読むドラマ(議事録)

相手を知ることは、自分を知ること。
年齢も業種も異なる経営者たちが、月に一度つどう目的はただ一つ。
決して一人ではたどり着けない月面「本当の自分」に降り立つため。
これはそんな経営者たちのリアルなやり取りから生まれたドラマ(議事録)です。
(禁:無断転載)

 第146回 百年企業研究会内容(2021/4/8)

あいさつ

【蒼天先生】
今回はリアル会場とZOOMのハイブリッド開催。たぶん来月は完全にオンライン開催になると思う。
先月分の議事録、いやぁおもしろかった。遠藤劇場でしたね(笑)。みんなの発表の内容も良かったし、僕は非常に嬉しかった。今月もどうぞよろしくお願いします。

 

1分間トピックス

【緑山】
先日Facebookにもあげたが、新しい事務所のドアを、墨田さんのところに作っていただいた。非常に美しいドアです。そのドアに貼るシールを、水島さんにお願いしていて、デザインをいただいたところ、またそれがかっこよくて。来週来ていただけるということで。
先月の議事録、自分の発表したところだけササッと読んだ。なんか漫談みたいで申し訳ないと思いました(笑)。また、絶体絶命のピンチのネタがいくつかあり、そのうちご披露させていただきたい。


【水島】
先月に続き、今月も健康面のお話。
ロゼっぽい尿が出たので、これはまずいなと病院で検査を受けたところ、結局大丈夫で、良かったなという感じ。でも、腎臓結石が1㎝ぐらいのができています、と言われて、いつか出てくるのかと、怖くてびくびくしている毎日。厄年なので気をつけていこうと思う。


【紺野】
長野県、私の住んでいるところは、コロナはほとんど出ておらず、こちらの緊張感に驚いている。来月はリモートになるかな。
仕事の方は、3月、ようやく、何とか回復して来たかなという感じ。
個人的な方は、子供がようやく(進路や引っ越しなど) なんとかなり、落ち着いた。


【黄金】
健康つながりでいくと、来週人間ドックを受診する。かなり体重も落ちているのでいろんな面が改善されているのかなと思う反面、色んなものが出てくるかなと、戦々恐々としている。
精神的には、コロナで余暇があって、本を読む時間ができたが、ちょっと集中できないなと。何か改良する方法見つけないと。
仕事の方は、年度末、我々1番バタバタする時期で、コロナ禍でどうなるかと思っていたが、おかげさまで例年と変わらないところまでいけた。ただ、業界で言われているのは、これから先が大きく分かれていくところだということなので、しっかり考えて対応していこうと思う今日この頃。


【墨田】
この1ヶ月で1番大きいのは、公立高校の入試が終わり、次男が行きたい高校に合格できたこと。3人の子どもの中で、1番勉強が苦手、遊ぶのが大好きなタイプで、このままだと行きたい学校に行けないかもしれない、という危機感を感じ、短期間だが真剣に勉強をやり出した。面接対策として、すごく一生懸命ノートに書いて、完全に暗記して、何度も何度も母親に聞いてもらって練習していた、というのを知って、自分は何もしてやれなかったけど、彼の努力が報われたのが本当によかったなと。それがすごく嬉しかった1ヶ月。


(オンライン参加メンバー)
【銀河】
今年は娘が大学4回生で、就活中。
彼女は結局何がやりたいかというよりも、淡路島に住みたいらしい。先日ふたりで淡路島に行ってきた。コンパクトな島だし、山に囲まれた田園風景が広がるけれども目の前は海。
自分が生まれ育った山の中と、目の前に広がる、海の開放感が同時に味わえるのがよかった。いろいろゆったりのどかな感じ。そういうところで生活がしたいらしいので、淡路島にある会社見て回った。そういう価値観で自分の将来を考えている娘が可愛いなと思う。応援する。

【桜庭】
3月は、義父の税理士事務所の仕事を手伝わせていただきながら、自分の仕事として、東京の取引先の会社さんから、一緒に官公庁の助成事業にチャレンジしてみようということで、そのプランニングをして提出する、という割と忙しい時間を過ごした。
その後、初めて、私ひとりで運転して実家の静岡に帰省した。親もだいぶ歳をとってきたので、様子を見たり、孫の顔も見せがてら、という形で。これからもしばらく続けていかなくてはいけないなと思い、私自身の健康と耐力を維持できるように頑張っていきたい。


【白石】
住んでいる八幡では、隣接しているところに5人10人とコロナ感染者が出ている。
会社にコロナ番長ができて、シビアになっている。
コロナが心配、というところから発覚したのが……。
会社で知らない間に30代の子が結婚していた。1週間ぐらい前に子供も生まれたという話を聞いて、会社に報告するのが普通なのでは? と思っていたが、今の子はそうでもないみたい。奥さんも仕事を続けているようで、保険のことも、会社に報告不要ということで。今週末に奥さんが出産から帰ってくるので、結構ピリピリしているという感じで。
あと、一番若い社員ですが、4月18日にボクシングのデビュー戦があるので、彼自身ももちろん、私自身もコロナに関してはピリピリしている。

 

短冊発表【白石さん】「好きこそものの上手なれ」

最初は、「泰然自若」にしていた。大きく構えて自然体になろうかな、と。コロナコロナで、ゴロッと仕事の流れとか、仕事に対する考え方っていうのが、みんな変わってきたから。

今年になって、皆さんの所信表明を聴いているうちに、自分はなかなかまとまらず、「泰然自若」で、置きに行っていた。
けど先月の皆さんの発表を聞いた時に、やっぱり好きだから、そういう風に真剣になれるんだなとかと思って。これもう完全に僕、今年は何か怠けてしまったなと思って、自然にいろんなこと考えてたら、もう最終的に今年は「好きこそものの上手なれ」

「もの」は、普通に字でいくと「物」なんですけど、人の「者」とかそういうことで。
「上手なれ」って言うのも、最終的には「始まりなり」に変えたい。そういうふうに考えた。

百年企業研究会で、かつて、今の半数ぐらいのメンバーの方、「経営の木」について、みんなで話し合ったことがある。土台を作って、土台の上に木を植えて、どういう風な木に成長するんだ、というイメージだった。
コロナで、土台は本当に丈夫なのか? ここに木を植えて大丈夫なのか? とか、予測不可能な事態が起こったときに、もうややこしいことは考えずに、自分が好きなことだからこそ追求していくとか、やりたいとか、そうしたほうが、新しい仕事のやり方っていうのが見えてくるんじゃないかと思って。
うまくなれとか、上手になれとかって言うのをこれに変えさせてもらった。

今僕は会社が好き。仕事も好き。
そして、一番これから力入れたいなと思うのは、今うちの会社とか、僕に対して、集ってくれてる人をもっともっと好きになって、会社運営だとか、仕事をこなすっていうことに、自身の中で力を入れていこうと。
だから、結婚して、子どもが生まれた社員にとって、自分は父親とか家庭持ちとしては先輩になるから、そういうことも真剣に話せるようになったりだとか。
ボクシングのデビュー戦を控えた子が、試合に勝ったら、もう自分の子供のことのように、みんなで喜ぼうとか。

百年企業研究会のメンバーも、みんな好きですけどね。
その中でちょっと告白させてもらうと、僕、黄金さん大好きなんです。僕が絶対なれないだろうな、と思っていた、「THE社長」っていう感じ。そして今は、ニュータイプの社長へと進化されているのがすごいと思う。誰が見ても「THE社長」「社長さん」という感じがしていて、憧れがあった。黄金さん、自分の会社が好きだから、蒼天先生に怒られながらでも自分の信念がすごくあったんだと思うから。
今年1年、自分の仕事とか、自分の会社を、もっともっと好きになることを、すごく心がけようと思っている。

【黄金】
最後、僕の名前が出たんで、頭真っ白になりました(笑)。
司会進行に支障をきたします(笑)。

僕から見たら白石さんは、ガンガンガンガン、めちゃくちゃ変化してる感じがしますよ。

【白石】
いやいや……。これは毎月毎月、この例会あっての、みなさんあっての変化です。

【蒼天先生】
ひっかかりがないんやわ。たぶんね、逆流してる。
逆流ってなにかと言えば、前に向いて行けば、いろんな引っかかる部分があって抵抗がある。その間に困難なことや、いろんなことがあって、それを乗り越えて前に進む。
どっちかというと白石さんさっき流れに乗ってしまって、ずーっとね、言葉は悪いですけど、後ろの方に進んでる。だからひっかかりがなくて、それが自然体だと。
そのへんにちょっとひっかかりを感じたんやけどね。

白石さん、じゃあ一つ質問です。
なんで「社長」になりたいんですか?

