読むドラマ(議事録)

相手を知ることは、自分を知ること。
年齢も業種も異なる経営者たちが、月に一度つどう目的はただ一つ。
決して一人ではたどり着けない月面「本当の自分」に降り立つため。
これはそんな経営者たちのリアルなやり取りから生まれたドラマ(議事録)です。
(禁:無断転載)

 第150回 百年企業研究会内容(2021/9/9)

開会あいさつ

8月は例会がお休みとなり、2カ月ぶりに開催されました。「今、病気になってはいけない」という蒼天先生のお話から、コロナワクチンの話、副反応の話、そんな始まりになりました。
緑山さんからのアドバイス。コロナワクチン副反応への対応として、「もし可能なら、アセトアミノフェンが入ったカロナールという薬を事前に用意をしておかれるほうがよいと思います」大事だと思います。
カロナールを飲んでいても、耐えがたい副反応がありました。

 

1分間トピックス

【紺野】
8月はそこそこ忙しかったが、ここ1、2週間前から急に仕事が減少しはじめて、今はほとんどない状態。トヨタが4割減の影響が出だしたのかなぁ、それにしても少し早すぎるぞ、と感じている。
今日は中抜けして2回目のワクチンの接種に行ってきます。


【水島】
封筒入りの暑中見舞いを送らせていただいた(琵琶湖デザインの栞とお便り)。
今年は交際費の支出がないので、ブランディングツール…、封筒、暑中見舞いなどのお便り、名刺などをしっかり作ろうかなと思い、スタッフと意見を出し合って作らせていただいた。
例年暑中見舞いは、ハガキ1枚で送っている。5件くらい反応があって、メッセージが返ってくるくらい。それが今年は20人以上くらいから、「ありがとうございました」と電話、メール、メッセージなどをいただいた。やっぱりちゃんと手間ひまかけて作ったら、ちゃんと反応が返ってくるんだなと思った。

起業してから10周年になった。10年やってきたんやな、というのを思う。
まだまだ成長していないので、これから引き続きよろしくお願いいたします。


【黄金】
先月例会がなかったという感じがあんまりしない。
時間の過ぎ方のスピードが全然変わってて、過ぎるのは早いんですけど、何をしたか、してきたか、一日一日振り返ると、ちょっと中身が薄いかなと。
手帳にスケジュールがいっぱいになっていることがいいことではないので、一つ一つ「考える」ことに時間を取れているのかな、と捉えて、いい時間の過ごし方ができていると思う。
健康面では、睡眠時間がしっかり取れているので、そこは良好。体重はどんどん減ってきて、かなりヘルシーな身体になった。なかなかええもんやな、と感じる今日この頃。

【墨田】
さっきずっと立ってらしたんですけど、それ関係ありますか?

【黄金】
最近zoomとか多いでしょ、それで座ってることが多いんでね。やせてきて、なんとなくお尻の肉が取れて、長いこと座ってるのが……。じーっとしてるのも年取ってくると、固まってあかんという感じもするので。


【菖蒲】
仕事の関係先がどんどん進化していっている。その変化にずっと寄り添い、一緒に進んで行きながら、面白い体験をたくさんさせて頂いている。
近々では、M鉄道さんという、実際の資本は別会社のグループになっている、小さなローカル線。クラウドファンディングでドラマを作ることになり、配役には松平健さんが入り、撮影が始まった。
化学変化のように、面白いことが次々起きている。
1番驚く変化は、この1年で、これまで全く喋らなかった社員の方たちが、ぼんぼん話をするようになったこと。会議が大変楽しくなった。当初は自分達の会社に対して、諦め感がすごくあったが、そうではない、希望がある、ということがわかると、人ってこんなに変わるんだなっていうことを経験させて頂いている。
どの会社もそうですね。
結局人ひとりが大きく変わると、そのエネルギーっていうのは、相乗効果で、まさに化学変化みたいなことが起きて、大きな力になるんだなっていうことを一緒に経験させてもらっている。
ということで、私も元気です。ワクチンは7月に全部終わり、何の副作用もなく元気でおります。はい。


【桜庭】
パソコンを新調。ちょっと仕事がしやすくなっている。

ずっと前から観光庁の補助事業を取っていて、それでツアーの練習や磨き上げを含めた形の実行が出来てはいるが。
今まで私自身は、行政の方と一緒に仕事をするとか、行政の仕事をとっていくっていうことには、興味も関心も全然なかったし、これからも特にそっちの方に向かっていきたいという思いは全然ない。
しかし、今この状況では、生き延びていくためにも助けていただかないといけないので、必然的にこうして一緒に仕事をさせて頂く機会を得ている。その中で1番しんどかったのは、仕事の整え方、特に書類作成。行政には特有の作法があり、とても細かい規定があり、それに沿って行っていくことが苦痛でしかなかった。ただ、公共的なものであるためには、仕方がないと思って、淡々とやっている。

毛嫌いしているきらいはあったが、観光分野に関わる多くの人の仕事のスタイルを見させていただいて、気づいたことがある。
中には本当に官僚的な方もいらっしゃるが、そうではなくて、民間の人に寄り添っていけるような、温かい気持ちを持った方もたくさんいらっしゃる。そういう方と一緒に仕事ができることを知った。
また本当にいろんな意味で広い知見も持っておられる方もあり、勉強させて頂く機会にもなっている。
今まで自分は食わず嫌いで、一匹狼的にやってきて、それが自由で本当に良かったが、そこだけにとらわれてはいけないなっていうことをこの間思ってやっている。
黄金さんに「ちょっと柔軟になりなさい」みたいなことをおっしゃっていただいて、これでも私の少し譲歩にもなっていて。
格好つけて言えば、「心の岩戸」みたいなところを開いていくと、確かに新しい世界が垣間見えたり、新しい情報が入ってきたりするんだなっていうことを、改めて実感した。


【銀河】
「なう」の100号を作ったことが一番大きなことだった。
この100号は何のために作るか?ていう話をみんなでした時に、今まで支えてもらってきているスポンサーの方と読者の方に対する感謝の号にしようっていう風に決めて。
13人のスポンサーの方全てを訪問してインタビューをして、写真を添えて記事にするという自分企画をやった。
そこで何が起こったか? 身近なところにすごい人が山程いるな、ということを改めて知った。生で人と交流することの大事さを知る。自分で住んでいる地域を改めて見直す、ということになった。京北を旅した。
ちっちゃい時に来たけど長いこと通ってないなー、っていう道を通ったり、全然見たことない景色を見たり、長らく暮らしているが、自慢するほど、まだ京北を知らないな、っていうことに気づいたりして、本当に良い時間を過ごさせてもらった。
スポンサーさんたちも、今の自分を見直す良いきっかけになったとか、読者の方からも、身近なお店の人たちの人柄がわかり、親しみを感じるようになったとか、ありがたい感想をいただき、嬉しく思っている。


【緑山】
この2ヶ月、何の変化もなく、ただ8月が終わってなんか今非常に寂しい感じ。
夏は孫と遊んだり、孫を連れて鮎釣りに行ったりして楽しんでいたが、もうこれもないなーと思っている。

ワクチン接種の話。ある職域の方で1,000人を集めるのに苦労したという方の話をこないだ聞きまして。
1,000人接種するための会場やその他段取りを、最初J社に依頼したら、4,000万円かかると。それは高いと、違う旅行会社に頼んだら、H社が2,000万円だった。
今大手の旅行会社は、コロナ以来イベント業者になっている。今回オリンピックで何兆円とか何千億とかかかっているし、人件費が1人30万円とか言われている。
隣りのオフィスは、オリンピックに関わられていたが、「6次下請け」だったそうです。サッカー会場で、試合を見ることなく、人の出入りを止めたりする仕事で、アルバイトの日当は1万何千円、それでも儲かったそうで、いかにあの大規模なイベントは、D社とかJ社のぼったくりで儲かっているんじゃないか、という話だった。
とりあえずこんなところでございます。


