読むドラマ(議事録)

相手を知ることは、自分を知ること。
年齢も業種も異なる経営者たちが、月に一度つどう目的はただ一つ。
決して一人ではたどり着けない月面「本当の自分」に降り立つため。
これはそんな経営者たちのリアルなやり取りから生まれたドラマ(議事録)です。
(禁:無断転載)

 第143回 百年企業研究会内容(2021/1/21)

1分間スピーチ

【水島】
年末年始、特に何もなく、ずっと家にこもっていた。今年は奥さんの実家への帰省もなく。
母親は年末年始も入院のままで。寂しいやろうなと思いつつ、どうしようもないので…。
年末に家族で陶芸体験へ。ちょうど昨日焼きあがって送ってきた。facebookにアップしたのでまた見ていただければ。なかなかクリエイティブな感じで楽しかった。

【白石】
今年は年末バタバタして、31日まで全員で仕事。その分1月は始まりがバラバラで、全員そろったのが12日。7日に緊急事態宣言が出て、立ち止まり感がすごく出ている1月の始まり。
まぁ健康的には、正月太りしました。顔パンパンになってるんで、ちょっと具合悪いな、と思いながら過ごしている。

【蒼天先生】
私も今年のお正月はどこからも来客がなく、非常にいいお正月だった。
今年からFacebookにコラムを書き始めた。原則毎週月曜日に皆さんにお伝えする予定。特に変わったことを始めたのはそれぐらいで。あとは僕も若干肥え気味。

【紺野】
特に大きな変化なし。12月はちょっと凹んだが、1月もあんまりよろしくないかなぁという感じ。取引先の話だと、今年は2019年度比の90%ぐらいには戻るんじゃないかなという予想が出ているので、それを期待しつつ、コロナを意識して今年も行こうかな、と思っている。

【墨田】
例年に比べると、昨年の年末は大分落ち着いて時間をとることができた。
毎年年始が期の始めなので、年始の集まりの時に方針発表とか、今年こうやっていこうということを全部発表する日を設けている。そのための資料作りも、落ち着いてできるようになったというところで、今年の事を考える時間をたくさん持てた。
そのときに年頭の所信、会社のテーマ、自分のテーマ、それからみんなにも自分のテーマを話してもらう機会にしているので、所信はすでに短冊に書いている。

【緑山】
いつも年末年始は毎年魚釣りに出て鯛やハマチを釣っているが、今年は福井県日本海側が異常な大雪で全然釣りにも行けず。
1週間前から風邪を引いて、熱さえ出なければ大丈夫だろうと思っているが、コロナではないと信じて、出勤してます。
孫の保育園でひとり、陽性者が出て、通園できないんで、預かって世話したり、その程度の変化かなと。

【山吹】
とりあえず12月、多忙だった。
食品関係は、12月が一年間の総決算、自分自身のやってきた成績が12月にでるということで、現役時代と同様の忙しさになった。
今年は孫も帰省できず、31日から3が日、外れてもともと、という覚悟で仕事をした。
鴨鍋・雉鍋、徒歩圏内のテイクアウトのお客様があり、来年に続けられる手ごたえを感じている。
コロナとともに試行錯誤したら、ええ商いになるかな、そんな風も吹いたなと、いう感想。

【黄金】
私の年始、ほとんど家にいて、ゆっくり過ごせた。今年の自分の所信とか、考える時間がいっぱいあった。
そんな中で、自分の中の大きな変化ではないが、ただ思考がね、かなり深くなってきたかなぁ、と思って。先生には、今更何言うてんねんと言われるかもわかりませんが(笑)。
今まで追いかけてきたものが、「違ってたよな」、って冷静に見られる。答えは今ちょっと探してる、答えを出そうとしてる途中。そういった面ですごくいい、深い思考ができた休みだったなと思っている。
会社の業績的にはやっぱり厳しいというか。
前年12、13%落ちというところで来ている。ただ我々のビジネスは、テレワークとか、デジタルシフトとか、そういったものを扱い、提案できる会社なので、やるべきことは決まってい。だからこそ、捨てるものは何か、思考中。
売上は追いかけるなということは以前から言われていたけれども、まぁそれも実感としてわかるし。
やっぱり人の役に立てることをしっかりやらなあかんなぁということをつくづく考えている毎日。
それで私はですね、実は…痩せました(笑)


太る人あれば痩せる人あり。
「オートファジー」という言葉をご存じかもしれませんが。
1日24時間の中で、16時間、何も食べないという時間帯を作ると、飢餓状態になった細胞が、新しく生まれ変わることができる、という体の仕組みだそうです。
そうなると、細胞内の悪いたんぱく質、感染症を引き起こす病原菌が掃除される。免疫力が高まり、生活習慣病を遠ざけることができる、というものです。
後の8時間は、制限なく食事をすることができます。睡眠時間も併せての16時間ですし、水分とナッツ、ヨーグルトなどは食べてもよいとのことで、1週間前から実践しています。
詳しくはアスコムから出版されている「『空腹』こそ最強のクスリ」青木厚、をどうぞ!
もちろん、やせるという効果もあるみたいですが、何より集中力が高まりますし、頭がすっきりしますし、身体がポジティブになっている感じです。ぜひおススメしたいと思います。


藤崎さんは、昨年7月から休会。久しぶり、半年ぶりの出席。
【藤崎】
皆さんの成長ぶりを見て、私だけどんどん遅れていくな、と思いながら見ていた。
私自身、成長していないわけはないと思うが、皆さんのスピードには到底ついていってないだろうな、と思いながら本日参加している。
去年の正月に静岡県の日本平で、偶然「平澤寺」というお寺に出会った。これは何かのご縁と、毎年お参りすること。今年は家族でお参りした。
仏さまにおすがりするというわけではないが、1年の祈願をするというのは気持ちのいいものです。
会社は非常に忙しくて、右肩上がりで売上が伸びて「しまって」いる。私は非常に残念だと思う。本当は皆さんのように、コロナによって考える時間を得られると思っていたが、とにかく忙しくてそういう時間もなかった。
会社のメンバーは18人。増えています。その影響もあり、色々変化してきている。
そんなお話も、後程。

 

2021年の所信表明

例年は、短冊に今年の所信、目標を書いて、順に発表していますが、今年はリモートでの開催のため、口頭での所信表明。
蒼天先生たってのご希望で、黄金さんからのスタートとなりました。
「僕ねぇ、黄金さんから話が聞きたいんやわ。
ワクワクするような感じやね。
もうむちゃくちゃ嬉しくって。早く嬉しい話が早く聞きたいと思うんで!」

 

【黄金さんの所信表明】

大変ハードルの高いご指名でありがとうございます。
「LOVE ALL さぁ、始めるぞ」
ということで。

僕やっていた卓球では、始めるとき、「LOVE ALL」からはじまる。
まぁいうたら、さぁはじめるぞ、と。本番はこれからや、という意味で書きました。
今までずっとビジネスしてここまで来た。
遅いかもしれへんけども、やっと全部要件も揃ったし、さぁ、やっと自分の本当にやりたかったこと、やりたいことをこれからやるぞ、ということで。
0-0から。これからスタートやなという意味で。

「さぁ、始めるぞ」は、審判が「LOVE ALL」といって相手がサーブを出すんです。「LOVE ALL」という言葉がスタート。
本当に、これからやっと試合が始まると。
今までの、ここまできた紆余曲折、曲折ばかりやったかもわからへんけど、遠回りもだいぶんしたんですけど、
やっとまぁ試合にこれから入るぞ、という意味で、「LOVE ALL」と。