【白石】
自分が「社長」になって、その「社長」ってどういうのが社長なんだろう? っていう。

テレビで見ると、「社長」って言われる人は、やっぱり雰囲気を持っておられる。それが本当に「社長」なのか? みんなに対して気を遣える人が「社長」なのか?
「社長の基本」というものがわからない。

僕が初めて百年企業研究会に寄せてもらった時、黄金さんは、誰がどう見ても社長に見えた。従業員を雇って、ぱっと自分の思っていることを論理的にお話されて。そして従業員にもいろいろ語っておられた。
僕はどちらかというと、「嫌やったらやめたらええよ」とか、「死んでまえ」とかそういう人間やったから、黄金さんのスタイルへの憧れがあった。

先生とか他の人が黄金さんを叩きはって、それからニュータイプの社長になられた感じがして、卓球とか面白い話ができるようなった、という変化があった。
僕も周りの人に、「お前それあかんで」と言えるような、一旦「社長」の雰囲気にならなあかんのかなって。
一皮むけなあかんっていうのは、そういうことなのかなと思って悩んでたんですけど。
そうじゃない。
やっぱり集ってくれる方、うちの会社を頼りにしてくれる方を、本当に好きになる。
好きになったときに会社にとってその人たちが必要になってくるのか、うちも必要とされてるのか、ということを見極めていこうと思った。
従業員ももっともっと好きになって、この子らが僕らぐらいの歳までは仕事ができるようにしてあげようとか。
そういうふうに思うと、いろんなことが見えてくるのかなと。
鉄を削るということしかしてないんですけど、その削る上での技術とか、人生的なスキルは上がっていくのかなって。
人生的なスキルが上がるっていうことは、仕事にもかなり活きてくると思うんで。
そういうことを考えました。

【黄金】
僕はね、白石さんと出会った時の荒削りな、ああいう社長に憧れたんですよ。
自分は、勉強もしたし、こういうふうにやることが正しいだろうなと思って、理路整然と説得したりやってきたけど、僕自身は白石さん持っておられるその部分に憧れがあった。
逆なんですよ。
白石さんが僕の中にある何かに感化されて、僕のことをいいと思ってくれたのは、それはそれで嬉しく、ありがたいことではあるんだけども。
白石さんのいいところを殺してしまうことが非常に寂しいので、そこの折り合いをどこでつけるか。

さっきの話で、なんか気になるな、引っかかるな、と思っていたことが今わかった。
もっと社員を好きになりたいとか、なろうと思うっておっしゃっていたが、人は好きになろうと思ってなるもんじゃない。好きなものは好きやから。
そこを理屈で好きになるとか、社長はこうあるべきだっていうふうな、社長道ってこれだよね、というのはないんじゃないかと思う。
白石さんが、学びたい、吸収したい、と頑張るのはいいんだけど、そのことで、白石さんの良さが死んでしまったら、本末転倒ではないかと。白石さんが、自分の本能を殺してしまったら、これからの人生、面白くなくなるんじゃないか。

【墨田】
僕から見たら、白石さん、黄金さん、両方ないものねだりかなと。自分にないものが、「あ、いいな」と思ってらっしゃるのではないかと思う。
一度手に入れてみないと、羨む気持ちがいつまでもご自身の中に残るだろうし、一度、真似できることをやってみたらどうか、とは思います。

【桜庭】
百年企業研究会での皆さんの話、特に先生のお話のまとめとかをお聞きしていると、いかに自分らしく生きるか、というところですよね。
そこに早く到達できるようにっていうことをずっと話されていたので、白石さんらしさ、というところに行かれたほうがいいのかなと思う。
白石さんは、ずっと前からご自身のお体のこととか、大変なことを経験されてきている。
だから、「よりよく生きていく」ということで、命をいただくというのか、そういうことを考えていらっしゃるのかな、という気もする。
それはそれでいいことだと思うけれど、でもご自分の持っている良さというものに蓋をして、そこからまた別の方向に行こうと思わなくても、私から見ると十分すごく素敵だし、素晴らしいなと思っていますのでね。

この目標はこの目標でいいのかなと思いますが、あえて憧れの先輩に近づくというよりも、今のままもっとのびのびと、ご自分らしく行かれてもいいのではないかと。
以前、墨田さんに対して、もっと悪い部分を出してみてもいいんじゃないか、心の中にあるパッションを出してみてもいいんじゃないか、とおっしゃっていましたね。あの感じです。
私からすると、白石さんが弾けていた時の話なんか、ものすごく面白かったですし、ああいうものが人を惹きつけるんじゃないかというふうに思うもので。
すごくいい人になろうとされなくても…… っていうのをちょっと感じたんですけど。

【白石】
あの、言葉が正しいかどうか分かりませんけど、「凛とした」っていうことを言われたいです。凛としてないですよ、なんか知らんけど。人生の中で。
黄金さんが来たときに、凛としてるときがあるじゃないですか。
銀河さん、凛ってどういう意味ですか? 仏教的に。

【銀河】(-_-;)
えー、ごめん、わかりませんけど……(笑)
でも「凛とした」ってかっこいいですよね。清々しくて自信に溢れてるみたいな。

【白石】
このメンバーの中で、1番その「凛とした」っていうイメージは、黄金さん。
会議室入って来られる時、いつも思うんです、凛としてるなと思って。

【緑山】
「泰然自若」っていうのは白石さんらしくていいけれど、白石さんが社員さんを好きになるとか、それもええんやけど、社員さんは白石さんのことを好きになってるんかな、と一瞬思ったんですね。
私だったら、自分から好きとは言うことができなくて、好きになってもらえるようにしていこう、というふうに動く。
例えば、白石さんの会社の社員さんが、元ヤンキーのバキバキの白石さんのことが好きで入社してきて、「白石親分の下でわしは働いてんねん!」という人からすれば、白石さんがどんどんどんどん、もしかしたら丸くなっていかれて、逆にその人の理想の親分感が消えていっているんじゃないかな。一瞬ちょっと不安に思う部分もある。

桜庭さんが「自分らしく」ということをおっしゃった。よくプロ野球選手が「自分らしいピッチングができた」とか、水泳でも「自分らしく泳げた」とか聞くけど、「自分らしく」ってなんなんや! と思う。
白石さんらしいってなんなん? って考えると、僕はさっき言った、グイグイ俺について来い! みたいなタイプの社長なのかな? と思うんですけど。
逆に、そういういいところの角が取れて、丸くなってこられたのかな? と思います。
昔の白石さんを知らなくて、現状の白石さんのことも、詳しくわかってないので、わからないけれども、そういうイメージを持った。

【白石】
好かれているかどうかはわからないですけど、どうなんですかね……。
「俺の傘におる間はご飯食べさせたる」とはよく言いますけど。
そんな感じですかね。

【緑山】
そういうところを残した上で、というイメージですよね?

【白石】
それは言うてます。
先頭を走らせてもらっている以上は、っていう話はよくします。
けど、その頃よりは、社員の環境が変わってきたりしているので、やっぱり安心して働けるよう、生活できるよう、僕ができることをしてあげなあかんと思うと、もっともっと理解してあげないと、と思って。
ボクシングのことに関してだったら、僕はテレビで見るぐらいしか出来ないですから、減量しんどくないかとか、そういうこと声かけてやったりとか。そういうことですね。
今まではもうお前の趣味でやってるんやから頑張れ、とかって言うてただけなんですけど。結婚した子に対しても、何を教えられるのかがわからないんですけど、いろんな相談に乗れたら乗ってあげようとかね。

【緑山】
角が取れたというよりも、一回りも二回りも大きくならはった、ということですね。

【白石】
考えられる幅が増えたっていうのはあります。
一方向しかなかったのが、ここで皆さんと、5年6年と接している間に、いろんな目線を持つことができるようになった。丸くなりたいとか、牙が虫歯になってきたっていうのは思ってないです。

【水島】
なんか言葉が、表現が違うんだろうな、と思ったんですよね。
「好きこそものの上手なれ」というよりは、
「愛を表現する」とか、「愛を実践する」とか、そういう意味なんじゃないかなと思いました。最近よく話題になる「愛」という言葉がしっくりくるんじゃないでしょうか。
たぶん、白石さんは、去年一昨年ぐらいからスタッフの人に優しくしてあげようみたいなのをしていらっしゃった。
それを今回言われているのは、行動に移して、実際に働きかけてやろうとしてはるのかな、と思ったので、「愛を表現する」とか「愛を実践する」という言葉のほうが近いのかな、と思う。
そう考えると、去年一昨年にやってこられたことの、更に進化系みたいな、一歩先を目指してはるのかなと思うので、そう考えると全然矛盾はないし、どんどん先に向かってはるな、という感想を持ちました。

【白石】
菖蒲さんの毒が回ってきてるのは確かです(笑)。
「愛」について、今ちょっと感染している。
今2番手におる社員と、食事の後30分ぐらい会社の周りをよく歩く。もうかれこれ1ヶ月ぐらい続いているかな。そこで他愛ない話もしながら、仕事や、工場の中を、をこれからどういう風に持って行くんや、っていう話を。今困っていることはないかとか。ふたりとも小太りなんで、ダイエットの意味を兼ねて、昼食後12時半から1時まで、大体2 km 前後ぷらぷらぷらぷら歩きながら。
彼は子供の頃から知っていて、僕のこと「スネヤン」って呼ぶ。ジャイアンとスネ夫足して2で割ったような性格やと言って(笑)。
そのジャイアン的要素はむちゃくちゃ残っていますよねと。牙がなくなったっていうのは思ってないみたいです。やっぱり中身(ものの考え方)変わっていませんよ、って。