【墨田】
だいたい月一冊ぐらいは本を読んだりしている。先月読んだ本が「手紙屋」。
働くことの意味を考える本で、今読んだらすごく納得するなということが多かった。
もっと社会人になる前、若い時に読んでいたら、もっと仕事の捉え方も違ったかもしれないなというような、すごく示唆に富んだ、中身の深い本だった。自分が改めていいなと思うこともうそうだけど、自分の息子とか、それから最近立命館大学の学生さんと会うこととかもあったりして、これから就職活動を控える方とかに紹介してあげようと思った。その本で何かを伝えようというよりは、良かったなぁと思ったので、単純に紹介してあげたいなと。


【蒼天先生】
僕は、非常につまらない2ヶ月を過ごした。
黄金さん、僕の友だちも立って仕事をする机を買いましたよ。それを使ってから、非常に体調がよくなったとか。

【黄金】
そうです。特に体重のある方は、そうされた方が。もう全然違うと思います。
今もう、立ち会議とか、立って仕事するというのが、欧米では当たり前になってきているので。そういうのが入ってくると思います。
じっと椅子に座っていると、関節とかが固まってくるので。立っているとそういうことがないので。いいと思います。

【蒼天先生】
この前歩いててね、たまたま駅前の鏡を見てね、自分がなんとブサイクな歩き方してるのかと思ってね。もうびっくりした。全然意識ないんやけど。

【黄金】
先生いつもおしゃれやから。
おしゃれな人ほど、姿勢とか崩れるとかっこ悪くなってくるから。

【蒼天先生】
そんなん言う前に、ブサイク。これ、何とかしないといけないな、というのが最大の課題なんですが。

ひとついいことがあった。
大津市の図書館で、本を借りてたくさん読んだ。普段読まない本をめちゃくちゃ読んだ。
普段読まない本を読むっていうのは面白い。タイトルと中身が全然違うものもある。
そういう面で、雑学というわけではないですが、今までの自分の考え方をまた違う視点から見るというか。

皆さんの話を聞いて、僕は嬉しい。皆さん活発に動いておられるから。
やっぱり普段動いている方と違いを感じた。しかしまだ老いぼれませんけれどもね。
本当に活発に動いている、仕事をしている。様々な人間関係を持っている、これは大事なことやと。しみじみ皆さんの話を聞いて感じた。


【墨田】
皆さん、2ヶ月ぶりだからか、誰一人として1分で収まっていないという(笑)
色んな意味で充実した2ヶ月だったんですね。

 

菖蒲さん発表「わが社の戦略と課題」~絶対色感で空間を調律する人~

過去の整理と振り返りから、線で繋がる一貫性のある現在の自分をみる

皆さんとは、長いお付き合いになってきて、ご存知だと思うが、私の場合、普通のお仕事とちょっと違うので、企業的な戦略というものは特別になくて、私個人がどういう風な考えで進んでいくかっていうことが重要になってくる。つまり私の中の私の軸がどのようにあるべきかっていうことになる。

私は現在と未来に関心を寄せる生き方をしてきた。過去のこと、過去にやったことに対しては、あまり興味がなかったが、やっと過去の資料の整理を始めた。
そもそも子どものときから、写真を綺麗に整理して、過去のできごとを時系列できちんとアルバムに保存していくという作業は苦手だった。
会社をやっていたころは、会社のスタッフ、相方が「あーあ」と言いながら、落穂拾いのように綺麗に揃えてファイリングしてくれていた。彼女が亡くなって、10年以上前に自分一人でやっていく、という道に切り替え、基本的に、何もかも自分でやるという環境になった。そしてはたと、自分のあまりのできなさに気づき、非常に困った。
でも少しずつ、その自分の欠点を補うようにやって来たわけだが、それでも過去に何をやったかというのは、本当に特別に関心がなくて、忘れてしまっていた。

そんな中で、ちょっと皆さんにお見せしたいのが、これ。
(昔にカラープリンターで出力されたデザインを画面に表示)
これは呉の日新製鋼の、溶鉱炉の色彩設計の色。

今カラープリンターなんて当たり前。
私はパソコンは普通のMS-DOSで扱いながら、Macユーザーとして、わりと初期の頃から、縁あって使うようになったが、それが出てきて、ソニーの「テクトロ」っていうカラープリンターが初めて出た時に、今まで全部手書きで着彩していたものが、プリンターから出せるようになった。綺麗な色ではないけれども、これでも非常に感激した。
色がこうやってプリンターから出てくるっていうので、驚いて。
それも当時カラープリンターってめちゃくちゃ高価なもの。これは70,80万円のプリンターで、「画期的」とか言っていた。
だいたい30年前、1991年か2年ごろ。この辺りから、プリンターでカラーのプレゼンテーションをするようになった。
だから、わずか30年ぐらいで、カラープリンターの性能とか精度がものすごく上がってきて、もちろん価格も下がってきて、すごいなーっと思って。
仕事上、出力する機械はとても大事な存在だった。
こういう工場のプラントの色彩設計もやっていたんだということ。なんでも捨てないで良かったなと改めてしみじみ見て感じている。

かつて冊子とか新聞とか、私が出たものは全部保存してくれていたが、相方が亡くなった後に出てきたものが、ファイリングされてなくて、整理していたら出てきた。

こういう雑誌。
(雑誌を画面に表示)

福岡と北九州市の女性向けのフリーペーパー。
これの立ち上げをお手伝いした関係もあって、編集者たちと皆仲が良かったので、菖蒲さんを載せたいということで(笑)。 今より明らかに若い(笑)
2004年に取材されているので46,47歳かな。17年ぐらい前の話。
その時に、「私が27歳の頃」というテーマで喋っている。

自分がシンポジウムに出たり、いろんな紙面とかインタビューで自分自身が答えていることを改めて読んでみて、「いいこと言っとるなあ」と思って(笑)
言ってい4ることがあんまり変わらない。

以下は取材してくれた方の表現。
「生まれも育ちも京町という町っ子。たとえ親でも人に敷かれたレールには乗らない」って書いてある。私そんなこと言ったんだと思って(笑)。ちょっとなんか偉そうなこと言ってるな、とか。
タウン誌の『おいらの街』というすごいローカリティのある名前の雑誌があって。
「大学卒業してこの『おいらの街』に加わり、営業・取材・制作などを全て一手に引き受けて、2年後に副編集長になった。ここで経験したことは、仕事をする中で、たった1ページの紙面を作るためにどれだけの人が関わり時間を費やしてきたかなど、目に見えるものより目に見えない部分にも視点を持つようになった」とか書いてある。多分そう言ったんでしょうね。人ごとのように感じたりして。

編集という仕事をしながら、父が倒れて26歳から家業に入った。会社の経営の中枢を支えるのが自分の役目だった。でも右も左も分からないし、相談する人もいない。

「先が見えない中で私がとった行動は」と続く。
そういう中で、最初に買ったMacで作った、自分の新聞、眼鏡屋さんに向けた新聞が、「アイポスト」という新聞。
当時はまだ、みんなワープロで文字を打っていて、打っても、編集は画面上でできなかったのに、MacはMacDrawというのでできた。
それで、両面の紙面を作って、これを折りたたんで、500件以上の小売屋さんに自費で全部送った。なぜか。同族会社の中では、誰も私の言うことを聞いてくれないから、勝手に私が行動を起こした。
要は、小売屋さんのことを応援しないと卸屋さんも儲からないという風に思ったのだ。
こっち(卸屋)の仕事が、皆さんの期待にしっかり応えられているのかどうかさえ、分かっていなかった。営業マンに聞いてもわからなかった。
だから、もう自分で確かめるしかないと、小売屋さんとのパイプを作るべく、こういう紙面を作って、ポスティングするしかないなと、自分で考えてやった。

