読むドラマ(議事録)

相手を知ることは、自分を知ること。
年齢も業種も異なる経営者たちが、月に一度つどう目的はただ一つ。
決して一人ではたどり着けない月面「本当の自分」に降り立つため。
これはそんな経営者たちのリアルなやり取りから生まれたドラマ(議事録)です。
(禁:無断転載)

 第155回 百年企業研究会内容(2022/02/10)

【3分間トピックス】

●緑山
「プレバト」ってご存知ですか。
俳句を作るテレビ番組で、それに出ている夏井いつき先生の「句会ライブ」というのに、今月2日に出させていただいて、初めて俳句を作りました。
最初、解説があって、お題をひとつ出されます。「はい、今から5分です」お題に合わせて即興で作らないといけない。
僕も含めてみんな、事前に何かしらの俳句を考えて来てるんですけど、それは書いちゃダメ、というルールなんです。
予想してたお題と全然違って、慌てている間に時間が過ぎて、もう残り1分、早く書かないと! となって、とりあえず書いたら、僕の句は、五・七・五ではなく、八・七・五だったという……。
それがよかったのか、よくなかったのか、わかりませんけど、その僕の句を、夏井先生がしょっぱな読み上げて、評価してくださいました。
楽しい句会でした。

●蒼天先生
どんな作品か、聞きたいな。

●緑山
恥ずかしいんで止めときます(笑)

プレバト、大好きです。うちの下宿生も、プレバト大好きで、高校生が興味を持って見ていることも面白くて、楽しく見ています。助詞を1文字変えるだけで、単語の配置を変えるだけで、見える景色が深まったり、変化したりする、という説明を聞いていると、日本語って無限、と思えます。
是非作品そっと公開していただきたいです!


●墨田
家族で、ちょこっと笑った話を。
去年、コストコにデビューしたんです。
最初は、歳が近くて、仲のよいお客さんに連れて行ってもらいました。初めて行ったときは、なるほどなと。みんなが「コストコ、コストコ」って言ってる意味がちょっとわかるな、と思いました。
その後、ひとりで行ったり、中学生の息子がついて来てくれたり、何度か行っているんですが、嫁さんは、誘っても全然来る気がなかったんです。
何週間か前の休みの日、自分でも理由は不明なんですが、誘うというよりは、「お願いやし、ついて来て」と、頼むかたちで、嫁さんと一緒に、コストコに行きました。娘と息子もついて来て、4人で出かけました。
「めっちゃいいなー」嫁さんの第一声。「おもしろいなー」
それで僕は嫁さんを観察することにしました。「お母さん、次は絶対あそこのコーナー行ったら、何かひとつ取ってくるで」と娘と息子に予想を言いました。その予想が、全部当たってたんです。という、家族の話でした。

情景が目に浮かびすぎます(笑)


●銀河
特にはないですけれど、冬季オリンピックが楽しくて。
開会式前のモーグルに始まって今はフィギュアスケート。
泣くシーンがいっぱいあって。
やっぱりオリンピック、なんだかんだ好きで見てます。


●黄金
皆さん、あけましておめでとうございます。

もう何十年になりますが、毎年うちに獅子舞が来ます。本日2月10日、舞を舞ってもらって、しっかり頭を噛んでもらいましたので、今年も大丈夫かなと思っています。

この1月、寒かった、というのが1番ですが……。
会いたいな、と思ったら、その人がふっと現れたり、これ知りたいな、と思ったら、そういう本が目に留まったり、思ったように事が運ぶ、そういうことが多かったですね。


●水島
ちょうど今さっき、ケガをしまして。
慌てて昼ご飯を作ってたら、包丁で親指ザクッと切って、うわー、という感じ。なんでしょうね、あのザクッと切る嫌な感じね……。なんとか血を止めまして。慌てるとあかんな、ということでした。
最近、小学4年の娘が、英検4級を受験しました。
試験は1月で、奥さんにいろいろ言われながら、めちゃくちゃ頑張って勉強していました。
後で自己採点すると、点数が足りなさそうで、たぶん落ちてる…、としょげていたのですが、結果は、合格だったんです。あれ? と思いつつ、そのミラクルにおめでとう、ということで。子どもは結構頑張っているので、大人も頑張らないと、という刺激になりました。

それから、父が2作目の小説を書いていまして。
ストーリーとあらすじは、父が書いて、小説の形にしていくところを、知り合いのライターさんに依頼していたのですが、ちょっとその出来が納得いかなかったので、僕が直しをやるわ、と言って手を出したんですよね。そしたらそれ、めちゃくちゃ大変で、時間がかかって。他人の文章直すのって本当に大変なんですよね。調べながら進めていったりして、全然時間がないという、最近の状況です。
形になったら、皆さんにもお伝えします。買ってください(笑)

「父が小説を書いている」かっこいい響きです♪ 田中、買います!


●蒼天先生
僕もなんにもしゃべることはないんですが。
普段飲まない酒をたくさん飲み過ぎて、おなかを壊しました。2、3日治らなかったので、お酒を辞めました。それ以来、ほぼほぼ1か月近く飲酒をしていません。
しかしね、体調はいいか? というと、飲んでいた時の方が、体調はいいかなという感じなんです。もうぼちぼち飲み始めようかなって思ってます。
ただはっきりしたことは、僕はアル中じゃなかった、ということです。別に飲まなくても大丈夫だし、ご飯も結構美味しいから。ちょっと安心しました。

それから、3回目のワクチンを接種しました。予約で待たなくてもいいので、開業医に行ったほうがいいですね。そろそろ効き目が出る頃なので、一安心しています。

 

【短冊発表 黄金さん】 「闊達自在(かったつじざい)」

●黄金

前回1月の皆さんの発表を、議事録で読ませてもらって、「この会はどうしたんだろう?」何だか神々しい、そんな感覚を持ちました。「びっくりこいた」という感じです。

それで、僕の今年の短冊は、「闊達自在」です。

のびのびと、自分の思うような過ごし方、生き方をする、ということですね。
「闊達」 「自由闊達」という言葉、ありますよね。小さなものごとにとらわれないということ。
「自在」 自分のありのまま、自分の思いとかそういうことではなくて、ありのままの姿でやる、ということです。

別の言い方をすれば、「あまり考えない」ということ。

僕には、「正しいことをしたい」「世の中の役に立ちたい」そういう生き方をしたい、という思いがある。

「正しい」ってどういうこと?
「正」という字は、「一」と書いて「止まる」と書く。だから、「一旦止まる」という意味がある。ゆっくり考えよ、という意味でもある。僕は答えを出すことだけが正しいことではないと思う。ルールを破るのは論外として、「正しいこと」、というのは、人によって違うし、無限にある。

それから、「世の中の役に立つ」ということについて。
大きなことを考えるのもオッケーなんだけれど、基本的には自分のやれることをやる、というのが大事だと思う。
僕は、長年、商工会の役員をやったり、今でも観光協会の会長をやったり、いろんな役を引き受けてきました。それは「世の中の役に立つ」と思って、自分の選択、生き方は間違いない、と思ってやってきています。
でも、同時に、「こんなことをやって、何になる?」「なんでこんなことをする?」と、(組織に対して)批判的になりがちな自分もいます。
僕だったら、こうするのに、あんなことはしないのに、という意見を持つこともあったけれど、それを言ったところで、何も変わらない。
その時間、自分の力じゃどうにもならないことに時間を使うのはやめて、自分の本当にやりたいこと、できること、自分のありのままで、自分の発想で、「闊達自在」にやっていこうと考えました。
僕は、人と自分を比べたり、誰かに勝つとか負けるとか、そんなことが自分の奥底、潜在意識の中にあります。年末年始、色々考えていて、そうじゃなくて、自分自身の中に存在する「やってあげたいという気持ち」に正直に行動したい。そして、できないことはできないと、素直に諦めることも大切だ、と、そんなふうに思い至っています。
心をオープンに、ありのままに、自由に動いていく、そんなイメージで、「闊達自在」ということばに到達しました。

それから、「怒らない」ということ。
昨年12月例会での先生の話です。
「喜怒哀楽に敏感になる」というお話に関して、「『喜』と『楽』が、本当に表に出てきたら、中にある『怒』『哀』は、消えてしまう」という説。このお話がずっと記憶に残っています。
オセロゲームと同じで、「喜」と「楽」が白だとしたら、挟まれている「怒」「哀」も、両方白になる、そんなイメージを持ちました。
そうやって、「怒らない」ということがだんだん身についてきました。他人を批判することが、なくなってきはじめています。
他人を批判しない、他人に対して怒りの感情を持たないことが、自分を自由にさせてくれる、そういうこともあると感じています。

さっき、3分間スピーチで、「思ったように事が運んでいる」と言いました。
これも、自分の受け止め方に変化があったから、そう感じているのかもしれません。
以前なら、事がうまく運んでいたとしても、その中のひとつがうまく行っていなかったら、全体を「うまくいってない」と思い込んでしまっていました。
でも今は、全体の6割7割いけたら、「うまくいっているやんか」と思えるようになってきたかなぁ、そういう感覚を持てるようになってきました。

最近、つくづく思うのは、自分の考えを否定せず、肯定しつつ、まだまだこれから成長していける部分があるよな、ということ。
年末年始に読んだ本とか、見たテレビ番組で、70代の人が、めちゃくちゃ前向きに、一生懸命活動されていることを知りました。蒼天先生からしたら、当たり前のことかもしれないけど、僕なんかまだまだやな、と感じたので、ちょっとやんちゃしながら、自分のありのままでいけたらいいかな、そんな思いでいます。


●蒼天先生
去年の短冊、覚えてる?

