん、入らなくてもいいと思うんやけどな」

桜庭
「経験してるものが違うと思うんですけどね(笑)」

蒼天先生
「それはそうかもしれん。ただ、考え方としてね」

桜庭
「焦りはないけどやっぱり不安ありますよね。渡航禁止になってからもう6カ月たちますし、来年ももしこの状態が続いたときに、今の通訳さんとか、地域の人たちといつまでこの関係を続けられるんだろうかと、人間ってやっぱり移りやすいものだと思うので、どうなるのかな、という不安はあります。
もうひとつは、会社をやってるとそれなりに月々出て行くお金がある。そこの部分がいつまでもつのかな、体力勝負になるよな、というのは当然ありますよね。いくらあったら嬉しいな、というよりも、Keepできたらいいんですけど、今は減っていく一方なのを見ると、大丈夫かな、と」

蒼天先生
「なんでそうなる? なんで悪い方悪い方ばっかりに向くの?」

桜庭
「ないからですよ!」

蒼天先生
「もっとこう、楽天的というかな、気楽に考えたらいいんじゃないかと思うんですけどね。少なくとも僕は、お金に左右されたくない、絶対に。やっぱり自分の意思でいきたいと思うから。
だからさっき言ったでしょ、中小企業診断士しないかという誘いをことわったやん。断って当たり前。その考え方です。僕と一緒ですよ、考えているのは。
あんまり悪い方に解釈すると自信もなくすし、精神衛生上もよくないし、ネガティブなスパイラルに入ってしまいそうな感じするから。
そのへんが僕、脱皮しないといかんのじゃないかなと思う」

桜庭
「この状態でね、そんなに楽天的になれるのがおかしい。よっぽどの人ですよ。
私の中ではね、救いなのは、固定費といっても、全然たいしたことないので、雇用調整助成金もらって、家賃の補助もらって、そこまでしなくてはならない状況ではない。敢えてそうしてきた、固定費かけずに頑張ろうとして始めたというのはあるんですけれどね、それはそれでよかったんですけれど、いずれにしても、旅行業界はつぶれていったりして、4月が山で、春のピークでお客様が帰って来れなくなったら、外国関係でやってるところは、つぶれるところがかなり出てくるんじゃないかなと思います。窓口として元請みたいに受けてくれている会社が、いくつも国内にあって、そこからもらうケースも多いので、そこも体力勝負だし、今みんなほとんど休業してはるんですよね。だから海外のエージェントもみんな苦しんでるので、それをね…」

蒼天先生
「そんなんいつまでも続くわけないやん」

桜庭
「それはわからないですやん
最初はもっと楽観的だったんですけどね…」

蒼天先生
「海外旅行がなくなるんやったら別やけど」

桜庭
「なくなりはしませんけどね…」

蒼天先生
「いつも言ってるやん。需要はゼロにはならへんて」

桜庭
「需要がなくなる業界ではないんで、こちらはむしろ上がっていく方の業界だと思うんで、自分が過渡期にいる中で、平常心を保つということがなかなか努力しないと難しいです。そのときに更年期が始まっていたので、8月はエライしんどかったんですけど、元気だということがわかり、ようやくメンタルをととのえているところなんで。バランス全然とれてないんですけど」

蒼天先生
「体のことはよくわからないけど、そのへんをちょっと脱皮しないとあかんやろなあ。
だってこの先まだ、さらに何が起こるかわからないよ。そんなこと色々考えてたら何もできひん」

桜庭
「そう言われても」

蒼天先生
「だからね、白石さんとことか、銀河さんとことかのやり方が一番いいんよ。とにかく、作ったものは全部売れる、そのやり方がね。別に売り上げをたくさん上げようと思わずにね。自分で作ったものはその日完売するという」

銀河
「あのう、またそれは業種が違いすぎるような…」

桜庭
「状況が違いすぎてどうしたらいいかわかりませんよ」

蒼天先生
「一緒や」

銀河
「人がお相手で、しかもその人と会ってはいけない状況…」

蒼天先生
「要は需要と供給の関係やんか。わかりやすく言えば。今桜庭さんところは需要が落ちてるわけや。だから止まっているわけ。固定費をできるだけ使わないようにして、耐えられるやん。
今ゼロになっていても、銀行からお金かりたらええねん。返済は、借りたお金で返したらええねん。金利が低いから。資金調達は簡単なものなんや。桜庭さんのこういう業種やったらね、たぶん難しくないよ。銀行も、借り手を待っとるからね。銀行から借りたお金から返済していったら、そのうち売り上げが上がってくるやん。
資金調達は今簡単やからね、何も心配しなくていい。

墨田さんの業界も一緒やと思う。今工務店てさ、ええとことわるいとこと、両極ちがう?うちの近所でも、たくさん家建てたはるで。結構住宅需要ってあるんやなと感じてる」

墨田
「今建設業界は、いい方です。コロナでもそんなに影響ありません。あかんところは全然あかん、というのは聞きます」

蒼天先生
「その見極めだけちゃうかな。うちはまあつぶれないグループや。あるいはつぶれないグループになるためには何をしたらいいか。
要はビジネスというのは、お金の心配さえなければ、何やってもいい。好きなことやっていい。今お金の心配というのは、資金調達は簡単にできるし、だから、そんなに心配しなくていいと思うわ。5年くらいしたら、状況は変わると思うで」

桜庭
「そうですよね」

蒼天先生
「みんな、コロナ慣れするだろうしね。観光客はまだやけど、入国も許可してるやんか。いつまででもこの状況が続くわけじゃないしね」

桜庭
「自分がいかにインバウンドのブームにのってただけだというのが、この業界を選んだのはそういう意味でもあったんですけれども、ただ外部環境がよかったから順調に来てただけだったのかなと思うと、なんとなく…」

蒼天先生
「その不安を解消するためには、どうしたらいいの?
はっきりしていることは、日々の生活を充実させたらいいということ。それはどういうことかというと、サブタイトルに掲げていた「日々の生活の精度を上げる」これが結構役に立つ。だからきちっと精度を上げて自分の生活が満足できる内容になったら、お金のことは、ちょっと意識しなくなる、距離がちょっと遠くなる、そういうことをもうちょっと考えてみたらどうかな、と僕は思いますが」