ここに書いてくださっているのは、「菖蒲さんは疑問に思うことがあれば、とことん目と耳と口で確認してきた」と。
その中で「色」というキーワードが出てきて、店の独自の色っていうものを持つことが重要なんじゃないかっていうことで、それからいろんな呼びかけを始めたんだ、っていうことを書いてくださっている。
まぁ短い文章の中で書く人も大変だったと思うが、多分、相当喋った。
それをこんなに短い記事にしてくれて、なかなか編集(ライター)の人も大変だったと思う。

それで、この時すでに会社を設立していて、「まちづくりにおける環境デザインと空間デザインの他、事業の開発、業態開発のコンサルタントも手掛けている。美しい空間やまちを作るためには、そこに住む人の意識の向上や、人と人が繋がるコミュニティが必要。菖蒲さんは人が美しく暮らせる環境をつくり、周囲の人と幸せを共有していきたいという。見える部分だけではなく、視点を変えて物事を見ること、そしてその中から得た多くの情報を行動で生かすことの大切さを彼女から学んだ」
というふうに締めくくってくれている。多分、何年か後に自分で見ても、「ふーん」っていう感じだったのだろうが、今改めて見ると、ずっと私はいろんなことをしてきているけれども、何かひとつの線で繋がっているなと思った。
言っていることはずっと一貫している。
物の見え方。大変な時には、目の前の現実、目の前に見えているものを一生懸命変えたいと思いがちだが、その周辺がどうなっているかが重要。

「景観」もそうで、その周辺の環境との関係性、バランスなどを考えていかないといけないということを、私は「色」から学ぶことができた。「景観」を扱うことによって、全体と部分・部分と全体という関係の中に、ひとつの答えが見えてくるのではないかという感じでやってきた。
私が27歳の頃から、その年代年代で大して変わってないなーと思った次第。

 

「絶対色感で空間を調律する人」今の自分を言葉で表現

今まで、今自分がどういう仕事をやっているかを伝えるために、名刺に書く肩書をいろんな表現で変えてきた。もう10何個以上変えていると思う。
今現在の時点で、「何ができる人か?」って言われたら、色に関して「こう言われたい」って思っているのがある。

自分でもうわかったんです。私は「絶対色感」みたいなもの持っていると。
だから、その中で空間を調律していくっていう。

色も素材もですね、光と影のコントロールをしていく上で、調律していくんだという感覚でずっと仕事してきている。
そうやってそこが快適で心地よい場所になっていくっていうのを目指している。
それをどう言葉で表現したらいいかっていうのを考えていた。
夏ずっと考えて、この言葉が出てきた。
「絶対色感」という言葉ですね。
これは絶対色感が絶対音感みたいに生まれ持ってあるということではなくて、私にはもしかしたら元々あったかもしれないけど、これを磨き続けたから、それが自分の中で育ったのだ、と思っている。
「菖蒲は何をしてくれるのか?」と言われたら、私なりに言うとしたら、「絶対色感で空間を調律する人」と今後も言ってもらいたいなと思っている。

 

「絶対色感」とは

(嵐電の写真を画面に表示)かつて菖蒲さんが色を手掛けられた
嵐電の電車の色というのは、ひとつのアイコンになった。10年11年経って、もうこれはひとつの風景の中に存在としても認められるようになった。
色彩設計・色の考え方というのは、全部ワードで全部整理していく。なんでこうなるのかというのは、全部図式化し、全部言葉で表現していく。
まず、これは何を実現しようとしているのかという目標色彩計画を作って、それを展開して落とし込んでいきながら、表現したかったものは何か、という説明をきちっとする。シナリオを作るということ。

例えば、紫も色々あって、その中で絞り込んだこの6色。
左側は青みが強い「江戸紫」。右側は赤みが強い「京紫」
日向で見た時に、関係者の皆さんは、全員「江戸紫」を支持された。
でも、紫というのは、陽の光の量が減ってくると(夕方になると)、実は非常に早く黒っぽく、グレーぽくなっていく。
次に、両方の紫を日陰においてみたところ、全員が「京紫」を支持された。
これは日向と日陰で、同じものでも見え方が違うということを実際にやって見せた例。そういうプロセスをたどって決めていく。

これには理由がある。
赤みがあるものの方が前に進出してくる。赤そのものもそうなる。赤は、赤信号に使われているが、長波長だから前に出てくる。
青みは引っ込む。だから早く影になるというか、グレーになる。

そういうことで、嵐電は路面も走るし、他の車と交錯するところがあるので、やっぱり安全面を考えて「京紫」の方がいいね、と、採用された。
色というものは、直感的、感覚的に、センスで選んでいると思われがちだが、かなり裏付けを取りながら、観察を続けながら色を決めていくということをずっとやってきた。

特に、家や建築物など、屋外のものや公共のものに関しては、こういうプロセスを踏むことが非常に重要。
主観と客観ということで言えば、好きとか嫌いということで決めるのも一つの方法。ピンクにはこんな役割がある、緑にはこういう役割がある、ということを考えて決めるものもある。しかし、多くの場合、ひとつのふさわしい色を決めるということは、その周辺環境、地域特性とか、対象よりもその周りのことをきちんと把握して、そのアプローチも忘れずに、三つの視点で色を決める、ということをやる。
「絶対色感で決める」とか言ったら、なんか感性で決めているみたいで、なんかかっこいいなと思ったんですけどでも(笑)
でもこれを繰り返してきたので、ある意味もう私の頭の中では、見て分かるようになったわけですよ。
だからこれは、多分訓練だとは思うけれども、なんかそういう感じがしている。

 

「共感の軸を探す」「私のパブリック」という視点、生き方

視点を変えて。
「色」というと、パーソナルカラーとか、心理学、スピリチュアルの世界に行く人もいれば、私のように、自分から出発して、周りにどんどん広げていく人とに分かれると思う。

私の場合は、たまたま自分の関心が外に広がり、そして限界まで外を見てからでないと、中心の私は決められない、と思った。
例えば、私の家の外壁の色は何にするか? そういうレベルのことも、結局、私が好きやったらそれでいい、ということではなくて、その周囲の状況の把握と周囲とのバランスを考えて決めるべき、という考え方を持つようになった。
「色」を扱ってきたおかげで、常に自分と外との関係を考えるようになった。

それから、私企業と自治体など公共の機関との仕事を半々ぐらいでずっとやってきたことからわかったこと。
私企業の方はもう少しこう考えたほうがいいよね、という場面が多かったり、逆にパブリック、公共の人たちは、みんなのために言ってるけど、そのみんなってどこにあるの? と考えたら、それは「平均値」だったりする。
本当にみんなのためになっているのか? ということになると、公共の仕事をしている人たちは、もっと私だったらどうする? という視点を持たないとまずいな、ということがだんだんわかってきた。
なので、「私」(プライベート)と「公共」(パブリック)という大きなくくりについて、すごく意識するようになった。
パブリックとプライベートの間に、パートナーシップがない限り、街にしても、その界隈(区画)も良くはならないと。それは共同作業でもあるし、その中には「共」(ともに)っていう、「共同」とか「共感」とか「共鳴」、そういうものがないとダメだなっていうことを、実感する仕事ばかりだった。

 

今後の戦略

ずっと昔から考え続けて、やってきていることだが、公共のもの、パブリックなもの、つまり役所が管理しているものは、自分たちから遠いところにある。
例えば自分の目の前にある道路は誰のものなんだ?
例えばあそこにある公園っていうのは、あの公園でパーティしたいな、と思ったとき、どうやって使うのか? そんなことできるのか? とか。
身近に存在するものが、パブリックなものであるとき、私、プライベートというのは対立しているみたいな軸がある。
公と私、パブリックとプライベートが、お互いに共同作業をしなければ、その関係性はよくならないと、ずっと思っていた。