●黄金
「さぁ始めよう love all」でした。

●蒼天先生
つながってますなぁ。よろしいな、と思いました。

●黄金
みじか(笑)

●墨田
すごく共感するところがありました。
「怒らない」とか、自分の捉え方で、ものごとがうまくいっていると感じられるようになる、とか、その辺りのことです。

ちょっとケースは違うかもしれないですけど、僕も、今年に入ってから、「もう怒らないでおこう」ということを始めています。
僕の場合、主に社員との関係ですけど、うまくいかずに、結構イライラしたりしていることが多かったんですけど、それを一切やめようと。

自分と同じように、社員ができるわけじゃないし、逆に僕ができていないこともたくさんある。そう思うと、許すというか、受け入れるというか、そういう気持ちになりました。
そんな気持ちで接していると、みんな仕事がしやすそうな雰囲気になってきてるな、と思うんです。今まで、社長の機嫌の良しあしで、会社の雰囲気が左右されていたんだなと。
会社がよい雰囲気になると、僕もかける声が、どんどん優しくなっていく、そんな相乗効果もあります。
そうやって、みんなが過ごしやすい雰囲気づくりを心掛けていると、結局、自分自身が楽になるな、と思うんです。

黄金さんがおっしゃっていた「自在」という意味が、少しわかったような気がしました。


●黄金
今まで僕ね、この会社は僕が社長だし、この会社の主人公は僕や、と思ってた。
僕が主人公で、僕がこの会社を引っ張る。そう思ってた。
その「引っ張る」の意味と、実際の僕の行動には、矛盾があった。

常に僕がみんなのことを知っておかないと気が済まなかったし、それが当たり前だと思っていた。
自分ひとりで全部できないのは、頭ではわかっているのに、自分の知らないところで何か起こったりすると、「なんで俺に言わへんねん」みたいなことを言ったり、何か不快感を感じていた。
社員には役割分担もしているから、「社員に任せてる」と僕は思っていたんだけど、実は本当のところは、任せていなかったことがわかった。

今は、僕への報告なしに、成功している例がいっぱいあるんよね。

俺、ひょっとしたらめちゃくちゃ寂しがり屋で、自分の存在、アイデンティティを、社員にいろいろなことをぶつけることによって、それを感じてただけなのかも。
社員は、僕がボケッとしていても、ちゃんとやってくれてるし、僕がひとり、「自分の存在は自分で高めないとあかんのや」みたいなことを勝手に思い込んでしまっていただけかもしれないと思った。

それは間違いで。

僕もしょせん、ひとりの人間。
僕よりも優秀な社員はいっぱいいる。育っていったら、もっと優秀になる。
自分が1番頑張らなきゃいかん、自分が1番知識持っとかないかん、自分が1番仕事せなあかん、というのがそもそも大間違いやったかな、というのを思ってて。

自分ができないことは、社員に頼るということができるようになってきました。「頼むわな、ごめんな」と。わからないことは、「ごめんな、教えてな」と。

それでいて、会社がよくなってきているのです。

かつての僕の「理想の経営者」というのは、自分が監督主演、4番でエース、点数は自分で稼ぐ主人公である、というのは、本当に思い込みだった。それは違った。
そんなことしない方が、めちゃくちゃ楽やしね。そして仕事もうまくいく。

それと、もうひとつ変わってきたことがあります。
コロナで在宅時間が長くなった当初、嫁さんと娘との会話、3分か4分続くか続かないかくらい、短かった。
それが最近長くなってきて、ちゃんと話になるのよ、会話になるのよ。
最終的には、僕を責めることが落とし所になるんやけど、それでも会話の時間が1時間とか2時間とか、いろんなことで話せるようになった。

かつての僕は、「そんなこと言うたかて、ああやこうや」と、自分の中で正解不正解を結論付けて発言していた。自分の正しさを相手に押し付けていた。それを、「そっかぁ」とか言いながら、相手の話を聞くことにした。そうすると、議論になってくる。最終的には「ボケてる」とか言われるんだけど。
そうすると、居心地がよくなるのよね。
昔やったらばーっと怒ってたのが、今は怒らんと、じーっとぐっと我慢して会話していると、雰囲気がよくなって、家の中が上手くいく。最近は早く家に帰りたいと思うことがあるもんね(笑)。
何が正解かわからないけど、そういう形でやれてるかな、と思います。

●水島
すごく悟られたな…と感じました。
さっきから、ずっと笑顔なんですよね。
お話されてるときもずっと嬉しそうというか、楽しそうな感じで話されていました。

ずっと前の例会なんかを思い返すと、どこかに穴はないか、攻めるポイントはないかと、ツッコミどころを探しながら、人の発言を聞いておられたような感じでした(笑)。今はそんなこと全然ない感じです。
心境の変化、ありましたか?
それが徐々になのか、一気にどーんと変わったのか、そのきっかけみたいなものはありますか?

●黄金
ひとつはやっぱり、意識的に「怒らない」かな。
もうひとつは、去年12月に話した「俯瞰する」「鳥の眼になる」ということ。
それから、「肯定する、受け入れる、否定しない」ということも心がけている。どんなことでも、とりあえず全て肯定し、受け入れることから始める。

自分の心境が変わったというよりも、行動を変えると、心が変わるというか。いつも笑っていたら、自然と楽しくなる、そういうことじゃないかな。

それは誰かに教えてもらったとか、劇的に何かがあったというよりは、コロナの中で生活習慣が変わって、自分に向き合う時間ができた。そこで本を読んだりして、いろんな学びがあった。
ある日、枕元に神様が降りてきて「お前な」とおっしゃったわけでもないしね。

僕は完璧な人間じゃないし、やっぱりイライラするときもあるけど、ちょっとした良い行動を続けていると、それが自分の癖になって、思考の癖も変えてくれるというか。考え方を変えてくれると言うか。小さいことでもいいから、ちょこちょこ継続していくと、変わっていくものです。
大したことは全然やってないね。

今、俺がツッコミどころ探してるって水島くんに言われたけど、その冷徹な、重箱の隅をつつくような風に思われてたんかなー、というのは今からすると笑い話やけどね(笑)
自分ではそんなつもりはなかったけど……。

それと、自己肯定はするけど、人間はしょせん一緒、そういうことだなと思う。
北京オリンピックを見ていても感じます。オリンピック選手なら、精神的にも肉体的にもすごく強靭なイメージだけれど、高梨選手のジャンプの話(失格のこと、その後のジャンプ、仲間の存在)とかを見てたら、やっぱり人間だな、と思う。余計に共感もできる。

同じ人間なんだから、頑張ったらああいうふうになれる、とも思える。僕らにも、できることはいっぱいある。可能性はいっぱいある。蒼天先生というお手本がいらっしゃるから、頑張れるし、新しいことにも挑戦していきたいと思います。
そういう気持ちがあります。何か決定的なことがあったから、変化した、ということではないかな。

●水島
ありがとうございます。
昔は舌鋒鋭く、でしたが、マイルドになられて、変わられたな、という気がします。

●蒼天先生
彼は、一昨年、急に変わりました。
去年の1月例会で、黄金さん1番に発表して、と頼んだと記憶している。そこでいい内容の発表をしてもらったので、あぁこれでもう、ほうっておいても大丈夫だなと、僕は確信しました(笑)。
今年の話を聞いて、内面の変化が成果となって、どんどん出てきそうな気がする。何か大きな変化が起こるかもしれない。
急に変わったのは、急に戻ることもあるけれど、黄金さんの場合は戻らないから。それは大丈夫だから。
だから、今年は期待しています。裏切らないでください!

●黄金
いつも裏切ってきましたからね(笑)。

●蒼天先生
そうなんよ(笑)。長かったもんなぁ(笑)。しかしよかったよかった! 言うことありません!

●黄金
先生が丸くなられた(笑)。

●水島
それもあるかもしれません(笑)。

●緑山
黄金さんの表情から、いい人オーラ、いい社長オーラがすごく出ていますね。
伝統のある会社の社長で、社員や取引先、いろんなところから見られている存在だと思います。今年は「闊達自在」 ご自身のありのままの姿を見せる、とおっしゃいましたが、周囲の人たちは、「去年と変わられた」という感じで見ておられるのかな、と思います。
ただ、逆に、黄金さんは歴史と伝統のある会社の社長をされていて、もしかしたらワンマン社長が本来の姿なのではないかな、と一瞬思う部分もありました。

先ほど、蒼天先生が、一昨年くらいから黄金さんに内面の変化があったことに触れておられました。私も、去年くらいから、奥さんとかお子さんとか、ご家族のお話が出るようになったなと感じていました。

恐らく、卓球台の話が出た頃よりも、会社の業績が上向いてきたのでは? と思っていました。「行動が変われば心が変わる」とおっしゃっていましたね。「業績が変われば心が変わる」みたいな部分があったのではないだろうか? 笑顔の一因はそれもある? と勝手に思っておりました。違いましたか?