しばし沈黙

ここは本当に納得の場面でした。今考えてもどうしようもないことをどうしようもなく考えてしまう、そのことが時間の浪費だとわかっていても気が付いたらそのことに思いを馳せてしまっている弱い自分。全部わかってるつもりなのに、いるのです、そんな自分が。
まずはその自分の状況をきちっと認めて、否定せず、泳がせながらも、少しずつ目の前のことに集中力を持ってくる。お米を研ぐ、きちんと水を入れる。炊飯器のスイッチを押す。こういう単純な動作に対してさえ、指の筋肉が動き、水がかかった皮膚、というものを細かく感じる。今自分の手がその作業をやっていることに全神経を集中させる。丁寧にご飯を炊くのです。最初は少しずつでも、すべての自分の動きをそうやって感じながら丁寧にやると、余分な考えが遠のいていくことを感じると思います。これはお釈迦様からの教えです。
桜庭さんの不安でどうしようもなくたまらん気持ち、ものすごく伝わってきます。その気持ちはにわかになくなるものでもないし、無理になくそうとしなくても大丈夫だと、私は思います。そういう不安を、もうひとりの自分が認めて、受け入れる。否定しない。不安で不安で仕方ない自分の姿です。そのうえで具体的な日々の暮らしに集中する、という感覚。おせっかいなひとりよがりかもしれませんが、今のピンチを乗り切るヒント、チャンスにするきっかけになったらな、と思っています)

 

蒼天先生
「白石さん、一言何か」

白石
「先生のテーマ (今回の例会のテーマ) 見て、哲学的要素満載だと思いました。
そのときそのときの年代とか、立ち位置によって、人生が先に走ったり、仕事が先に走ったり、って絶対なってくる。人ってたぶん、10年区切りで、自分自身の形態が変わってくるから、別に今答えがあっても、5年後10年後には、変わっていてもいいような答えなのかな。
僕の勝手な判断なんですけど、今の自分の立ち位置で、どっちを優先すべきかとか、どっちが大事かとか、答えが出てたら、間違いではない。
先生が言ってはった今年の例会のテーマ、ムーンショット計画にも匹敵すると思います。これも踏まえて10年後進んで行ったときに、両立してお互いがおるのか、人生が先行して、仕事がそこにくっついているのか、仕事が先行してそこに人生がくっついているのか、というのも人それぞれだと思うし。
偏差値の高いところで仕事してたら、コロナでも逆にお客さんのほうがうちを心配してくれる。仕事足りてるか。とか。
偏差値の低い仕事もあるんですけど、そういうところが言うことって、コストダウンできひんか?とかわけのわからんことを言ってくる。10月1日、業者全員呼ばれて、社長さんが何を言うのかと思ったら、中間決算が終わったところなんで、あまりよくなかった。業者さんはこれからコストダウンをしてくださいと言われたときに、手を挙げて、僕らの質問としては、自社はどういう対策をするんですか?と聞いたら、それはまだ検討中や、ということをいいはったんで、じゃ、うち業者やめます。仕事一切いらないです、って帰って来たんです。それもまあ、うちの勝手で、従業員のこと考えてへんのかもしれへんけど。

今僕の中で、人生か仕事かどっちが大事かと言われたら、共に欠かせないものですね。じゃんけんみたいなものかな。パーが勝つときもあれば、グーが勝つときもある。お互いが大事。というのが答えで。
お金の話でいくと、ある程度はうち食べられるのでそこは心配してないんですけど、今僕の中で思っているのは、リアルタイムのお金稼ぐのは、従業員がやってくれたらいい。2年後ごか、4年後とかにお金を稼ぐ手段を僕が考えたらいいということ。
コロナはさほど何もなかったんで、コロナとこれをひっつけると答えがでにくいかなと。うちはコロナ関係ないから。

先生が前に、お相撲さんの「心技体」の話をされたときに、僕らに関しては、
心が人生
技が仕事
体は生き方、価値観
僕は今3つ目の答えをどう探そうかと考えてる
具体的には僕自身では答えはでない。永遠のテーマなのかな。ひよこが先か、卵が先か」

蒼天先生
「今現時点で、置かれている立場とか違うから、一人ずつ考え方は違っていいと思う。けれども、今白石さんの話を聴いていて感じたのは、もうちょっとね、高いところに上がってみたらどうやろなと。仕事と人生。仕事のことと、白石さん自身の人生と。そのつながりを考えた時に、それをもうちょっと高いところから見下げたら、そのへんの位置づけがもうちょっとはっきりしてくるんと違うかなと思う。ちょっと今見てはる視点が低いから、そのへんでもうちょっと考えはったらどうですか?

僕は年を取っているからからわかるのかもしれないけれど、79年生きてきて、その中で、
過去を思い出すと、成功したことやら、失敗したことやら、めちゃくちゃ落ち込んだときやら、めちゃくちゃうまいこといったときとか、いっぱいありますわ。これはサラリーマンでは経験できないことですわ。幸いね、僕日記書いてたから、別に日記読み返さなくても、頭の中に残ってるわけです。
例えばあの時こうしといたら、その後人生どう展開したかな、とかね、そういうことを色々考えるとおもしろい。日記にストーリー風に書いてみたりね。それはどういうことかというと、年齢と共に見る視点が高くなる、俯瞰できるようになったから、
年と共にできるようになったのかもしれないけれど、
いかに皆さんね、現実的な視点はみんな持ってはるけれども、もう少し高いところからものを見る、そういう視点を持てるような取り組みも必要かな。
日記とも関係あるんですが、サブタイトルになってた『日々の精度を高める』、これね、あまり意識してないかもしれないが、要はね、人間は前を向いて進む習性がある。本でも、ついつい新しい本を読んでいく。
たとえば、後ろを振り返るいうのは白石さんの修正日記。これは後ろを振り返り次に繋がぐ取り組みです。我々もアスリートも一緒やと思うんです。
アスリートは、毎日やったことをメモってますな。あれ日記ですわ。いっぱい課題を抽出して、その課題を、次の試合に生かす。イチローなんかいっぱい書いてる。
今までのものをきちっと踏まえたうえで、次の手を打つ。ということは、過去を振り返っているということやから、それだけ、日々の精度が高くなってるということですよ。
我々との違いは何かというと、我々はどちらかというと、前ばっかり向いてるから。過去の経験とか、学んだことというのはね、せいぜい1割とか2割しか覚えてないんですよ。だから精度がものすごく粗いんです。ここがね、アスリートと、一般的な人の決定的な違いだと思っています。我々も、これから、アスリートと同じ生き方をしないといけない、と思う。精度を上げていくというのはそういうことです。だからね、過去のことときちっと解決していく。それを日々の生活の中に組み込んでいけば。