割と最近、若手の方で、とても面白い活動をしている人がいる。
それはまさに私が言いたかったことだ、と思う本を出されていた。それは「マイパブリック」という言葉。
「私の公共」、私の中に公共がある。ピンと来ないかもしれないが、要するに、他人事のような、遠い存在のものを、わたくしごととして、自分のものとして意識するということ。
そのことによって、初めていろんな問題を解決することができるのではないか、ということ。

実は、私が大阪の地下鉄のトイレ事業でやったことというのは、そういうことなのだと思う。
「公共のトイレ」というのは、私個人、から見たら、とても遠い存在。「汚いし、なんでもっときれいなものを作らないんだ」と内心思いながらも、文句の言いようもないし、仕方ない、そういう存在で終わっていると思う。
だから、職員の皆さんと考えたのは、「『私が自慢できる、人に紹介したくなる、私のお気に入りのトイレなのよ』と誰かに紹介できるような、『マイトイレ』として公共のトイレがあったら、ずっと素敵じゃない? 何回も行きたくなるよね?」っていう話から、コンセプトをふくらませていった。
担当者が全員男性で、所ジョージさんの世田谷ベースみたいなガレージみたいなプランとか出てきて、それは非現実的だったけど、そういう議論をしたことが、とても良かった。

一番最初にパブリックを自分ごとに考えたのは、やっぱり道からだった。
「この道路の舗装面が、何で柄がここからここまでとここから先が違うんや?」という疑問を役所にぶつけた。「これはどうしたら変えられるんですか?」と質問すると、委員になってくれみたいに言われて、気が付いたら道路懇談会の委員になっていた。
どうやってなったか全然覚えていないが、多分行動していたらそうなったんだと思う。

公共のもの、公共のものである私たちの街は、自分たちの手で変えられる。私たちの身近なものは、自分が1番心地よいように、自分たちがやりたいように変える術があるのだという可能性を探りながら、とことんやっていくことによって、自分たちが住んでいるところや、自分たちの大好きな街が変わっていくことができると、改めて思った次第。

その時に重要なことは、「共感の軸」を探すということ。
違う立場の人間や、さまざまな思いを持つ人たちとの間でも、例えば役所の人と一市民との間でも、「共感の軸」は必ずある。
私の行動を支えるものというのは、「私と公共」ではなくて、「私の公共」という思いを持つこと。それによって、私の行動が変わると思っている。
自分の今もこれからも、これを大事なキーワードとしてやっていきたい。


(九十九伸一さんの絵を表示)
今年12月、九十九伸一さんの絵画展、コロナの中だが、バルセロナから帰国してもらって、やろうと計画している。京都の富小路のギャラリーでは、5日間やる予定。

彼の作品がどんどん進化していて。
この作品を見た時に、私はこれを自分のロゴにしたいと思った。本人に言ったけど、返答はまだないが(笑)。
これは空間の2次元で描いているけれども、向こうからも見ているし、こっちからも見ているという構造。
私はいつもトンネルの向こうからこっちを見る、というような、入口と出口を逆転させたような、ものの見方、視点を変える、というのを心がけてきた。そうすることで、多くの問題が解決したし、私はこれまでもこれからも、こういう視点を失わず、やっていきたい。
自分の中にある空間の認識というか、自分のものの見方として、この絵がすごく象徴的だなと思って、何かに使いたいなと思っている次第。
以上です
こんなん戦略になりますか? 先生!

【蒼天先生】
なります!
非常に面白かったです。

【菖蒲】
ありがとうございます。

【蒼天先生】
非常に面白かったし、非常に勉強になった。一言で言えばどういう文章にまとめられますか。

【菖蒲】
さらにまたまとめるんですか?

【蒼天先生】
どういうことかと言うと、例えば公共の方を説得し、理解してもらう。これ相当の時間と努力が必要だったと思う。その辺で相当エネルギーを使われたと思う。大体、公と共は バーサス(VS)対立するものだ。 役所というのは、そういう頭があると僕は思っている。 それを向こうの「公」の頭をほぐすキーワードになったような一言、これは効いたというような言葉が思い出すことができるのなら教えてほしい。

【菖蒲】
その時々の時代背景も関係しているし、 NPO とか、法人ができ始めた。
まさにその「街づくり」、ひらがなで書く「まちづくり」が出てきて、街は誰が作っているかというと、役所の人間が作っていると。役所が契約するコンサルがいて、そんなところから知恵もらってやっている、という図式の中がこの30年で、どんどん変わってきた。
私は、役所の人たちのことは、好きとか嫌いでもないし、食わず嫌いでもなんでもない。
私の発想は、今目の前にある問題をどうやって解決したらいいか、ということを素直にぶつけていくということ。さっき桜庭さんのお話にあったように、役所の人間は全員頭が固いわけではなく、ちゃんとわかってくれる人もいる。宮崎ではふたりいた。その人たちは、役所内部で、部署を超えたネットワークがある。私は運良く、いいネットワークとの付き合いと言うか、引き上げがあって、こいつは面白いということでいろいろ活躍の場面を皆さんがねじ込んでくれた。
役所には、「役所言葉」がある。役所は、お題目、大儀がないとダメ。新日鉄にも「新日鉄言葉」がある。我々が普段使っている言葉とは、違うワード。そのことを理解するのに、時間はかかったが、だんだん彼らの腑に落ちる言葉で表現できるようになっていった。
宮崎の県職員の一部のキーマンたちは、とても意識が高く、会議の後の飲み会は、非常に盛り上がった。それは、彼らが勉強する機会を望んでいたから。飲んで楽しんで、だけじゃなくて、勉強したい。そういうコミュニケーションの場面も多くあった。
そういう人たちは、退職されても、いまだにご活躍。
自分自身、公職に就く公人の立場を持ちながら、私人として、一市民としてNPO法人を作って、その立場をうまく使って、単なる役所の人間ではなくて、「この会議には、一市民として参加している」というスタンスを持てるようになった。
15年くらい前から、柔軟になって、みんなで共同作業ができるようになった。それまではどこも固かったけれども。
あまりこういう表現したくないけれども、戦いだった。
負けず嫌いだから戦うことは好きなんだろうと思う。絶対見返してやるっていうところがあったんだと思いう、諦めずに。
それで人は変わる、ということをみてきた。逆のことを主張している人ほど、真逆に変わる、ということをみてきた。人が変わっていくそのプロセスに立ち会えるということに、私は非常に幸せを感じる。
人間って、文明や利便性をどんどん追求し続けることに幸せはない、と気づき始めたから、ソロキャンプと、かわざわざ不便なことを始めだしたんだな、と思っている。不便であるということは、人の手を借りないとできないことがいっぱいある、ということ。
私は何でも独断でやってくる性格だったけど、この5、6年の間に京都に来てから、さらに自分ひとりでは何もできない、ということを痛感している。
一緒に良くなるっていうのが1番いいなと思っている。それが私なりの幸福感。
それぞれ皆さんが求める幸福感はあるけれども、昭和のレトロのモチーフが必要なんじゃなくってあの時に見た商店街の縁日の賑わいの中に幸福感があったんだと思うし、そういう世界観を築いていくことを一緒に体験していくことを日常の中に非日常を作り上げていくことが私の使命の中にあるなと思っている。
なんかかっこいいこと言ってしまった(笑)
口からペラペラ出ました。先生、一言でまとめるのは難しいですけど。

【蒼天先生】
一言はね、最初に言われたこの言葉だと思う。
「絶対色感で空間を調律する人」
これで、言おうとされていることは概ね含まれているんじゃないか。いろんなことが含まれていて、すごく良いセンテンス。
色んな話をお聞きしたが、すべてここに通じているんじゃないかなと思って聞いていた。
少なくとも菖蒲さんがやろうとされていることが、ここに凝縮されている、そんな印象で、これはもう立派な戦略。