【紺野】
感想。ちょっとしっくりこないな、というのがあります。
人生バリバリ行けるときもあれば、そうでもないときもあって、そういうときが来ていると思うんですけども。今は谷間のところに来ている気がする。バリバリ行けてる状態を維持しなければいけないとか、ギャップが出てきている気がします。
うまく説明できませんけど。

【白石】
仕事は今でもバリバリやっていますし、なんかその姿を見せて、押し付けていた感があるのかな。もの言わさん状況をすごく作っていたのかな、という感じがあるので、こういう風に変化していっている。
ものは言ってもいいと思うんです。
僕だけの会社じゃなくなってきた、というのは現実にもうあるし、皆が勤めてくれてるからこその会社で、ただ単に僕が代表をやっているだけで、みんなの会社だと。

だけどやり始めの頃は、俺の会社や、俺の会社で俺が何したって何も文句ないやろうと思ってたいた。
「傘に入れてる」って言い方もおかしいんですけど、それは火の粉は僕がかぶるよ、という意味であり、でも火の粉が降らないようには頑張ってくださいねって意味でやってるんで。
少しちょっと違うんですけどね。

【銀河】
黄金さんがおっしゃった「好きになろうと思ってなるもんなの?」っていうところですけど、「好きになろう」と思われるのは、ちょっとだけ自然ではない何かを少し思いますけども。

白石さんがそうしたいっていう、白石さんの中から出てくることを、自然にでてくること、普通にしていて出てくることをやられたら、それが1番いいのではないかと思う。
なんと言うか、なんかこうしたほうがいい、こういう人になりたい、そんな特になくても、中から出てくる何かをそのままされたら。自分の内側、内側から出てくるものを信じるというか。

【白石】
自分にないものは何かって言うと、それは明確ではない、というのと、やっぱり今、社員、周りにいる人たちに気を遣わせているな、というのはすごく感じる。
「社長」っていう目で見られてる、ということもしんどいのかな。
たまたま僕は、社長なだけで、どこをとっても偉くもなんともない。
舵取りをしていたつもりでだけど、その舵取りっていうのは、結局みんなが細かい微調整をしてくれていたから、この舵取りが出来ていただけの話で。
今度は僕が、みんなの舵取りっていうか、みんなの仕事の微調整をしたい、と思っている。これ言葉として正解なんかどうか分からないですけど、そういうふうに思っている。

だからもっともっと、好きになるって言うより、「わかる」ことがいいのかなって。
昔は、プライベートなことは、あまり聞かなかったが、今では、プライベートのことを話してくれるようになったから、僕自身もプライベートのことを話すようになったりだとか。もっともっとみんなと近い距離でいたいなっていう。

自分らしさがなくなった、というよりも、自分の中で従業員とか働いてくれてる人を受け入れてるようで拒絶してた自分がどっかにあったのかな、っていうことを気づいたのか、気づかされたのか……、だから、みんなを好きになろうとかいう言葉になったのかもしれないです。


「好き」という言葉ひとつをとっても、受け取り方は様々だと思いました。
白石さんの「社員を好きになりたい」という言葉だけを聞くと、私は「今あんまり好きじゃないから、好きになる努力をしたい」という意味が含まれているのかな? と解釈してしまう。
でも、今の発言をお聞きしていると、決してそうではなくて、「好きは大前提」の上で、「もっと理解したいんだ」という深い気持ちを感じます。

そして、そういう白石さんの発言が、その場で理解できず、こうやって文字起こしをしてもらって、自分が何度も読んで初めて少し理解できた、ということ。
打てば響く、という感覚で人のことを理解できない自分にとって、また、人に対して自分の気持ちを率直に伝える言葉が、ゆっくりとしか出てこない自分にとっては、議事録を作成することで、例会に向き合えることがありがたいなと思いました。議事録をやらせていただいている意味は、そこにもあるのかな、と感じました。


【蒼天先生】
僕はとりあえずそのままいったらいいと思う。
ただね、白石さんの言うことには、矛盾がある。そこに白石さん自身が気づいてないんやな。

一つは冒頭にね、「自然体で行きたい」、という話をされた。
ところが発表された内容は自然体じゃない。逆行しとる。
そういうところがね、ものすごく気になった。
あなたの自然体は、僕が最初出会ったときの、いわゆる白石さんのよさ、らしさは、1番自分の個性を丸出しにした姿だ、と僕は思っている。
それを一生懸命、半分否定……否定はしてないのかもしれないけど、社長道を求めたりとかね。
だいたい、基本的に「社長道」なんかない。
なぜなら、人間みんな違うから。世界に75億ぐらい人口がいる。我々はみんな、75億分の1。
外見は同じように見えても中身は全部違う。だから、ひとりひとり、違ったところがある。
自分の内面よく知っているのは自分。
だからそれを他人の表面的な像に憧れるということが、僕には今一つわからない。
それが一点。

それからさっき水島さん、非常にいいこと言った。

【水島】
珍しい!!(笑)

【蒼天先生】
僕ね、ドキッとした。
一ヶ月の間にどれだけ成長したんや、って。

(会場笑)

それから緑山さんの言われたことも。僕はこの二人が言われたことは同感ですわ。
桜庭さんが言われた「らしさ」っていう、これも。

今、白石さんは悩んでいるんだと思う。
悩んでいるというのか、自信を喪失しているのか、そのへんはわからないけれども。
しかし、今我々がいろんなことを言っても、耳に入らないと思うから。
自分の思うように一回やって、来年その総括を我々の前でやってもらったらどうでしょうか、と僕は思った。

ただ、自分の中に矛盾がある。
自然体と言っている割には、自然体でない方向に向かおうとしている。
前を向いて進まなきゃならないと思っているのにどうも後退している。悪い言葉で言うと退化している。
今日はあなたの話を聞いてそんな印象を受けた。

今日だけじゃないかな、前回も同じこと言ったのでは。
銀行の支店長さんを見たら、支店長さんの風格があって、その風格に憧れるとか。
あぁこれはちょっとやばいな、と思った。それを今日も引きずっておられる。

あなたの人生だし、あなたの会社だし、好きなようにやったらいいんだけど、とりあえず自分の好きなようにやって、1年先、半年先に、結果が出てくるかもしれない。

それから、緑山さんも非常にいいことをおっしゃった。
自分が好きになろうと思わない。相手から好きになってもらうということ。
これはもうまさに正解です。
自分から好きになろうなんて、それはちょっと思い違いがあると思う。
そのへんゆっくりまた考えられたらどうですか。

【白石】
はい。

「好き」という言葉が正しいかどうか、適切かどうかはわかりません。
ただ、社員に対して、今までは、そこにはまったく興味がなかったんです。

「わかる」という言葉もおかしな言葉で。その逆を取ったら、「じゃ、社員は僕のことをわかってくれるんか?」という話になってしまうんで。そうじゃない。

やっぱり、見えない何かがあることに気づいたんです。間に。
そこをなくすためにはどうしたらいいのか。
もっと自分自身がフランクになればいいのか、そのまま自分の思うままに進んで行ったらいいのか、と今悩んでいるところはある。
これまで、すべてがとってもうまくいっていたのが、去年、うまくいってないわけではないけれど、少し何となく陰りが見えてきたっていうことが分かった。何かしないとあかんなっていう、メンタル的な焦りもある。

前々回、桜庭さんが言った「潜龍」という言葉。僕にとって、ものすごく重かった。
「もうちょっとポジティブに行ったらどうですか」ということを、桜庭さんに対しても思ったけれど、自分自身に対しても思った、問いかけた。

去年、久々に、人の汚さっていうのを、間近に感じた、見えた。よっぽどみんな、しんどいんだろうな、と思いつつも、今までの自信が、少しぐらついた、ということもあるのかなと。
それに対しての新しい打開策を考えているから、こういう弱気なことになっているのかもしれない。

【蒼天先生】
自信がぐらついたというのは、それは感じます。先月も感じてた。
それをすぐ解決しようとするところに、白石さんの、今まで僕らに見えなかった弱さがあるんやろうね、きっと。
もうちょっと強かったら、自信がなくてもすぐ解決しようなんて思わない。
その本質を見極めて、最低でも2、3ヶ月、なぜその自信がぐらついたのか、という原因をじっくり確かめて、それからさらにじっくり、これからの方針をたてる。
自信がなくなって、ぐらついている期間をもっと持続するべきだと思う。すぐ対応しようとするところに、土台の問題、意外と土台が脆弱だったのかもしれない。

自信がなくなるっていうのはみんなある。その時にどう対応するか。その対応の仕方に、実力が問われる。
今まで順風満帆に行っていたからかもしれないけど、ちょっとそのへんの弱さが出てきたんじゃないかなと、そんな気がする。
だから僕はこのまま行ったらどうや、というのは、自信がないまま行ったほうがいいよ、ということを言いたかった。そこで自信がなくなった本質を見極められるから。そこではじめて手を打つ。
本質を見極められないままに手を打つと、必ずしも正しい方向、正しい手段が見つかるとは限らない。
そのへんのところで、しばらくこのままいかれたらどうですか?