●蒼天先生
僕は違うと思いますね。最近の業績は知らないけれど、業績が変わって心が変わるようやったらまだ半人前です。

●黄金
うちは7月決算なので、1月で半期でした。前期の同時期は、過去にないぐらい悪かったんです。今期は確かに、大分いいですよ。

でもね、中身が全然違うんです。
今までは、エースと言われる何人かの社員が稼いでくれていて、それにみんながついていって、業績を上げる、というスタイルでした。
今まで主流だったメーカーさんは、僕とのパイプが太く、支援もしてもらえていたけれど、そうではなくて、社員が自分たちで考えて、僕の知らないところでどんどん商いを広げていってくれるケースが多くなってきました。
社員が自分で考えて、自分で動いてくれる会社になってきているんです。

それから、収益構造が変わってきています。
うちみたいな商社は、粗利、総利益と言われる部分っていうのは、価格競争があって、厳しいんです。そんな中で、我々も、落ちてきていたが、ここのところ、安売りをしなくなり、総利益が上がりだしてきています。安売りをしないということは、価格競争にならないということ。「高いけど、お前のところで買うわ」というお客さんが出て来てくれているということです。社員の人間力が上がってきているから、1人ひとりのお客さんとの関わり方が深くなってきているので、そう言ってもらえるようになってきたのかなと。

社長から無理やり着せられていた重い「鎧」(よろい)を脱ぎ捨てたから、社員は思う存分、その能力を発揮できるようになった。
社員はやっと自由になった。
その自由が人間力を向上させた。
ぼくは、そう思います。(蒼天より)


売れている商品の変化に伴う収益構造の変化について。
以前は、例えばコピー機とか事務機器と言われるものが売れていましたが、今は半導体不足で、注文があったとしても、納品できないから、収益は上がらない。
うちは実は工事部門があって、メンテナンスの工事、セキュリティのビジネスもやったりしているので、そこがすごく業績が上がっている。
もしも、昔の収益構造のままだったら、業績はもっと落ちていたかも知れないけど、今はいろんなところで稼げる構造になってきている。
それも、社員のみんながこういうことやりましょうと言って来てくれて、それに手を出してやってきたことが今花咲いている。
なんか構造が変わっちゃったんです。
僕が主人公じゃなくなった瞬間に、みんなが主人公、何人も主人公がいるんで。
だからよくなってきた。

じゃあ僕が何をしたか? と言うと、何もしてない。逆に任せてる。
自分たちで、色々考える、ということをやってもらったりはしているけれども。
1人ひとりが輝いて、1人ひとりの存在感が高まってきている。そして収益構造が変わってきた。僕がエースで4番じゃない。

あとね、後継者について思うこと。
僕らみたいな会社って、金融機関が言うんですよ、「社長、65歳になったら、後継者を指名してください」 うちも結構借金の多い会社だから言われる。
僕自身も2代目。僕の息子は仕入先のメーカーではなくて、大阪の大きな会社に勤めています。息子を3代目にしなくてもいいかも、という考え方をしていなくもなかったんけれど、ここ2、3年でごろっと変わりました。
親族に継がせる必要なんかなくて、自分がやりたいことをやってもらったらいいと思っています。2年ほど前に、うちの会社は黄金家のものという発想をやめる、と言っています。
後継者というのは、会社のビジョンや理念に賛同してくれる人で、優秀な人がなればそれでいい。
会社はみんなの会社だ、ということで、いろんなことをオープンにしていきました。オープンにしていくと、みんなが会社を自分たちのものだと思い始めてくれたのかな、という気がしている。
これまでは、それぞれは、一生懸命お客さんの方を向いて仕事をしていましたが、会社は社長のもので、社長に言われて仕事をしていた感じがあった。
今会社は、自分たちのもので、自分たちが一緒に会社を作っていくんだ、という雰囲気になってきているから、いろんなことが変化してきた。
財務諸表も、幹部社員にはオープンにしている。そうすると、自分たちで利益を取る方法を考えてくれている。

色んなことをオープンにして、心の中身まで話すことによって、僕の後継者になりたいという子はいないかもしれないけど(笑)。
今まで描いてきたシナリオなんて、全部なし、というか、違うんだな、って思ったりする。

収益は結果であって、みんなの意識、考え方が変わったから、収益が変わってきている。
業績はついてきたんやなぁ、という感覚ですね。
全てがうまくいってるわけではないですよ。全員が成長したわけでもないし、やっぱり昔ながらのやり方に固執する人もいるし、辞めていった人もいるし、いろんなことは起こっています。
でも全体としては、人は減ったけど、業績は上がっています。

●緑山
環境がよくなってきたっていう雰囲気とか?

●黄金
「社長変わらはったね」、と社員が言うわけでもないし、仕入先が言うわけでもないし、でも確実に何かが変わったんやなぁ、という感じはしてる。
何が変わったんやろ? 僕もわからない。
何かターニングポイントがあって……という話があったけど、何がターニングポイントで会社が良くなったんやろ……?

今まで水面下でやってきたことが水面下から出始めて、それが土から芽が出だして、それが伸びてる感じなのかもしれない。ぱっぱっとは変わってない。
モヤモヤしていたものが、ちょっと芽が出始めて、ちょっと良くなってきてるという感じで。

ひとつは僕が表に出ない。しゃしゃり出ない。
自分を殺してるわけではなくて、本来の自分のやりたいこと、本来の自分のありのままを出すということ。
やっぱりICTもデジタルも弱いし、かといって体力があるわけでもないし。
そう考えたら社員に勝てるところて何もないわけで。ちょっと弁が立つぐらい。
その弁も最近怪しいし。

でも緑山さんにそう言われると、考えたことないこと言われたからハッとしてる、実は(笑)

●蒼天先生
ひとこと、よろしいか。

思い返せばね、さっき出た卓球台。
卓球台を買えと言った1番の目的は、今のような田中さんになって欲しいという思惑からだった。だから卓球台は売ってください。もうここまで来たら、不要。

それとね、黄金社長の成長が、社員に伝播しているんですよ。
伝播というのは教えて伝播するんじゃなくて、伝わっていくということ。
社員が黄金さんの背中を見て、色々感じ取って、あ、ここまでしても大丈夫、これ以上はどうかなと、自問自答しながら、だんだんと自分自身が動ける土俵が大きくなることを社員自身が感じた、コロナの頃に、そういうことが起っていったのだと思う。
それが徐々に徐々に定着して、最終的に収益の構造の変化につながった。
だから、プレイヤーは社長じゃなくていい。4番バッターは社員でいい。社長はプレイヤーじゃなくて監督でいいわけでね。
だから4番なら4番の実力があるやつが、みんなが競い合って社員が成長していけば勝手に企業はよくなるわけで。
まさに企業は人なりという当たり前のことがひとつの形になってきた。

大切なことは、コロナ様にお礼を言わなきゃならん、ということ。
結局、時間的な余裕が、黄金さんの変化のきっかけになった。黄金さんが変わって、社員に伝播して、社員が変わって、収益構造も変わってきた。
ここまで来たらほんまものの変化です。

この先は、ここで満足せずに、もっともっと社員に好き放題させる。
人間は「ばらつき」がある。いい人材もいるし、よくない人材もあるし。
今芽が出てない人でも、しばらくしたら芽が出てくるかもしれないから、長い視点で社員を見ながらね、暖かく見守ってあげることだね。
最終的には、社長がいてくれる、見守っていてくれる、という安心感があれば、社員は心を強く持って、思い切ったことができるから。
社長がそういう存在でいたら、社長自身も楽だし、長い先のことを考えることができる。
そんな形で歯車を回されたらいいのではないですか。
「闊達自在」、タイムリーなよいひとことだと思う。

●銀河
オリンピックを見ているのと同じぐらい感動しました。
「情熱大陸」の音楽が聞こえてきました。
これ、映画になります。「昭和の頑なワンマンツッコミ社長」から、「令和の愉快な社長」に変貌していく映画を見ているような感じでした。私たちは、長い年月この映画をノーカットで見て来て、もうすぐクライマックスを迎えるような感覚です。
自分が脚本を書きたいな、と思いながら聞かせていただきました。

みなさんの質問や感想なども、黄金さんとの長いおつきあいがあるからこそ、出てくる言葉だなと感じました。

まずは、「情熱大陸」とか「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組にはなりますね。
このまま、自分が聞いただけではなくて、他の人にも伝えたいなと思いました。

●黄金
実は友人で、僕がかつて修行していた会社の社長がいる。僕より年下の子なんだけど、その子は、僕に自信を持って言う。
「社長っていうのは誰よりも働かないといけない、誰が欠けてもそのポジションに社長が行けないといけない」