【菖蒲】
自分のやってきたことは、繋がっている。改めて過去の資料を見てそう思った。断捨離しようと思っていろいろ見ていて、大概捨ててきたが、これは捨てない方がいいかなと。


【桜庭】
ありがとうございました、
いつもながらすごい説明だなと思ってお聞きしていた。 私も自分が色彩コーディネーターの資格を取る時に色々勉強したが、おっしゃっていたように、この勉強をする方は、どちらかというと、ファッション系、スピリチュアル系の仕事される方が多い。菖蒲さんのようなお話ができる方は、なかなかいらっしゃらないと思う。
菖蒲さんって、いつも何がすごいのかな、と思うと、色彩とそれにまつわる言語の表現力がすごい。先ほど先生も感心されていたし、私も思うのだが、「絶対色感で空間を調律する」っていうのはなかなか考えられる表現ではない。これは本当に素敵なハーモニー、響きだなと思うし、色の世界をうまく言語化できていて、しかもそれをパブリックの空間で実現していくというのは、これはやっぱりちょっと色をかじった人間に手が出せる分野ではないと思う。
京都の染め師の吉岡さん(故人)は、著書によると、色や形だけでは伝わらない。きちんと言葉で補って説明するからこそ、人の心に説得力を持って入っていくんだ、というところがあり、とても素晴らしいと思っている。
菖蒲さんも、それが何となく感覚的にこうでしょ、いいでしょ、じゃなくて、なぜこういうのがいいのか、ということをはっきりと説明されている。そこが菖蒲さんの強み、素晴らしいところだと思う。言葉の豊かさを感じる。
いつも実感するのだが、通訳さんを見ていると、日本語の表現力、語彙力が豊かであればあるほど、英語の表現力も、すごく広がってくる。母国の言語がきっちりしていないと、英語の表現もちゃっちい、チープな、簡単な英語にしかならない。
曖昧だったり、ほんわかしている日本語の良さを伝えようとすると、英語にしづらい部分があるが、日本語の語彙を磨いていくことによって、本当にそれがいい言葉に換えられる、そして伝わる。
菖蒲さんは、色で、たぶんこれと同じことをされているんだろうなと思う。色は色彩の番号で表現することができるが、今のように、京紫とか、江戸紫、海老茶、そういう和の色彩の言葉を使うと、豊かに伝わるし、色彩に興味がなかった方にとっても、なるほどと関心が深まる要素になる。文学的な意味でも、豊かさの伝わる表現でもあったりする。そういうものは大事にされるといいなと思っている。
自分も、そういうところを目指していきたい、こんな風な専門家になれるといいなと、改めて思った。
いつもですけれども素敵なお話を聞かせて頂いてありがとうございます 。

【緑山】
「愛」がいつも入っているが、パブリックって結局そういうことなんだろうなと思う。自分自身にもそうだし、周囲の人々への愛、思いやり、そういう自分を超えた者に対する想いの感覚がなければ、なかなか人の心に響くことはできないと思うので、それをさらりと表現されてしまう菖蒲さんがかっこいいなと思いながらお聞きしておりました。感想ですけれども良いお話をありがとうございました。

【銀河】
すごい講演会。菖蒲さん桜庭さんのお話がもう既に対談 (笑)。正直今言葉を失っている。

菖蒲さんには、専門知識や、色々な色の世界を一つ一つきちっと言葉で表現するといった技術が背景にある。その菖蒲さんの持っておられる、培ってこられた人間力とかコミュニケーション能力とか魅力、そういうものの相乗効果を感じる。
菖蒲さんが魅力的だから県庁の方も、ずっと一緒に仕事をしたいな、と思われたのかもしれない。 知識と技術、それを包み込む人間性。
この前、とても美味しいお蕎麦を食べた。すごく色彩豊かで。夏野菜が16種類のっていて、そこに風景が広がっているようなお蕎麦だった。そのお蕎麦にバジルのお出汁をかけて、緑に染めて食べる。菖蒲さんだったらどうやって食レポされるのかな、と思いながら、一緒に食べたいな、とおもいながらいただいた。
そんな菖蒲さんの魅力に惹かれる人が、日本中にいっぱいいらっしゃって、そこに対して菖蒲さんが、自分の持っている力を全力で出される、出されるだけではなくて、相手の全力も引き出す、そんな作業をされている菖蒲さんの壮大な魅力を感じた。
コロナ明けにはいっしょにお蕎麦食べましょう(笑)
いいお話ありがとうございました。

【水島】
うちも色にかかわる仕事をしているが、いつも色で悩む。
本当に難しくて、隣にある色によって、こっちの色の見え方が変わったりする。青の横に赤があるとおかしいけれど、緑の横やったらなーとか、同じ色でも隣に何の色があるか、というので色味が変わったり。ちょっとした濃淡や、2色3色4色何種類の色を使うのかによっても、面積の比率とかバランスとか変わってきて、難しい。
それを街の規模でやるっていうのがすごいな、本当にすごいなと思った。例えば普通、人の視線の先が30~50 cm ときだったとしたら、僕らでちょっと遠くまで見て5 m ぐらいかなと思うが、菖蒲さん5 km ぐらい先を見ておられる感じ。

【菖蒲】
山の方まで見ています(笑)

【水島】
さらに朝昼夜の見え方、子どもの目線、大人の目線、老人の目線、そういったことを網羅されているところがすごいなと思う。奥の奥とか裏の裏とか、全部、人が見ないようなところまで想像したり、実際に見たりして、仕事をされているんだろうなという、深さの部分がすごいなと思っている。

【菖蒲】
私は、自分の「ものの見方」がどこから来ているかというと、やっぱりゲーテに立ち戻る。私を導いてくれたのは、ゲーテ先生。今までも、これからも、ずっとゲーテ。
面白い本があって、「ゲゲゲのゲーテ」という本。帯には、「水木しげるさんの人生は80%がゲーテです」と書かれている。
ゲーテは「色彩論」を書いている。ゲーテの物の見方、観察の仕方。この人は公共の人、いわゆる政治をやる人たちにもアドバイスをしていた。とても哲学的で、総合的なものの見方ができる人。

【水島】
菖蒲さんの課題って何ですか?
課題ってないように思えるんですが。

【菖蒲】
特別今これが課題っていうものはない。私の課題は自分が幸せになること。お相手を見つけて余生をどう過ごすか(笑)。 この1年、ひとりで生きるのって大変だなって思った。
背中の手術をした時に、ひとりでは絆創膏を張り替えることができない、という現実に、1番ショックを受けた。これは人にしてもらわないといけないだ、ひとりは大変だって思った。それが課題かな。
仕事、自分がやっていくことについては、その都度何か必ず障害がある。それを乗り越えていくのが課題なので、これが課題です、というよりは、こうなりたい、と思うことの方が先かな。自分でちゃんとこれをしたいっていうことが分かっていることが大事かな。

1個だけ反省がある。ずっと母のことを大事に大事に、と言ってきたけど、この夏色んなことがあって、母を預けて、母と距離をとった。
そこでたくさん気づいたことがあった。それは、自分の軸ではなくて、母の軸で物事を考えていた、ということ。
でも母はもう認知症なので、分からないわけですよ。私が母のために、って思っていても、当の本人は「私はずっとひとりです。昔からずっとひとりです」と言う。その時にハッとした。自分自身が、自分の仕事をやり遂げていく、いうことが、私にとって重要なことであって、母のことをっていうのは、どこかでそれを言い訳にしていたところがあるな、とちょっと思った。
そういう言い訳のようなものをこの8月ぐらいになくすと、自分の中に、明確にこうして行こうっていうことがあったから、先ほどみたいな言葉が自分の中でピシャッと当てはまるようなことが浮かんできたんだと思う。「絶対色感で空間を調律する」
本当に人のことを一生懸命客観視してきたが、自分のことを客観視するのは難しいなあ、と思った。だから結構自分の中では、軸が太くなったような感じ。