それともう一つ。
あえて言いますと、白石さんは、いわゆるサラリーマンタイプの経営者にはなれない。
なろうと思ってもなれません。
それはなぜかというと、自分にないものを一生懸命、形を作って虚像を作っても、どこまで行ってもそれは虚像に終わるということですわ。
なんか今日はリモートの関係もあるかもしれないけど、いつもの話と比べて、すごく歯切れが悪い。
それも自信のないところとつながってるのかな、と。
えらいきついこと言いますけど。
そのへんのところを自分で見直してみてられたらどうかな、と。そんな気がします。
結論から言えば、あなたの思う通りやられたらどうですか?
言葉は悪いですけど、もうちょっと傷を大きくしはったらどうですか? あなたは耐えられるから。そういう大きな傷のダメージをしっかり受け止めてから、対策を講じられたほうがいい。僕の結論はそんな感じです。

【黄金】
僕の話が最初に出ましたけどね。
私のところの仕事は、まぁ言うたら営業なので、見かけとかしゃべることが仕事。
白石さんのところはものづくりやから、よい製品を作るということが仕事。

僕らは、その商品とか製品を、いかにお客様に提案し、販売していくか、という中で、「見られる姿」「商品に対する知識」「相手とのトーク」、そういうものを勉強して、考えて、磨いているわけです。
白石さんが、が技術を磨かはるのと同じように、です。

僕らの仕事は、これは自然に身についているものなので、白石さんから見えているような、むちゃくちゃいい社長、憧れの姿ではなくて、こういうビジネスをやっているから、身についているだけ。言葉で説得するのが商売の流れなので。だから自然についてくるんですよね。
蒼天先生に怒られる時に反論する、というのは、積み上げてきたものがあるから反論することがあるんですけど。
でも確固たる自信があるかというと、自信満々の社長をやっているかというと、全然そんなことない。それはもうある意味虚勢を張っていると言ってもいいぐらいの部分は当然ありますので。
ただ、社員に弱いところを見せたらアカンよね、とかいろんなビジネスで競争している時に、弱いところを見せないとか、強い自分を見せなきゃいけないというのは、ずっと思ってやってきたんで。
でもそれって本当に強いかというと強くないんで。
弱いのを隠してるだけなんで。

その弱いところを出しても、ええんやろうなと最近思い出してきて。
弱いと認めることのほうが強いんやろうな、と最近思えるようになってきたので。
そういう意味でいうと、白石さんが見てくれてはる僕って、実はむちゃくちゃぐにゃぐにゃやしね。
大したことないし。
そこはあまり見習うところないと思うけどな(笑)

今日も黄金さんは男前だ。「弱いと認めることのほうが強い」に1票。

【蒼天先生】
人を見習いたいというのは、元の自信がなくなってきた証拠なんや。

【黄金】
こっちに求めてるんですよね、答えをね。

【白石】」
図星なのかもしれない。
憧れていた社長さん、かっこいいなと思っていた社長さんが、引退して行かれて、自分も気持ちが弱くなっていたり、勝手に自分も終活し始めているというのはある。でも自分はまだまだなので、頑張らないといけない、というのがある。
それから、この前食事に行ったときに、50歳からシニア割引があるとか言われて。来年そうなるので、そんなショックもあったりとか。
50歳って僕の中であんまり考えられなかったんですけども、50歳なんだな、っていうことですごいなんか気落ちしてるって言うのがあるのかな。
けどまぁ、経営っていうのに足を突っ込んだだけなので、少しまた、自分の中で燃やすものを見つけたいと思う。

【蒼天先生】
白石さん、50代60代というのは、一番脂の乗った時です。
70代になるとちょっと体力落ちるからあかんけど。

【桜庭】
白石さんの発表をお聞きしていて、全く私の心境と同じ感じだった。2ヶ月前、自分が発表して、先生がおっしゃったことを思い出した。
私、遠山さんと同級生なんです。もしかしたら私たちの星の周りがそんな状況に置かれているのかもしれません。
先月もお話しましたが、急に年齢を意識するようになってしまって。
そうなると、先生からしたら何を言うんだということかもしれませんけど、やっぱりカウントダウンし始めるような要素が出てきて。
私なんか、なんにもしてない状況で止まってしまって、いやほんとにあと10年大丈夫か、みたいなことになると、はたと悲観的になってくると言いますか。
それが1月のああいう目標になってしまったんですけど。

【蒼天先生】
なんか研究会も話題が変わってきたな(笑)。

【桜庭】
いずれにしましても、白石さんがんばりましょうね。

【銀河】
まだこの中では「ひよっこ」なんで、頑張りましょう(笑)。

【白石】
なんか50が目の前に来ると、ちょっとたじろいじゃいますよね。
節がまた60なんかもしれないですけど。

【緑山】
我々まだ10年以上、先生の歳までがんばりましょう。
白石さん、20年もありますから余裕ですわ。

【黄金】
ほんまそうですわ。先生いはるから、80までいけるんやって勝手に思ってるわ(笑)。

【緑山】
いい例を見せていただいて。

【黄金】
ねぇ。お手本やわ。


感じた違和感を言葉にしてみる……。
「相手から好きになってもらう」というところですね。今の私は、少し違和感を覚える。
「自分から好きになる。相手の反応に期待しない」「自分から相手の好きなポイントを見つける」自分はこの感覚だから。
自分から好きになって、相手から好きになってもらえなくても、それはそれでOKというか。
相手にも相手の気持ちがあって、私のことを好きになろうがなるまいが、それは相手の自由だし選択だし権利だし。それ、相手の問題だし。相手の価値観だし。これはアドラー心理学で学んだことです。
「相手の反応に期待しない」これが私にとって、相手へのリスペクトかな。自分の気持ちを押し付けないというか。
そうすることで、ほどよい距離感、お互いに気持ちのよい距離感が自然と生まれるのだと思っている。
50歳と、大先輩の違いかもしれないし、男女の違いかもしれないし、自分もその歳になったら、「あ、そういうことだったのか、浅はかでした。思慮が足りませんでした」、って思うのかもしれない。(そんな気もしますが!) そう感じたときに、考え方を変更しよう。
もちろん、相手に対する尊敬の気持ちが前提ですが、私は自分から相手の懐に入っていきたいなと思っています。その時は、受け入れてもらえずに、無理か、となっても、お付き合いを積み重ねていくうちに、少しずつ距離感が縮まったり、共感できるところが増えたりすることもある。逆にどこまでいってもうまくいかず、距離を開けたままのときもあるけれど。
自分も少しずつ成長しているし、歳を重ねていくし、それは相手も同様で、よきタイミングがあれば嬉しいな、と思いながら。
最初は意気投合したけど、だんだんお互いのメッキがはがれて、あえなく離別、ということもある。それもまた時がたてば笑えるエピソードになる。
そのひとつひとつを、細やかに、ていねいに楽しんでいきたい、味わっていきたい。生まれてから死ぬまで、出会える人、関われる人は、限られているのだし、好きになったほうが、自分が気持ちよい気がする。
自分の親、きょうだい、家族、一緒に働く仲間、友人、血がつながっていても他人でも、そうやって心地よい距離感というものを常に保って行きたいと思っている。サーモスタットのように、近くなったり、遠ざかったりしながら、「立ち去るときには5月の風が吹く」というイメージ。
未熟で感情的で、煩悩にまみれたところだらけなので、いつでもスムーズにいくことはない。いつでも冷静な自分でいられるときばかりでは決してないけれども、自分の基本的な気持ちはぶれないよう、自分なりに、相手を大切に思う。
そうやって、いろんな人間関係を楽しんでいけたらいいな、誰かのお役に立てる自分が見つかったらラッキーだなと。
そしてひとりで死んでいく。そして死んだあとにさわやかな風が一瞬吹いたら最高だな。

書いてみるときれいごとを並べているだけかもしれません。でも今のところ、これを全力でやっている。これが自分にとっての自己肯定感というやつかもしれません。
今年の1月には、絶対こんなこと書けなかったな、と思いながら。
もやもやを山盛り抱えながら、皆さんの短冊発表をお聞きしたり、自分が発表して、皆さんのお言葉をいただいたりすることが、自分の脱皮になっているのです。
そしてまた、いろんな人、本、できごとに影響を受けて、どんどん変わっていくのです。
明日になったら、全然違うことを言っているかもしれないし、自分はそういう自分を許しているというか、信じているというか、やっぱり「5月の風」でいたいと思う。

 

短冊発表【蒼天先生】「3年10倍、クレイジー元年」

【黄金】
短冊発表の、メインイベントがやってまいりました。先生の短冊の発表でございますので、突っ込むところ、よく考えていただいて、よく聴いていただきますように、よろしくお願いします。

【蒼天先生】
「3年10倍、クレイジー元年」

その前に、年齢のことに触れると。
6月、また大台に乗る。僕は今まで、年齢のことは気にしていなかったけれど、80代というとちょっとね。ちょっとこたえる。なぜなら、年賀状の喪中で、同級生がぼちぼちダウンしてるから。
ただ、ひとつだけ申し上げたいことは、白石さん、50代は、50は、まだ若輩ですわ。