ところが社員のみんなは、社長になにかあった時に、社長が何かしなければならないという意識は持ってない。

僕はその社長に、「何もかも自分でしないとあかん、というのはちがうで」ということを言うんだけど、頑なに違いますって言うわけですよ。

それって、実はかつての僕の考え方そのものだから、「俺も昔、そう思ってたけど、違うと思う。社長がやらないことによって、社員も育つんだから」って言うんやけど。

僕は、誰かに何かを言われたから、変わったわけじゃないけれども、自分が変わっていくと相手のことが見えてきて、アドバイスをしてあげるけれど、何度言っても変わらない。どうすれば、その子に変わってもらえるかな、と常々思っているんだけど。
会うたびに、「君は俺と一緒なんや」と言うんだけど、変わらない。伝わらない。
それはやっぱり、本人が気づかない限りは、無理なのかもしれないけれども。

お話の途中ですが…黄金さんご本人が、「誰かに何かを言われたから、変わったわけじゃない」っておっしゃってるじゃないですか(笑)
きっときっと、その社長さんは、ご本人が気づくタイミングがやってきたら、黄金さんのように、川が流れを少し変えながら海へ向かうように、自然と変わって行かれるのだと思います。私が言うのもなんなんですが(笑)
そして、その彼が、毎日日記を書いておられたら、流れの変わる瞬間が、何年の何月何日の何時ごろだったか、ということが、記録に残るはずで、それがきっかけだったんだと、あとで振り返ることができる。それが「喜怒哀楽に敏感になる」という先生のお話であり、日記の役割なんだと思います。
お邪魔しました!


僕は銀河さんがさっき言ってくれたような、テレビ番組とかそんなとんでもない話で。
さっき緑山さんが言われた、うちの社員一人ひとりが「社長変わったね」と言葉に出して言ってくれているのは聞いたことがないし、仕入先からも聞いたことないし。
でも何かが変わったよな、ということは感じる。

蒼天先生は特に付き合いが長いから、そう思われたかもしれないけど、変化って自分ではわからないですよね、正直。
今回でもいろいろアドバイスもらってありがたいなと思うんだけど。
人間が変わるっていうのは、本当にわからない。
銀河さんが言われたみたいに、劇的にシナリオがあって、みたいなのはとんでもない話でそんなことは絶対ないので、たまたまだし。
本当にそうなのか、誰の目線から見てそうなのか、というのはわからないし。
そんなええもんじゃないです(笑)

●水島
銀河さんが黄金さんの小説を書くっていうことでいいんですよね?(笑)

●銀河
本当に人が知るべきなのは、そういうドラマなんだと思います。そういうところにスポットをあてることが、大事なんだと思います。

ここにいたら、「まだまだ、ひよこでいいんだ」という安心感があるので、本当に素直な気持ちで、感謝の気持ちで学べます。

言い方ひとつ、心の込め方ひとつで、人が発することばは変化する。
同じセリフでも、醸し出す雰囲気が変化する。相手への伝わり方が違う。
否が応でも、人柄や、その人の生きざまがにじみ出てしまう。

若いときには、心理学とか、マニュアルによる説得力なんかで、納得しようとしてきたし、自分も納得させられてきたところもあるし、それはそれで、ウソではなく、学問として、人の心のありようを分析したマニュアルとして、活用できるところは活用すればよいと思う。

でも、そういうものを超越したことばの力というのは、話す人の生き様生き方人柄抜きには存在しないということを、歳を重ねるごとに、ここで勉強させていただくとごとに、実感しています。

 

●水島
黄金さん、ご自身では気づいておられないかなと思いますが、話されるスピードが、前よりもゆっくりになっておられるんですよね。
僕たちは議事録を書いているからわかるんですが、相手に伝わるように、丁寧に話しておられる感じがしています。それも、変化のひとつかなと思います。

●銀河
鋭い、ほんとそのとおりです。
いつも黄金さんの発言の箇所は、同じ時間でも、文字数がものすごく多かったんですよね。

●水島
今のお話も、お聞きしていると、やっぱりゆっくり話しておられるので、これは大分変わられたということの証拠かな、と思いました。

黄金さんとは「なが~い」おつきあいです。
彼の発言を聞き、そして、議事録を読みながら、込み上げてくるのもがありました。
さまざまなシーンが走馬灯のように、ぼくの頭の中を駆け巡っていました。(蒼天先生)

 

【短冊発表 蒼天先生】 「山を動かす~前編~」

●蒼天先生
これまでの発表、皆さん非常に感動的なお話でした。私はゴツゴツした話を、男の話をさせていただきます。

去年の私の短冊、覚えていただいていますか?
「3年10倍クレイジー計画、クレイジー元年」でした。誰かにサーフィンでもされるんですかと言われたことを覚えています(笑)。

クレイジー元年に、僕は何をしたか。頭のお掃除をしていました。
周辺にある古い仕事の資料―セミナーのレジュメなどーは、全部捨てました。本はまだ残していますが、必要でないものは全部捨てました。

今年はクレイジー2年目、「山を動かす~前編~」としました。来年が後編になります。
「山を動かす」とは、どういうことか。その前に、2、3ヶ月前に発表したときの話を振り返ります。

僕は、90歳で、達人になりたいんだ。そんな話をしましたね。
僕の勝手な解釈ですが、達人とは、目に見えるものも見えないものも、一点の曇りもなく見える人間である、と考えています。
これは非常に難しいことだけれども、とにかく、2、3年前から、今まで全然見えていなかったものが、どんどん見えるようになってきたんです。特に、人の内面とか、社会の動きとか、そういうものが見えてきた。そこで、もっともっと見える人間になりたい、そうなったら、人生がもっと楽しくなるだろうな、と思ったのが、ひとつのきっかけです。

僕にとって、一番大事なのは、誰からの束縛も受けずに、自由奔放に生きるということ。いろんなものが見える達人、人生を楽しむ達人なら、それが可能だと思うからです。あと10年、90歳になれば、少しは達人に近づけるんじゃないかと思っています。

それからもうひとつ。
僕もある程度歳を重ねてきましたので、次の世代の方、皆さん方の将来に対して、お役に立ちたいな、という気持ちがあるんです。
皆さんは経営者ですから、例えば10年後、ビジネスはどうなっているのかな、ということを色々と考えました。

そしてもうひとつ。
この50年、何も変わっていない日本を変える、ひとつの力となるような、何かそういう役目を果たしたい、そう考える部分があります。
日本が全然変わっていない。
小さな話からすると、食料安保の問題。要するに、輸入に依存しすぎていて、食料が自国で調達できない。もし外国からの供給が滞ったら、大変なことになるよ、という話。50年前、カロリーベースで、日本の食料自給率は50%くらいだった。その時、大変だ、何とかしなくてはならない、という話が出ていたにも関わらず、50年たった今も、何も変わっていないんです。僕は唖然としました。まだ「食料安保」という言葉が出てくるんですから。
それから、高齢化問題。これが一番腹がたちますね。僕は長い間、社会保険料を納めてきました。
今の社会制度は、若い世代が、高齢者の面倒を見る、という制度ですね。僕らの若いときは、人口ピラミッドは富士山型。若い人口が多く、高齢者は少なかった。だから、当時僕たちが払っていた社会保険料は、ものすごく余っていた。そのお金はどこへ行った? そのお金を残していたら、今、大騒ぎしなくてもいいのに。しかし、そういうことは誰も言わない。
当時から50年後、高齢化社会がやってきて、団塊の世代などが高齢化してくると、若い世代が高齢者を支えることは難しくなってくる、お金が足りなくなってくる、とわかっていながら、なぜ、社会保障制度の根幹を変えなかったのか? 何も変わっていないんですよ。
今も、若い世代が高齢者を支えることになっているから、大変なことになっている。

それから更に言えば。
電気電力の問題です。原発の問題、化石燃料の問題。これは、温暖化に関連して、ずっと前から議論されていたことですよ。原発は大変だっていうことは、ずっと議論されていたんですよ。それがね、今もまったく変わっていない。
東日本大震災で、原発の問題は大問題になったけれども、いまだにそのままになっている。。50年間、変わっていないことが、この先変わるのだろうか? と思うんです。

僕は勝手にですが、これからの住環境は、ものすごく悪くなると思っています。だから、こういう問題に対して、今僕は80歳、何とか、ちょっと爪痕を残しておかないと、我々の年代の社会的責任として、ヤバいのではないかと、そういう小さな正義感のようなものがあるんです。
それもひとつ、「山を動かす」という所信の動機付けになっています。

次。10年後のビジネスはどうなるのか? 
確実に、こうなります。「巨大ビジネス VS 日常ビジネス」
「日常ビジネス」って皆さん聞いたことないと思いますが、多分4、5年の間に台頭してくると思います。 巨大ビジネスに関しては、僕の想像ですが、これからは、どんどんファイナンシャルグループという怪物が、優秀な中小企業をTOBで傘下におさめてくる。良い中小企業は、巨大ビジネスグループの中に入ってしまい、残るのは、落ちこぼれの中小企業だけになるんじゃないかな。