【蒼天先生】
今日の話で出てきた、菖蒲さんのいろんな言葉が、すごく豊かで内容もすごくいい。新しいはっとするような言葉もいっぱいあったし いろんなキーワードも出てきた。
これは、どこから出てきたか、その1番の源流ですよね。それは僕自身感じたのは、菖蒲さんの日々の日常生活の精度が高いからだと思う。日常の精度が高いから、他の人は感じないことも色々と感じてきて、そういうものが20年30年蓄積されてきた。それがあるから、その上に色んな今やっておられる仕事がね、積み上がってきた。そこにあるんじゃないかなという印象を受けた。だから今日明日あさってでこういうことは絶対に出てこないし、10年でも出てこないと思う。基本的には日常の生活の精度の高さじゃないかなと思う。なんか忙しそうにされているけれども結構いろんなことを考えながら、失礼な言い方ですがおひとりでおられるから 、いろんなことを考える時間もあるし。ということが一番のベースになっているんじゃないか、そんな印象を強く受けたが、いかがですか。

【菖蒲】
やっぱり30代、40代、っていうのは、自分の時間を邪魔するものがなかった。
365日外食、家の事は何もしなかったし 意識が外に外に向いていたから。
だけどなんか、ゲーテもそうですけれどもその内と外のバランスみたいなものが重要であるということは 気づきとしては早い段階で気づくような出来事とかきっかけがあったように思う。色んな経験の中で。部分と全体じゃないですけれども。
私基本的にあまのじゃくで、逆さまから考える。

【黄金】
服で色を選ぶことはあるけど、色そのものに意識を向ける、ということは、なかなかないと思う。

前もちらっと言いましたけどね、人間の見え方角度によって物理的に言うと。光とレンズの角度によって違うんだから要するに人によって見えいてる色違うんですね。
そう考えながら菖蒲さんの話を聞いていると、色って自然の空気みたいなものだけれども、色って空気と違って吸えないですよね 。科学的には今いろんな成分で作り出すことができるかもしれないけれど自然にある色って作れないじゃないですか。それって人間にとって暗い色明るい色で気持ちが良くなったり、色っていうもの本当はコントロールできないものなんだろうけど、これだけの色を識別できるのは人間だけって言うじゃないですか。
ということは色っていうのは言葉と同じように、言葉で人を励ますのと同じように、色で人を励ましたりとか気持ちよくさせたりすることができる。
要するに言葉と色って比べられるじゃないですか。
音の大きい小さいって人の感覚だろうけど この音でいいと思う人もいれば、あかんと思う人もいるでしょう 。
色だってそうじゃないですか。そうすると色って、空気みたいで凄いもんやけど、このことについて意外と皆気づいていないよねってね。国旗は、いろんな意味があるから色がついている。色っていったいなんやろなって?

【菖蒲】
色を物質的に見ると表面についている色と意識することになるけれど、私は光として、質量としてとらえている。
今、黄金さんのいらっしゃるお部屋っていうのは、落ち着いたダークな木目の色ですよね。明るい色ではない。こういう空間にいる時と もっと明るい空間にいる時とでは、自分の生理的な感覚が違う。
色って波長なんですよ。光が当たって、その反射の時に長波長か短波長かが決まる。 長波長は暖色。短波長だと寒色。色は目で見ているようで、実は体でも感じている。反射して私達は受けているから、目の見えない人も色を感じている。
若い時に、視的障害の人たちと仲が良くて、彼らと音楽祭とかをやっていた。 鍼灸の達人であってミキサーの達人でもある視的障害の先生が、「彼らはステージでは何色の服を着ているんですか?」って。「先生色見えてないんでしょ」「色のことは頭の中で分かるから」「黄色ですよ」「ちょっと派手かな。今度言っておこう」
鮮やかな赤とか黄色、というのは、手をかざして敏感な人は分かる。微妙な色はわからないけれど、反射した波長で感じる。
私はいつも見える世界のことを追求しているから、今度は見えない人たちのことを追求しようと思った。反対のことはいつもやる。そのことによって頭の中に軸を作って行くみたいな、頭の中に宇宙を作っていくみたいな作業をずっとしてきた。だから酸性アルカリ性じゃないけれど、ゲーテがそういうものの見方を教えてくれた。
色彩論で、ゲーテはニュートンとは違う。ニュートンの色の話とは真っ向から対立する。科学的な話はニュートンさんで OK だけれども。色の観察と自然観察については、ゲーテの話が1番分かりやすい。なぜそうなのか、ということがよくわかる。だから「色彩論」は、私も目からウロコだった。
色は全部波長だし、生理的に私たちは身体で感じ取っていますね 。結局見てるって言っても脳で全部判断していますからね。真っ青な部屋に入れられるといつまでも居られますが、赤い部屋に入れられると心拍数が上がってみんな早く飛び出ちゃうんですよ。長いこといられないんですよ。そういう実験はたくさんあるんですけれど感覚的にそう捉えるのは何でだろうと思ったらそれを追求して、調べていくといろんなことが分かって行く。
私、仕事の上では、この色がベストです、と言ったときに、なぜ? と必ず聞かれるから、こうこうこういうわけだから、と理由を言わないといけないから、きちんと明らかにして説明もするけれども、実際に感じてもらうようにシミュレーションができるのが1番理想。
私も大学で准教授として教えているときに、学生たちは、腑に落ちないと学んだことが身につかないから、どこに腑に落ちさせようかと10年間ずっと思ってやっていた。 だからただ理論だけじゃなく、できるようになったのかなと。

【黄金】
色に出会わない日はない。ただ考えることなんてなかったので。

【菖蒲】
私のセミナーとかを受けた人や、学生達は、ごろっと変わる。
ものの見方と回路の見方が変わる。みんな先入観とか、遠くばっかり見る。自分のことはさっぱりで、意外と足元にいっぱい材料があるのに気付いていない。

【紺野】
色のこと真面目に考えたことがなかったので 。
色を色で見ないで光で見るというそういう感覚があるんだなー、ということにびっくりした。不思議だし自分でもそう感じてみたいなと思った。山口さんの感じている色と私の感じている色はまた違って見えるのかなと。私はいま自分でなにしようかっていうのは模索はしてるいるが、自分に合う色をまた探していただいて、自分にはこういう色なんだっていうことから始めればまたそこから何か出てくるのかなと。何をしたいか分からないんだけれどきっかけにしたいなと。

【菖蒲】
私の強みは、3次元とか4次元とかのレベルで色を感じられること。
2次元のポスターとかで見るのは水島さんとかで言うところのグラフィックの世界の中での色の構成なのだけど、空間になるとわからなくなるんですよねみんな。これでええんかいなって急に空間になった時にどこにどの色があったらいいっていう配置が決まらない。そが私は分かるという話ですね。皆こうしたいっていうのはわかって言っているのではなくて、なんとなく言っている。私こんなのが好きですとか私ピンクが好きです、と言っている。だからって全部ピンクの部屋にしたら大事じゃないですか。どうやったらそのピンクを愛らしく見せられるかっていうと、面積を考えたり、どの面に見えるようにしてあげたらいいとか、人の目線の動きとかその先を追っていくんです。そしたらお店にしろ、オフィスにしろどこに何の色があったらいいっていうのが私時々天才かなって思う瞬間がその色がパッとわかる時ですね。ちゃんと理屈を求められた時には何ですかっていうのはきちんと説明しますけどね。おまかせって言われたらこんなに楽なことはないですけどね。お前の好きにしてくれと言われたらね。まだ言われたことないですけれどそのうち言われるかな(笑)