まぁやっぱり戦いですので、勝利を目指す。その中には戦術とかいろいろある。
この前の土日ね、日本選手権を見ました。

すごい戦いだった。女子シングルスで、石川選手と伊藤選手が試合をして。
伊藤さんは20歳。世界ランク3位です。中国の選手にも勝てるぐらい日本で言うすごい実力の持ち主なんですけれども。
対する石川さんは27歳です。10年前もチャンピオンになっておられる。この5年間ほどは負けていたけれど、今回優勝された。
7つ年下の子に対して、「向かっていく」。
「私より強い選手なので、胸を借りる。強い選手と対戦できるのが嬉しい」
すごく謙虚で、それでチャレンジャーという意味で頑張られたんです。
卓球はチャレンジャーが勝つケースが多い番狂わせの多いスポーツで、メンタルがすごく大きい。

試合後のインタビューの中で、「自分は終わったと言われていた。あの戦い方では世界では勝てないと言われて、ムリかなと思っていたけれども…」と言われていた。
彼女の言葉が非常に私に刺さった。「常にチャレンジをしていく」「年齢は関係ない」「自信になりました」。
やっぱり自分ももう一度チャレンジャーとして、ここからが本番やというイメージでスタートしていきたいなということで、「LOVE ALL さぁ、始めるぞ」、にしました。

【蒼天先生】
いやぁよかった‼
まさに今年からですな。年齢は関係ありませんわ。気がついたときから始めたらいいんですよ。いやぁ、顔つきも変わった!

蒼天はもっと言いたかったが、涙が出そうになったので、ひとまずここで止めた。
長い道のりだった。でも、ちょっと込み上げてくるものがあった。嬉しかった!

【黄金】
あのね、田中先生のコラムを読んで、すごい刺激を受けたんです。
先生も実は言うてはること、昔と変わりましたからね(笑)
でも年齢とかね、全然関係ないし、今始めようと思ったら始めたらいいんですしね。
そういう風につくづく感じてるし。そのためには勇気を持ってチャレンジせないかんので。
捨てることも勇気持たないかんなと思ってて。そこはまず、一番最初の勇気を出すところかなと考えてます。

【蒼天先生】
いやぁ、相当迂回したけどね(笑)。水もよう捨てられなかったからね、昔は(笑)。
それでいい。迂回すればするほど味が出てくる。
迂回は決してムダではない。僕も迂回ばっかりしてるから。

【藤崎】
こんな社長が会社の中にいたらいいだろうな、と思うような顔をしてますので、この顔ずっと続けてください、本当にいいと思います。
会社の中が暗くならない。幸せな会社のような気がします。

【白石】
僕も見てて、前まではいつも難しい顔をしてはったんですけど、夏終わりぐらいからいっつも笑顔で。新年このモニター越しで会わせてもらって、最初から笑ってはったっていうのがすごい印象的です。なにかありはったんやろな…。

【黄金】
なにもない!(笑)

【蒼天先生】
人間ってね、きっかけがあったら「ぐわーっ」と変わるんやって。だから人間が変わるということは、みんな可能性があると思うから。

【墨田】
僕の大先輩みたいなところで、よく似た部分を持っておられるんで(笑)。みなさんと同じような感想はもちろん持ってます。
手始めに、これ一個だけやろう、と思っておられることがあれば。

【黄金】
言ってなかったんですけどね。途中でやめたらかっこ悪いから…。
実はね、日記を書こうということで、1月1日からはじめました。本当だったら時間かけてきれいに書けと先生からも言われてたんですが、まずまぁハードル高いから、とりあえず書こうということで、書いている。
その効果かどうかはわからないけれど、整理ができると言うか、思考が深くなると言うか、1日1日のことを意識すると言うか、自然に意識するようになるので。振り返って読み返したりは全然していないんですけど、まず書くということを始めた。
一番行動で変えたのはそこです。

それと、会社の事業としては、さっきも「辞める」と言いましたが。
うち、創業は文房具屋さんです。その文房具を辞めるぐらいの変化をしようかなと思っている。

お店を初めて62年経つ。
文房具屋で始まったのだから、文房具を売るというお店の業態は、絶対辞めたらあかんもんや、僕は心のどこかで、そう思い込んでいた。
でも、そんなものにしがみつくよりは、社員のみんなのことを考えたほうがいい。当然ビジネスとしても、「ここは絶対こうなんや」と凝り固まったり、絶対変えへんという頑固とか、それは不要で、柔軟に考えようかな、と今は思っている。

よくよく考えたらみんなわかること。文房具屋さんなんてあるか?と。BtoBやったらアスクルとかAmazonで買えるよと。特にコロナ禍で、店に出かけへん時代になったのでね。
そんな中で我々がお客様、地域の皆様に貢献できているかというと、やっぱりできていない。ご来店のお客さんの数は、完全に減っている。じゃあそこに凝り固まっているって、おかしいんちゃうかとかね。今まで考えも及ばへんかったようなところまで、「これって僕今まで正しいと思ってたけど、違うんちゃうか」とかね。そういうことを思う。

細かい事業を辞めていこうというのは決めている。究極、お店のありかたも考えなくてはと思う。「絶対」なんかない。

【墨田】
ありがとうございます。大きい一歩だと思います。

【黄金】
ええかっこばっかり言うてごめん(笑)

いえ、いちいち「謙虚かっこいい」です。同席できなくて残念でしたが、最近音声も動画も残してもらっているので、リモートの例会に感謝します。

【蒼天先生】
一番に言うてもらってよかった!(笑)

よきお話、ありがとうございました!
曇り空が一気に晴れるような発表、しみました。
大先輩の軽やかなステップを見ると、自分もまだまだ踊れる、という強い気持ちになれます!
全日本選手権、私も見ました。卓球は小学生の頃、公民館でやって以来、ほぼやったことはありませんが、そんな自分でも、涙の止まらない試合でした。スポーツも、そして音楽も、生きる力、エネルギーをもたらしてくれます。私にとっては不要不急ではなく、生活必需品。そんなすごい試合でした。
卓球用語がそのまま所信表明になるって、めちゃくちゃ卓球人間ですやん。
私からすると、LOVE ALL って、「みんなに愛を」みたいな意味に感じてしまいます。

 

【緑山さんの所信表明】

短冊は、ご覧の通り、白紙。
思いつく単語、全然こうピンとくるのがなくて。どうしたもんかというところです。
「心躍る変革」みたいなことにしようかなというイメージだけはできているけれど、全然面白くないだろうから…。
毎年短冊、去年と一昨年と2回、書いたけけど、2回とも合格点をもらえないまま、修正せずそのままダラダラと過ごしてきたので、今年はちゃんとやろうと思っているが…。
惰性で来ているというところもあって。次回までに練り直して考えたいと思っている。

【蒼天先生】
具体的なことが聞きたい。

【緑山】
具体的なこと…。
いまのところ仕事上の数字のこととか、人のこととか、そういうことばっかりしか年頭から考えてないんでね…。なかなかちょっと…何をするというのが今のところないですね…。

【藤崎】
「心躍る変革」、出てきた背景というのが何かあるんですよね?