「日常ビジネス」とは何か。
実を言えば、銀河さんの今のビジネスの仕方、これはひとつの参考になります。要は日常が「主」で、ビジネスが「従」です。しかしビジネスが従でも食べていけるという状態です。今の単価を10倍にすれば、例えば1週間に3日ほど働いて、日常生活を人生の中心に置きつつ、食べていけるだけのお金を稼げる。そういうビジネスが、ものすごく増えてくると思う。
ということは、今魔の10倍稼げるだけの能力を持っていないといけない。つまり、今の給料の10倍ぐらい取れる能力を身につける。僕、これは可能だと思っています。東奔西走して稼ぐのではなくて、週に3日間働いて、4日間は仕事をしない。それでも生活できる。そういうビジネスが、これから台頭してくると僕は考えています。
だから、水島さんもそう。今ずっと在宅勤務でしょ。まさにこれ日常ビジネスなんですよ。家の中で仕事ばっかりしていたらダメだけれどね、独自の技術、ノウハウを持って仕事をするということになれば、日常が主で、ビジネスが従、それでもやっていけるということが可能になると思います。
そのためには、自分の能力を、もっと蓄えなければならない。
それはどんな能力か? 
今のビジネスにのめりこむことではない。自分の好きなことにのめりこむんです。「これをやりだしたら、1日でも2日でも、1週間でもずっとやっていたい、やっていられる、楽しい」そういうことを見つけるんです。それが結果として収入に繋がっていく、それを見つけたら、後は簡単ですね。

例えば、緑山さんは、魚釣りをするでしょう?
魚釣りで稼ぐんじゃないんですよ。魚釣りに行ったときに、そのノウハウをきちんと記録して、経験したことを書いて、それを蓄積していったら、最終的に魚釣りのノウハウ書ができあがるじゃないですか。それを売れば、ビジネスになる。だから、そういう問題意識を持って魚釣りに出かけたら、天候とか、色んなことに気づこうとしながら魚釣りをすることになる。今している仕事だけがすべてではないんです。

ちょっと余談ですが。
僕のいとこに、トラキチ(阪神タイガースのファン)がいるんです。僕よりすこし歳上ですが、
彼は定年退職して、自宅のテレビでタイガースの試合を全部見て、スコアブックをつけていた。毎試合見ていると、作戦の良しあしとか、ここでこの選手を使うべきとか、勝手にわかってくるようになった。
それで、スポーツ新聞の評論に対して、「自分はこう思う」という自分の評論を新聞社に何度か送った。そしたら新聞社から、「うちの新聞の評論を書いてほしい」と依頼があった。素人で、プロの記者とは、違う視点で、面白いことが書けると。
結局彼は年寄りだからって断ったんだけど、本気で趣味をやって、蓄積していったらプロになれることを証明してくれたのです。
そういう時代です。自分の好きなことであれば、どこまでも深めていけるし、行き詰ったとしても、苦にはならない。

僕は、「パーソナル経営」という言葉を、商標登録しました。
それぞれのパーソナル、人間性でビジネスを作ったらいい、という考え方で、自分の考え方をまとめて、商標登録を取っているので、またそれを活かそうと思ったら、活かせるんですけどね。
そういうものを自分で構築していけば、「日常ビジネス」というのは、それぞれの人がよく考えていけば、みんなに道はあると思う。後はもう自由に生きたらいい。それが僕の願いです。

僕にとって、そういうものを達成するために何が必要か?
それが達人にならなければいけないということかなと。達人になるためには、もう「山を動かす」しかないかなと。
「山を動かす」とはどういうことか。最初に話した「頭のお掃除」から始まっています。
どこまで信じてもらえるかわからないけれど、去年、脳の細胞を全部取り出した。パーツごとに並べて、不要な細胞を手放して、必要な細胞だけ残す。必要なパーツをもう1度組み直してみたら、新しい脳が出来上がってくる。つまり、今までの延長線上にはない、新しい考え方が生まれてくる。

これを去年1年間でやってみた。これはおもしろい。頭の構造を変えることとは、意外と簡単で最高に楽しい。頭の構造を変えるということは、考え方を変えるだけでなくて、例えば右脳、つまり五感や感性の部分、そういったものが関係してくるから そういうものと、新しい頭の構造をうまくマッチングさせれば、これから10年間、山を動かすぐらいの取り組みができるんじゃないか、実はそんなことを考えていました。

とにかく山を動かすくらいのことをやらないと、10年先の日本は、よくならないと思う。僕はすごくそれを感じます。だから、今楽しかったらいい、とか、今売上業績が良かったらいいとか、そういうことではなくて、いつ何が起こるかわからない時代だから。

僕は、これから10年先、達人を目指してとにかく山を動かすだけの何かそんなエネルギーを、新たに作り上げていこうかな、という取り組みを始めました。

つまるところ、さっきの黄金さんと一緒で、人の問題なんですよ。
結局、自分がその気を出せば、あるいは自分の内面をきちっと正しく知ることができれば、 前回か前々回話をしましたが、物との出会い、こととの出会い、自分との出会い、目に見えないものとの出会い、などの中で、山のようにある、まだ出会っていない何か、と出会うことができる。自分自身を、もっと掘り下げていったら、思いもしなかったさまざまな出会いがあると思うのです。

先月の銀河さんの発表で、 同級生の話が出てきました。嫉妬を感じたという話でした。こういうこともひとつのきっかけになって、自分をより深く知ることができるかもしれない。人間、いつどんな出会いやきっかけあるか分からない。だからいろんなことを考えながら生きていこうと考えます。

余談ですが、50年前のことを考えるきっかけになったのは、ある方からのLINEです。
去年12月の20日過ぎ、僕が習っていたお茶の先生、僕は先代の先生に習っていたのでその後に就かれた先生ですが、その方からでした。
「お久しぶりです。54年前に田中さんから頂いたお茶碗が出てきました」 僕がお歳暮に膳所焼の虎の絵のお茶碗を送ったんです。「これが出てきたから、いや嬉しい、と思って、今一服頂いています。来年これをお稽古のお茶碗に使わせてもらいます。12年に1回しか使えないお茶碗ですけれども」
あぁそうか……。50年前だったのかと思ってね。
50年前どんなことがあったかな、といろいろ思い出してみたり、色々探してみたりしました。
すると、やっぱりこれは僕らの世代が、次の世代の方に、なんとかしなければならないなという気持ちが湧いてきました。固い話で恐縮ですが、こういうことを皆さんにお伝えして、皆さんも目先のことばかりを見て、日々を過ごしていたらだめですよ、ということも言いたいのです。

やっぱり人間って変わっていきます。
頭のお掃除をしていて感じたのは、 読む本も、びっくりするほど変わっているということ。
その昔、高度成長の頃は、企業戦略論や、多角化で拡大していく本を読んだ。その後ドラッカー、コヴィさんの本。最近はまた別の本を読んでいます。
どんどんと思考が変わってくるし、思考を続けたら、また、これからやりたいと思うことも変わってくるから、これからの10年、90歳まで新たなチャレンジをしようかなと、そんなことを考えておりました。非常につまらん話で恐縮です。以上です。

●緑山
いっぱいメモしたんです。1ページ以上になっちゃいました。
先ほど、先生に魚釣りの話をしていただきました。多分、魚釣りでは私達人にはなれないな、自分の能力に問題があるな、と思います。
ちなみに、魚釣りで年収1億円超えている人がいるんですよ。魚を捌いて食べるだけのYouTuberで、「きまぐれクック」っていう YouTubeチャンネルをやっている人なんですけどね。
自分ができるとしたら、営業の事を発信するとか、そんなことかな、と思うけれど。
ただ日常が7、仕事が3、というのは難しいかもしれません。今のところを日常が1、仕事が9、みたいな感覚で生きているので、もっとメリハリをつけて、私も銀河さんみたいに、短い日数だけ仕事をして、後は日常に、何かやりたいことを見つけないとアカンな、と思いました。

緑山さん! YouTubeやってください~
声が素敵だといつも思います。声、大事。声帯、大事。


●蒼天先生
そんなこと急にできませんよ。5年ぐらいの単位で考えたらいいんですよ。

●緑山
そうですよね。わかります……。
ノートに、「今からでも遅くない」「先生80歳、私63歳、山を動かす」と書きました。本当に、今からでも遅くないと思うので、何年計画かでやっていきたいと思います。墨田さん釣り行きましょうね(笑)。

●水島
ちなみに緑山さん、例えばお客さんと一緒に魚釣りに行って、コミュニケーションをとったりとか、営業ツールとして魚釣りを使うということはされるんですか?