【墨田】
私ももう一言だけ。私も仕事柄、クロス壁紙の色、いろんな仕上げの色に関する事を相談されることがある。お客様は悩まれているけれど、私もそんな得意でもないし カラーコーディネーターの勉強したことがあるのかと言われたらそうでもないし、初歩的なことすらもできてないかもしれない。ある程度経験みたいなとこでなんとかかんとか乗り切っているような感じ。それはそれとして、菖蒲さんの場合だと、色そのものに意味を与えておられる。嵐電の色の決め方も、根拠があるし、菖蒲さんの色んな人生と言うか、色んな歩みの中の知識や表現が、広い意味を与えてすごく説得力があると言うか、めちゃくちゃ深いものやなあと思う。カラーコーディネーターの勉強したところで結局そんな浅いもんじゃなくてすごいなーって思った。色のことは、菖蒲さんに全部お任せしますていう人がいっぱいいてもおかしくないのではないか、と思う。

【菖蒲】
いずれそうなったら楽やろうなあと思うんですけどね。まあでもねトイレなんかは任せてもらえたからね 。あの地下空間は、私の中ではお金にはならなかったけれども、すごく貴重な経験になった。そしてただ私が何かやって作品を残しました、というレベルではなくて、みんなで一緒にやって、みんなが成長を遂げた結果なので、あれは私にとってはすごく良い経験になった。
私の場合は、素朴な疑問から始まる。
「なぜ繋がっていないのか?」ということ。
床、壁、天井の繋がりの、1番軸になるものをつなげてやるだけでいいのに。
繋がっている場合と、繋がってない場合の違いが分かればいいのに。だから学生の皆さんには、その違いを見せながら、ほら、こっちよりもそっちのほうが気持ちいいよね、心地いいよね、とか、そういうのを実際に見せないと、腑に落ちない、納得しないわけです。
そこにあるルールは何か、何をルールにしたらいいのか、ということを全部教える。
そうすると、知識が現場で生きるようになる。ほとんどの場合が、机上で学んだことだけで、資格を取って終わってしまうので、仕事に活かす場面がない。
色の捉え方とか、勘違いしている人、勝手に決めつけている人が多い。私は、色の世界を、心地よく、あたたかく、そう、調律ですね。コンディショニングしている。ここは色を抜いたほうがいい、色を落としたほうがいい、明るさを落とした方がいい、というような。全部数値化していて、1度2度落として、というときに、体重80㎏が、55㎏くらいになるよ、とかね。そういう言い方をすると、みんなわかりやすい。学生に教えている間に、重いとか、軽いとか、その感じが実感できる表現を学んだ。どうやったら、この子たちの目が輝きだすのか、それを見ながら、腑に落ちた瞬間、顔が変わるその瞬間を、ずっと見ていた。
いくら伝えてもわからない商店街の親父たちを相手にするよりも、若い学生を相手にするようがいいと思って、大学で教え始めた。ちょうどそういう話が来て、3箇所で教えていた。教えること、若い人たちに向き合うことができたのは、刺激だった。10年経ったらもう、アウトプットしてしまったからもういい、出し切ったから、もう次へ行こうと思って辞めた。そのタイミングが京都に来るタイミングだった。

【墨田】
なぜ今があるのかというのがよくわかりました。

【菖蒲】
ありがとうございます。
蒼天先生から、「戦略と課題」というテーマで、際限なくしゃべってもよいという貴重な機会をいただいて、嬉しい。仕事をしていて、自分が幸せだと思えるというのは、やっぱり1番なのかなと思う。

 

紺野さん発表「わが社の戦略と課題」

(事前資料配布)

資料をご覧いただき、まずは、私の「会社経営に対する考え」を書いてみた。ご一読願いたい。
次に「わが社の戦略と課題」これもご一読願いたいが、今最大の悩みは、課題②社員の交代(入れ替え)について。61歳の女性社員に、認知症の兆候があり、まだ仕事に支障をきたすほどではないが、言動がおかしいときがある。どうしようかというところ。でも悪化しないうちに、人の交代を考えていかないといけないと思っている。
いきなり換えるという手もあるが、彼女とは、隣組の関係なので、後味の悪いことはしたくない。なので、最初は半日勤務くらいにしてもらって、徐々に次の人にシフトしていこうかなと思っている。皆さんに、もし社員の方が認知症になられたらどういうふうにされるのかな、ということを質問したい。
その前に、質問やご意見があれば伺いたい。


【桜庭】
え? こういうものか? という感じだが。
もう少しご自分の言葉で語ってほしいなと思う、読んでおいてください、どう思いますか、というのは、ちょっとどうなのでしょうか?
私は、全然偉そうに言える立場ではないけれども、ここは、トップのメッセージを表明する場ということになる。そうなると、「会社の方針はここに書いてあるのでとりあえず読んでください。何かご意見あればよろしく」という感じで本当に伝わるのかな? というところが若干気になった。もうちょっと語っていただきたいと思うのですが。


【紺野】
すみません、終わりの時間を気にしていたもので…ちょっとタイトにいこうかなと思っていまして。


【墨田】
紺野さん。時間は気にしてもらわなくて大丈夫ですよ。言い足りないことなどがあったら次回に回すこともできますし、自分の思っていることをいっぱい喋ってもらう方がみんなも理解できますし、よろしくお願いします。

【紺野】
「会社経営に対する考え」の方いきます。
いきなり私、会社を任されたわけなんですよ。その時、機械はない、社屋は汚い、電気設備もボロボロで、いつ電源が落ちるのかわからない状態で引き継いだ。どうするんだ、という状態だった。
その時たまたま3S活動をやっている東大阪のY製作所を知って、行って勉強して、これだと思って一応3S活動をやった。
さらに、1年ごとに計画を立てて、会社の修理、設備の改善に、少しずつ取り組んでいった。
その中に暑さ対策という課題があった。それまでから、会社の建物にお金をかけるのはバカだという考え方をずっと刷り込まれてきて、疑いを持っていなかったが、ちょっと違うぞ、と思いだした。これは我慢の限界を超える暑さだと思い、エアコンを設置した。快適に働いてもらっている。

最初は、機械的にまずい、というところを全部直してから、だんだん自分が職場環境をよくしていこうという方向にシフトしていった。
シフトしていくうちに、みんなと一緒に仕事を楽しめるようになるといいよね、と考えるようになった。
よくよく考えたら、学生のときよりも、労働している時間の方が長いので、働く場所もいい環境にしたいな、という思いに段々変わってきて、経営者仲間とお話しとっても、労働を通じて、人間力を高めるしかないんだよね、ということですね。そういうところの色んな話も聞いて、ストレスのない職場っていうものを目指すようになった。
職場環境を整えていく、ということを目指してやっていく。それが私の仕事なのかなと。

後はトイレの水洗化。費用の問題があるけれども、やっていきたいと思っている。

「わが社の戦略と課題」
自分の目の届かないところがいっぱい出てきて、コントロールしづらくなるのかなと思い、会社を大きくすることはよくないと思っている。得意先1社のみと取引していこうと思う。
今、特殊工具をやらせてもらっていて、こちらの量が多すぎて、さばききれないし、技術的にも難しい。研磨に集中した方がいいのかなと思っている。

去年、屋根を断熱した。それ以降エアコンの効きがすごくよい。社員さんが涼しく労働できるようになっている。働きやすい労働環境になった。

課題なんですけれども。1番は借金返済。今年の4月5月6月7月に、うまいこと忙しくやらせてもらっていたので、結構回復した。なので、借金はだいぶ減ってきているので、たぶんこのままいけば返済できるでしょう。

やっかいだなということは、お金の問題になってくるのだが、労働環境トイレの水洗シャワー休憩室ってあるんですけれども、どうされてるのかな、暑さ対策。みなさんは。例えば残業するときに、5時くらいにシャワーをいったん浴びれば少し5時以降も働きやすくなるのかなあとか、そんなようなことを考えて、このようなものを作りたいなあと思っている。あと、水洗にはしたいので、ここを何とかここはほんとにお金のかかる部分ですけれども、3000万円貯める、いつになるのかな、っていう感じですけど。

あと個人的な課題として、農地耕作っていうのがある。仕事で手がいっぱいなので、農業をやっている時間はないし、土地は売りたくないし、困ったなあというところ。
あと婚活、やらなくちゃいけないが、なかなかこれも思った通りに行かなくって、個人のことは放っておいて、会社のことばっかりやっている、というのが現状。

【菖蒲】
質問していいですか?  工場移転(後任社長に一任)って書いてあるんですけれども、紺野さんはこの会社を、誰か後任に譲ったら何をするんですか?