【緑山】
まず最初、別々にいくつか単語を挙げていた。
「心躍る」というのは、仕事においても、水島さんのキャンプのように、自分が楽しいことに打ち込むとか、そういったことをイメージしていた。
「変革」というのは、とにかく自分が変わらないと、周りも変わらないし、お客さんに対しても、変えていけない、ということから。
変わらないといけない、というのはわかっている。甘い…甘い考え方で生きているんだろうな、とは思う。苦手な分野です…。毎年これ一番苦痛…。(笑)

【水島】
非常によくわかります(笑)。ちょうど去年、短冊に「心躍る生活を送る」と書いて、みんなからすごくバッシングを受けたんで(笑)。
「心躍る」がかぶりましたね。でも、ワクワクするという意味では前向きな内容で、プラス、「変革」で、なにかいい方にいい方にやっていきたいという思いがあるんだろうな、と思う。今まで仕事仕事で真面目にずっとやってきたっていうのが、ちょっと楽しさみたいなものを出していきたい、という思いが溢れ出ているんじゃないかな、と僕なりに解釈しました。

【墨田】
短冊が苦痛やというお話。僕も前はそうでした。
この会に入って長い年月、最初のうちは何出しても無茶苦茶言われて、それを認めてもらうのが目的、みたいになっていて、それが嫌だった。
やっていくうちに、書いたらそのとおりになるな、ということに気づいた。自分はこうしたい、こうでありたい、今年はこれで行こう、と思うことを、心のままに書くと、ずっと意識してるから、1年後、振り返ると結構そうなっている。社員みんな、同じことが言える。
そうなると、逆に書きたいことがありすぎて、絞るほうが大変になって来た感じ。
たぶん緑山さんにも、いっぱいやりたいことというか書きたいことはあるはずで、これ言うたら怒られるんちゃうか…、とかあるのでは?

【緑山】
あるかもわかんないんですけど。文字に起こすというのが苦手なんですかね…?

【蒼天先生】
一言いうけど。
緑山さんも実力ある。ただね、まだきっかけが掴めていない。黄金さんみたいにきっかけをつかんだら、がらっと変われる。元々あなたは実力があるんやから。
だからそのきっかけをつかむということについて、僕はなにか新しいこと、例えば日記を書き始めるとかね。そういうことを始めれば、日記を書きながら自問自答を繰り返しながら、はっと気づく時があると思う。そういうことをやられたら、すぐきっかけが掴めると思う。
もともと実力あるし、会社の中でもそういう立場におられるんやから。だから、まぁ目先の業績も、対人関係も大事だけども、まずは自分の時間を取って、僕はやっぱり日記を書くのが一番いいと思うわ。そしたらすぐなんか引っかかりますわ。なんやこんなしょうもないことやってたんかとか、あぁ、こんなことやったらよかった、とかね。
その時にひらめきが出てくると思う。そういうことを取り組まれたらどうでしょうか。

【緑山】
去年、実は「こそっと」日記は45日、1ヶ月半だけ書いてみました。あまりにも毎日同じことしか書かなくて。しょうもないことしか書けなかったんで、だんだん嫌になってきて辞めてしまった。

【蒼天先生】
それは毎日同じ意識で仕事しているから。同じ意識で仕事をしていたら同じことしか書けない。
だから意識を変える。今日は失敗してもいいからこういう考え方で仕事しよ、とか。そういうことに取り組まないと、なかなか前に進まない。同じ意識で毎日仕事をしていたら、きっかけをつかめないので。
PDCAはいらん、DCだけでいい。「Do」と「Check」。そのC、チェックができてない。やりっぱなしになっている。だからそこの意識を変えられない、大きなポイントがあると思います。
同じ日は絶対にない。なにか毎日小さくても新しい課題が出ているはず。それに気づくか気付かないか。
気づいても書かないから、忘れていってしまう。いわゆるエビングハウスの忘却曲線。
だからそこのところで、今年は工夫されたらどうかなと思います。言葉の問題ではない。

「変革しよう」という意識はあっても具体的な話ができないというのは、結局ね、意識があっても意識だけで終わってしまって…ということではないでしょうか。
意識が変わった次に、考え方を変える。自覚して、意識が変わって、考え方が変わって、行動が変わる。行動が変わるためにはプロセスが必要。

でも、今までキャリアを積んでおられるから、根はいっぱいある。
それに気づいてないと言うかな…。だから短冊が嫌いになる、ということだと思うので、ひとつ、もう一度考え直してもらったらどうでしょうかね?

【黄金】
緑山さん、できる人で、仕事もできてね。
この前のコミュニケーションの話のときにも、色んな話をされた中で、自分の物差しをしっかりもってはるから。もしそこの価値観だけで判断していくと、世の中が大きく変わっていく中で、ついていけてない、という部分が出てきてるんちゃうかな、と。

まぁ言うたら、今の音楽なんてそうじゃないですか。
昔はミリオンセラーとかあったけど、今は音楽配信でいろんなところで配信されてるから、いろんなアーティストがいっぱいいて、全然知らん歌手が紅白に出る世の中じゃないですか。本当に多様化の世の中。
その中で、緑山さんとか僕らの年代は、古い価値と新しい価値がちょうど交錯するぐらいの時代に生きてた。自分の物差しがしっかりとあって、時代に合わせてそれを変えていけない部分があるのかなと思う。
僕らの世代の「正義感」。信号無視をするヤツ、マナーを守って煙草を吸えへん奴。「あいつほんま…」って奴が許しにくい。そいつが悪いんですけど、そいつを許せへん、って思ってたら、自分がしんどくなりますわ。
そんな奴は、自分で気が付いたり、自分が痛い目にあわへんかったら、注意されても直さないじゃないですか(この前は痛い目にあわさはったみたいやけど(笑))。
結局、緑山さんは正義感があるし、仕事もできる人やから、どうしてもそういう物差しの中で物事図ろうとすると、なにかしらぎくしゃくしたものが生まれてくるのではと。

長嶋選手が名監督にならなかったという話もあるし、栗山監督が日本ハムを何回も優勝させたというのもある。
いろんな世界で、ものさしの価値観が変わってきてる。緑山さんも自分の価値観をね、もうちょっとゆるめたらいいのでは? そうすると、なにかそこに新たな芽が出てくる。

僕が日記を書くのは、とりあえず何でもいいという前提で書いている。まぁそれもありやなぁ、と。何かを得るとか得ないとかじゃなくて。
緑山さんの気持ち、ようわかります。本当に自分の思いが字にできないというもどかしさはよくわかるので。
ただ、僕らの歳にありがちな正義感は、悪くはないけど、物差しをもう少し変えるというのも手ちゃうかな、と。そうやないと緑山さん自身がしんどくなりますわ。
そんなことを思ったりする私です(笑)

【緑山】
ありがとうございます。なんか的を得ているような気がします。


「自分の思いが字にできないもどかしさ」それは年代を問わず感じるものだと思うのですが、それを克服するやり方は、世代によって、また個人によって、また危機感の度合いによって、アプローチは色々あるんだなぁと思いました。
自分の所信を「文字にする」にした年に感じたのは、結局のところ、自分に向き合うこと、自分を知ること、がその出発点かもしれない、ということです。
たいがいのことはアウトソーシングできますが、自分と向き合い、受容することは、自分にしかできない。大好きな自分もいるけれど、情けない自分もいる。そんな自分をいいとか悪いとかで評価せずに、最後までまるごと付き合っていくのは、自分しかいない。逃げられない。
一般論として、いろんな答えはお釈迦様が持っていたり、本に載っていたり、人からの話を聴いて追体験したりできる。でも、結局答えは自分の中にあるし、それを探していく旅が、「思いを字にする」ということなのではないだろうか、と思いました。
少々本題から外れたかもしれませんが、「思いを文字に」というフレーズに引っ張られて、発言させていただきました。

【蒼天先生】
あのね、一番手っ取り早い方法。一年間仕事を怠けましょう。いろんな攻撃を受けましょう。いろんなところから。頭叩かれましょう。目醒めます。意外と近道かもしれません。
怠けるというか、心を緩めると言ったほうがいいかもしれないな。まぁこれは無責任な言い方かもしれないけどね。

【藤崎】
休会期間に議事録とか見させていただいて、緑山さんの変化を感じているというか。元々から持っているものが出てきたな、という感じ。
今あれ? なんで出てこないんだろう、って思ったんですが。普段してる仕事って面白くないんですか?