僕は最近こんな言葉を使ってますが『エビングハウスの罠』。それはなにかというと、エビングハウスの忘却曲線、ありますな。あれ、ものすごく忘れますな。我々は今の生活をしていたら、前を向いて、前かがみの生活、過去をあまり振り返らない生活をしていたら、おそらくエビングハウスの忘却曲線はある意味正しいが、日々過去のものを整理整頓し、まとめて、それを次の今日あるいは明日以降に活かしていく。そういう習性をつけたとしたら、当然精度が上がってくるから、そうなると、おそらくエビングハウスの罠からは、引っかからへんと僕は思う。そういう生活をこれからやっていかなければならない。
僕は前から日記日記日記日記ばっかり言ってるけれども、ま、比較的日々の生活の精度が高いのは、白石さんと銀河さん。日記をきちんと書いてる、ということ。やはりそうなったら、神経も細やかになるし、ひとつひとつのことを大切にしようという気持ちになる。変なミスはしない、だんだんと目線も高くなる。そこの視点がこれから相当大事になってくる。
日記を書けば、心配ばっかりせんなんようになる。そういうところの日々の日常の精度を高めるということが、すごく自信になる。だから日々の精度を上げていれば、人生か、仕事か、もう少し高いところから見られるようになるから、どちらか、という答えは必ず出てくる」

日記の話になると、思うところがいくつかあります。
「精度を高める」という点で
私にとっては、日記を書くという行為にも、段階がありました。
最初の頃は、まず、毎日書くということ。
その次やってきたハードルは、「どこまで本当のことを書くか」ということ、ええかっこしいの自分と向き合う段階がありました。「もし自分が明日死んで誰かがこの日記を見つけたとして」などと考えながら書くものですから、当然本当の本当の核心部分は書けないわけです。誰かに見られる前提になってしまって、誰かを批判的にみている醜い内面とか、エゴの塊の自分とか、嫉妬心にかられる自分とか、本当はそういう感情があるにも関わらず、その一皮上の部分からしか書けない。
当然後で読み返すと嘘っぽくてやってられない。そんな状態がつづいた時期もありました。
しかしながら、年を重ね、あくまで私なりに、ですが、仏教の世界、心理学の世界、他者の書く文章の世界、脳科学の世界など、いろんな世界を見ていく、本を読む、人と出会っていく、体験していく中で、やっぱり本当の自分に向き合おうという姿勢の大切さ、本当の自分など存在しないという仏教的な考え方、そういうう部分をきちっと見ていきたいというふうに変わってきました。
自分に向き合えていない自分が、他人と向き合うなんて無理な話。そう考えると、自分と向き合うことに一生懸命になって、他人という存在は、そのヒントをくれるありがたい存在でしかない、ということがわかりました。そうなると日記に書く内容も、後から読み返して、そうそう、そうだとうなずけることが書けるようになりました。ネガティブな感情というのは、決してなくならない。次々に新しいバージョンでやってくる。それを否定するのではなく、「今自分はネガティブだよね」と、そういう自分を観る。なぜそこでネガティブな感情が出てきたのか、すっきりするまで徹底的に考えたり書いたりする。ネガティブになっている自分を否定するのではなく。のびのびのんびりとネガティブを味わう感じです。その間に、知らぬ間に平常心に戻っていくのです。こんなことを繰り返していると、怒りや嫉妬の感情から、平常心に戻るまでの距離、時間が、どんどん短縮されていくのがわかります。ちょっとだけ成長した自分を確認して、また、新しい一日を生きてい行くわけです。
「精度を高める」というのは、より細やかに自分を見つめるということも、その一つなのではないかと思います。

 

白石
「僕、この罠にはまってますわ。
日記を読み返すと、4月3日に、『月に1回だけ、自分の中に言い訳せずに、さぼる日を作ろう』って書いてるんです。怖くてまだ1回もやってないんですよ。結局、当たり前のように同じことやってるから、見てる視点が全部、固まってしもてるんですよ。
今日は何もやりたくない、という日を、僕の中で1日作ろうと思って、書いて、そしたらまた違うことが見えてくるかも、って書いてるんですけれども、それ、怖くて、結局まだ1回も使ってない。それが自分の中の甘さなのかわからないんですけど」

蒼天先生
「僕は、その日は作らなくてもいいと思う。基本的に。なぜかというと、この前右脳と左脳の話をしましたね。
片方は1段1段はしご登って行って高めていく(左脳)。
もう一つは化学反応によって、思いがけない結果を得ることができる。いわゆる未知の世界が(右脳)。
その両方が一緒になって頭になっているわけです。
遠山さんは左脳が勝ってるんやと思う。だから右脳、化学反応の方を活発にしたら、新しい視点がもっといっぱい出てくるんと違うかなと僕はそう思います。
それは何かといえばね、化学反応とは何かといえばね、僕は初めて2年ほど前にわかった。
いつも言ってる、ライティングゼミへ行ったとき。書くことはものすごく化学反応が起こるということがわかった。自分が今まで左脳で勉強してきたことが、文章というのは右脳で書いてるんですな。左脳で書いたら、文が進まないんですよ。ぶわ―――――っと書いていくのは、右脳やと思うんですよ。あっという間に書けて、時間も過ぎてて、思いがけない結論が導き出せる。書き始めたときに考えていたことと、書き終わった内容が、全然違うことに気付いた。
予想もしなかった結論が出る。ああこれが化学反応だなと。
書きまくったら違う視点で違う結論が出てくると思う。面白いで~。
修正日記じゃなくって。
僕はきらめき日記と名付けた日記をつけています。
前日に日記を書きます。それを翌日朝、読みます。そして昨日の日記を見ずに書き始めるんです。前日に書いた日記というのは、頭に入っているはずなんですが、スタートはそこに立っているけれども、朝1時間書いてみたら、また全然違う結論が導き出される。これね、365日やったら、そうとう面白いことになりますよ。
ライティングゼミを受講した後で、このきらめき日記を始めたんだけど、2年間で、僕の成長率が信じられないほど、自分自身がびっくりするほど変わった。変わったというのは、2年前には考えもしなかったことが、今頭の中にあるということです。
 