定年が55歳のときには、50すんだらじいちゃんだった。サラリーマンだった頃、現場に出て驚いた。本当に、今でいうところの80歳以上に見えた。55歳で定年になるころには、こんなに弱ったはるんやなと思った。現場ということで、重労働だったのかもしれないが。
今、平均年齢は、恐らく80代。交通事故や、三大疾病で亡くなる人たちを除けば、100年近く生きるだろう。特に女性はね。人生100年代と言われているけれども。
でね、これマジな話。人生100年代になったときの50は、まだ半ば、折り返し。人生50年と言われたときの、25歳のことですわ。だから、50で「もう年や」と言っていたら、終わりです。
一番歳をとる原因は何か。「意識の老化」です。何かあったら、ああこらあかんな、歳やな、そう思ってしまう。これで皆さん、どんどん老化していく。特にサラリーマンは、定年があるから、もうあかん、なんかあったらもうあかん、それからずるずるずる~っと転げ落ちて行かれる。

で、60代前半の方、まだ、これはまだ青年ですわ。
ただし、70代過ぎると、ちょっと、大変になってくる。病気になる。僕の場合で言えば、70代そこそこに、大きい手術した。今、お腹、4つ切った後がある。全部終わったのが72,3歳かな。そこから、健康面は、全然普通になった。ただし、体力は、経年劣化ですから、どんどんだめになってくるけどね。
2,3年前から、歩き始めている。今だいたい40分くらい、歩数でいうと、5000歩くらいかな。めちゃくちゃ体調がいい。
この前の議事録に、30分歩いたら脳からセロトニンが分泌される、というのがあったね。体調がいいの、これかな、と思った。
それともうひとつ、夜がものすごくよく寝られる。むちゃくちゃ熟睡ですわ。僕は、体調は非常に万全、ということ。

繰り返すけれど、一番大事なことは、「意識の老化」
白石さん、「意識の老化」 あきまへんで。白髪1本や2本で、老化なんて言っていたら、あきまへん。40代やったらまだまだまだまだ。僕は起業したのが52歳。40代のころは、僕はサラリーマンだった。白石さんは、まだまだ若い。
ひとつ、そういうことで、皆さん、年のことは、そんなに意識しないでほしい。それが第1点目です。

さて、本題。
「3年10倍、クレイジー元年」 それです。そうさせていただきました。
たぶん、3年10倍っていうのは、今まで話したことがあったと思う。3年で10倍、成長する、ということ。これ実を言えば、マジで考えている。
かつて皆さんには、10年10倍、成長しよう、と言っていたが、あれはコロナの始まる前の話、ずっと前の話。そのころは10年10倍と考えていたが、これからもう皆さんも、それくらいの感じで、3年で10倍、という感覚で考えて、物事を進めてほしい。

でね、ずっとこの2、3カ月、色んなことを考えてたんですよ。その中でね、

「真面目」「不真面目」

真面目過ぎても、真面目だけでは、大きなことはできない。それはもう皆さん、わかっていただけるね。
不真面目では何もできまへんな。実際我々はどっちに入るか。ということを考える前に、どちらにも属さないんじゃないか、ということを考え始めた。
事を成すためには、もう一つあるんやないかと。一生懸命考えていた。やっとね、昨日です。やっと、こういう言葉を思い浮かべた。

「非真面目」

です。これ、辞書で調べても、ないと思う。
さっそく、ネットで調べたら、森政弘という人の書いた本があった。「『非まじめ』のすすめ」。発刊は、1977年。今は古本しかなくて、中身を見たら、評判もよい。僕は大嫌いなキンドル版で買いました。読み始めて、最初からvery goodでしたわ。おもろい。めちゃくちゃおもしろい。
で、森政弘ってどんな人かな、って調べたら、ロボット工学の先生だが、仏教に非常に造詣がある。これから、「『非まじめ』のすすめ」、これをじっくりと勉強しようかな、と思っている。

例えば、日本の明治維新をよく考えてみたら。幕末の志士、坂本龍馬とか、勝海舟とか、高杉晋作とか。ああいう奴らは、決して真面目ではない。当然不真面目でもない。不真面目やったら、誰もついてきまへんわ。

結局、ことを起こす人、何かをする人というのが、「非真面目」な人ちゃうかな、と。そのちゃんとした定義を、森政弘さんが書いておられた。
で、僕がもやもやしてたことが、この「『非まじめ』のすすめ」という本でね、すかっとなりそうな気がしている。

僕も考えてみた。例えば僕の好きな坂本龍馬。ひとことで言えば、「品行」は絶対によくなかった。幕末の志士に、「品行」のええ奴はいなかった。
ところが、なぜそんな彼らに人がついて行ったのか? それは「品位」が保たれていたから。「品位」があるから、信頼できるし、安心できた。
だから、「非真面目」というのは、「品行」はいくら悪くてもいいが、「品位」は絶対に落としたらあかん。ということがだんだんわかりかけてきた。

少し余談になるが、「『非まじめ』のすすめ」、最初読んだときに出てくるのは、200年くらい前の作曲家、ハイドン。
「驚愕交響曲(サプライズシンフォニー)」という愉快な楽曲がある。第二楽章が有名で、急にティンパニがバンバンって鳴る。当時の音楽は、宮廷音楽で、うとうとしかけている紳士淑女たちが飛び上がるのを見て、ハイドンは喜んでいた。
また、「さよなら交響曲」とよんでいい楽曲がある。この曲では、自分のパートがすむと、ひとりずつ帰っていく、というおちょくったシンフォニー。そのおちょくったところが、そもそもの「非真面目」のスタートだったのではないか? そんな感じがした。

要はね、これですわ。我々は「非真面目」に徹しないといけないんじゃないかな。僕はこれから、もうちょっと「非真面目」ということを、よく考えてみたい。
僕にとってはね、これは「3年で10倍、器を大きくする」、ということですな。今までの常識では、絶対考えられんことやと思いますわ。しかしね、考えられないと言って、何もしなかったら、全然、前に進まない。本気でやろうと思う。
3年で1000日あまりですわな。今日で、これをスタートさせて、460日が過ぎた。ぼちぼち半分くらい、折り返しに来ている。まあ、半分近く、来ている。

で、何かしたい、何かしなきゃならん、と思って、とりあえずやみくもに週1回コラムを書き始めた。とりあえずやみくもになんかやってないことには、前に進めないから。
最初は1000字くらいにおさめようと思ったけど、だいたい1500から2000字くらい書いている。
ライティングゼミを受講していた頃は、毎週書くのが大変だったが、今は全く大変じゃない。土曜日1日あったらすっと書ける。ま、書けなかったら日曜日、繰越す。月曜日に間に合わす、という感じ。そんな感じで書いてますけどね。
で、コラムを書いていて思うのは、ああ、これはもう、very goodな取り組みやったな、ということ。文章を書いておられる方はご存じやと思うけれども、書くというのは、ほんとに大変なこと。それを、今では負担に思わなくなってきている。
ま、だんだんとそんな感じで進めてきたが、あと半分とちょっと、何らかの形で、実現しそうな気がしてきた。

じゃあ10倍成長した、ということは、何で判断するんや? という方法について。
白石さんが、「修正日記」を書いておられたね。
僕は、「きらめき日記」という名前で、やってきた。当日、手書きで書いた日記を、翌日、日記を見ずに、今度はPCで入力する。恐らくそれを10年近くやってきた。
今は、「きらめき日記」を、「夢日記」という名前に変えてね、翌日の朝、PC入力してから、2年前の同じ日の、「夢日記」を再読している。それを読んで、わーすごいこと書いているな、と思ったら、成長していないということ。なんやこの程度のこと書いてたんか、この程度のことしか考えてなかったんか、というレベルなら、それだけ成長している、ということ。
2年前の日記は、ばかばかしくて話にならない。
1年前だと、時々、うん? ともう忘れていることがあって、まだそのレベルですけれども、最終的には、半年、場合によっては3ヶ月前の日記を見て、なんじゃこれはと、この程度しか考えてなかったんか、と思えるようになったら、10倍に近づいてきたんじゃないかと。3ヶ月で陳腐化してる訳だからね。3年経ったら、その何倍ですかね、だいぶなりますね。
そういう感じで、とにかく3ヶ月前に、もうこれは人が書いた日記やと思えるようになったら、自分が10倍成長した、そう判断しようと。僕は自分でそう考えて、取り組んでいる。それにかける時間は、朝1時間。そんなに負担にはならない。

実を言えば、コラムは今年の1月1日からスタートして、毎週月曜日、出してるんですが、もう既に14回かな、並んできた。もう積み重ねって怖いな、と思うが。ま、それがひとつ。

もうひとつはね、それを日常生活とか、仕事とか、それにどう活かせられているかな、ということ。だから、それを自分の日々の日記に書くことにしている。だから、夕方の日記は、1時間はかける。
本も読んでいる。
仕事はいつする? ということになりますが、おかげさまで仕事の量が減っているので、今こそチャンスやと思って、これ幸いに。
仕事は、増えてきたら、そのときに考えたらいいと思って。だからもう僕は今が絶好のチャンスやなと思っている。絶好のチャンス。あと2か月たったら80歳になる。80歳になったときに、このまま継続するか、また別のやり方をするか、考え方を変えるか、それはまたそのときに、6月23日、僕の誕生日のときに考えたらいいと思っている。

やっぱり器を大きくしないと、人生おもしろくない。器が大きくなったら、色んなこと、いろんなものが見えてくるし、楽しくなるし、いろんな発想が浮かんでくるし、そういう面で、あっという間に1日が過ぎる。なので、今年に入ってから、非常に楽しい3ヶ月とちょっと、過ごしてきた。
ざっと、そんなところです。また、質問あったら、なんぼでも答えます。
目指すは、非真面目な人間になる、ということですわ。まだ「『非まじめ』のすすめ」を読み終えていないので、これ以上は言えないが。以上。


【水島】
今のお話を聞くと、めちゃくちゃ真面目なお話に聞こえたんですが……。

(会場笑)

全然「非真面目」じゃないような…という気がするんですけれども……そこはどういう感じですか?