●緑山
これはですね、実はめちゃくちゃいいマーケティングになるんです。
本格的に魚釣りを趣味としている人は、船に1回1万円とか2万円とか払って乗ってるんですけど、そういう人をカヤックに引き込むとか、ゴムボートに乗せるとか、そういうことでめちゃくちゃ親しくなっていくんです。

●水島
それもまたひとつのスタイルですよね。

●緑山
そのスタイルでやっている人、実際いるんでね。 ゴルフで仕事してる人間とか、います。私はそのタイプではないな、と思うんですが。プロ級であればいいんですが、僕はそこまでうまくないから。

●銀河
壮大なお話でした。先生もおっしゃっていましたけど、 男の人ってそういう話が好きなんでしょうか。男の人の描くロマン? 日常からかけ離れたこと、そういうことが生きていく力のもとになるんだろうか、 とか思いました。
私には、日本という国に対して、一石を投じる、そういう発想は全然ないので、刺激としてありがたく受け止めます。

それから、声を大にして申し上げますと、わたくし、週3日で食べていけてないです(笑)。「単価を10倍にすれば食べていける」というその発想も、大きな刺激になりました。

パン屋は肉体労働ですし、年齢とともに、だんだん生産性が低くなる仕事です。
だから、頭と手がしっかりしていればなんとかなる「書く」ということを、生きていく術にできたら、と、パンと絡めてそういうことができるかどうか、わかりませんが、いいなと思っています。「パン屋をやっているから、書けること」みたいなのがあったらいいなと思い描いています。

一部の若い人たち、24歳息子の周辺の話ですが、いくつもの仕事を持っている人が結構いらっしゃいます。
1人の方は、「人生を美しいもので彩りたい、人に美しさを提供したい」というコンセプトで、ブライダルのプロデュース、美容師、ダンサー、動画クリエイター、をやっておられる。そういうスタイルで生きていけているところ、若い人の自由でクオリティの高い仕事、素敵だなと思います。
仕事をふたつ持つことによって、両方よくなるのではないだろうか、そういうことも考えさせてもらっています。

●蒼天先生
「書く」という仕事は 何歳になっても、できます。山﨑豊子さんしかり、瀬戸内寂聴さんしかり。「何を書くか」ということによるけれど、「書く」ということは、人にいっぱい影響を与える。うまくいけば、ひとつ書いたことで、世界中の人に対して影響を与えることができるかもしれない。だから僕は、非常に楽しみにしているんです。

自分がやったことを、都度まとめておくということは、すごく大事なこと。
壮大な話かどうかは別として、僕は、いろんなことをまとめたものを残しているから、だから書けるし、50年前がどうだったか? とか話せるんです。もし、何も残していなかったら、50年前の食料自給率が50%とか出てこないんですよ。
やっぱり必要なものは残しておかないといけない。自分で考えたことや、その時の資料が残っているというは自分のノウハウだからね。今の僕は助かっている。
残すもの1に対して、手放すものは10ぐらいある。 しかし、捨てるものが10あるからと言って、そこに無駄はなく、そういうプロセスがあったから、1があるということ。ひとつの成長の過程だという感じがします。

●水島
先月、「勇気を出せ」と言われたので、勇気を出して言います。
先生、昔、本を書く、とおっしゃってたかと思いますが、あれはどうなりましたか?

●蒼天先生
そんなこと言ってたっけ?(笑)

●水島
せこい(笑)!
2、3年計画で書くっておっしゃっていたので……。

●蒼天先生
横道に行ってしまいました(笑)!
最初に、こうするって言ったらだめだね、なにごとも。
いろんなものが蓄積されてきて、それで自分の進むべき道が決まるのであって。
だからまず、最初はいろんなものを貯めるというか、山を高くする、登ることが第1かな。

思い出してくれましたね~。
すっかりそんなこと忘れておりました(笑)。

●墨田
水島さん、僕も同じこと思っていて、 僕はもうずっと疑い無く、今も先生が、最終的に本を執筆されるということに繋がっているんだと思っていました。
書くことは大事だ、とおっしゃっているから、これは絶対布石だと思って。

●水島
今のお話をお聞きしていると、例えば、「仕事3日常7で生きていく」、そんな本を書かれたらいいんじゃないかな、と思ったりしますね(笑)。

これからの経営者の在り方、もう昔のような、そういう時代じゃないよ、今後こういう生き方が出てくるよ、10年後の将来に向けて、こうしていくべきだよ、とか、まとめて書かれても面白いな、と思いますが、どうでしょうか?

●蒼天先生
申し訳ないけれど、僕、もう経営のことは忘れました。

以前、僕は2つの山を登ってきたという話をしました。マネジメントの山と茶の湯の山です。そしてある時、それをひとつにした、という話です。

ひとつにしたとき、マネジメントの山は、全部山の下の土に埋まってしまった。
地上に出ているのは、茶の湯の山。「茶の湯の世界」というのは、これは「日常の世界」。
茶室の中というのは、 感動もあれば、妬みやっかみもある、人間の感情が野心が色んな形で交錯する場なんです。口に出しては誰も言わないけれど。
例えば、一生懸命お点前してる人を見たら感動する、美味しいお茶を立てていただいたら感動する、また、道具の取り合わせに感動したり。
妬みやっかみはどうか。いい道具が出てきた、この人こんなにいい道具持っておられるんだな、腹立つな、とかね。いっぱいある。
人の気持ち、人情が渦巻いているのが茶室なんです。それはつまり、そこには日常が凝縮されている、と言っても過言ではない。

結局、2つの山をひとつにしたときに、山として地上に残ったのは、茶の湯すなわち日常の方で、マネジメントというのは、日常を支える根としての役割を担って、地下に戻ったんですね。

こんな話もしたことあったと思う。
中小企業経営に枝葉は不要。根があって、幹があって、幹に直接花を咲かせたらいいという話。

根があって、幹があって、幹に直接花が咲く。

根は、人間で言えば頭の部分、頭脳です。
幹は、体の部分、経営者です。
幹に、直接花が咲く。枝葉はいらない。そして経営者が、直接花を咲かせるのです。

最もシンプルでいいのは、日常ビジネスで実力を蓄えて、根を盤石にして、きれいな花を咲かせる。この花を直接売れば、価値は10倍になるかもしれない、そんな話です。

黄金さんの場合は、社員さんがいるので、枝葉が必要。枝葉は社員さん。
花を咲かせるのも、社員さんということです。
幹(経営者)が成長して、枝葉(社員)が成長したから、さらにいい花が咲いた。
それが結果として業績がよくなった。そういうことになるんじゃないかな?

●黄金
僕の花、っていうのはね、僕の幹にはもう花は咲かなくていいので……。
だから、僕は栄養を送ってあげるみたいなイメージなのかな、と思いますけど。

●蒼天先生
だから、そんな、難しくマネジメントなんて考える必要はなくて、結局は人。
人のことだけ考えたらいいよ、と僕は考えている。

この発想でいけば、別に細かいことはいらないということ。
要は自分さえ、経営者さえどんどん変わっていけば、会社は勝手に動く。綺麗な花をどんどん咲かせるわけです。だから別に今までの3割しか仕事をしなくても、1週間のうち3日間しか仕事をしなくても、独自の綺麗な花さえ咲かせれば、いくらでも成長できる。よそと同じ花しか咲かせられなかったときに、価格競争になってしまう、ということではないでしょうか。

●黄金
今の先生の話で、日常が7で、仕事が3,という話なんですけど……。
今ここにいらっしゃる皆さんから、色々と変わってきたとか、なんというのかな、お褒めの言葉というのか、ましになったなというのか、そういう言葉をいただきつつも、正直ぼくからすると、なんというか……。

お前は2代目だ、と言われて、そのつもりで生きてきて、学校入っても、就職する時には、3年間は別の会社に就職しておいた方がいいよ、というので行ってきて。

ついこの間までは、人生の中に仕事があるわけではなくて、仕事と人生が、一緒くたになっていた。そんな考え方でやってきたから、仕事すること=生活すること、みたいな形になってきていました。

僕自身、昔はスポーツをやってきたりしたけどね、就職してからずっと生きてきた中で、ほとんど趣味と言えるものがないんです。
緑山さんは、ずっと営業してこられた中でも、魚釣りとか、結構趣味も豊富だし、蒼天先生、水島さん、銀河さんは、どちらかというと手に職があるという感じで、技術とかそういうものがある。
僕は正直、魚釣りもしなければ、ゴルフもたまにするくらいで、そこが今、僕の1番心配なところで。日常生活の中で、やっと嫁さんと娘と会話ができるレベルにしかまだ来ていない。そこから先に、どういう日常を作っていくのか。

例えばあるんですよ。僕もまあ、色々思うところがあって、単純に世の中の役に立つことをやりたいよね、という思いが。何かしら本当に自分のやりたいことを見つけるということなのか、実はもう、目の前にあるのかもしれないけれども、そういうことに時間を使わないと、本当にもったいないと思っています。
先生の話を聞いて、痛いところつかれてるわ、と感じて、自分ヤバいんじゃないかとすごく思っています。
先生、その辺りについてはどう思われますか? 先生よりだいぶ若いから、これから積み上げていったらいいのかとも思うんですが、今から、というのは、どうなると思われますか?

