会員コラム

第12回0からのスタート

「来月のコラム。長谷川さんまだやな。次書いて。」
7月の研究会の最後。もう終わると気を抜きかけた私に(すみません)先生からの一言。

「えっ!先生、私聴講生ですが…まだ起業できてないし…」
「そんなん関係あらへんよ。」
「え~!何も書くことないです…」
見苦しい抵抗をしているものの先生の柔らかい関西弁に太刀打ちできないのは自分でも重々承知しています。聴講生として百年企業研究会に参加させていただいてもう1年も経つのですから。

すこし落ち着いてからコラムとは何ぞやと調べてみた。(そんな状態です)
「大勢の人が共通に知っていることをテーマに個人的な分析・意見を交え文章に起承転結をつけて執筆された記事のこと。」
調べて一気にハードルがあがってしまい自分で自分にプレッシャーを与えてしまった。
う~ん…何を書こうか…


絶対に休むことは許されない百年企業研究会のことは以前より田中先生からお聞きしていました。
会員全員が自分の会社だけでなく他の会員のことにも真剣に考えて問題に取り組み、一つのテーマについてとことん時間をかけて議論を重ねていく会だと。
私の頭の中で、雑談もなく皆が眉間にしわを寄せ難しい顔で話し合う厳しい会というイメージが勝手に出来上がっていました。

以前、私は田中先生を中心に京都で開催されていた創業の研究会に参加していました。
その会が解散することになった時、先生に「長谷川さん、百年企業研究会に聴講生として一回話聞きに来るか?」と声をかけていただきました。
京都の研究会は3ヶ月おきに開催され、各自の現況報告を中心にした和気あいあいとした会だったので百年企業研究会は私の中で非常に敷居の高い場所でした。
ましてやまだ起業していない私が行っていいものなのかと思いましたがこれも何かのご縁だと思い、参加させていただきました。

緊張しながら参加させていただいた百年企業研究会には眉間に皺を寄せて難しい顔をしている人はおられず(大変失礼いたしました)雑談もあり、とても和やかな研究会でした。
緊張で顔が強張っていたであろう私がホッとしたのもつかの間、会員の皆さんの話に頭がついていかない…意見を求められても上手く伝えられない。変にカッコつけても見透かされるような新たな緊張感。何が正解なのか?正解ってあるのか?何も分からない自分にショックを受けました。
まだ今は聞くことだけで精一杯ですが、続けて参加することで少しずつでも自分が成長していける場所だと思っています。


あと自分のことを少し…
昔から何か一生かけた仕事を自分でしてみたいと考えながらも何がしたいかが見つけられずに日々の雑事に追われ専業主婦をしていました。
子供が社会人になったとき、ホッとしたと同時にこれからの自分がどう生きていくのかを強く意識するようになりました。
何がしたいのかが自分でも分からず、とりあえず自分が興味を持っていることを学んでみようと、『煎茶道』と『日本茶コーディネーター』の勉強を始めました。
興味を持つと自然とアンテナを張ることになるのか、色々と情報が耳に入ってきます。
ある日、テレビで紹介されていた商品を見て何故か自分もその商品を販売したいという強い気持ちが沸き起こりました。その時、自分のやりたい仕事が見えた瞬間でした。

製造方法は分からないし販売に携わったこともない。何故その商品に強く惹かれたのかは上手く説明できないのですが直感としか言いようがありません。

本当に0からのスタートです。

何から始めたらいいのかも分からない私は、とりあえず新聞で見つけた『起業セミナー』に参加しました。
そのセミナーで講師をされていたのが田中先生でした。

セミナーでは先生からの質問に答えるのもしどろもどろ…実際の商品もなく、経験も実績もないのですから毎回緊張して受講していました。
そんな中、自分の仕事としてやりたい!というただただ理想と夢だけを話す私の話に真剣に耳を傾けてくださいました。
無謀だと思われる私の話を聞き、首を傾げながらも先生は否定的なアドバイスを一切されませんでした。もし『そんなんやめときなはれ』と言われていたらおそらく諦めていたと思います。セミナーの最後には先生が言ってくださった『面白いなー頑張りや』という言葉に本当に背中を押していただきました。

あれから数年。声に出して発言することで不思議とご縁が繋がり、私の頭の中に描いていた商品がやっと現実の物になり商品化も見えてきました。
勿論いいことばかりではなく悔しくて腹立たしいことも多々ありますが…

自分のできることを自分のペースで『私らしいやりかたで』少しずつですが前にすすんでいます。『私らしく』を京都弁にすると『私らしゅう』。
そこから会社名は『らしゅう』と決めました。

百年企業研究会に参加させていただくようになって1年経った今でも緊張した顔で皆さんの話を聞いているだけの私ですが、いずれ聴講生から会員になれるよう頑張りますのでこれからもよろしくお願いいたします。

らしゅう
長谷川 恵美子

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