【紺野】
まあちょっと全然考えてないですね。今のところだと、近江舞子に移って、墨田工務店さんのところで力仕事でもやろうかなと思っています。何か自分でそうしたいなと思うんだったら、近江舞子の辺りに住んで、何かしようかなぐらいしか思ってない。

【菖蒲】
何か隠居生活みたいなわけですか?

【紺野】
どうですかね。

【蒼天先生】
あの、よろしいか? あのちょっときつい目の話をします。
長野でセミナーを受けてもらった時は、まあまあどこにでもある経営者みたいな顔でした。ただものすごく熱心でした。セミナーを受講する態度は最高に良かった。
それから何年かたって、この研究会に初めて来られた時には、ものすごく精悍な顔をされていた。僕はすぐ紺野さんだとわからなかった。すごく変わったなあと。
先代から受け継いだ会社がいまいちだったが、自分で改善し、ダイヤモンドカットをやり、それが大企業にも知れ渡り、大きな収益源となった、という話をお聞きして、あなたの変化の理由がわかった。
その後、何回かあなたの話を聴いていても、そのことと繋がらない。その都度その都度、思いつきで話をされているような気がして、会社経営に対する一貫性みたいなものが見えない。
なぜ見えないのだろうか、と考えながら聞いていたら、菖蒲さんの言葉を借りれば、会社に対する愛みたいなものが全然感じとれない、ということがわかった。本当に、桜庭さんが言われたけれども、あなたの考え方を述べないとだめだ。
今日の話からは、その考え方がほとんど聞けていない。だからどういう考え方で、この会社に対し、経営者として取り組んでいるのか、その辺を熱く語ってほしい。
研究会に入ってから今日まで、何か大きな変化があったのかな、という気もするが、もしかしたら、今は熱く語ることがない、語ることができないのではないか。
職場環境をよくするとか、借金とか、設備とか、後継者とか、そういうことは別として、この会社をどんな会社にしたいのか、どんな会社を作り上げたいのか、その辺が見えない。ハーレーの話は一生懸命しゃべってくれるんだけど。
根本的に、「これから自分はどんな人生を歩んで、どんな会社を作りたいのか」、ということを考えていかないと、なかなか我々に対して説得力のある説明ができない。
初めて研究会に現れたときの姿に、僕は感動した。しかしなぜ、今そうではないのか、僕にはわからないけれど。
他社との比較は、必要ない。経営者は、自分で考えて、自分がやる、それだけ。他社のできていないことに目がいく、ということは、自分で考えていない、ということ。
もうちょっと、人生、会社、ビジネスについて、前向きに、前を向いて未来を見つめ、考えられないでしょうか?
今思いついてしゃべってもらうのではなくて、これから1ヶ月先、次の例会で、もう1度発表しなおしてもらったらどうでしょうか?
ちょっとこれは1ヶ月かけて、考え続けていただけませんか?

【紺野】
わかりました。

【蒼天先生】
さすが、と言ってもらえるように、考え続けてください。
学習があまりできてないのでは? 日頃本読んでいますか?
毎日継続して勉強していますか?
社長業なんて、学習の塊みたいなものですから。
本を読んでいるというだけではなくて、いわゆる学習というもう少し広義にね、それがね、できていないんじゃないかなと。だから、日日に起こったことに、追われてるっていうかね。そんな状態で毎日が終わって、翌日を迎える、そんな繰り返しの日々が続いているんじゃないかなってね。

【紺野】
そうですそうです。本当にそんな感じです。

【蒼天先生】
ちゃんと考えなかったら、何回聴いても今のような話になってしまう。1ヶ月考えてください。まとまらなかったら、もう1ヶ月先でもいいです。ただ、さぼったらだめです。考え続けること。これが今大切なこと。今考えなかったら、どんどんと頭がかたまっていきますよ。取り返しのつかないことになりますよ。申し訳ない。言いたいことはあるかもしれないけれど、まず考えましょ。
みんな事情があるんです。みんな事情があって、頑張っているんです。紺野さんだけが特別じゃない。水洗の問題なんて、小さな小さな問題です。企業経営からみたら。社長として、もっと大きなこと、やらないといけないことがたくさんある。だからその小さなことにふりまわされていたらだめです。ちょっとがんばりましょうや。
3ヶ月たってもまとまらなかったら、あきらめます。まとめる意思がなかった、と判断します。考えましょ。自分のためです。
取り組んでくださいますか?

【紺野】
はい。

【墨田】
来月、また、お話いただきたいなと思います。

【菖蒲】
小さなことだけれど、今紺野さん、どういう状態でお話されていますか? リモートでも、印象ってある。今この中で、リモートで見た時の紺野さんの姿勢、あまりよろしくないな、というのがある。もたれかかっているでしょ、それがよくないなと。みんな前のめりでしゃべっているときに、ふんぞり返って見える。言い方悪いけどね。それ、印象がマイナス。誰も何も知らない人が見た時にどう感じるか、という点において、損するな、と。
あえてせっかくだから言わせてもらいました。えらい儲かってはる社長はんやな、っていうふうに思われるからね、前そんな感じやなかったのにね、と思ってね、私は。素直に思ったんです。紺野さんってかわいいのになって思ってたのに、えらい社長はん、みたいになってますやん。それはちょっと変えた方がいいんとちがうかな、
感想。


【水島】
明るい話がなかったな、と思った。それがちょっと残念というか。しなきゃならない、やらなきゃならない仕方がないからやらないと、とか、そういうマイナスな内容、課題から考えるとそうなのかなと思うんですけど、オレこれやりたいねん、みたいな希望というか、願望というか、そういう感じのことがあんまりなかったなと、それがちょっと残念かなと思った。
先生が紺野さんにおっしゃっていた内容は、全部僕にもあてはまるな、と思いながら僕も聞いておりました。

【墨田】
いったんここで今日の分の発表は終了、来月にさせてもらいたいと思います。
お疲れ様でした。


蒼天先生のひとこと
今日は菖蒲さんの独り舞台でした。
素晴らしい勉強をさせて頂きました。
改めて「色」について、原点に戻ってさまざまな角度から考えさせて頂きました。
(非まじめのすすめ森政宏著に) 「純粋な心には無限大の秘めたるパワーがある」と書かれていましたが、菖蒲さんの純粋な心にも打たれました。


議事録作成者のひとこえ
明日はもう、10月の例会の日。今9月例会の議事録原稿ができあがった、という恐ろしい遅れをとっています。研究会の皆さまには、ごめんなさいしかありません。
1日24時間をどう生きるのか、という選択をしなくてはならない日々でした。
ざっくり説明というか、言い訳させていただきますと、実家の母(80)が入院し、父(84)が、昼間に我が家にやってくる、もしくは私が実家に滞在する、という日常がしばらく続いたことと、飼っているうさぎが、子宮摘出手術を受けることになり、動物病院に通院するということが重なった、という感じでしょうか。

「自分が納得のいく選択をして、そこに集中する」というお釈迦様の教えにのっとり、家族と過ごす時間を優先させていただき、どんどん議事録にかける時間が追いやられていきました。焦りがなかったというと、ウソになりますが、それでも諦めずにやり切ったという、ささやかな充実感とともに、これから蒼天先生に提出させていただくことにします。

 

 

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