【蒼天先生】
課題です。

【水島】
なんかもっと、ぶっ飛んだようなね、クレイジーなことをやらはるのかなーと。サーフィン始めます、とか……? 

(会場大爆笑)

結構真面目な路線で言われたので……。そのあたりはどうなんでしょうか?

【蒼天先生】
やっぱりね、まずね、この歳になってね、サーフィンはちょっとね……。

(会場爆笑続く)

でね、感じるのは、好きなことをしようと思ったら、もっともっと、根を頑丈なものにしなければ、非真面目なこと、クレイジーなことはできない。
だから今やっているコラムでもそうですが、いつまで続くかわからないが、ま、今年の半分は、余白。とことん根を張る。半分といっても180日ですわな。まだ間に合うし。と思っている。

前回コラムに、お茶のことを書いた。
僕は今まで、2つの山を登ってきた。
仕事の、マネジメントの山と、茶の湯という山をね。で、そこで感じたのは、茶の湯の山から、仕事の山が見える。で、仕事の山から、茶の湯の山を歩いている姿が見える。変な妄想だが。
どっちの山が簡単に登れるかというと、やはり、茶の湯の山。なぜなら、これは趣味の世界だから、別にお金を稼ぐわけじゃないし、自分のペースでやっていたらいい。これはインプットだけやってたらいい。アウトプットは必要ない。
仕事の山、マネジメントの山はどうか。こちらは、範囲も広くて、もっと、シンプルな山にした方がいいと思っているが、まあしかし、競合がいるし、食べていかなきゃならないし、いろんな要件が重なるから、どうしても、スピードが遅くなる。

例えば、マネジメントの山、仕事の山を、2000~3000m上がって来た。上まで上がってくると、だいぶ競争相手が減る。茶の湯の山は、マイペースで行っていたら、もう少し高いところまで上がれる。
そこで、茶の世界から、マネジメントの世界、仕事の世界を見たら、見下ろせるということになる。
逆に、仕事の世界から茶の世界を見たら、あ、もうちょっと努力したら、こんな世界に行けるんやな、ということがある程度予測できる。
そうやって僕は、ふたつの山を登ってきたつもりだったが、あのコラムを書いて、急に気が変わった。ふたつの山を、ひとつの山にしてみた。どうなったのか? ということですわ。どうなったと思います? 

今まで学んできたマネジメントのこと、仕事のこと、これが全部根(土台)になってしまった。もう地下に下りてしまった。で、茶の湯の思想だけが残った。
意識的にそうした、ということがあるが、これは、僕が会社を解散し、個人事業を始めたことに関係している。すべての肩書をとり、ものすごく身軽になった。好きなように動けるようになったし、考えられるようになったし、枠組みがなくなってしまった。そういう意味で、茶の湯の世界は自由だから。
だから自由なほうをとって、で、マネジメント、仕事の方は、どうしょうかなと思ったら、全部知らんうちに地下に潜ってしまった。今やマネジメントというのは、僕にととっては、根になってしまった。そうなると、経営の木はどうなったか? 
これもコラムに書いておいたが、もう葉っぱも、枝も、何もいらん。中小企業は、幹だけでいいと。葉っぱも花もいらない。幹に直接花が咲いたらそれでいい。余分なものはいらない。余分なところへ栄養分を回さなくていい。根をいっぱい張って、幹で吸い上げて、特定の花に集中して、蓄えたもの、エネルギーを注ぐ。そうなると恐らく、他の人が絶対にまねのできない花を咲かすことができるんと違うかな、というところまできた。

クレイジーになるのは、これから。僕のクレイジーっていうのは、考え方の羽目を外すというか、そういうことなので、何を言い出すかわからなくなるかもしれないし、理解に苦しむことを言うかもしれない。
でも、僕は羽目を外すのがすごく楽しい。人から見たら、馬鹿かと言われても、平気でやる。他人の言うことは放っておいて、自分の一番やりやすい、やりたい手段で、進めていく。そのやり方が、人から見たらクレイジーということかもしれない。でも、人が考えられないようなことをやってみたい。

で、マネジメントを地下に埋めてしまって、どうなったかというと、毎朝いろんなことがひらめくようになった。もう朝が大変。もう、書きまくっている。字も汚くなって、ぐしゃぐしゃだけれど、ゆっくり書いてたら忘れてしまうから。ぶわーっと書かなきゃならないから。

ま、いずれにしても、こんな日々を過ごせるということは、この歳になってきたからできること。やっぱり、長年積み重ねてきたひとつの成果みたいなものが、出てきたのかなあと。それが、ぼちぼち、何らかの形でクレイジーというアウトプットになってね、これからの僕の人生を楽しませてくれるのとちゃうかなと。まだ形はわかりません。形は、3年たってから、形にしようと思っている。あまり形を決めたら、成長のスピードが遅れたらいけないから。ということで、だから、80になっても全然、不安はなく、大丈夫、ということです。


【銀河】
先生すごいなあしか思うことなかったんですけど。
話を聞いてて一緒にわくわくする感じがありました。
一個だけわからないところがあったのが。仕事の山と、茶の湯の山。
それは過去のこと?今のこと?
登って来られたのは過去で、今一つの山になっていますか?

【蒼天先生】
僕が中小企業診断士の資格をとった経緯は、
たまたま、昔の京都駅の2階の本屋で、そういう資格があることを知った。本を買って試験問題を見たら、ほとんどできることが分かったので(会場笑)、それで突然申し込んだ。
当時、一次試験は、全部記述式だった。比較的簡単だったということと、問題を予測することができたので、一発で合格できた。そのころ、水俣病をはじめ、公害問題が大変ひどかった時なので、「企業の社会的責任」という問題が出るだろうと予測したら、あちこちで出てきた。これはしめた!と、ぶわーっと書きまくった。

そのころ、毎朝1時間勉強をしていた。主として茶の湯の勉強だった。だから、茶の湯の勉強をしていて、中小企業診断士の資格がとれた、と言える。

その時思ったのは、あ、これは山がふたつあるんなと。或いはひとつの山だとしても、登山口は別々にあるんやなと。登山道は全然違うと。だから、見える景色も、人間関係も、全部違う。二つの道を僕は歩んでいると思った。いいか悪いかは別として。しかし両方ともやめられない。

僕は昔から日記を書いているから、どういう道のりを歩いてきたかがわかる。
しばらくして、頭の中で、山をふたつにすることにした。
独立してからの話だが、僕のマネジメントの考え方には、茶の湯の思想が入っている。これはもう意識していた。感じてた人もいたかもしれない。人とちょっと違ったかもしれない。それはそれとして。
ふたつの山。全然違う発想で、景色も違うし、人間関係も違うし、それをふたつ使いこなすというのは、すごく快感だった。いい気分だった。仕事もそれなりに忙しかったし、ふたつの山でずっと来た。

今年、コラムを書き始めてから、いや書いている最中に、ふたつの山がひとつになった。
書いていくと、どんな発想になるかわからないからね。
で、もう少し続けて書いていたら、マネジメントも全部、地面に下りてしまった。
で、茶の精神だけが残って、その精神に、花が咲き始めた。まだ小さいですけどね。そんな構造になっている。もう枝葉はいらない。

【白石】
で、どうしたいんですか?
(会場笑)
自分自身が、ここに行き着けるのかな、この感覚に。
ムーンショット計画、10年10倍計画とか、それを無視して3年で10倍でしょ。
僕は今、悩んでいるこの時期に、悩みながら、10年をどう過ごそうとか、頭の中で思っていました。いつか僕もクレイジーにならなあかんのでしょうけど。
先生は、この先また、とんでもないことを言い出すのかなと。質問も何をしていいかがわからないです。

【蒼天先生】
あのね白石さん。僕の直感ですが。今の白石さんの悩みは、1年もしたら、なくなる。だから、この1年はさんざん悩んでもらったらいいと思う。

問題はその先。放っておいても、これから世の中はめちゃくちゃ変わる。
人は環境に影響を受けるから、否が応でも、自分が変わらざるを得ない状況になると思う。
だからその時に、状況の流れ、流れに沿って、さらにそれ以上のスピードで、自分の流れで生きていけるか、単に流されていくか、選択する必要がある。
たぶんここにいる人は、時代の流れや、環境の変化を傍観しているだけじゃないと思う。みんなそれぞれ、違うやり方で、何らかの仕掛けをするでしょう。