だから、そこのところでね、白石さん、別に休みを取らなくても、ライティングゼミ受講したら? と思うんですけどね」

白石
「1年くらい前に、受講することを考えてはみたんですがね、先生が書くことによって、何かが変わるとおっしゃってました。僕も、そんなに視野が広いわけではないんで、自分の知ってる世界の中で、何か書きとめよう、ということで、このメンバーで野球チームを作ったらどうなる?というのを書いてみたんです。

(会場笑)

ポジションを決めるとき、それなりに理由をつけて、チーム3回くらい編成してます」

(会場爆笑)

蒼天先生
「ちょっとそのポジションと打順、教えてください」

白石
「僕の中で、キャッチャーは、緑山さんなんです。
ショートとセカンドが、紺野さんと  さん。
先生は最終回の抑えのピッチャー。
先発ピッチャーは黄金さん。
女性陣は外野なんですけどね。
水島さんも、外野。
ファーストは墨田さん。
ランナーを最初にアウトにするときに球をもらう人。

サッカーバージョンもあって。
ゴールキーパーは緑山さんなんですよね」

蒼天先生
「サードは?」

白石
「サードは僕考えてなかったんですけど、僕の中でそんなに花形じゃない」

蒼天先生
「いや~バッティングいい人がサードですよだいたい」

白石
「先生それ、長島に引っ張られてません?

まーそれやったらサードは銀河さんくらいになるんかな」

銀河
「白石さんどこですか?」

白石
「僕は監督として」
(会場爆笑)

白石
「緑山さん、キャッチャーどうですか?」

緑山
「やったことないけど」

蒼天先生
「いや、キャッチャー適役やと思うわ」

白石
「受けたことに関しての返し方が、人に合わせてちゃんと返してくれたはるなとか。

黄金さんのピッチャーは、とりあえず自分の球ぎゃっと投げて、今日は調子いいか悪いか調べるタイプやなとか」

緑山さんと白石さん、バッテリーですね!
緑山
「還暦バッテリーやな」

白石
「違う路線で書くことを始めてるんですが、自分の中でまだパッと光が入って来ない。ネタが間違ってるのかもしれませんが」

菖蒲さんに衣装デザインと総合プロデュースをしていただいて、女子はチアをやりましょう。華麗なる(加齢なる)パフォーマンスを披露いたします!

 

蒼天先生
「ライティングゼミが面白いのはね、タイムリミットが決まっているわけですよ。いつまでに出せ、という。それまでに書き上げるのがね、面白いんですよ。僕最初の4、5回は、苦労しました。なかなか書けなくて。1回か2回、パスしてますわ。しかし、6回目くらいになったら、すぐに書けるようになった。だんだんと内容がよくなって、だんだんとほめてもらえるようになって、だんだんと思いがけないストーリーになって。
これは何かというと、今まで日記を書いてきたことの成果だなと。書いてきたことが今頃になってその成果を感じています。これが僕のこれからの決めてになるのかなと、それくらいの自信になってきました。まだまだこれから仕事できるで、という感じす」

白石
「僕は日記を書いて9年目になりましたけど、人に見せるための文章は書いたことがない。たまにここで発表させてもらうときくらい」

蒼天先生
「僕の経験からですが、文章というのは、ごちゃごちゃ考えなくてもいい。テーマを決めて何か書き始めたら、それだけですみますわ。こういうストーリーでこういうふうに書こうとすると絶対に進まない。
何も考えずに、テーマだけ決めて、こんなこと書きたいなと思って書き始める」

白石
「構成を考えるとかそういう能力は、後でついてくるんですか?」

蒼天先生
「それはまた、教えてくれはりますから。何回か受講してね。習ったメソッドを後から組み替えたらいいだけだから。時間あるし、やらはったらどうですか?
今までお酒飲んだりテレビ見たりしていた時間が、結構書く時間に充てられてて、その間、生活の密度が上がってましたね。
白石さんは、1日何も書かない日を作ろうといってはりました。
読むだけだったら、目と脳を使います。書くということは、手が加わるということ。読むんやったら、あるものを吸収するだけ、書くのは、何にもないものを書くんです。それが本質的に違うところやと思います。
なんでかというと、自分の目線をさらにさらに高めたら、また見え方が変わってくるから。白石さんに今一番必要なのは、今の目線をもっと上げはったほうがいい」

墨田
「今日は全員の皆さんに、このテーマでひらめいた自分の思いはしゃべっていただきたいので、一番なんか自分にとっては難しいとおっしゃっていた緑山さん、どうでしょうか?」