【緑山】
面白いですよ。飽きてきてる部分はちょっとはありますけれども。

【藤崎】
そこが「心躍る」になってるんですかね。何か変えてみたい?

【緑山】
個人に保険を販売する、から、法人に保険を販売する、というように、お客さんのウエイトが、法人の方に傾いている。もっとより法人に特化していこうという風に、変化していく中で、それが新しく覚えていくようなことがあって、面白くなってきている、というところではある。短冊は一ヶ月かけて仕上げます。

 

【水島さん所信表明】

「面白くなるまでやる」
先月、カメラマンさんが楽しそうに仕事をされている、という話をさせてもらった。突き詰めてやっている人は、楽しそうだし、クオリティも高いし、いいよね、という話。自分に置き換えると、そこまでやり切ってない。
趣味にしろ仕事にしろ、最初それを始めたときに、楽しさがぎゅっとくる。そこからいったん「中だるみ」して、飽きがきたかな、っていうのがあって、それをさらに深めていくと、楽しくなっていく、そういうグラフというかM字みたいな曲線が描けると思う。「興味の谷」があって、結局自分はそこの谷を越えられていない。
アスリート脳の人はそこを越えられる人。鍛錬して鍛錬して、そこに楽しさを見つけていける。例えば墨田さんのアイスホッケーとか、黄金さんの卓球とか、学生時代にガンガンやってた人というのは、そこを経験されてるんじゃないか? 自分がなかなかそこがやり切れてない、まだ越えられないのだと思った。
研究とか、自己研鑽とか、能動的に何かをやってきてなかったことを反省している。
仕事上での案件、オファーに対しての試行錯誤や研究というのはするんですけれども、オファーがなければそういうことをしない、という感じになってしまってる。 
自分の中での遊びがなく、やらされている感、やっているだけなんだと思う。面白い、というところまで持っていけてないんだろうなと。
仕事の中でのやりがい、作っていたものが動いた、お客さんから評価された、という喜びはもちろんあるが、ワクワクする、自分がおもしろくなるまでできているかというと、できてないかなと。
昔はもっとサイト作りは面白かった。学生時代、趣味でサイトを作っているとき、こんなん足してやろうとか、こうしたらおもしろいのでは、と趣味全開でやって、楽しかった。
それが仕事となると、遊びの部分をそぎ落とすようになってしまった。これは無駄だとか、もっとシンプルにしようとか、お客さん的にはそういうサイトでもいいと思うが、遊びの部分を入れていかなくなってきている。こんなんしたらどうですか?という提案もちょっと減っているかもしれない。
そのへんの引出しを増やすという意味も込めて、自己研鑽をして面白くなるまでやる、遊び心を持ちながら、自己研鑽をやっていくという感じにしていきたい。

【蒼天先生】
質問やけど。水島さん、仕事に人間の感情は必要と思ってる?

【水島】
必要だと思います。

【蒼天先生】
思うよね。今年はね、小説を読みまくらへんか?
あなたの言葉から迫力を感じない。文学書を読んでね、人間の本質のところをね、学んでほしい。いわゆる昔からある文学書ね。僕はぜひそれをお勧めしたいです。

【水島】
小説ですか? 思ってもみなかったところだったので、読んでみます。

【蒼天先生】
人間って深いと思うから、それを実際肌で感じるというのは、文学書をじっくり読んだときに僕は感じるんじゃないかなと思う。そうなると、自分の人間としての幅が出てくるのではないか、幅が出てくると、仕事に対する見方考え方も変わってくるかもしれない。ぜひ僕はそれを提案します。

【紺野】
「面白くなるまでやる」、いいなと思う。私も興味の谷間があるが、同じ。そのときは無理せずほっといて、何かのタイミングでまた好きになったときにやり始める、ということをしている。
伊達公子さんがテニスを続けたいから一回辞める、ということも聞いたことがある。ずっとやっていると嫌になることは必ずあるので。

【水島】
紺野さんとかは、剣道をやってこられていて、アスリート脳があって、やり通す信念を持っておられると思う。そこを自分も培わないとな、と。

【紺野】
剣道の話がでましたが、高段者のすごい先生、強い先生がいらっしゃる。私から言うと雲の上の人なんですけど、その先生に、負けるとわかっているんだけど、向かっていかなくちゃならない。それをずっと繰り返すんですよ。そうすると、攻め方がわかってくる。自分が高まる。もともと追いつかないんですけれども、そういうこともいつかはやらなくちゃならないのかなと、思うこともあります。

【藤崎】
質問させてください。
聞いていて仕事おもしろくなさそうなので(笑)。気になってしまうんですけど、どうしたら面白くなると思う?

【水島】
面白いなと思うところもあります。しかしどうしてもチェックマン、みたいな感じで粗探しばっかりしているところがある。スタッフが上げてくるものの粗探しとか、お客さんからの原稿の「粗探し」ばっかしてるなと。そういうのがやりたいわけではないのに。
お客さんに、こういうのやりましょうよとか、提案をして、喜んでもらったり、ディスカッションをして何かを作り上げていくのは、とても楽しい。結構難しい注文が来ても、個人的にプログラムを組んだりして、それを何とかこなして、できました、すごいね、よくできましたね、みたいな感じで喜んでいただくのはとても嬉しく、楽しいなと思う。
チェックばっかりしていたり、ここもっとこうしてください、みたいなことばっかりやってるのが、ちょっと違うかなという。

【藤崎】
例えば、スタッフがすごく成長して、チェックなんかしなくてもいい人たちになっていったら、楽しくはないですか?

【水島】
いやそれは楽しいですね。そうなるとだいぶ手が離せますし、楽になるし、スタッフの成長という面でも嬉しいですし。
それが楽しいか?といわれると、嬉しい、が勝ちますかね。

【蒼天先生】
僕気になるんやけどね、前回も今回も「粗探し」って出てきたけど、「粗探し」という仕事の目的って何?

【水島】
ミスをなくす、っていうことですかね?

【蒼天先生】
そこや問題は。ずっと負の考え方やんか。
例えば、それを「粗探し」じゃなくって、新しいものを作り上げる、というそういう発想にならないんかな? よりよいものを作り上げる、そういう意識がそこにないわけ?

【水島】
それはもちろんあります。クオリティを上げようという。

【蒼天先生】
しかし、「粗探し」という言葉が出てくる限り、その発想を持って仕事をしてる限り全然前へ進みません。
「粗探し」じゃなくて、それは新たなものを作り上げるという発想が必要。新たなものを作り上げるためには、単にチェックじゃなくて、プラスこうしたらどうか、あるいは物事の本質をもう一回見直して、視点を変えてもう一回見てみよう、とかね、そういうものが出てこないとね、ワクワク感みたいなものは出てこないからね。
基本的に一回上がってまた下がる、「興味の谷」というが、下がるなんてことはあり得ない。本当に好きな仕事なら「のぼりつめる」 本当に好きな仕事で、途中で下がるとしたらね、それはね、本当に好きではないか、或いは向学心がないか。
下がるという現実は、そもそもあなたの仕事の最も大きな問題の部分で、考え直さなくてはならない部分だと思う。
好きな仕事はね、絶対に下がりません。それが基本です。
その辺考えなおして、だからさっき小説読んだらどうですかといったのはそういうことなんです。感情的に仕事をしてほしいんです。仕事に感情を込めるというか。あなた自身の感情が豊かでなかったら、こめられないからね。そこのところ、今年は課題として取り組んでもらったらなと思います。
根本を変えないとだめだと思うから、そこから変えていかないと仕方ないかなと。読もうよ面白いのを。

【水島】
無機質な感じがするんですかね?