●蒼天先生
1番手っ取り早いのは、やっぱり自分がのめり込むものを見つけるということ。3度の飯より好きなものを見つけるということ。趣味とかそんなレベルじゃなくっていいんです、もう、これやりかけたら、仕事なんかどうでもいいというもの。

極端な言い方すればね、みんなそれ持ってるはずなんですよ。見つけていない人が多いだけ。

あなたの場合、2代目だから、今の仕事がベストの職業とは限らない。でも、ここまできたんだから、それはそれでいい。社会的な責任もあるし、社員の面倒も見ないといけないし。

それはそれとして、自分の時間を持つということは、家族との対話を増やすということではなくて、自分が3度の飯より好きなことを見つけたら、あとは1本道です。
それを見つけたらね、もうどんどんどんどんとね、それにのめり込んでいく。

僕はコロナで、1年間どこも行かなかった。しかしね、全然退屈しなかったし、むしろ忙しかった。のめり込むものがあったから。

のめり込むものを見つけたら、これはどんどんと死ぬまでその道で行けるんと違うかな。それをね、どうやってその道を見つけるのかという話。
見つける方法。
例えば、いろんなフィールドの違う本を読む。大きな本屋を散歩して、面白そうなものを買ってきて読んでみる。最後まで一気に読めるものは、その分野が好き、ということ。
もう一つは、やっぱりね、申し訳ないけど日記です。日記を毎日書いていると、自分ののめり込むものがすぐ分かるんですよ。そういうものに出会った時、時間に関係なく、めちゃくちゃ書いてしまう。それを後から読み返してみると、ああ、そんなこともあったな、とか、見てみると、出てくる。あ、俺はこの道やな、と。そこでやっぱり発見があるんです。
少し前に、日常の精度を上げよう、という話をしてきました。
ちゃんと自分の喜怒哀楽、そういうものを何かにしたためておいたら、自分が本当に好きなものなんて、すぐに見つかるよ。それをズボラしとくとね、なかなか見つからない。そういうことだと思います。
これから見つけたらよろしいがな。僕の年になるまで、まだ16、7、8年あるんだから。

●黄金
わかりました。

●水島
ちなみに黄金さんは、これやってみたいな、チャレンジしてみたいな、ということはありますか?

●黄金
まあ、ある。内緒やけどある。

●水島
いいですね。

●黄金
ちょっとこれやねん、っていうのが言えるようになったら、言いますね。

●水島
お願いします。
じゃあ墨田さん何かありますでしょうか?

●墨田
はい、そうですね。最初の方の「山を動かす」とおっしゃったこととか、
年齢が全てじゃないけれども、80歳を超えて、そういうバイタリティを持っておられる方っていうのは、少ないと思う。
近所でも先生とはまだちょっとジャンルが違うけれども、めちゃくちゃ生き生きしてはる80を超えた90近い方ですけど、元気にしてはる方もあるので、そこはとにかくすごいな、見習おう、自分もそういう生き方をしていきたいっていうのは思いました。

「日常ビジネス」っていうのが、例えば私の場合、私の職種っていうのは、どんな関連というか、先生にはどんな見え方をするのかなっていうのが聞いてみたいです。

●蒼天先生
まあね、墨田さんところなら、極論を言えば、ひとりになって、自分のやりたい受注だけ受けるということ。
1番いいのは、年齢を重ねると、体を使えなくなるから、体を使わない形、例えば設計をするとか、デザインをするとか、デザインするにしても、家全体じゃなくって、こだわるパーツだけをやる。そういうところを考えていけばどうでしょうか。

例えばパン屋さんだったら、食パンの専門店ってありますね。そういうところでも行列しているようなところ、あるでしょ。そういう感じで、食パンだけ売って、とにかくプル戦略でね、有名になったら、全国からお客さんは来るし、通販という方法もある。だからいくらでもビジネスの方法はある。取り扱うのは単品にしてしまう。単品にするっていうことは、顧客も限定される。そういう仕組みなんかもできると思う。

今やっている仕事の中で、1番自分がやりたいことだけに絞り込んでね、1回考えてみたら、何かひとつの答えが、3年か5年か経ったら出てくるかもしれない。
今すぐ答えを出そうと思っても、それは出せないかもしれない。でも、多分あると思う。
墨田さんの前回の発表で、人間関係云々という話があったでしょ、それでもいいわけや。方法はいくらでもあると思う。普段、そういうことすら考えないから、いざ、急に言われると、なかなかピンとこないかもしれないけれども 。

みんな、条件は一緒だと思う。僕の場合は、とにかく人に命令されるのは嫌だから、会社を辞めた。単純な、それだけの話。で、自分の好きなビジネスを始めた、という。それだけの話。
だから、要は、自分で本当に好きなことさえ見つかったら、見つけたら、工務店の仕事じゃなくてもいいと思う。もちろん工務店は続けていったららいいよ。徐々に準備していったらいいわけやから。自分の能力が深まったら、勝手にビジネスなんてできると思うわ。
今の仕事にこだわる必要は全然ない。時間をかけて考えないといけない。食べていかないといけないからね。楽しい人生を歩むためには、お金も必要やからね、ただ今の仕事の業績がよいから、自分に合ってると思い込んで、埋没してしまってそのまま続けるのは、後から後悔することになるんじゃないかなと思う。

●墨田
ありがとうございます。

●水島
これはたぶん、自分のビジネスはどうなんやろな、先生に聞きたいところなんかな、と思うんですけれども、じゃ、うちは、うちは? という感じかと思うんですが、いかがでしょうか?

●蒼天先生
あなたや。

●水島
僕ですね? 聴きたいですけれども。

●蒼天先生
あなたは、いまのビジネス続けてたらいいけどさ。俺のことを「ばかたれ」と言ってほしい。

●水島
それはなかなか、ハードルが高いですけど(笑)

●蒼天先生
「ばかたれ」って言えたらね、新しい発想が生まれてくると思うよ。

●水島
よう言わないですけど……。
先生、ちがいますよ、くらいかな。

●蒼天先生
ばかたれ、というのはね。
よくあることなんでしょ。
君は気に入らなくても、クライアントがこれにしますと言ったら、じゃ、そうされますか? っていう妥協。自分はよくないと思っていても、クライアントがいいって言ったらいい、って言うんでしょ。
そのときに「ばかたれ」って言わないとだめなんです。
「この良さがわからんのか」と言ってね。

●水島
今年は勇気を持つ、なので、

●蒼天先生
そういうことを繰り返して積み重ねていったら、人間関係も変わってくるし、或いは相手にする顧客も変わってくると思う。
うちは、私が気に入らなかったら、採用しません、とホームページにもバーンって書いてしまう。それくらいのことをやったら、また事態は変わってくるかもしれないけれどね。

その間にあなたの好きなデザインの腕を高めるとかしていたら、また状況は変わってくるかもしれないし、それは自分で考えてもらったらいいと思うけども。

まあ、要はいまの土俵ではだめということ。別の土俵に変えましょうということを言いたい。

●水島
ありがとうございます。
ひとまず先生の発表はそんなところでしょうか? 先生、ありがとうございました。


●水島
というところでですね、時間が20分ほどあります。
今チャットの方に、今回の皆さんの短冊をまとめてお送りしました。この中で、質問や、感想、総評として、先生に何か聞いてみたいこと、他の人の意見聴きたいな、とか、そういうのがありましたら、そこを深堀していけたらと思うんですけども、いかがでしょうか?

1月お休みされていました黄金さん、いかがですか?

●黄金
1月の議事録を読ませてもらってね、桜庭さんの話を1番聞きたいな、と思っていました。
楽しみにしていましたが、今日はそれが叶わないので、次の機会があればと思います。
水島くんが面白くなかったな、と思った。まとも過ぎて、ちょっとなんかなーって。

あのやっぱりこれね、リアルで聞かないとよくわからないよね。

墨田さんも、銀河さんも、12月にズームで話したときと、1月に議事録で読んだときのイメージが、なんかちょっと違ってて。
桜庭さんが1番変わってた感じがすごくしました。新年を迎えて、蒼天先生の最後の講評でも、変わった変わったと、おっしゃってたけれども、なんというのかな、何が変わったのかな。

水島くんだったら、1月迎えて最初の例会のときに、空気感ちがうよな、とか、そういうことを感じることってなかったんやろか?
なんか変わったなというか、銀河さんの書き方かな、なんかしらんけど、ちょっとなんか違うのよね。何かの、表現の仕方、っていうたらおかしいかな。なんか議事録も変わった感あるんやけど、その辺は銀河さんなんか変わったかな?
議事録なんかちょっと違うよなーって。なかった?
なんかちょっと違った感じ、僕は受けたんだけど。

●水島
桜庭さんの発表から、僕はそのときご意見させてもらったんですけれども、「喜び」とか、「楽しく」とか、感情表現が豊かだったんですよね。それにすごく驚きました。いつも、桜庭さんは、もっとロジカルな表現をされる感じだったのに、そういう境地に行かれたんだ、と感じました。僕がいうのもおこがましいんですけど、ご自身の殻を破って、次の段階に行かれたのかな、と。そこは黄金さんと通じる感想ですよね。
桜庭さんの発表から、「メンタルの部分が大事」という流れが作られていった気がしますね。