緑山
「このテーマを最初Facebookで読んだときは、これまずいな、今日は針のむしろやな、っていう感じやったんです。今日の話を聴きながら、頭の中整理していったときに、一番最初思ったのは、桜庭さんがおっしゃってたバランスとったらええんちゃうん?、と思ったんです。
でもだんだん、いろんな話聞いてて、自分の頭の中整理できてきて、違うなと。
『仕事』と『人生』っていうのは、比べられるもんじゃなくて、例えばこのテーブルが『人生』としたら、一つは『仕事』という柱があり、『家族』という柱があり、『友達』という柱があり、『遊び』という柱があり、いろんな柱があって、紺野さんの『恋愛』という柱もあるだろうし、今何に傾注すべきなのかな、というものだと考えたんですね。
人生はいろんな柱をベースに作られていくものなんで、じゃ自分は今どの柱を大事にしてるんやろ、と。
結局僕は、人生100の内97くらいまで、『仕事』という柱に傾注してるんですね。これも桜庭さんの話を聴いててだんだん思ってきたんですけれど、結構先生に食いつかはる部分、わかるわかる、って自分で思ってたんやけど、あのね、好きなんですよ。『仕事』が。
なんでそんな仕事ばっかりしてるの?とか、そんなもうけてどうするねん、とか、お前相当稼いでるやろ、とかね、言われることはあるんですが、そんなことじゃなくて、好きやからやってますねん、みたいな。
好きっていうのは、仕事の何が好きなん? て考えたら、これね、難攻不落のものをひっくり返したとかですね、保険金を支払われたときに、お客様は、不幸な中にも喜び、救われた感、って持たはるんですよ。その時の達成感とか。
それから、保険業界の闇みたいな部分があって、今回もかんぽ生命が色々やられたはるんですけど、あんなん、腐るほどある。今まで何度かそういう場面に遭遇して、私も何度か、お客様の会社の総務課長のふりをして、保険会社の奴を呼んで、この保険なんでこんなことになってんねん。おかしいやないかい。と言って、やるわけです。
乗り換えられてるんですね。金利の高い商品から、金利の低い掛け捨ての商品に、入れ替えられてるんですよ。虚偽の説明をされてたんですね。そういうときに、お客様の社員のふりをして、どういうことやねん、不完全な説明やんか、あなたのところのやり方おかしいやないかいと、全部もとに戻させたりとか。そういう、お客様の不利な状況を救えた時の感動、とかですね。そういったことが好きで、やってるから、趣味みたいなもんなんかわからんけど、仕事が97になっても、やめない、という部分があるかなあと。

後半で先生が、日々の精度を上げるということは、アスリートのような生活をすることだ、というようなお話をされました。なかなか日ごろの生活で精度上げられていないですが、アスリート、腕1本、足1本を使って仕事をしているプロ選手の保険の契約を預かってることもあります。例えば、1600人競艇選手がいるんですけれど、そのうちのトップ10人が、億かせぐんですね。私のクライアントで、A1クラス、100番目とか200番目とかで2、3000万かせぐ。女子選手もたくさんいる。滋賀の遠藤エミちゃんとか、3000万くらい稼いでる。で、1600人中下の方は、年収100万とか200万で、アルバイトせなあかんくらいなんですね。
いつも上位10人くらいに入る人は、お前なんでそんなに走るねん。と聞かれたとしても、金のため、じゃない、んですよね。好きやからボートレーサーになったし、好きやから走ってる。
保険の営業マンも、僕の前いた会社で4000人くらいいたとしたら、毎日1位から4000位までランキングが出るんですよ。自分はランキングのためじゃないんやけど、よくいえばお客様に喜ばれるから、とか、やりたいことやってるだけやねん。その数が多いねん。好きなことやってるから、勝手にランキングが上がる。
ボートレーサーも一緒で、好きやから技を磨いて上に行く。下手なやつは、バイトせな生活ができひんからさらに腕がおちてって、いつまでも底辺にいる。

人生というテーブルの中にいろんな柱はあるけど、好きなことやったらええやんかと先生も言ってくれはるけど、これが好きなんです。『仕事』が好きなんです。
そのために勉強する本を読む人と会う、とか、結局付随してきてるんかなあというふうに思える。

『仕事』と『人生』は比べられないし。例えば『お金』と『時間』もどちらが大事と言われても、答えられへんし、『勉強』と『友達との遊び』、どっちが大事なんやろうというのもなかなか比べられないものなんで、
『仕事』という柱をやってることによって、『人生』という土台もが広がっていくんちゃうかな、みたいなふうと思います」

蒼天先生
「よくできました!」

(会場爆笑)

墨田
「僕も、共感します」

緑山
「好きやからやってる、っていう。それだけかな。
あ!もう一つちょっと言い忘れました。

この会、結構「右脳派」の人多いじゃないですか。僕がそう見てるだけなんかもわからへんけど、僕は数少ない「左脳派」なんですよ。

右脳派の人間は保険売れないです。
左脳派の人間は保険売れる。
それは何かっていうと、ただ、世の中で保険というものに入ってない人に保険を売るのは右脳派の人しかできない。未加入の人ね。
いっぱい入ってて、保険好きな人には、左脳派の人間の方が確実に売れる、ということで、
僕はいっぱい入ってる人が好きで。よその保険会社に騙されてる人が好きなんです。それをひっくり返して快感を得る。そういう仕事、してます。
右脳派には一生なれない、と思ってます」

蒼天先生
「今日、緑山さん、冴えてますなあ」

墨田
「うまくまとめていただいたというか、すごく説得力ありました」

緑山さんがめちゃくちゃオトコマエでかっこよくて。後ろでBGMを流したいくらいでした。お客様の会社のユニフォームに身を包み、「この保険の加入状況、説明してもらえますか?」某保険会社の担当者をぶった切っている姿を想像し、「これはまさに穏やかな半沢直樹、新しいかたちの半沢直樹だ」とテンションあがっておりました。

今日の直樹はキレキレでした。お話の内容に、いちいち「Exactly」って英単語で言いたくなるような。いつもは閉まったままの英語の引出しが開いてしまうほど、直樹のトークに引き込まれました。

直樹がこれほどにご自身の根っこの部分にも触れながら、お話くださったのは、今日が初めてではないでしょうか。
人生がテーブル、仕事は柱。目に浮かぶ例えも非常にわかりやすく、自分の人生に置き換えながら聞き入ってしまいました。このたとえを緑したたる京北バージョンでやると、こんな感じかなあ「人生が山々、仕事は北山杉。植林することによって、山々は豊かになり、里山の暮らしを潤すのです」などと思いながら。

この研究会では多数派の右脳人間ですが、世の中に左脳派の人がいてくださるから、自分も前を向いて進んでいけるのだということは、自覚しております。自分にも左脳派の要素がほしいなと思うことはよくありますが、最近は、それを得る努力をするよりも、左脳派の人々と共存、共栄する道を選びつつ、より一層右脳派への道を進もうとしている気がします(笑)。