【蒼天先生】
デジタル思考すぎる。アナログと使い分けないと。基本の部分はデジタルでいいだろうけど、プラスアルファの部分は、感情が入ったほうよい。人間対人間の仕事だし、感動みたいなものを与えようと思ったら、やっぱりアナログの部分は発揮していったほうがよい。

【水島】
丁寧にしようとか、もめごとが起こらないようにしようと思ったら、感情を殺すことのほうが多いですかね。

【蒼天先生】
熱意の問題。一生懸命考えましたけど、ここまでしかできませんでした。の方がええと思う。そんな気がします。


文学作品を読むということについて。
ご存じかもしれないのですが、水島さんには、「中田敦彦のYouTube大学」を激しくおススメしたいです。文学や経済、歴史などを、参考文献をもとに紹介し、解説する動画投稿です。「7つの習慣」「エッセンシャル思考」など、自己啓発的な本から、夏目漱石の「坊ちゃん」太宰治の「人間失格」など、メジャーな近現代文学作品に至るまで、様々なジャンルの本が、生き生きとあっちゃんの口調でプレゼンされています。
これを見たら、あ、何か作品を読んでみよう、ってなるのでは…?
私は夏目漱石が大好きで、最近YouTube大学で漱石の作品を観たのですが、あー、こういうことだったの?と、目からうろこの読み解きがあったりして、かなり新鮮です。
友情や恋愛といった人間関係の機微を、興味深く学べる本として、漱石先生はその1冊に加えていただきたいなと思います。


【白石】
京都の人特有の言い方かもしれませんが、いい意味での「ねちっこさ」がないというか。ドライというか。
悪い意味での「ねちっこい」はよくないけれど、プラスの意味での「ねちっこい」のは、周りの成長にとても繋がるかなって思う。そこがドライで、デジタルな印象。

【水島】
お仕事として受けたときには、結構山とか壁に当たっても、なんとか乗り越えるまでやりとげるというのがあって、そのねちっこさはあるかなと思います。
オーダーにはなかった機能をプラスでつけるときもあり、そういうときはお客さんに感謝され喜んでいただくところはある。
先生の言われるように、その一方で、ねちっこくないところというか、さらっとデジタル的に事なかれ主義的な感じで、すっと流してしまうところがあるので、たぶんその部分があんまりよくないんだろうなと感じる。

【蒼天先生】
もうひとつ付け加えると、文学作品を読んでほしい理由に、日本語の豊かな表現を吸収してほしいということがある。
そういう部分で、もっといろんな表現ができたり、人と人の細かい部分までね、心のひだの部分まで触れられるような仕事をしたら、同じ仕事でも、受ける印象は全然変わってくる。言葉っていうのはひとつの大きい部分だから。

【山吹】
私は仕事は、楽しくなかったら全然できません。仕事できないから、おもしろくなるまでやる、というこの気持ちが今ひとつわかりにくい。やった仕事に関しては、採算は度外視、楽しい。楽しいからできる、というほんとに単純な人間なので…。

【水島】
そういうところまで行きたい、本当に目指すところだと思います。


山吹さんの達観。というか。きっと究極はそこなのかなあ!
単純な人間とおっしゃいますが、もともと自分は単純なくせに、無理やり難しく解釈したり自分で難しく複雑にしてしまっているところがあると思います。環境とか周りのこととか、いろんなことの顔色を見たり、他人のせいにしたりして。
そうやってめちゃくちゃ複雑にいっぱい考えて、複雑さとか細やかさ、面倒くささを知ったうえで、一周まわって単純になる。素直になる。それが「よりよく」歳を重ねるということかもしれません。


【黄金】
僕とか緑山さんは、水島さんの言ってるその部分というのはね、なんとなくうらやましい部分はある。
厚み、は経験すると自然に出てくる厚みもあるので、何かの手段を使って得るものではなくて。近道があるわけじゃなくて、いろんなことにチャレンジして失敗して、経験を重ねるのがいいんじゃないでしょうか。答えを求めて、体験するんじゃなくて。
キャンプもそうでしょう。「キャンプに挑戦したからこれが身につきました」とか、そんな簡単なもんじゃないと思うんで。
おもしろくなるまでやるのは、僕なんか、楽しいというよりは、プレッシャーの中で生きてきた人間やから、これから楽しもうと思ってるくらいやから(こみ上げる笑い)。
面白くなるまでやる、そこじゃないんじゃないかなと。
ボキャ貧かな。だから、本を読んだらいいのでは?


決めつけるのはよくないのですが、水島さんの中にある「面白い」が、
「お客さんのために、面白く」
「家族のために、いい人に」
「家族のために、稼げるオトコに」
「受注の絶えない、みんなからモテる会社に」
という、他人軸の価値観に振り回されて、「水島軸」の面白さが見えづらくなっていらっしゃるのかもしれません。
他人軸の着ぐるみを脱いだときに見える、自分で自分の体温を感じられる純生な水島って、いったいどんなんかな?(水島 純生:みずしま すみお  いい名前ですね)
まずは、ご自身が、ご自身に対してすごく興味を持たれることが大事なのかも。

自分へのメッセージもこめて、そんな風に思いました。
自分に興味を持つ、自分を好きになる、自分ととことん付き合う。
緑山さんの発表のときに感じたこととほぼ重なりますが、今自分がそういうことに向き合っておりますので、水島さんにも当てはめてみました。いかがでしょうか。

前半終了。15:40まで休憩

 

【白石さん所信表明】

去年は、「きっかけを繋ぐ」。

今年は、まだ何にも思い浮かんでいない。文章にもなってない。単語が少しちょろちょろのってる程度。
理由として、今頭の中がものすごく散らかっている。
コロナのせいにはしたくないが、仕事が途中で止まったり、立ち消えたり、中途で止まった仕事が急に再開したりとか、例年にないパターン。正直ちょっと自分自身の中に余裕がない。

10月ごろ、本屋で、日にち別に書けるような日記帳を見つけた。これを社内でみんなでつけたらどうなるかなと思って、購入した。
家計簿みたいな感じで、1ページに1週間分書く欄がある。で、それをみんなでまわしながら書こうと、工場のメンバー5人で回し始めて、この1月で3週くらい回った。
各自の日報は別にあって、それは自分の記録をとっているだけの、一方通行の日記みたいなもの。それとは違って、1冊のノートを、交換日記のようにまわしていると、従業員も職人も、今まで見えなかった一面が見えたり、考えていることがわかったり、ちょっと変な不満があったりとか、誰かが誰かを文字でほめたりとか、そういう現象が起こっている。
僕が書いたものが、次の人のお手本になってきていて、個人の問題が共通の問題になっていったりして、精度的には大した日記ではないが、順調に回している。

そうやって、より深く従業員の相互理解や、問題の共通認識が進んできているときに、短冊にまとめようと思うと、悩む。
短冊をだだ長く書くのではなく、僕自身のこと、会社のこと、ひとつにまとめたいというのがある。
短くみんなが内容を理解し、確認できるように書きたい。10文字くらいとか、心に響くんであれば4字熟語的なことを書くっていうのが一番いいのかなと思っていて、今すごい悩んでいる。今こう頭の中でいろんなことがめぐってるのが現状。

【藤崎】
これからの目標は何でしょうか?

【白石】
会社としては日本一になるとかじゃないんですけれども「毎日が楽しんでやれ」ということですね。

【藤崎】
じゃ、もうそれ達成しちゃったんですね。なので、もうやることがない、そういう風に聴こえたりします。そうではない? 今立ち止まってるんだ、というふうに見えちゃう。

【白石】
これ、という光を失ってるかもしれないです。

【蒼天先生】
僕ね、節目やと思います。だから、節目を経て次へ進む。そんな気がしました。その間に今までやってきたこととか考えてきたこととかぐっとため込んで、次のステップに進むという感じでは。

【白石】
会社としては続けていくつもりですが、今の立場で続けるべきなのか、僕はアシスト役に徹するべきなのかで悩んでいます。僕がいなくても会社が回るということはわかっているので。

【蒼天先生】
最終的な代表は白石さんがされるんですね? 仕事を任せてしまうということですね?