僕の場合は、たまたま3年10倍にしようと思った。皆さん方にも、それぞれ何かある。
ただ、はっきりしていることは、一番大事なのは自分自身であり、自分自身の人生である、ということ。

例えば、以前、「仕事と人生、どちらが大事か」という議論をしたときに、「仕事と人生は一緒だ」という意見があった。僕は、これは思い違いだと思った。
仕事を辞めても、仕事がなくなっても、まだ、命は残っている。
今まで蓄積してきた知も、残っている。
だから、逆に言うと、仕事を辞めてから、その知を、自分のために活かす機会が増える、ということ。僕の場合は、今まで、仕事のために時間を使ってきたので、自分の知を自分のために活かすことは、比較的少なかった。
去年、仕事が一挙になくなった。たぶん今年は何らかの形で出てくると思うが、仕事に割く時間は、抑えようと思う。
自分のために使う時間が、これほど楽しいのか、ということを、去年実感した。
皆さんは、お金儲けしなくちゃならないし、社員にちゃんと給料払わなくちゃならないから、僕と同じようにはいかないけれど、その中でも、時間は見つかるはず。自分のことをきちっと考える時間を持てば、自分がこれからどうあるべきか、何をしたいのか、ということが浮かんでくると思う。何したらいいかわからない、というのは、仕事が中心の生活で、自分のことをきちんと考えていないから。そういうことじゃないかと僕は思う。
だから、皆さんに、自分の時間を持ちましょう、と言いたい。
黄金さん、だいぶ時間を持てるようになったね。だんだん自分が見えて来た。仕事だけを一生懸命やっているとき、自分の姿は見えていなかった。だから、白石さんの、定時で終わる、っていうの、僕は大好き。あとは自分の時間になるから。そこで、自分の時間をどういう形で有効に使って、自分をもっと深く知るか、あるいはもっと磨くか。
すると、自分の得意分野がわかってくるし、自分の道は、勝手に浮かんでくると思う。どういう方向に行くか。或いはもっと他に何をしたかったか、ということが見えてくるかもしれない。


この話を聞いて。
蒼天先生や、メンバーのお話や質問の中を行き交う言葉を浴びることは、「自分のことを考える」大切なきっかけになっているなと思いました。
皆さんの生の言葉に、よい影響を受けています。


【白石】
質問の仕方がおかしかったら、却下してください。
先生って、先生の中にある「パンドラの箱」をね、開けちゃったんですか? 開けに行くんですか?

【蒼天先生】
「パンドラの箱」を、もっともっと大きくしていっている。
開くのは、もっと先。いつ開くか、っていうのは、3年経ったときに考えよう、と。

【黄金】
大きくするっていう発想が面白いなあ

【白石】
開けにいく準備段階ということですか?

【蒼天先生】
準備段階じゃないです。
パンドラの箱をもっと、大きくしたいんです。3年で10倍、大きくする段階ですわ。まだまだ僕生きられると思っているから。

【白石】
ありがとうございます。

【黄金】
質問です。
先生は、一番大切なものは自分自身である、とおっしゃった。確かに自分も最近はそう思う。自分の会社を、自分のやりたいようにやるということと、自分を大切にするっていうことは、たぶん違うんですよ。これは。

自分とは、会社とは、こうあるべき、ということが「自分のやりたいようにやる」ということだと思っていた。自分が本当は何者で、何がしたい、ということに向き合わずして。
それが自分を大切にしていないと、先生はおっしゃった。

かつて僕は、いろんな予定でスケジュール帳がいっぱいになっていくのが、一生懸命頑張っている自分の生き方だ、証だ、と思っていた。理想論に向かって、会社を大きくして有名になって…… と思っていた。コロナ禍で変わってきたけれど。
先生のおっしゃる「自分を大切にすること」と、自分の追いかける理想とかどんどん上を目指すみたいなことって、違うことなんですかね?

【蒼天先生】
基本的に、僕はこう思う。自分の会社は、自分のカラーにしてしまう。自分の考え方で、100%、自分のカラーにしてしまう。自分のカラーにすれば、自分の考え方に沿った会社になるから。ただそこで、色々と、色々なところで、軋轢がでてくる。

【黄金】
自分の会社を、やりたいようにしたい、こんなふうにしたいと思って、実現させるために、また経営の勉強するために、いろんな本を読む、先生の講義を受けに行く、セミナーを受ける、そこでやり方、ハウツー、ノウハウ、手法を学ぶ。
結局でも、そうやっていくと、そこで学んだことが、答えになってしまう。それが間違ってたらもう、自分の思ってた通りにいかなくなるとか、あります。
その関係性、というか、矛盾というか、その辺はどうなりますか?

【蒼天先生】
基本的にね、経営者は、ハウツーは学ばなくていい。考え方を学ぶんですよ。自分の考え方を深めるということですよ。これが僕は経営者の最大の学びやと思う。で、考えが深まったら、自分の器が大きくなっていったら、その器で物事を考えられるから、勝手に手法は浮かんでくるんですよ。

【黄金】
方程式を学ぶんじゃなくって、この方程式を作るための、そこに行き着くまでの、プロセスみたいなものをしっかり学べということですね。

【蒼天先生】
そう、だから藤井2冠が、強くなったのは、詰将棋から始めたこと。そこでひとつの論理、自分の考え方、将棋に対するものの考え方というのが、ある程度固まった。その応用問題として、対局があった。要は、彼の成功は、詰将棋から始まったのではないか。僕はそんな気がする。
だから、今経営者、というか、我々人間に必要なのは、自分の考え方を深めるということですよ。別にノウハウみたいなもんはどうでもいい。

【黄金】
でも今、ハウツーの世の中ですよね。なんかそんな本ばっかりじゃないですか。

【蒼天先生】
それは、ほうっておく。

結局ね、みんながハウツーを真似したら、結局同じ競争が生まれる。そんな過当競争にどんどん足を踏み入れることになるから。

【黄金】
考え方を学ぶ、というのはね、考え方を教えてくれる人っていないじゃないですか。

【蒼天先生】
自分で勉強するんです。それは人に頼ったらあきまへん。

【黄金】
どんな時にでも、本質を知らないといけないと思う。そもそも、これは何を問うてるんやとかね、問題はどこにあるのかとかね、本質を常に理解しないと、枝葉の議論ばっかりになってしまって、まったく意味がなくなってしまう、と意識している。
講演を聴いたり、本を読んだりして、「こういう考え方があるよね」と知ること? その中で取捨選択をして、自分の考えを確立するっていうこと?

【蒼天先生】
でもね、考え方を学ぶということはね、根を張るということなんですよ。別にね、無理して芽は出さんでもええんですよ。自分の根がどんどんと深くなって行ったら、勝手にね、自分の好きな芽、思い描いていた芽が出てくるんですよ。だからその芽が出てこないということは、まだ根が十分じゃないということなんですよ。

あ、もう一つ言うの忘れてたなあ、
あのね、「非真面目」の話のところでね、あの、ひとつ言うの忘れてました。

「バーサス思考」これをやめましょうということ。
例えば、「貧vs.富」、「美vs.醜」とかね。それは結局「真面目か、不真面目か」、という考え方。だから、バーサスで思考を考えたらあかん、ということ。
銀河さん。
仏教で、これは「分別(ふんべつ)」っていうよね。

【銀河】
わからないです!

【蒼天先生】
「分別」って何かと言ったらね、「バーサス思考」やと僕は思っている。で、仏教で一番目指すところは、「無分別」なんですよ。
そうですね、銀河さん。

【銀河】たじたじ
自分と他人に境界線を作らないということ……ですね。

【蒼天先生】
そういうことですな。それが無分別ですな。要は区別しないということなんですよ。これは何かというと、こういうもの、バーサスを超越したところに、ひとつの新しい世界がある、 ということ。
その世界を自分で作りましょう、それが、「非真面目」ということです。

【黄金】
「真面目」と「不真面目」の対岸にあるのが「非真面目」という考え方じゃないですよね?

【蒼天先生】
ないない

【黄金】
じゃ、もうひとつ、「中庸」っていうことが大事だよ、ってことを今よく言われてるじゃないですか。中庸、真ん中。先生のおっしゃる「真面目」「不真面目」の間に「非真面目」があるということでしょうか? それとも、全然違う、別世界にあるのでしょうか?

【蒼天先生】
「非真面目」は、「真面目」「不真面目」これを超越した世界やね。

「中庸」、というのは、それは最近の話じゃなくて、平均主義ですわ。それは、F・W・テーラーの話で、もう150年前からの話。
「科学的管理法」っていう、全部、標準化してしまうということです。作業を、全部、標準化してしまって、真ん中のところで作業させた。そういう作業標準があって、それで、能率がぶわーっと上がって、生産コストが下がった。
F・W・テーラーの顧問先のフォードの車が。それ以前の車は労働者の年収の10年分くらいだったが、それがあっという間に、2,3年分の価格で買えるようになった。だから、労働者が車に乗れるようになった。それがアメリカンドリームのスタート。
F・W・テーラーの考え方は、正規分布の真ん中でね、全部標準化してしまう。平均値より下はあかん、平均値より上はいかん、というね、標準偏差の話。これはもう、そこが根源ですわ。だからみんなそれに踊らされてきたんですよ。

中庸がいいというわけではない。

【黄金】
僕が中庸という言葉を使ったのは、あの、なんというか、あいまいというか、真ん中へん、ていうかこう……。

【蒼天先生】
それは銀河さんに聞いて(笑)。

【黄金】
銀河さん、中庸ってどういう?
(会場笑)

【銀河】
ひえー!
こっちに振れて、あっちに振れて、その真ん中やから、超越、という風にも捉えられると思います。
すべて含んだうえでのその先、という風にもとれますし、成否で決めない。そういうもので、いろんな使われ方があると思いますけど……?