 

いったん休憩

15:47~16:00

黄金
「引き続き、仕事と人生どちらが大切か、ということで発表をお願いします。
山吹さんよろしくお願いします」

山吹
「去年の5月、主人が店を閉めるまでは、90%、100%に近い状態で、ほぼ365日仕事しておりました。それが突然、辞めてしまって、この先一生飯炊きばばあか? いやそれで一生終わりたくない、とひたすら思っていました。
蒼天先生のホームページに出合って、百年企業研究会で、何か変えていただけるかな、という思いで、ここに来ています。
そして今、主人が店を閉めて、突然仕事をなくしたおかげで、仕事だけではない人生を味わえたと思っています。これはこれでよかったんやと思わないとあかん。
もし、あのまま忙しく店を続けていたら、違う展開もあって、よかったのかもしれない。
また、忙しくしているときに、この会に出会っていたら、ああいう店の閉め方はせんかったかなあ、と思う時もあります。
いろいろ思いながら、毎月1回勉強させてもらっています。

黄金
「365日ね、ずうっと仕事をやってたときと、今と、どっちがいい?」

山吹
「あれはあれで楽しかったです。365日、何が楽しいかって言ったらね、年間100日ほどあった出張がね、よかったんです。日本中の百貨店の催事会場で、販売するんですけどね、素晴らしいお客さんに出会わせてもらいました。宝です。儲けさせてくれるお客さんじゃなくてね、私を磨いてくれる、そんなお客さんとの出会いがいっぱいありました。

黄金
「でも、急ブレーキもよかったんですよね?」

山吹
「楽しくなってきましたね。止めて半年ほどはつまらんかった。何も決めてなかったし、商売するともなし、あてがわれた場所はあってもこれをほんまに活かしきれるのか、不安でしたね。
そやけどやっぱりキリは10年ですわ。到着地点とか、目標とか、そういうのがあるわけじゃないんですけどね、区切りとして」

蒼天先生
「だから、それもだんだん一生懸命して頑張って仕事していたら目標がはっきりしてくるのと違います? 山吹さん、そういうタイプやと思いますわ。一生懸命やる、手抜きしいひんから」

山吹さんの鳥トークから、ご主人の話へ。
桜庭
「山吹さんのご主人は、蒼天先生は、絶対は気が合うと思いますね。昔お茶問屋さんに勤めてらっしゃったそうで、お煎茶の方だったんですけれども、3年間寝かせていたお茶とか、ご自身でパッケージングされたりして、すごいこだわりのお煎茶もいただきましたよ。プレゼンテーションもきっちりしてくださって。だからたぶん、ものすごい完璧主義な方なんでしょうかね?

山吹
「たぶん先生みたいな人が毎日横にいる感じですね。主人と暮らすっていうことは(笑)」

桜庭
「奥さんものすごく大変だろうなっていうのがすごいよくわかる(笑)」

蒼天先生
「しかしねえ、大変やけども、それを通り越してるからね、だからそこに何とも言えん楽しさがある」

山吹
「私が、蒼天先生のところへ行きたい、この研究会に入りたいと思ったとき、一番のネックは主人でした。ぜったいあかん、って言うやろなあと、思い込んでいたんです。でも、主人に話してみたら、なんのことはない、『行ってこい』とひとこと言ってくれました。あんな風に、すっと許してもらえて、拍子抜けでしたね」


黄金
「ありがとうございました。次、銀河さんお願いします」

銀河
「仕事と人生とどちらが大事か。
今、この例会に出席しているこの時間も、人生の大事な時間。常に人生。
それが仕事の時もあれば、遊んでいる時もあれば、話している時もあります。
その舞台を仕切るのは誰か? それは自分なので、常に自分をしっかり観察して、自分を鍛えて、正しく自分を磨いていく。完璧な人間を目指すということではなくて、いいところも悪いところも、強いところも弱いところも、しっかり向き合って、自分で自分を隠さずにしっかり観る、ということです。完全にお釈迦様のお言葉ですけど。
今日で人生が終わってもOK。だってがんばったもん、みたいな感じです。

いろいろわかったようなことを言っていますが、いろんなことに執着心を持ってますし、子供のことやら、親のことやら、自分のこともですけど、日々いろんなことがあります。ささくれとかほころびとか攻撃とか。
自分が何もしてなくても、むしろ良くなろうと努めていても、引っ張られたりとか刺されたりとかする日常が、大なり小なりあるじゃないですか。それをいかに「これはこういうことや、だからこういうことやな」、と冷静に、客観的に観察することができるか。
なんか私のことをすごく攻撃してくる特定の人がいるんですね。でもその人は多分私に嫉妬してるんだろうなって。自分も誰かに嫉妬することがあるんで、おあいこ、ということ、そういうことがしっかり観られる自分でいたい、それだけなんです。
そこで自分も同じように、『やられたらやり返す』、ドラマみたいなのではなく、『やられたらありがとう』って思えるようになりたいなあと思っています。
そんなことを思いながら、人生を大事に、すなわち仕事も大事に、という感じです」

蒼天先生
「僕はやられたら無視する」

銀河
「お釈迦さまはやられたらその人の幸せを願えと言ってはるんですよ。なかなかそこにはね、正直いかないんですけど。もっと歳を重ねたら、そうなったらいいな~と思いながら、幸せを願うころまではなかなか行かないですね」

黄金
「理屈屋の僕が言いますけど。
人生と仕事って比べるもんじゃない、と思ってて。
人生の中に仕事があるだけの話で、人生って、『人間万事塞翁が馬』っていうように、どうなるかわかんないじゃないですか。何が良くなるか悪くなるか、人生自体を自分でコントロールしようとか人生を良くしようというのは、日々の生活とかそういうことがあるのかもわからへんけども、人生ゲームじゃないけどね、クリクリとまわして振出しに戻ることもあるし。