【白石】
そのほうが会社が伸びるのかな、とか。僕は問題処理やとか、勤めてる人のアシストをしてるほうが会社にとってはいいのかなと思います。

【蒼天先生】
僕は賛成ですわ。そういうコアになる方がおられたとしたら。

【白石】
今のところはそれになろうとしている子がいるのかな、とは思います。

【蒼天先生】
本人は自覚されていますか?

【白石】
なんとなくですが。問題は金額的なことがですね。給料ではなくて、機械が一つ何千万とか、動くお金が大きいんで、一個人が銀行と渡り合うとか難しいんかなと。
僕もやり始めの頃は、銀行さんとどう付き合ったらいいのかわからなかったし、まわりの先輩経営者からの助けがあったのかなと。

【蒼天先生】
突然ゼロから100にするんじゃなくて、
30,50、60,100にしていくとか、段階的にやる方法もあります。
現場の方、作業されてる方は銀行苦手でしょうね。それは、時間をかけてやられたらいいと思う。最初は日常のデリバリーあたりから、得意先との関係とか、物の仕入れだとか、そういうところから始められて、ひとつひとつ階段を登っていたらどうか?
ただし本人には、最終的には、1年先とかに全部任すからという覚悟を本人にさせないといけないけどね。ずっと社長もそばにいるんやから、それでいいと思いますよ。
白石さんには別の働き方があるかもしれないし。余った時間で何をするべきかというのを自分で作り出す方だから、そういう意味では面白いかもしれませんな。

【白石】
今年は短冊がうまく頭の中に駆け巡らないというか、単語とか、感じだけが走り回っているという状態なんです。

【蒼天先生】
来月考えてください。多分、来月、出てくると思いますよ。
できたら、キーワードという形じゃなくて、センテンスにされたほうがいい。文章でまとめたほうがわかりやすいと思います。
「きっかけを繋ぐ」という短冊、いいですね。僕はとっても好きです。

【白石】
去年1年間、これがなんか結構なくらいにうまいこと繫げたのかな、という感じでした。

【黄金】
言葉がつながるのではないですかね。今まで誰も経験してないことが起こっていて、目標設定するにしても、今よく価値観が変わるとか言われてるじゃないですか。
世の中がこれほどに変化が激しいので、言葉が降りてこないのは、白石さんが真剣に向き合っておられるからであって、焦る必要はないのかな、と思います。

【水島】
社員さんに権限移譲というのをして、白石さんが自由な感じになると、やりたいことが逆にできなくなる、ということはないですか?
サポート役が、自分のやりたかったことなんやろか?みたいなジレンマみたいなものはないですか?

【白石】
それはないって言ったらウソになるかな。
今までは僕がやりたいことをやってきて、会社が進んできたというのはある。
みんなといろんなことをするようになって、その中で、みんながやりたいことが出てきたっていうのが現状かな。
「社長こういうことチャレンジしませんか?」と「交換日記」に書いてくる人も出てきた。
そしたら、僕がやってること、やりたいこと継続しながらでも、新たなチャレンジとして、会社の柱になるようなことをしたら、本人もやる気が出てくるのかな、とも思う。

【蒼天先生】
要はね、サポートじゃない。社長業、社長としての仕事に徹するということ。
社長業に徹したら、視点が長くなり、長期で見えてくるから、今まで気づかなかったこと、新しいことが見えてきて、非常に面白いと思う。
実は藤崎さんにもやってほしいんやけどね。

【白石】
はい。
少人数でまわす交換日記は、一方通行じゃなくて、スクランブル交差点みたいな感じで、あっちこっちから意見が出て来る。
社内で1ヶ月に1回ぐらいの頻度でお茶飲みながら話すときには出てこない話題や本音が、数カ月の間に出てきだした。
うちの会社にとって、すごくいい評価。もともと一方通行ではないつもりでいたが、ある方向からの通行ができてなかったということに気づけた。
さらに全員での交換日記というスタイルもおもしろい。

【蒼天先生】
それができるのは「かぼちゃ」の経験があるからですよ。
かぼちゃの経験がなかったら、思ったとおり進まなかったと思う。聴いてて僕はそんな印象を受けます。それだけ内部の信頼関係ができてきているということです。
だからいろんな問題点、課題、やりたいことなどが共有化できたんだと思います。
いいタイミングでこういう「回覧日記」新しい試みができてよかったんとちがいますか?
次のステップへ行くプロセスの真っ只中ですね。

今回、回覧日記をしている会社って、初めて聞きました。簡単にできないことです。
どうせみんなに見られてると思うと、本音は書かずに、きれいごとだけ書いて社長が満足しているというのが一般的。だからやらないほうがいいんですが、聴いてるとそうでもないみたいだから。
継続して、さらに白石さんが社長業に徹するということを覚えて、ひとつ新しい飛躍ができるのではないでしょうか。


回覧日記について、詳細とその面白さを語っていただきました。
【白石】
一週間ごとに持ち回りでやっている。
予定を書いている人、ほろっと悩み事にアンサー書いてる人、なんでそんなに早く寝るんですか、とか書いてる人、ロケットの部品がやりたいとか書いてる人、漢字間違ってるぞ、と指摘する人、色々いる。
回覧が進むにつれ、だんだんメンバーのへんな垣根が取れてきた。
2周目以降、タガが外れてきて、見えなかった個性が見えてきた。

月曜日の朝イチに次の人に渡す、というルールも、浸透している。一番若い子が年齢の高い人に渡すときに、そのタイミングをはかって、そのときだけ5分10分早く来たり。
だから変なコミュニケーションが生まれいる。
もう少し継続すれば、精度が上がってくるのかなと。いろんな問題が爆発する前に、芽のときにいろんな解決ができたらいいかなと思っている。

年代の違う男子ばかり5人でまわす「回覧日記」。
私の年代の女子は、幼いころから「交換日記」という文化を持っていましたが、それ、男子が男子だけでやるって、相当面白いに違いない。「本音の書ける交換日記」は、相手との距離を相当縮めることができると思います。


【白石】
仕事は毎日めちゃくちゃ楽しいんですけどね。

【黄金】
僕は「楽しい」というのではないんやわ。
目標があって、それを達成しようとか、そういうプロセスがあって、それを楽しいと表現するのか、やりがいと表現するのか、面白いと表現するのか…。楽しいという表現がぴったりくるのかというと、僕はそうでもないんですがね。

最近のスポーツ選手は、「楽しむ」という言葉をよく使うじゃないですか。プレッシャーのあるオリンピック選手であっても。
たぶん、使命感とか重圧だらけの、日本を代表するような選手でも、「楽しむ」ということがないと、人間て力が出ないんだろうな、というのはなんとなくわかる。
「楽しむ」というのはね、「楽しもう」、というかね、「楽しい」じゃなくて、「楽しもう」というか「楽しんでやろう」、というような言葉が適切なのかな、と。
「やってて楽しい」じゃなくて、「やることを楽しもう」とかね。そういうことかなと思ったりとかして、最近もやもやしています。

【蒼天先生】
それね、僕は「楽しめる」ということやと思う。
練習をいっぱい積み重ねてきたから、だから当日は「楽しめる」。満足のいく練習ができていなかったら、楽しめないと思う。「楽しむ」というよりは「楽しめる」というのが的確な表現やと僕は思う。アスリートの場合はね。