伝わりま、せん?

【黄金】
デジタル社会ってゼロかイチか、やから、中庸じゃないわけですよね。デジタルって。どっちかだから。
その中で、デジタル化が進められているんやけれども、でも、人間て、どっちつかずってありますやん。中庸ってだからすごく大事で、振れて振れて振れて、ここらんへんかなあ、というところで、みんな話を丸く収めると。いうような話でね、今、最近よく、そういう世の中になっていくだろう、と言われてて。今まではどっちかやった。生き方とか、経営についても、そういう風なことになってくるのかなと思って、今の質問したんやけれどね。中庸という言葉、今よく聞くから。

3月は「緑山暴走編」、今回4月は、「銀河トホホ編」でしたね。
「仏教が好き」「真理を目指す」などと普段発言しているものだから、「仏教なんでもわかってる人」になっている恐ろしさよ(笑)。はあ~
まだまだ、勉強中、勉強足らずな上に、知識が自分の中に、自分の言葉になっていないという恥ずかしい感じがしました。こうやってアホをさらしながら、恥をかきながら、ひよこは一生懸命になろうと思いましたとさ。トホホ。

【墨田】
質問というよりは、感想というか。
それこそ、僕らから見たら高齢ですけれどね、ある意味、そういう歳になっても、意識があれば、エネルギーがあれば、こんなにも元気でいられるんだという、生き証人みたいな。
(会場笑)
それを実践されているご本人を間近で見られるということは、非常に僕はラッキーやなと思っている。毎月1回、ずっと来て、お会いして、そういう姿を見ていると、自分も絶対そこまでは、頑張れるんやということの、エビデンスやと思っている。
まだまだ時間があるというか、いつからでもできるわ、というか、そんな元気をもらっている。それがありがたいな、という感想ですね。

で、「クレイジー」とおっしゃっているその色々と考えておられること、割と自分の中で、わかる。発想、考え方、何となく理解できそうな。自分も早く見える形にあらわしたい。

【紺野】
普段感じたことを対象にされて、何か自分の中で、こうじゃないかああじゃないかと考えて、
「非真面目」という言葉にたどり着いたということは、衝撃でしたね。
とっても腑に落ちたというか。

BS朝日の「才色健美(さいしきけんび)」という番組に、体操の田中理恵さんという人が出ていた。
その方が、「トップアスリートとは」というテーマで話していた中で、「ルールのある中の自由がいい」と。「ただの自由は何もないんですよ」と言われていた。
そういうのも「非真面目」に通じるのかなと思った。「非真面目」という言葉をいただいたので、それに向かってまた何かできるんじゃないかな、自分なりに「非真面目」を追求していこう、という目標をいただいた、という気がしている。
今日は、長野から出て来てよかったな、と、とっても実感しております。

【緑山】
過去二年、蒼天先生の短冊は、「深海を歩く」とか、ほとんど理解できていなかったが、今年はすごくわかりやすかった。
今日実は、ここへ来る前に、VIPのお客さんで、社長さんのところにお詫びに行ってきたんです。
うちの社員が、ものすごく真面目なヤツで、融通が利かんのですよ。で、今日先生の話を聞いて、あ、真面目で、こいつおもろないもんな、と。頑固やし。
その社員は、失敗はしてないんですけど、お客さんにしたら融通の利かなさが納得できない、ということで、私謝りに行ったんですね。
真面目はあかんのや、ということが、今日の先生の言葉でわかって、不真面目はそもそもあかんし。
今日は非真面目っていう話を聞いて、その言葉を聞いて、先生が「真面目」と「不真面目」って書かはったときに、その間、という意味合いのことをおっしゃったときに、すぐ考えてみた。
その間に来る言葉は何やろ何やろと。私、「フレキシブル」とか、「柔軟性」とか、「素直」とか、「謙虚」とか、そういう発想を思ったですけど。
真面目もあかん、不真面目も当然あかん、非真面目、これ帰って使おう、と思って。
かつ、素直で謙虚がええんやな、っていうことがわかってきた。

それから、蒼天先生の、「3年10倍 クレイジー元年」っていうのは、本当に勇気をいただける言葉でした。じゃあ私は、2年5倍くらいにしようかな、とか、それでも負けるな、とか、ちょっと思ってたんですけど。

で、やっとこの百年企業研究会、に入らせていただいて、ほぼ3年になりますけど、やっとわかって来たな、っていう。
先生と知り合って20数年になるんですけど、やっと先生のすごさがわかってきたという感じで、そういうところまで来ました。

会社で会議とかあるじゃないですか。いろんな集まりの会議もあります。結構、声の大きな人のほうに、意見が流れがちになっていく。そういうときに、最後までじいっとしていて、最後に一言誰かが言ったら、今までの2時間の会議の議論はなんやったんかという、ひっくり返すくらいの、パワーのある人がいますでしょ、蒼天先生はそういう人なんやなということを、改めて、感じました。

(今日も会場沸く)

【蒼天先生】
こんな上手にすってもらわんでもよかったのに(笑)

【緑山】
すっときました。さんざん(笑)

【蒼天先生】
ゴマはするもんじゃなくて、ゴマはたたくもんですよ(笑)
(いえ、つくもんですよ)

(会場笑続く)

【緑山】
いやあの、本心です。ここんとこずっと思っているんです。


【桜庭】
私とは全然違うんだなってことがわかりました。

(会場笑)

何と言っていいか、そうですか、としか言えないんですけれど、
いい悪いじゃなくて、私は私で行こうと、今日は改めて思いました。

(会場笑)

それが私らしく生きることかなと思いましたし。

ひとつだけ
私もすごく共感させていただいたのは、「品位」という言葉。私もかねがね、人生の最終目標は、「品格を高めることだ」と思っている。自分で思いついたわけではなくて、誰かの言葉に感化されて、そうだなっていうふうに思ったんですけれども。
でも、「品位」っていう言葉がね、ちょっとクレイジーとは相いれないと思いますが、そういうものを目指しておられるんだな、ということに関しては、とっても共感はさせていただきました。
それ以外については、まったく、考え方も、生まれも育ちも、脳みその構造も、きっと違うんだな、って思いましたし、それでこそ蒼天先生だなと思いました。
あのう、今まで私、先生のおっしゃることに共感させていただいていたのですが、今日は、初めて、ちょっと入ってこなかった。でももう、それで、いいんだろうなって、思いました。以上です。

【黄金】
期待通りの答え、ありがとうございました!

【桜庭】
挑戦しているわけではないんですよ! 違うんだなあって思っただけなんです。
先生のおっしゃること、ちょっとわからない部分がやっぱりあって、これはもう、そういうものなんだろう、ということで、おいておこう。と思いました。

【黄金】
ありがとうございました。

【蒼天先生】
桜庭さん、ブラックボックスたくさん持っとき。ブラックボックスをね、大きく大きくしとき。
要は、僕と合わないところをいっぱいためとき、ということや。
また、議事録を見てください。

【水島】
個人的には桜庭さんが実は一番クレイジーだと思う。なかなかみんながやらないような事業をバーンとしておられる。結構勇気がいるし、結構クレイジーなことだなと思うんですけども。なので、先生のいってはることと、実は相通じるものがあるんじゃないかなーと思うんですけど。

【蒼天先生】
いや、相通じない。僕はわかってるねん、それ。
何処が通じないかわかっている。あえて言わないけど。それは彼女がね、これから考える中で、ますますその部分が大きくなるか、それとも縮まってくるのか、ね、その辺はまだ、彼女自身が考えたらええことやから、僕はあえて押し付けません。

【白石】
桜庭さんは、普通のツアーという形の中から、オリジナルのツアーの形っていうのがあるんで、始まりの形はあるのかなと思う。もともとの形の応用。
先生の方は、もともとの形がない。

【蒼天先生】
もうちょっと待って。
あのう、3年後、パンドラの箱を開けたときに、はっきりさせるわ。

【白石】
見たくないまま、ずっといろんなこっちに投げかけるような形をしていてほしいなと思います。

【蒼天先生】
はい、わかりました。じゃあそうします。

【黄金】
箱を開けない。ということで。
なかなか開かない、ということで。

そろそろいい時間になってきましたので……

短冊総括は、次回になりますね。
先生の時間が大分かかりました。非常に良かったので、ありがとうございました。
それでは、これで発表の部分は終わります。


蒼天先生の短冊発表は、私にとっては、発表というよりも、むしろ講演というか、大先輩が、今なお成長、発展、新しいことに向かってさらりと挑戦されていく姿をライブで見せていただいている、本当に貴重な時間だったと思います。

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