仕事は生きていくために必要なエネルギーをもらうものやから、人生において、仕事は必要やと思いますわ、ずっとライフワークとしてね。

人生には色があるけど、仕事には色がないよねとか。バラ色の人生ってあるけど、どんな人生かなって考えたりして。

人生は自分でコントロールできないものであり、日々の積み重ねでしかない。
仕事は生きていくために、自分の人生を豊かに資するために必要なものなんでね、ライフワークとして、自分が人の役に立ちたいとかそういうことをやっていきたいかな~という風に思っています。自分自身できることをやる、積み重ねていく、それでいいんちゃうかなと。

さっきの『やられたらやり返す』というのも、ちょっと短絡的すぎるから、そんなふうには思いませんが、蒼天先生のように、とあんまり気が合わへんとか思ったら、無視するんですよ。
昔は攻められたら、それに負けないぐらいの理屈で議論してたんやけど、最近はそうせんとこうて思ってます。
嫉妬心とかあるじゃないですか、僕に直接言わないで周りの人に言わせる人がいるんでね、非常に腹が立つんやけど、もう無視する。何も相手にしない。ここで怒ったら負けなやなと。社内でも怒らないと決めてやっています。腹立つことはスルーする。
ただ、自分の悪いとこを指摘してくれはるアドバイスは聞きますけど、訳の分からん自分のやった覚えのないことで糾弾されたときには、それに対して「してへんしてへん」じゃなくて無視するようにしてます』


紺野
「私、実は仕事と人生が逆転したんです。
山吹さんみたいにず~~っと仕事してきて、仕事が全てできました。
蒼天先生の言われてきた小さい池の大きなカエルを目指してやってきたんですけど、だいぶそれになってきたんですね。去年、50歳になった時に、人生をかけた勝負に出たんですね。機械を何台も入れたと。すごく達成感があって、燃え尽きちゃったというか、やることやったぞ、人生の中で、で、そこから漂い出したんです。
目標達成したんで、今まで一生懸命仕事優先、人生はその次、というような感じだったんですけど、達成したんで、じゃあおれこの先どうなるのって、漂い出してるんですね。で、どうしようかなというのがずっと続いてます。
このあとパートナーと一緒に人生楽しみたいよね、って思いながら、一人でぽつんとしてるんですよね。何しても一人なんですよ。なんかつまらん。ほんとに達成感が来ちゃって、一回できたものをばらばらにしたくなるっちゅうか、せっかく作ったのにばらばらにしていいのかとか。会社の大枠みたいなものは、達成しちゃったから。
パートナーと一緒に、なんか人生楽しく生きたい、今までそんな旅行しなかったんで、旅行してみたいなーとか、でも次の目標と言われるとう~ん」

蒼天先生
「あんね、仕事の目標を達成した、その次の目標はないんですな?
それとね、仕事の目標を達成して、あなたには人生の目標はないんですか?
1つの目標を達成してたがが緩んだなな、と思います。今まで仕事が中心で回ってきた。これからの人生どないしまんにゃ。人生はピアノ習うことがある、それもひとつやけど、その先ですわ。ピアノ習ってもなんのためにピアノ習うのか、なんのためにハーレー乗るのかね、ずっと大きな人生の目標があって手段が決まるわけでしょ?」

紺野
「とりあえず頭に浮かんだことをやってみてそれに対してどうだったかなと。

蒼天先生
「あんね、日記書きまひょ。書いてへんやろ? ちょっとでも日記書いてますか?」

紺野
「すいません、途中で終わっとります」

蒼天先生
「書かないと、自分の現在の位置が見えない。進んでる方向が見えない。
日記を書くというのは書くことが目的じゃないんです。
自分の現在の位置とか、進むべき方向とか、今まで歩んできたことでできてなかったこととか、書いてたら勝手にいろんなことが浮かんでくるんです。
もうちょっと自分を客観的に見てね、これから、どっちの方向に向かって歩んでいったらいいのか、考える道しるべが日記なんですよ。
目標なんて簡単にね、定めてなくてもいいんです。ただ、地固めはしとかんとね。根を張っとかんとね。人生の根ですわ。それが今できてへん。だからね、僕は(紺野さんの)この先がちょっと怖いです。もう50歳になったでしょ?

紺野
「51です」

蒼天先生
「51歳。もうちょっと先考えようや。目先のことよりももうちょっと先を考えようや。
エビングハウスの罠ですわ。今の生活やったら、過去のことは全部忘れていってるから。当然自分自身には大きな進歩というか進化というか成果というか、たぶん人間としてできてないと思うわ。
もうちょっと腰落ち着けて、じっくりと自分の人生を見つめ直す時間、毎日それを書く時間、自分の時間を持ちまひょ。それができてなかったらね、終わりですよ。厳しい言えば。
悪い表現になるかもしれないけど、独身なんだから。ひとりの場合にはね、やはりね、ふわふわしてたら、誰も「こんな事したらあかん」とか「こうしなさい」とか、軌道修正してくれる人がいないわけじゃないですか。だからそれは自分で自分を見つめて、自分で軌道修正しながら自分の進むべき方向を自らが決めていかないと、どうしようもないわけです。そこのところをね、自分のためにもね、考えなあかんのちゃうかな。
まずは書こうか? 日記の書き方は…」

蒼天先生は立ち上がり、ホワイトボードに書き始めました。

こうしまひょ。見開きのノートありますな。夕方、今日のことを書きまひょ。今日は楽しかったとか、楽しくなかったとか、失敗したとか。楽しかったのはなぜ楽しかったか。なぜ失敗したか。なぜ面白くなかったか。原因をきちんとつかみまひょ。原因まで究明しまひょ。ここまでしたらだいぶん歩留まりが上がる。「楽しかったか、楽しくなかったか」「失敗したか、うまくいったか」洗いざらい書きます。次に、その原因を書きます。なんでこうなったか。原因をとことん納得するまで究明しまひょ。ここまで書こうとおもったら1時間では書けない。些細なことから大きなことまでね。
朝、1時間。自分は今幸せか、不幸せか。わからないか。幸せならなぜ幸せか、原因を考えまひょ。もうちょっと長い目で見て、こちら(片方のページ)は人生のこと、こちら(もう片方のページ)は日々のことです。まずね、ここから書き始めたらどうや。それやったら毎日書けるはずや。少なくともここ(日々)で受けたいろんな印象が、ここ(人生)に影響してくるんや。たとえば、うまくいったということが幸せやと思えるかもしれない。幸せとはそんなもんやないけどね。まあそれでもいい最初は。これね、原因まで究明してたらね、おそらく1時間はかかると思う。視点を変えるということやな。こっちは今日のこと、こっちは自分の人生、と。それを毎日書いていったらね、だんだんと自分という者がどっち向いて歩んでいるのか、あるいは自分の能力のレベルがどの程度なのか、登場人物も全部赤裸々にね、誰に見せるわけではないから、書いたらええねん。それを1年間続けまひょ。1日2時間でっせ。1年間続けたらね、もうちょっと言うことが変わってくる。この1年間ほど、だいぶ足踏みしてた。ちょっとこれから、そのへんで、固めていきましょうや、足元を。