【白石】
アスリートのトレーニングとは違うんですけど、仕事でも、たぶんいろんなことに頭を巡らせたり、事前準備したりするから、次の日が楽しめる、スムーズにいくという、あれなのか。
アスリートほどの能力じゃないんですけど、ちょっとしたことで毎日が気持ちよく過ごせるのかな。帰り際10分間くらいで今日の反省をしたり、家から仕事に来る前に今日何しようと頭に思い浮かべてくるだけで、1日がすかっと終わる。

【黄金】
白石さんの仕事って技術力じゃないですか。
スポーツと同じで、準備をする、技術を磨く、プレイで出して、という流れなのでは。
従業員みんなが技術を磨き合う、準備をして、しっかり技術を生かして、思い通りできたな、ええ仕事できたな、となり、楽しめるし、気持ちよく帰れる。

「楽しめる=技術を磨く・切磋琢磨する」、ということだとしたら、「楽しむ」というのはそういうことなんでしょうね。
「楽しめる」の言葉の解釈、なるほどと思いました。


【蒼天先生】
仕事終わってから30分ぐらい毎日歩いてるんですよ。体力維持のためにね。だんだん時間が長くなってきたんですよ。なぜか。いい仕事をできた日は、どんだけ歩いてもしんどくない。いくらでも歩ける。
一日取り組んだ成果と、後の行動はつながっていて、良い循環が回転すると言うか、最近そういうことを実感しています。

白石さん、焦らなくても、そのうちいい言葉が出てきます。
修正日記を読み直されたらどうでしょう? 過去の日記を読むと、今の自分に自信が出てきますわ。半年前の自分はこの程度か、と思うことは山ほどあるから、そうなると今の自分に自信がでてきてね、そこから新しい頭の回転が始まるかもしれない。
焦らんことですわ。
1ヶ月もあったら充分やと思います。


白石さんがもうすっかり別世界に行かれたような気がします。お~い!と呼び止めて話を聴きたい感じです。
常に、よき方に、よき方に進化され続けていて、言葉と行動にブレがない。尊敬です。
気持ちがいいです。

こればっかりは比較することではないのですが。
自分はなかなか他人にパンの焼き方をうまく伝えることができない。もし自分がパン作りそのものを誰かにきちっと教えることができて、自分がそれ以外のことに挑戦することができたなら?
と想像すると、もっと農業と結びついて、原材料のところからこだわっていきたいとか、この1月でやめてしまった「どこでもお届けサービス」をもっと手広くできるかもしれないとか、考えるのです。
でも、現場を離れてまでも、誰かを教育したり、店を大きくしたいのか?と自問すると、やっぱり自分は、パンを焼く現場から離れたくないと思っているし(苦笑)、高齢者のいる家族のマネージャーという役割も、全うしたいと思っている。
偏った執着、こだわりというか、自分の狭さをいやというほど感じています。
いいのか悪いのか、成長しているのかしていないのか、自信はないけれど、セカンドシーズンを迎えようとしている田中店、歩みをゆっくりにして、考える余裕を持ちながら、次のシーズンのことを考えよう。
白石さんの発表を読み返しながら、ついつい自分の店のことを考えてしまいました。

 

【藤崎さん所信表明】

2017年、入会後初めての短冊は「土台を固める」。以後3年間、「土台を固める」系を継続。それから土台ができたわけではないんですけど、2020年は「覚悟」。

そして2021年は「権限移譲者に変身する」。

3年ぐらい前
社長業に専念するべく、できるだけメンバーに任せられるように、最前線を離れた時期があった。そのころからトラブルがぷつぷつと出てきはじめた。

2年ぐらい前
大きなトラブルが発生。もし私が担当していたら起こり得なかったこと。メンバーに任せたことにより、お客様とのやり取りの中でトラブルになった。修復はできたのですが。

1年ぐらい前
トラブルの原因として、ひとつは忙しすぎること。
そして、これまで阿吽の呼吸で仕事をしていたところに、新しく派遣の技術者等をいれたので、彼らとの意思疎通がスムーズにいかず、チームワークが乱れたこと。

この1年は、派遣の技術者を入れて、正社員12名でやっている。

去年の春、人を入れ始めた当初、仕事の指示が全くできずに、派遣の人が遊んでいる、それをずっと眺めながら今は我慢だと思いながらやっていた。
人を使うっていうことをいつの間にかみんな忘れてしまって、人に託すということが感覚的にわからなくなってしまう。自分で仕事をしてしまう。それは自分自身にも当てはまっていて。

そんな文化に新しい血を入れていかねばと勉強しつつ、数ケ月前から、非常に若い人間、「下っ端」で一労働者だった人間が、自分の仕事とはこういうことで、これだけの人を使って仕事ができるんだということを覚え始め、著しく成長してきた。そんな人たちがぽつぽつとでてき出した。また違う社員が、(その喜びを知って)「僕だけ楽しい思いをして申し訳ない」と言ったりとか。新しい血が入ることでいろんな変化が起きてきた。

また、社内で3班に分かれて研修旅行に出かけて、コミュニケーションの取り方を勉強してきた。

そうした中で、「権限移譲者に変身する」という思いに至った。

社内には、昔から一緒に仕事をしてきた連中で「阿吽の呼吸」で仕事ができる4人のマネージャーがいる。4つの部門のそれぞれの責任者であり、スペシャリストでプレーヤー。肩書はマネージャーだが、僕の目から見てまだまだだなと、権限移譲しなかった。成長を待っていた。が、よくよく考えてみると、その役割をやらせてもいないのに、そうなるはずがない。以前は任せたときは丸投げだった。
今度はもう少し、いろんなものを教育したり、自分の責任でどんどん仕事をやっていける人になってもらうことを一番望んでいる。

今は、できるだけ社内がうまく回るように、お客さんとの間で折衝したり、プロジェクトを振り回したりとか、本来自分がやらなくていいことをやってる。
そんな中で人が育っていくと、自分のやりたいことができる。自分のやりたいこととは、今は、個人的には、新しい製品開発。ほかのメンバーにすべて任せて、自分はそれに専念するという時間が欲しいと思っている。
僕としては、それぞれの人が自分で判断して自発的に行動できる人になっていってほしいので、とにかく任せる。丸投げでなく、責任と権限を持たせて、できるように育て上げる、ということかなと思っている。

【田中先生】
これから始まるんですね? この所信は。進行形ではなくて、これからスタートということですね?

【藤崎】
進行形でもあります。今日もあるメンバーとミーティングをして、工場長のような役割を担ってほしいという話をしていたところです。

【紺野】
早く仕事の量を減らされたほうがいいかと思います。抱えすぎだと思います。

【墨田】
以前も人に任せるということに挑戦されたけれど、自分が手を出しすぎてうまくいかなかった。でも、「権限移譲者に変身する」という所信に改めて挑戦される意気込みを感じるので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

【山吹】
共感します。高いお金払って派遣で来てもらって遊ばせている。それを主人が見て私に怒る。何とか使いこなせと。でも自分がやるほうが早いから、いくら怒られても、ほんのちょっと派遣の方に助けていただくだけで、自分でやっていた。それの繰り返しで、使いこなせなかった人材のほうが多かったというのが現実です。

【藤崎】
派遣だと難しくて、社員のほうが、育てがいがあるんですが。
任せた以上、任された側はいろんな口出しされたくないじゃないですか。私が口出ししていたら私がやっているのと変わらないから、口出ししなくてもできる人に育てていくしかないと思っています。

【蒼天先生】
100%任せるというのは、いつまでに任せられるのですか?