●蒼天先生
くそ真面目がね、非真面目にちょっと足を踏み込んだなと、その違いだと僕は思った。
彼女が役所の仕事をして。

●黄金
僕、銀河さんが議事録書くから、書く人っていうことは、そこをクローズアップさせた、そういうふうに桜庭さん変わったよね、ということをクローズアップさせて、銀河さんの本になってると言ったらおかしいけど、そういう流れを、議事録の中でもちょっと作られたのかな。
ひとつの世界が、今までの議事録とはちょっと違うのよ。ずっと読んでいてもね。

●蒼天先生
1月、銀河さんにもらった議事録の内容を見てね、まず、議事録そのものが変わった。これは銀河さんの成長の足跡でもあると思う。桜庭さんも変わった。そして、みんな変わった。一人が変わればみんな変わる。

これまで、実を言えばね、銀河さんや墨田さんや水島さんには怒られるかもしれないけれども、比較的流し読みしていた。ところが、1月の議事録を読んだときには、スピードが出せなかった。中身を吟味しながら、楽しみながら、じっくり読んでいた。だから3時間くらいかかった。今までの倍かかった。それが何かといえば、内容がよかったからだと思う。心に突き刺さるものがそれぞれの発言からあった、ということですね。
もちろんひとりずつ考え方も違うし、エネルギーも違うから、突き刺さり方も違うかもしれないけれども、僕はみんなの発言が突き刺さりました。だから、やっぱりね、突き刺さるから、ついついゆっくりじっくりと読んでるし、で、いやあ、ここがすごいなあ、彼も変わったなあ、彼女も変わったなあ、人が成長するのはやっぱり感動するからね、嬉しい。
研究会のメンバーこんなに変わってくれたんやな、いやもう、彼もそうや彼女もそうやというカタチで読んでいたら、ついつい3時間、もっとかかったかも知れないわ。だから遅くなってしまったんやけどね、ほんとよかった。

●黄金
桜庭さんの話から始まってから、ひとつの流れができちゃってる感すごくありました。
今までやったら、人の発表によっては、おもしろおかしくいったりしてたのが、大きな流れ、先生がおっしゃるように、みんながそういうふうに変わって来てるのかもしれないけれども、なんかずっとこの文脈の中に流れているものというか、その流れが最初からあるよな、っていうように、思えたのよね。
今までの議事録というのは、人によって、とんがったことを言う人もおれば、逆に水島くんがぼろかすにいわれてるのもあったけれども、今回は水島くんも流れている感じがあったり、なんかみんなね、墨田くんとかもね、すっと流れていたりね。
時間を短くしてたからか、その辺はわからないんだけれども、スムーズ感あるよな、って思ったんです。でも、それは、悪いことじゃなくて、みんながそうやっていいふうに変わっていってるからかもしれない。
なんかね、その奥底に流れてるものがね、ひとつのものが、銀河さんの心情とか、読んだ本とかあるのかもわかんないし、そのときの銀河さんの心情だったのか、何か奥の方に流れてる感すごく感じたので、なんか今回の議事録違うよな、と思って、だから、前回の議事録を試しに読んだんだけど、ちょっと違うよな、と思って。
全体がうまく流れてるんだよね。うまく。それを思ったので。だからFacebookに書いたのは「ヤバイなこれ、なんかちょっとすごいじゃん」そういう意味の流れができていて、じぶんだけ外されてる感すごくあったから、それでちょっと今聞いたんやけどね。

●銀河
先生がおっしゃったように、本当に違う感じというのはもちろんありましたし、
ひとりひとりが刺さった、というのもそのとおりで、
時間を区切った、というのもその通りで、だらだらいかない。それも絶対ありましたし、すべてメリハリがありながらも、ひとつの今日のステージみたいなイメージをもって書く、意識をするということも、すべてがあったので、そういうふうに感じてもらえたら嬉しいなと思います。

●蒼天先生
もうひとつね、銀河さんの成長もあると思う。いわゆる。1年前の中身、書き方とね、違う、今までの議事録と違って当たり前や。

●水島
ずっと2年くらい、続けてもらっているので、すごい量の文章を読んで書いて推敲して、ということをやってもらっているので、ほんとに頭が下がります。

●墨田
銀河さんは最後に編集するだけじゃなくて、まず最初に3時間分を1時間ずつみんなで均等割りして、完全文字起こしをして、それをやった上で、それを全部集めた3万字くらいのやつを編集されるんです。自分のことばに書き換えたりとかして。だから、恐ろしい作業量なんですよ。銀河さんはとくに。僕らは機械のようにやるだけなんで、

●水島
僕らはタイピングが早くなったくらいのもんで。

●銀河
いえいえ。文字起こしはやっぱり大変で、どんなに技術があったとしても、最低例会と同じ時間、3時間はかかります。それを分けてやってもらっていることはとても大きいです。
全部ひとりでやっていたとしたら、それは相当孤独で長い時間なので、仲間に感謝、ですね。

●黄金
ほんまに素晴らしいから、作家料をはらわなあかんのと違う? ありがとうございます。
ありがたいです。

●蒼天先生
特にね、あなたのしゃべってることの文字起こしが一番大変なんや。方言がいっぱいあるしね、最初言い出したことと終わることが違うこと言ってるしね、長いしね、発言が。そりゃ大変やったんやで。

●黄金
早く言ってよ(笑)

●水島
でもほんとに前は、黄金さんがしゃべらはると、ぶわーと流れるようになって、結局最後、どんどん話が展開していって、どこで区切るんやろう、みたいな感じやったですけど、最近そんなことないので、なんか全然違うなあ、っていう感じがします。

●黄金
実はしゃべっとる本人も、何ゆうてるかわからへんかったこともあったんや。

●水島
途中で迷宮入りするっていう……。

なにはともあれ、ありがとうございました。

●蒼天先生
みんなね、それぞれがね、差はあるかもしれないけれども、少しずつ成長してるから、その結果として、いい議事録ができあがっていく。成長しているということは、努力をしているということ。これは日常の努力もあるし、それから議事録を作る努力もあるし、だから、これはもう、最初議事録を作ろう、こういう「読むドラマ」を作ろう、と考えたときに、こういうことも期待してたが、期待通り進んでいる。どきどきしながら読んだから、3時間くらいかかった。じっくり読んだ。楽しかったんや。なぜ楽しかったのかというと、みんなが成長してくれてた、ということや。突き刺さるものがあった、ということや。
だからね、ほんまに読み応えがあった。

●水島
なんか、前回はあれですね、なんか、あんまりツッコミどころがないというか、皆さんの発表がすごいよかったので、質問と言われても、そんなに言うことがないんやけどな、みたいな、そんな雰囲気がちょっとありましたかね。

それぞれの課題とちゃんと皆さんが向き合って、それを短冊に落とし込んでいる、みたいな、そんなイメージがありましたね。なので、さらっといった、というのもあるかもしれないですね。

●蒼天先生
それとね、僕一番いやなこと言います。
リモートは嫌いなんやわ。
リモートでは上手にしゃべれへんのや。

●銀河
そうですね。
ただね、リモートだと、声が拾いやすいんですよね。文字起こしにとってはいい。

●蒼天先生
リモートでは、しゃべっている流れを作れへんのやね。嫌いやわ。

●水島
恐らく来月もリモートになってしまうかな、と思うんですが、ご辛抱ください。もうちょっと。

●緑山
前回リモートだったんですけど、議事録を読んでて思ったんですけど、平澤さんの進行が、よかったし、平澤さんが戻ってきたこと自体でも、雰囲気がちょっと変わったかな、という印象を、議事録からも読み取れたなと思いました。

●墨田
本当にそう思います。

●水島
タイムスケジュールも含めて、全部さっーとこなしていただいたんで、素晴らしかったと思います。

●墨田
あと、合いの手とかもね、結構ポイントつかんでね、うまいことゆうてくれはるんですよね。

●銀河
いいように、好意的に解釈してくださるというか。

●水島
さすがですよね。
すいません。今日はこんな進行で。

●緑山
今回もすばらしいですよ。

●水島
ということで、4時55分になりました。
落ち着いたらまた、リアルでやりましょう。

さらに落ち着いたら、みんなでいっぱい行きましょう

そんな日を楽しみに。

●蒼天先生
発表していただいて、このへんが疑問だ、とか、この辺がもう一回聴きたいとか、そういうものがあったらね、どんどんアップしてくださいよ。で、それを来月のテーマとして取り上げたらどうかなと思います。1回で終わらない、時間をかけないで20分で終わる、早く終わって、そういうものをあとから拾って、深く議論しようというのがひとつの趣旨になっていますので、是非みなさん、あげてください。よろしくお願いいたします。

もうひとつ。
せめて週に1回くらい、みてください。全員用のページを。

もうひとつ。
嬉しいのは、議事録をみんな読んでくださっているということがわかったので、これはもう非常にありがたいことです。

●水島
恐らく来月もリモートになるかと思います。またその辺りも改めて連絡させていただきます。お疲れ様でした。

今年は違う、何かが違う。
何が違うのか。
どんな変化が起こるのか。
心が躍ります。 (蒼天より)

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