日記の書き方公開、なんとありがたいことでしょう。
今はだいぶ安定してきましたが、書き始めた当初は、何をどう書くのか、本当に悩みました。「日記の書き方」的な本を買ったり、ネットで調べたりして、ずいぶん道草をしました。今は、健康状態、睡眠時間など、生物としての状況を書くコーナーと、できごとと思い、課題、などなどをつらつらと書くコーナーに分けています。後は、バレットジャーナルという本から学んだ書き方を参考に、未来の自分に手紙を書く感覚で書いています。
後で読み返したときに、「大事じゃ」と思える、ああ、その日はこんな一日だったのか、と振り返りたくなるようなことだけを残していくようにしています。
それでも、こうやって蒼天先生の書き方を教わると、また、新しいやり方を上乗せしたくなります。どんどん、欲張りになっていきます。

 

墨田
「ちょうど紺野さんのお話がそういう感じになってきたので、たぶん私、多少は役に立てるかと思います。

まず、仕事と人生どちらが大事かという話は、特に緑山さんがおっしゃったことと全く同じことを考えていました。仕事と人生で言ったら人生が仕事を包括しているというか、人生の中に仕事があるという風に考えているので、ひっくるめて人生が大事だというのが僕の答えです。だからどちらが大切かというのは、僕はまちがいなく人生全体が大事だなと思うので、短いですけど、それが僕の一つの答えです。

そういう自分の人生を大事にしようと思ったら、それを動かすのは結局自分しかいない。

この1ヶ月、毎日日記を書きました。今までは、書かなあかん、って言われて、義務感で書こうとしていたので、全然続きませんでした。
でも、今回は、違いました。
『日記を書こうとしている自分』『人生を動かしていく自分』を突き詰めていくと、そもそも『自分』のことがよくわかっていない、ということがわかりました。自分をよく見てないよな、とか、どうやったら自分をもっと深く理解できるのか、そこを渇望したので、自然と継続して書き続けることができました。何の苦も無く、書いていて面白いな、ということがわかってきました。
言葉で伝えるよりも説得力があると思って、経過報告資料をつくってきました。

(配る)

これは僕の9月の1ヶ月間の日記とか日記の中のキーワードみたいなものを書いています。
左側はさっき先生がおっしゃっていたような毎朝テーマを設定して、将来とか自分ということについて考えてみるということをやってきました。書けていない、空白のところはできなかった日もあるということです。
右側は、感情をそのまま積み上げた生ごみということで、仕事とか日常で感じたことを振り返り、その中からキーワードを拾って資料用にまとめました。最後に1ヶ月の所感を書いています。
一番上に書いてある図は、私のテーマが「信管に当たるまで掘る」ということなので、同心円状の中心が信管で、スタート地点の今はちょっと中にあるということを表しています。
この資料をつくることが目的ではないんですけど、実際の日記はどういう風に書いているかと言いますと、こんな感じで書いています。(日記の実物を見せる)
一日一ページになっていますが、足らなくなったら、別のノートに飛ぶようにしています。

こういうのを書いていたら、自分の過去というか歴史をちゃんと残していきたいなと思ったんで、「自分ノート」というのを作って、1日1ページ見開きで自分が0歳の時からいまの46歳までのノートにして、そのときの家族構成とか所属とかスキルとか思い出とか、思い出しては書いていくようにしています。こんなん書いていると、自分の父親が今の自分の年齢の時はこんな環境だったとかいうのが面白くて、コツコツやっていこうと思いました。
1ヶ月やってみて、今までこんなことやってなくて知らない間に過ぎてしまって、先生おっしゃるように「楽しい」と感じます。だから紺野さん、今自分についてすごく「どうしていくんや」と思っておられると思うんで、やらなあかんことは自分のことは自分でしか出てこないと思うんで、思いつくこと何でも日記に書いてみたらめっちゃいいかなと思いました。
万年筆、いいです。ボールペンに比べたら滑るように書けるからです。嫁さんにもらった万年筆なので、大事に使ってます」

蒼天先生
「今日の功労者、主人公は緑山さん。それから最後のまとめは上手にしてくれはった墨田さん、敢闘賞。だと思いますが、みなさんどうでしょうか」
(うっかりしていましたが敢闘賞がもう1人、白石さんです。野球チームをつくって頂いた)

(会場、大賛成の雰囲気)

 

「自分の歴史を残したい」というのは墨田さんの非常に個性的なところだと思いました。
なかなか、これは自分には出てこない発想で、どちらかというと、隠したいというか、文字にしていくのが苦しいというか。
日記を書き始めてからは、自然とそれが自分史みたいになっていっているので、まあ、仕方ないとして、それ以前の闇だらけの自分、いつか蓋を開けるときが来るのかな、来ないのかな、と思いつつ、お話を聴かせていただきました。
改めて、日記はすごいと。日記を書くと、闇だろうが光だろうが、全部文字にして、一度取り出して俯瞰することになります。結果、大体の闇は振り返ると笑えることだったり、光だと思っていたことが単なるうぬぼれだったり、自分にとって想定外の結果をもたらすのです。そして後者が真実ではないかと思うのです。
そして、自分が、どんどん自分に対して、そして他者に対して、心を開いていっていることを実感している今日この頃です。巷ではそれを、「おばちゃん化してきた」っていうのかな(笑)。

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