【藤崎】
人によってレベルの差はありますが、半年、一年ぐらいで1名2名はそんな風にやっていってくれるだろうという人材はいます。特に今は100%任せるというのは、業績も含めて考える必要があり、5月から新しい体制で、とは思っています。

【蒼天先生】
人はばらつきがある。みんな考え方が違って多面的です。だからこの4人の方(マネージャー)、全部同じ扱い、同じように進めることはできないのでは。すぐ任せられる人には任せる。任せられない人が任せた人を見てどう思うかですよ。納得して、自分はまだ管理者として能力がまだ不足しているんだとか、そういうことがきちんと理解できたらよいのですが、なんや、あいつは任せておれはまだ任せられへんのかと、そういうデコボコができてきたときに、あなたの手腕が試されますね。

【藤崎】
はい、絶えず個別面談をしてコミュニケーションをとりながら進める想定をしていますし、本人の意思確認も必要だと思います。

【蒼天先生】
たとえば年単位で考えたら、立場が逆転することだってありますよ。4人のうちのひとりが、後から入ってこられた方のほうが上になるとか。

【藤崎】
それはあります。

【蒼天先生】
いかにきめ細やかに進めるかということ。それはすごく難しいことですが、そこを乗り切らないと、完全に権限移譲する、社長業に徹するということは難しい。
個別に、徹底的に、特に遅れている方は、細部にわたってコミュニケーションを行いながら、進めることがすごく大事だと思います。ある意味、コミュニケーションによって成否が決まるかもしれませんね。4人とも同じコミュニケーションが必要ではないですよ。4人の方を知らないから何とも言えませんけどね。そこがクリア出来たら面白いでしょうね。クリアできるまで1年以上かかると思います。

【白石】
4人の責任者がおられるということは、4つ縦割りという考え方でいいんでしょうか。

【藤崎】
4つの部門、具体的には、プロジェクト推進グループ、システム設計グループ、システム開発グループ、カスタマーサービスグループがあります。去年の春から、設計と開発、推進とカスタマーをそれぞれまとめて大きく2つの部門にしました。その2部門の部門長を私がすることにしました。
本当なら4人の責任者から選ぶべきでしたが、急には選べず、時間をかけて、業績も見ながら、抜き出てきた人を部門長にしようと考えています。

【白石】
組織って、ある程度大企業みたいなところでは縦割りって必要だと思うんですが、どれぐらいまで縦の関係って必要なんでしょうか。

【藤崎】
組織で役割が決まるんですよね。すべての人がオールマイティにできるわけではないので、それぞれに役割を持って、自分たちの責任範囲で仕事をしていく。そうでないと徹底的な仕事ができないです。起業した当初は、私がオールマイティにすべてをやりながら、今の4人の責任者の方がそれぞれプロフェッショナルな部分に専念していたけれど、いつまでもその体制では人が育たないので、組織は人が育っていくステップやプロセスとして必要なものだと感じています。

【蒼天先生】
あなたの話を聞いて感じたことがひとつあります。今の話の中で数字の話が出てきた。仕事の話も出てきた。もう一つ必要な話題が上がっていない。社員のモチベーションをいかに上げるか、というモチベーションの話です。

【藤崎】
いや、それは、うちは当然のこととして仕事の中で考えていますので。

【蒼天先生】
それは社長から見てそうかもしれないが、担当者から見て、本当にひとりひとりの社員がモチベーションを高めて自発的に仕事をやっていこうという意欲的な人間ばっかりですか?

【藤崎】
100%ではないんですけど、そういう時間を作っていて、チームビルディングと呼んでいる。それぞれ個人がどんな特性、方向性、強味、弱みを持っていて、ということを共有したり見つめ直して、いいチームとはどういうことかとか、どんな形にしたらやりがいのある仕事になるんだろうかとか、そのようなことを話をしながら進めているところです。

【蒼天先生】
モチベーションっていう考え方も徐々に変わってきてる。仕事に対するやりがいというのが従来の考え方。いまは仕事を通してどんな生きがいを感じるか、ひとりひとりの個人の生きがいがモチベーションと直結するようになってきている。だから仕事のやりがいだけではもう駄目。ということは、さらに言えば、もうちょっとひとりひとりの生き方というものをきちんと把握しておかなければならない、というところまできているということ。
旧来のモチベーションの発想でチームビルディングをしているというのはそれはそれでいいとして、少なくとも社長としては、社長業の一つとして、ひとりひとりの人間の生きがいまできちんと把握しておかねばならないというところは大事。


【水島】
新製品の開発というのは、アイディアだけ出してあとはスタッフに任せるということはできないのでしょうか?

【藤崎】
もう、そのつもりです。

【水島】
そうなると藤崎さんが実働で動く部分というのはあまりないのでは?

【藤崎】
僕はもう実働で動きたいとは思っていなくて、実働で動いて楽しいと思うのは、コンサルティング的な要素の部分、そういう領域の時に、思い通りにいくと非常に楽しいので。開発とかをやりたいわけではないので、うちの中で育ってやっていってくれる人がどんどんできてくれるほうが嬉しい。

【水島】
すると今すぐに新製品の開発ができそうな気がしますが。

【藤崎】
やりたいんだけど、もう今みんな仕事がパンパンすぎてできない。
従来のお客さんの要望とか、納期をずらすこともできないし、コロナの影響で逆にキャパオーバーになりつつあるので、いろんな人を使うことができない状況なので、疲弊しないようにするのもテーマの一つになっている。

【蒼天先生】
キャパオーバーというのが気になる。キャパオーバーで喜んでいるのは社長だけ。

【藤崎】
僕は喜んでいないです。危機感しかない。コロナで仕事が落ちてくれることを期待していたぐらいですが、僕らのお客さんってコロナで余計に忙しくなっている。スーパーに食品を卸しているメーカーさんだとかが相手なので。そこに乗らざるを得ないというところでコントロールできない部分がある。だから我慢の時だと思っています。

【白石】
頭の中が散らかっていませんか?

【藤崎】
やるべき方向は見えていて、やらないといけないこととかやりたいこと、新しいことがしたい、本を読みたい、そんなことが渦巻いているという感じ。

【墨田】
忙しすぎるのはよくないので、売上下げてでも心の余裕とか時間の余裕をもつほうがいいと思います。私の場合で言えば、今忙しいから、落ち着いたら仕組みを考えようと思っていたら、結局いつまでたってもそれができていないことがわかって、最近は仕事を断ったりしている。忙しいと、社長はいいけど、スタッフの方は疲れるんじゃないかなとか、社長も仕事量の確保という強迫観念でしんどくなっていくんじゃないかと。

【藤崎】
自分の中では限界は来ていないけど、メンバーは「いつまで続くんだ」ってなりかねないところなので、そこは注意したい。忙しい中で、こういう風にやっていかなきゃっていうところは共有はしているけど、実態が伴わないので、そのへんを外部から人を入れて仕事を分散して、メンバーを楽にさせてあげたいということもテーマの一つ。

【蒼天先生】
忙しいから人を入れるという発想は間違い。一番優先すべきことは顧客の取捨選択。顧客の都合に合わせて会社が動いていたらダメ。しょうもない顧客もいるでしょうから。その辺の決断はしなければならないのではないですか。
あと、これは僕の直感です。もうこれ以上言いませんが。
徐々に、社長と社員との意識の乖離がだんだん広がっているような、気がする。その辺ちょっと冷静に考えられてはいかがでしょうか。だって何かどこかで狂ったら、受注残抱えて大変なことになる。
仕掛けたことが必ずしも成果として出てくるわけじゃないし、一生懸命仕掛けても、社員がついてこられなくなったということになればね。そういう限界がある。あるいはインセンティブ⋆との関係もある。経営者の思いと社員の思いは一緒だと思っていても違うんですよ。それで失敗している経営者はいっぱいいる。そのへんが気になりました。

⋆インセンティブ…意欲を引き出すことを目的として外部から与えられる刺激のこと。インセンティブは、ビジネスシーンにおいては目標はノルマを達成した際に支給される報奨金という意味でよく用いられている。【Weblio辞書より】

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